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原理実証試験においてウイルス療法は多発性骨髄腫治療に有効であった [2014-05-27] |
Virotherapy effectively fights multiple myeloma in proof of principle trial |
Mayo Clinic Proceedingsに掲載された原理実証試験において、ウイルス療法が致死性のがんである多発性骨髄腫治療に有効であり得ることが示された。スタディ対象の2人の患者が、骨髄腫形質細胞に選択的に毒性を示す組み換え麻疹ウイルス(MV-NIS)の静脈内単回投与を受けた。両患者ともに奏効を示し、骨髄がんおよび骨髄腫蛋白の減少が認められた。患者の一人である49歳女性は骨髄腫が完全寛解し、6か月間再発がなかった。論文の中で筆者らは、これら二人の患者は可能な最大用量を投与され、過去の麻疹への曝露が少なくしたがってウイルス抗体がほとんどなく、しかも他に治療選択の余地のない初めての患者であったため報告した、と説明している。これは、播種性がん患者がウイルス投与により全ての病変において完全寛解した患者の初めての実証症例である。もう一人の患者はウイルス治療に対し同じように完全寛解は示さなかったが、画像検査で静脈内投与されたウイルスが腫瘍増殖部位を特異的に標的としていることが証明されたことから、同様に注目に値する症例であった。 |
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研究の結果、治療法の選択に役立ち生存率を改善する可能性のある肺がんの遺伝子変異が同定された [2014-05-27] |
Research identifies genetic alterations in lung cancers that help select treatment and may improve survival |
肺腺がんのマルチプレックス検査により、標的治療に役立つ遺伝子変異が同定され、マッチした治療を受けた患者は標的療法を受けなかった患者よりも生存期間が長いとのスタディ結果がJAMAに掲載された。研究者らは転移性肺腺がんを有する患者を組み入れ、10のがんドライバー遺伝子変異に対し一定のクライテリアに合致する患者の腫瘍を検査した。1,007人の患者の腫瘍を少なくとも1つの遺伝子に関して検査し、733人の腫瘍を10の遺伝子に関して検査した(全遺伝子型判定を施行された患者)。がんドライバー遺伝子変異は733人中466人(64%)において認められた。これらの結果が、患者1,007人中275人(28%)において標的治療または臨床試験を選択するのに使用された。がんドライバー遺伝子変異を有し標的治療薬による治療が行われた患者260人の生存期間中央値は3.5年であった;ドライバー遺伝子変異を有し、標的治療が行われなかった患者では2.4年;ドライバー遺伝子変異が同定されなかった患者360人では2.1年であった。マルチプレックス検査は、医師が肺がん治療を選択する上での手助けとなり得る、と筆者らは結論付けている。ドライバー遺伝子変異を有し、マッチした標的治療薬を投与された患者は生存期間が長かったが、今回のスタディデザインは生存期間の差がドライバー遺伝子変異を使用したことによると決定的に結論付けるには適切ではなかった。 |
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大腸がん術前のPET-CT画像検査施行は予後を改善しない [2014-05-20] |
Using PET-CT imaging before colorectal cancer surgery does not improve outcomes |
肝臓への限局転移を有するあるタイプの大腸がん患者において、ポジトロン断層撮影法およびコンピュータ断層撮影法を用いた画像検査(PET-CT)を術前に施行することは、CTのみを施行した場合と比較しがんの外科的治療を有意に変更させることはない、とのスタディ結果がJAMA 5月14日号に掲載された。研究者らはCT画像上切除可能な転移を有する大腸がんを手術で治療される患者を、PET-CT(270人)またはCTのみ(134人)にランダムに割り付け、これらの患者の外科的管理の効果を判定した。PET-CT画像検査を受けた患者263人中111人が新たな情報を得た:62人は陰性に分類され49人は異常または疑わしい病変ありと分類された。PET-CT所見結果により治療が変更(キャンセル、より広範な肝切除、またはさらに多臓器の手術も施行)されたのは8.7%であった;2.7%は非治癒手術を避けた。全体で、肝切除はPET-CT群患者の91%で施行され、コントロール群では92%に施行された。追跡期間中央値3年間の生存率および無病生存率はPET-CT群とコントロール群とで有意差がなかった。 |
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高齢および体調不良の早期前立腺がん患者は積極的な治療の恩恵を受けない [2014-05-20] |
Older and sicker men with early-stage prostate cancer do not benefit from aggressive treatment |
高齢で他の重度の基礎疾患を有する早期前立腺がん患者を手術や放射線療法などで積極的に治療することは患者の延命にはつながらず有害な可能性がある、とのスタディ結果がCancerオンライン版に掲載された。研究者らは、早期前立腺がんの140,500人余りの男性(66歳以上)を診断後15年以上追跡した。研究チームはCharlson indexを用いて10年死亡率を予測した。糖尿病を有する前立腺がん患者はスコア1であり、複数のまたはより重度の併存疾患を有する男性はスコアが3以上となる可能性もあった。レトロスペクティブスタディの結果、Charlson indexが0、1または2で手術または放射線療法で治療された前立腺がん患者は、無治療患者よりも前立腺がん死リスクが低かった。しかしスコアが3以上の患者は、積極的な治療の恩恵を受けるほど長期生存せず他の理由で死亡する確率が高いため積極的治療により死亡リスクは低下しなかった。 |
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ビタミンDレベルが高いことによる生存利益に関する最強のエビデンスが乳がんおよび大腸がんにおいて認められた [2014-05-13] |
Strongest evidence of survival benefit of high vitamin D levels found for breast and colorectal cancer |
がんの診断時にビタミンDレベルが高い患者は、ビタミンD欠乏患者よりも生存率が高く寛解期間が長く持続する傾向にあるとの新たなスタディ結果がEndocrine Society学会誌Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism 2014年7月号に掲載された。このメタ解析では、がん患者計17,332人に対し診断時にビタミンDレベルを計測し生存率を追跡した25の異なるスタディの結果を観察した。ほとんどのスタディで、患者はがん治療開始前にビタミンDレベルを計測された。スタディの結果、ビタミンDレベルが10nmol/L上昇すると生存率が4%上昇することが示された。ビタミンDレベルと生存率とに最も強い相関が認められたのは乳がん、リンパ腫および大腸がんであった。肺がん、胃がん、前立腺がん、白血病、メラノーマまたはメルケル細胞がんの患者においては相関のエビデンスは少なかったが、入手可能なデータでは相関が認められた。 |
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早期肺がんの検出において呼気解析はPETスキャンよりもはるかに正確である [2014-05-13] |
Breath analysis much more accurate than PET scans at detecting early lung cancer |
予備的なデータから、肺がん検出目的の非侵襲呼気解析の感度はPETと同等であり早期肺がんと良性肺疾患とを鑑別するための特異度はPETの約2倍であることが示された。研究者らは健常人88人、肺がん患者107人、良性肺疾患患者40人および転移性肺疾患患者7人の呼気検体を収集した。彼らは呼気解析から得たがんマーカー上昇(ECMs)の所見とPETスキャンの結果とを比較した。呼気解析の感度および特異度はECMsの上昇度合いに依存した。例えば、3または4のECMsを有する者の95%が肺がんと診断された。良性肺疾患患者はECMを0または1個しか有しておらず、ステージIVのがん患者は3または4個有している確率が高かった。早期がんと良性肺疾患との鑑別において、呼気解析とPETスキャンの感度は同等であった(それぞれ82.8%および90.3%)。しかし、良性肺疾患の鑑別における特異度は呼気解析の方がPETよりもはるかに高かった(それぞれ75%対38.7%)。この研究結果は2014年AATS Conferenceで発表された。 |
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全体的な生活の質のスコアが低いために肺がん患者を手術の候補者から除外するべきではない [2014-05-07] |
Having poor global quality of life scores should not exclude lung cancer patients as surgical candidates |
全体的な生活の質(Global QOL)のスコアが低いことは生存率が低いこと、無再発率、または肺区域切除術後の有害事象が高いこととは関連がなく、したがってQOLは低いが手術可能な高リスク患者の手術は安全に施行できるとのスタディ結果が、第94回AATS学会で報告された。生検で3cm以下のステージI肺がんと診断された高リスクの手術可能な患者が、肺区域切除術または肺区域切除術に小線源療法を併用する群に無作為に割り付けられた。212人の患者がスタディに参加可能であった。Global QOLがベースライン、術後3、12、および24か月目に計測された。生存患者の経過観察期間中央値は4年を超えていた。多くが70歳以上で術前の肺機能が不良なこれらの患者において、ベースライン身体スコア(BCS)および精神スコア(MCS)(これらは標準的な米国人の値よりも低かった)は、予後不良の予測因子とはならなかった。生存率全体に影響したのはUniversity of California San Diego(UCSD)スケールで計測したベースライン時の低スコアで呼吸困難を有すると判断されたこと、または12か月後の時点で呼吸機能が有意に低下したことであった。Global QOLおよび呼吸困難は、肺区域切除後に有意に悪化しないこともこのスタディで示された。 |
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飲酒と喫煙は食道扁平上皮がん発症リスクを上昇させる [2014-05-07] |
Link between persistent inflammation and cancer is high for men with high-grade prostate cancer |
喫煙と飲酒の両方をする人は喫煙のみまたは飲酒のみの人と比較し食道扁平上皮がん(ESCC)発症率がほぼ2倍になるとの新たな研究結果がThe American Journal of Gastroenterologyに掲載された。ESCC発症のリスクファクターとして、特に飲酒と喫煙を同定したスタディは多数認められるが、食道を平坦な細胞で覆うことから始まる種類の食道がんであるESCCのリスクにおける飲酒と喫煙の相互作用を観察したメタ解析は、この研究が初めてである。研究者らは複数の電子データベースで系統的な論文検索を行い、喫煙および/または飲酒のESCCへの影響を評価した住民ベースケースコントロールまたはコホートスタディを考察した。各々のスタディから相乗因子が計算され、ESCCのアウトカムにおける喫煙と飲酒間の乗法的スケールへの相互作用が推測された。この系統的レビューの結果、飲酒および喫煙が食道がん発症において重要な役割を果たしているのみならず、これらの組み合わせが発がん率を著明に上昇させることが確認された。 |
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