アスピリン常用は卵巣がんリスクを低下させる可能性がある [2014-02-18]
Regular aspirin use may reduce ovarian cancer risk

アスピリンを毎日内服している女性は卵巣がんリスクが20%低下する可能性があるとの研究結果がJournal of the National Cancer Instituteに掲載された。研究者らは12の大規模疫学スタディの蓄積データを解析し、アスピリン、アスピリン以外のNSAIDs、またはアセトアミノフェンを常用する女性の卵巣がんリスクが低いかどうかを調査した。彼らはこれらの薬剤を約8000人の卵巣がん女性、および卵巣がんを有さない女性約12,000人において評価した。アスピリン常用の有無に関して報告した参加者のうち、18%がアスピリンを、24%はアスピリン以外のNSAIDsを、16%はアセトアミノフェンを内服していた。アスピリンを毎日内服していると報告した参加者は、週1回未満内服の者より卵巣がんリスクが20%低かった。アスピリン以外の多種類のNSAIDsを内服していた者においては、この様な所見は明らかではなかった。NSAIDsを週1回以上使用していた女性はそれより少ない女性よりも卵巣がんリスクが10%低かったが、この結果は統計学的には有意ではなかった。アセトアミノフェンの使用は卵巣がんリスク低下と関連がなかった。臨床的な勧告が作成される前にさらなる研究が必要である。

喫煙はエストロゲン受容体陽性乳がんのリスク上昇と関連する [2014-02-18]
Smoking linked with increased risk of estrogen receptor positive breast cancer

1日1箱の喫煙を10年以上継続している若年女性は、最も一般的なタイプの乳がんであるエストロゲン受容体陽性乳がんを発症するリスクが有意に高いとの解析結果がCancer オンライン版に掲載された。若年女性における喫煙と乳がんリスクとの関連を評価した最近のスタディの多くが、喫煙とリスク上昇と関連があることを示したが、異なるサブタイプの乳がんによりリスクを評価したスタディは少ない。これを調査するため研究者らは、エストロゲン受容体陽性乳がん患者778人(うち182人がトリプルネガティブがん)およびがんを有さないコントロール938人からなる地域住民ベースのスタディを行った。スタディ参加者は20〜44歳であった。その結果、現在および最近まで1日1箱の喫煙を10年以上継続していた者はエストロゲン受容体陽性乳がんリスクが60%高かった。一方、喫煙とトリプルネガティブがんとの関連はなかった。

アスピリンは 前庭神経鞘腫患者の腫瘍増殖を阻害することにおいて治療的な役割を果たす可能性がある [2014-02-10]
Aspirin may have therapeutic role in inhibiting tumor growth for patients with vestibular schwannomas

アスピリン内服が、 時に致命的な脳内腫瘍であり、一般的に聴覚消失や耳鳴りを引き起こす前庭神経鞘腫(聴神経腫瘍としても知られる)の増殖を停止させることと関連することが初めて示された。Otology and Neurotology 誌2月号に掲載されたこの知見は、連続689人のレトロスペクティブ研究 に基づいている。このうち347人(50.3%)は、複数回の磁気共鳴画像(MRI)検査によりフォローされた。主なアウトカム計測値は患者のアスピリン使用と経時的なMRI検査で記録された最大腫瘍径の変化により計測した前庭神経鞘腫成長率であった。アスピリン内服者と前庭神経鞘腫の成長には有意な逆相関関係が認められ(オッズ比:0.50、95%信頼区間:0.29〜0.85)、年齢や性別による影響を受けなかった。今回の研究は、アスピリンの腫瘍増殖抑制における治療的役割を示唆し、非常に忍容性の良好なこの抗炎症薬による頭骸内腫瘍の増殖阻害効果を評価する前向き臨床試験への動機付けとなる。

ルーチンのマンモグラフィースクリーニングは若年女性の早期腫瘍を検出する [2014-02-10]
Routine mammography screening in younger women identifies earlier stage tumors

40〜49歳の女性にルーチンでスクリーニングマンモグラフィーを施行したところ小さな腫瘍が早期に診断され化学療法の必要な率が低かったとのスタディ結果がAmerican Journal of Roentgenology 2月号に掲載された。研究者らは、最近のいくつかのガイドラインとは逆に、マンモグラフィーは40歳代女性において有益であると結論付けている。筆者らは2群の40〜49歳の女性(スクリーニングマンモグラフィーを施行する群および診断のための精査を必要とする症状を有する群)を比較した。230例の原発性乳がんのカルテを後ろ向きにレビューし、その結果スクリーニングマンモグラフィーを行われた女性は治療方針、診断時病期および高リスク病変の同定に関して、診断目的の精査を必要とされた有症状の女性と比較し有意な差があったと結論付けた。スクリーニングを施行された群は早期に診断され腫瘍が小さく化学療法を必要とする率が低く、それによる合併症が少ないと判断された。また、スクリーニングにより高リスク病変が検出され、それにより化学予防が促されその後の乳がんリスクが低下する可能性があることも示された。

PREVAIL:第2世代アンドロゲン受容体阻害剤は転移性去勢抵抗性前立腺がんの生存率を改善する [2014-02-04]
PREVAIL: Second generation androgen-receptor blocker improves survival in metastatic castration-resistant prostate cancer

2014年ASCO Genitourinary Cancers Symposiumにおいて、アンドロゲン受容体阻害剤enzalutamideが転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の生存率を29%上昇させ、がんの進行を81%遅延させ化学療法の必要性を延期させたとの第III相PREVAILスタディの結果全てが初めて発表された。この二重盲検プラセボコントロールスタディにおいて、化学療法治療歴のないmCRPCを有する男性1,717人がenzalutamideまたはプラセボと標準的なホルモン療法による治療を受ける群にランダムに割り付けられた。参加者は原発腫瘍に対し、LHRHアゴニスト製剤によるホルモン治療または第一世代抗アンドロゲン治療に加え、手術や放射線療法などの治療を既に受けていた。その結果、enzalutamideはがんの成長を59%の患者において遅延または停止させた(完全寛解20%および部分寛解39%)のに対し、プラセボ群におけるその割合は5%であった。さらに、enzalutamideは化学療法の必要な時期を延期させた。化学療法を必要としたのはenzalutamideを投与された患者においてプラセボを投与された患者よりも平均で17か月遅かった。概してenzalutamideの忍容性は良好であった―副作用によりスタディから脱落した患者の割合はenzalutamide内服群とプラセボ内服群とで同等(6%)であった。

放射線療法と抗アンドロゲン療法の併用は10年および15年前立腺がん生存率を実質的に改善する [2014-02-04]
Radiotherapy plus anti-androgen therapy substantially improves 10- and 15-year prostate cancer survival rate

2014年ASCO Genitourinary Cancers Symposiumにおいて、局所進行前立腺がん男性に対する放射線療法と経口抗アンドロゲン療法の併用は10年および15年がん特異的死亡率を半分未満に低下させることが報告された。この報告は、Scandinavian Prostate Cancer Group's Study VIIのデータの最新解析結果である。ほぼ8年間の観察の結果が2009年に公表され、1回の注射で3か月持続するテストステロン除去ホルモン治療による初回治療の後に2か月間の放射線療法および錠剤によるホルモン療法を施行された局所進行前立腺がん患者の前立腺がん特異的死亡率は、ホルモン療法単独の患者と比較し12%低いことが示された。この最新の解析において、11年間観察を行った後に研究者らはNorwegian and Swedish death registriesの死亡データを再検討した。ホルモン療法のみを受けた男性439人中118人が前立腺がんにより死亡したのに対し、併用療法を受けた男性436人中死亡したのは45人であった。ホルモン療法のみを受けた男性における10年および15年前立腺がん特異的死亡率はそれぞれ18.9%および30.7%であった。併用療法を受けた患者におけるこれらの割合は8.3%および12.4%であった。