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胃がん検出において高レベルの選択性および感受性を生み出す4つの新たな蛋白が同定された [2014-03-25] |
Four new proteins identified that produce high levels of selectivity and sensitivity in detecting stomach cancer |
Biochimica et Biophysica Actaに掲載された研究の結果、胃がん患者の血液内で濃度変化を来す4つの新たなバイオマーカーが同定されたことから、胃がん早期発見の新たな希望がもたらされた。この最新の研究において、研究者らは、11人の早期がんを含む37人の胃がん患者と、健常人およびがんを有さない他の消化器疾患患者から成るコントロールの間で血清中の4つの蛋白レベルに差のあることを示した。4つの蛋白−アファミン、クラステリン、ハプトグロビンおよびビタミンD結合蛋白(VDBP)−はそれぞれ、胃がんと健康なコントロールを鑑別する現在のマーカーCA72-4より優れていた。これら4つのマーカーを用いることにより、胃がん検出において高度な選択性および感受性が得られる。胃がんは、早期には一般的に無症状である。研究者らは、簡単な血液検査を用いた非侵襲的で安価なこのスクリーニング法が胃がん患者の生存転帰に大きな違いを生むことを期待している。 |
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膵がんリスクは糖尿病と診断されてから長期にわたり上昇し続ける [2014-03-25] |
Risk of pancreatic cancer remains elevated long after diabetes diagnosis |
Annals of Surgical Oncologyに掲載された新たなスタディにおいて研究者らは、膵がんと糖尿病に関連のあることを示した。臨床医らは数学者らと協力し1973〜2013年のデータをレビューした結果、糖尿病と膵がんの診断の間には時間依存性の関連があると結論付けた。今回の88の国際的スタディのレビューは、この課題に関する解析として過去最大のものである。スタディでは、膵がんリスクは糖尿病の診断直後に最大であるがその後も上昇した状態が長期間続くことを示した。糖尿病の存在は後年膵がんを発症する軽度のリスクファクターであり続ける。集団内の膵がん患者数は比較的少なかったが、スクリーニングプログラムを考慮すべきであることをスタディは示唆している。スクリーニングは新規発症糖尿病患者、特に糖尿病を発症する有意なリスクファクターのない者を優先すべきである。その後、糖尿病歴の長い患者に拡げていくことができる。 |
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ビタミンD代謝物と乳がん生存率に相関が認められた [2014-03-18] |
Relationship found between vitamin D metabolite and breast cancer survival rate |
血中ビタミンDレベルの高い乳がん患者はこの栄養素の血中濃度が低い女性よりも生存率が2倍であるとAnticancer Research 3月号に報告された。過去のスタディにおいて、今回報告した研究者らはビタミンDレベルが低いことと閉経前乳がんリスクが高いこととに相関があることを示した。彼らは、乳がん診断時および平均9年間の経過観察時点で得られた25-ヒドロキシビタミンDに関する5つのスタディについて統計学的解析を行った。これらのスタディを組み合わせると、4,443人の乳がん患者が含まれた。血清ビタミンDレベルの高い女性の血中25-ヒドロキシビタミンD濃度は30ng/mLであった。血清ビタミンDレベルの低い女性の血中平均濃度は17ng/mLであった。ビタミンD代謝物は、盛んな細胞分裂を阻害する蛋白のスイッチを入れることにより細胞間の情報交換を増加させると筆者らは説明している。ビタミンD受容体が存在している限り、腫瘍増殖は抑制され、血液供給を増加させることが抑制される。ビタミンD受容体は腫瘍が非常に進行するまでは失われない。これがビタミンDレベルの高い患者において生存率が良好である理由である。 |
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前立腺がんにおける骨代謝マーカーの予測能は予後および治験薬有効患者を同定する [2014-03-18] |
Predictive ability of bone turnover markers in prostate cancer predicts outcomes and identifies responders to investigational drug |
骨形成および吸収のバイオマーカーから去勢抵抗性前立腺がん男性の予後が予測できることを、ある研究チームが発見した。Journal of the National Cancer Institute オンライン版に掲載された彼らのスタディではまた、このマーカーにより治験薬atrasentanに奏効する小患者群を同定できることも明らかにした。健康な骨は形成と吸収のバランスを維持しており、古い骨を再利用する一方で新しい骨を作り出していると筆者らは説明している。前立腺がんはこのバランスを乱す。研究者らはこのメカニズムが、がん追跡に役立つと考えた。この関連の可能性を調べるために、研究チームは778人の患者において、再吸収(N-テロペプチド、ピリジノリン)および骨形成(C末端コラーゲンプロペプチド、骨アルカリフォスファターゼ)マーカー両者の血液検査を行い、それぞれのマーカーレベルが上昇していると予後が不良であることを見いだした。また、マーカーが上昇していることから患者が、臨床試験が不成功に終わったため開発が中断された治験薬atrasentanが有効か否かも予測することができた。マーカーレベル上位約6%の患者はatrasentanが有効であった。このマーカーの予後予測能は治療法と患者をマッチさせたりその有効性を追跡したりするのに役立ち、臨床試験のデザインに影響する可能性がある。 |
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免疫療法による治療は進行メラノーマ患者に持続的な寛解をもたらす [2014-03-11] |
Immune system-based therapy produces lasting remissions in patients with advanced melanoma |
がんを攻撃する免疫機能の制限を解除する薬剤は、多くの進行メラノーマ患者において― 一部の症例では2年以上にわたり―持続的な寛解をもたらし疾患を抑え得るとのスタディ結果がJournal of Clinical Oncologyに掲載された。このトライアルは、他の治療がもはや奏効しない進行メラノーマ患者107人を対象とした。患者はnivolumabを隔週で最大96週間静脈内投与された。1年後には62%の患者が生存、2年後には43%の患者が生存していた。多くの患者において、治療期間終了後も腫瘍は同サイズかまたは縮小し続けた。トライアルの対象患者全体の生存期間は、疾患が悪化しなかった期間よりもかなり長かった。つまり、たとえ治療後に小さなメラノーマを発症した患者であっても、しばしば疾患はコントロールされていたということである。この薬剤の副作用は過去のスタディにおいて認められたものと同様であった。最も多い副作用は倦怠感、発疹、および下痢であり、これらのほとんどは治療開始後6か月以内に発現した。長期の曝露により副作用が累積的に生じることはなかった。 |
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10歳代および若年成人において続発性甲状腺がんは原発性甲状腺がんよりも死亡率が高い [2014-03-11] |
Secondary thyroid cancer more deadly than primary malignancy in adolescents and young adults |
続発性がんとして甲状腺がんを発症した10歳代および若年成人は原発性甲状腺がんを発症した者よりも死亡リスクが有意に高いとのスタディ結果がCancerオンライン版に掲載された。解析では、1998〜2010年のAmerican College of Surgeons National Cancer Databaseの10歳代および若年成人甲状腺がん症例を対象とした。41,062症例中、1,349例(3.3%)が悪性腫瘍の既往歴を有していた。原発性甲状腺がん症例と比較し、続発性甲状腺がんは小さいが複数個所に発現する率が高かった。また、両者ともに治療を施行した際の生存率は95%を超え非常に良好であったが、続発性甲状腺がん患者の死亡率は原発性甲状腺がん患者の6.6倍以上であった。このスタディから、重複がんの有無により甲状腺がんには違いがあることが示唆される。今回の結果は、生命を脅かす可能性のある甲状腺がんの早期兆候を検索するために、若年の甲状腺がん既往者に対するスクリーニングの重要性を強調している。 |
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最大の有益性を得るためにBRCA1遺伝子変異を有する患者の予防的卵巣摘出術は早期に施行されるべきである [2014-03-04] |
Preventive oophorectomy in carriers of BRCA1 mutation should be performed early for greatest benefit |
Journal of Clinical Oncologyに掲載された大規模国際的前向きスタディの結果、BRCA1遺伝子変異を有する女性は、35歳以降卵巣がんリスクが実質的に上昇するため、この年齢までに予防的卵巣摘出術を受けるべきであることが初めて示唆された。Hereditary Ovarian Cancer Clinical Studyでは、ある国際的レジストリからBRCA遺伝子変異を有する女性を同定し、そのうち5,787人が出産歴、手術歴(予防的卵巣摘出術および乳房摘除術)およびホルモン使用に関するアンケートに回答した。全女性(BRCA遺伝子変異を有さない者も含む)における卵巣がんの生涯リスクは1.4%である。全体で、卵巣摘出術は卵巣がんリスクを80%軽減させた。BRCA1遺伝子変異を有する女性では、手術時期が40歳まで遅れると卵巣がんリスクが4%に上昇し、50歳まで遅れると14.2%に上昇した。これとは対照的に、BRCA2遺伝子変異を有する女性で50歳までに卵巣がんと診断されたのはわずか一例であったことから、これらの女性は予防的卵巣摘出術を遅らせることが可能であることが示唆される。さらに、この手術を受けたBRCA1およびBRCA2遺伝子変異を有する女性は70歳までの全死亡リスクが77%低下した。 |
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セレンとビタミンEサプリメントの推奨量を超えた摂取は一部男性において前立腺がんリスクを上昇させる可能性がある [2014-03-04] |
Selenium and vitamin E supplementation over recommended dietary intake may raise prostate cancer risk in some men |
微量元素セレン(Se)とビタミンE両方のサプリメントの高用量摂取は高悪性度前立腺がんリスクを上昇させる。しかし重要なことには、このリスクはサプリメント摂取前の本人のセレンレベルによるとの研究結果がJournal of the National Cancer Instituteに掲載された。これらの結果はSWOGがん研究協力グループにより厳密に管理遂行された35,000人以上の男性を対象とした、ランダム化プラセボコントロールトライアルであるSelenium and Vitamin E Cancer Prevention Trial(SELECT)のデータに基づくものである。489例の高悪性度前立腺がんを含む前立腺がん症例1,739例およびSELECTデータベースからランダムに抽出された男性3,117人のデータ及び足爪の検体が解析された。その結果、サプリメント摂取がない場合には足爪のSeと前立腺がんリスクとに関連はなかった。しかし、ベースラインの足爪Se濃度の高い男性においては、Se単独およびSeとビタミンEが高悪性度前立腺がんリスクを上昇させた。ベースラインSeレベルの低い男性ではそうではなかった。逆に、足爪Seレベルの低い男性においてはビタミンEサプリメントのみにより前立腺がん全体、低悪性度および高悪性度前立腺がんリスクが上昇したが、Seレベルの高い男性ではそうではなかった。 |
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