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高レベルのメラトニンは進行前立腺がんのリスクを低下させるようである [2014-01-28] |
Higher levels of melatonin appears to decrease risk for advanced prostate cancer |
睡眠−覚醒サイクルに関連するホルモンのメラトニンが高レベルであることは進行前立腺がん発症リスクが低いことを示唆する可能性があるとのスタディ結果が、AACR-Prostate Cancer Foundation Conference on Advances in Prostate Cancer Researchで発表された。メラトニンの主な分解産物6-スルファトキシメラトニンの尿中レベルと前立腺がんのリスクとの関連を調査するために、研究者らはAGES-Reykjavikコホートの対象であるアイスランド男性928人のケースコントロールスタディを行った。彼等は組み入れ時に早朝尿を収集し、参加者に睡眠パターンに関するアンケートに回答するように依頼した。7人に1人の男性が入眠障害を、5人に1人が中途覚醒の問題を訴え、ほぼ3人に1人が睡眠薬を内服していると報告した。睡眠薬を内服していた者や入眠障害や中途覚醒を報告した男性は、睡眠の問題を有さない男性よりも6-スルファトキシメラトニンレベルが有意に低かった。スタディ参加者のうち、111人が前立腺がんと診断され、そのうち24人は進行がんであった。6-スルファトキシメラトニンレベルが中間値より高い男性は、進行前立腺がんのリスクが75%低かった。前立腺がん全体のリスクも31%低かったが、この結果は統計学的に有意ではなかった。 |
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血液内のバイオマーカーは膵臓がんの早期発見法となり得ることが示された [2014-01-28] |
Biomarkers in blood show potential as early detection method of pancreatic cancer |
膵臓がんを有する患者と有さない患者とをある程度鑑別する能力を有する診断用全血マイクロRNAパネルが同定されたとのスタディ結果が、JAMA 1月22/29日号に掲載された。研究者らは膵臓がんを有する患者(409人)と健康な参加者(312人)および慢性膵炎患者(25人)との全血中マイクロRNAの違いを調査し、膵臓がんの診断用マイクロRNAパネルを同定しようとした。血清がん抗原19-9(CA19-9;膵臓がんを有する患者の約80%において上昇する抗原)もまた計測し比較した。研究者らは膵臓がんを診断できる可能性のある2つの新たなパネルを同定した。この検査により、より多くの有症状の人々に画像検査を紹介する結果になり得ると筆者らは述べている。彼等は、症状の有無にかかわらず行われた、安価で非侵襲的な血液検査を用いた膵臓がんのスクリーニングにおける多数の偽陽性の有害性に関しても付け加えている。この結果は予備的なもので、これらのマイクロRNAが膵臓がん早期発見のスクリ−ニング検査として臨床的意義を有するか否かを理解するためのさらなる研究が必要である、と彼等は忠告している。 |
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頭頸部がんに対する先進的放射線療法は副作用および再発を防ぐ点で従来の放射線療法よりも優れている可能性がある [2014-01-21] |
Advanced radiation therapy for head and neck cancer may be better than traditional radiation at preventing side effects and recurrence |
先進的放射線療法で治療された頭頸部がん患者は、標準的な放射線療法を受けた患者よりも副作用を経験することが少なく原疾患により死亡する確率が低い可能性があるとの解析結果が、Cancerオンライン版に掲載された。研究の結果、腫瘍を治療し正常組織は温存するようにデザインされた先進的放射線療法である強度変調放射線治療(IMRT)は、従来の放射線療法よりもドライマウスや歯科疾患を起こしにくいことが示されてきた。しかし、IMRTが患者の生存率に及ぼす影響についてはスタディで判定されていない。これを調べるために、研究者らは1999〜2007年の間に頭頸部がんの治療を受けた患者3,172人の大規模なデータベースを解析した。追跡期間中央値の40か月後、IMRTで治療された患者でがんにより死亡しなかったのは84.1%であったのに対し、標準的な放射線療法で治療を受けた患者では66.0%であった。各々の解剖学的サブサイトを別々に解析すると、それぞれのサブグループにおいて、IMRTで治療された患者の方が標準的な放射線療法で治療された患者よりも生存率が良好であった。このスタディはIMRTが頭頸部がん患者にとって安全かつ有益な治療であることを立証している。 |
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大腸がんに対する手術後の2つのフォローアップ検査によりさらに治療の必要な病変の検出能が向上する [2014-01-21] |
Two follow-up tests after surgery for colorectal cancer improve detection of disease requiring further treatment |
原発性大腸がんに対する根治術を施行された患者において、コンピュータ断層撮影(CT)およびがん胎児性抗原(CEA)によるスクリーニング法はそれぞれ、最小限のフォローアップに比べがん再発に対する外科的治療率を向上させたが、これらを組み合わせることによる利点はなかったとのスタディ結果がJAMA 1月15日号に掲載された。研究者らは2つの一般的なスクリーニング法(血中CEA[腫瘍マーカー]測定、およびCT)を用いた再発の検出を評価した。彼等は英国39施設の患者1,202人を4群(CEAのみ[300人]、CTのみ[299人}、CEA+CT[302人]、または最小限のフォローアップ[301人])のいずれかにランダムに割り付けた。再発観察期間中(平均4.4年)にがん再発が検出されたのは199人(16.6%)であり、再発した患者の5.9%が治癒目的で手術を受けた。再発病変に対する治癒目的の外科治療は、3つの積極的フォローアップ群において最小限フォローアップ群よりも多かった。最小限フォローアップと比べ、治癒目的の治療を受けた患者数の絶対差はCEA群で4.4%、CT群で5.7%、CEA+CT群で4.3%であった。 |
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迅速かつ正確な大腸がんリスク推定法は既存のガイドラインをより改善する [2014-01-14] |
Tool provides quick, accurate estimate of patients risk of colorectal cancer improving upon existing guidelines |
医師が患者の大腸がんリスクを迅速かつ正確に予測するのを可能にする、オンライン予測大腸がんリスク(Colorectal Cancer Predicted Risk Online[CRC-PRO])と呼ばれる新たな方法が開発されたとJournal of the American Board of Family Medicine最新号に掲載されている。この方法は患者および医師の両者が、適切な大腸がんスクリーニング時期を判断するのに役立てるようデザインされている。Clevelandの研究者によって導き出されたこの算出法を開発するために、研究者らは180,000人を超える多人種のデータを解析し、最長11.5年間追跡し大腸がん発症と高度に関連する因子を決定した。リスク算出には複数のリスクファクターが含まれ、現在臨床で用いられている単純な年齢基盤のカットオフよりも正確なリスク予測法を医師らに提供する。筆者らは、今回の新たな使い易い算出法が大腸がんスクリーニング能を改善することを期待しており、このような予測ツールにより不必要な検査が削減され医療費軽減に役立つと確信している。この研究グループは、心疾患や乳がん、前立腺がんおよび甲状腺がんなどの多くのリスク予測ツールの開発に従事している。これらはhttp://rcalc.ccf.orgにおいて閲覧可能である。 |
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転移性メラノーマ患者に対する新たな診断法および治療法の可能性が示された [2014-01-14] |
New diagnostic and therapeutic techniques show potential for patients with metastasized melanoma |
The Journal of Nuclear Medicineに掲載された新たな研究は、ベンザミドを用いて新たに開発された放射線医薬品による転移の画像化および標的全身療法に脚光を当てている。研究者らは、悪性メラノーマに対する特殊な単一光子放射断層撮影(SPECT)放射性医薬品(123I-BZA2)を開発した。その後に転移性メラノーマ患者の画像検査を18F-FDG光子放射断層撮影/コンピュータ断層撮影(PET/CT)を用いて施行し、ステージングおよび再ステージングの正確性を比較した。87人の患者が計86の転移病変に関して評価を受けた。メラノーマ転移の診断に関する18F-FDGの感度は123I-BZA2のそれよりも高かった(80%対23%)。しかし特異度に関しては18F-FDGの方が123I-BAZ2よりも低かった(54%対86%)。メラニン陽性病変の診断に関する123I-BAZ2の感度および特異度はそれぞれ75%、70%であった。123I-BAZ2の腫瘍への集積はメラノーマ転移巣のメラニン含有量と明らかに相関があったため、論理的には123I-BAZ2はメラノーマ転移の診断に使用し得る。他のスタディでは、メラニン結合ベンザミド(131I-BA52)を投与された患者の生存期間は2年を超えることが示された。高用量の131I-BA52では、中等度の副作用のみが観察され忍容性があると考えられた。 |
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乳がん術後持続する疼痛は、治療戦略が改善してもなお有意な臨床上の問題である [2014-01-07] |
Persistent pain following breast cancer surgery remains a significant clinical problem despite improved treatment strategies |
JAMA 1月1日号に掲載された、乳がん手術を施行された女性800人以上を対象としたスタディにおいて、その多くが術後12か月の時点で何らかの疼痛を訴えた。研究者らは乳がん手術および治療後の慢性疼痛の有病率、重症度および因子を調査した。スタディには75歳未満の非転移性乳がん患者860人が組み入れられた。質問表が術後12か月目に患者に送付され、疼痛の有無および強度が評価された。術後12か月の時点で34.5%の患者が疼痛を有さず、49.7%は軽度、12.1%は中等度、3.7%は重度の疼痛を有していた。12か月後の疼痛に関連した因子は、慢性術前疼痛、手術野の術前疼痛、腋窩リンパ節郭清、術前のうつ、化学療法および放射線療法であった。これらの結果は乳がん治療後の持続痛予防の方策を考える上で有用である可能性がある、と筆者らは述べている。しかし、予防的介入が有益である患者を同定するリスク評価法が必要である、と彼らは指摘している。 |
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本物およびシャム鍼治療は乳がん治療におけるアロマターゼ阻害薬の副作用軽減に役立つ [2014-01-07] |
Both real and sham acupuncture helps ease side effects of aromatase inhibitors during breast cancer treatment |
CANCERオンライン版において、本物およびシャム鍼治療は乳がん治療において一般的に用いられる薬剤の副作用緩和に役立つ可能性があることが明らかにされたと掲載された。研究者らはアロマターゼ阻害薬を内服し関節/筋不快感を有する乳がんサバイバー47人を臨床試験に組み入れた。約半数の患者が8週間の鍼治療を受け、残りの半数は非穿通性のリトラクタブル鍼を経穴でない部位に置くシャム鍼治療を受けた。両群ともに症状、特にホットフラッシュが軽減したが、実際の鍼治療とシャム鍼治療とでは有益性に差はほとんどなかった。特筆すべきことに、いずれの鍼治療においても有意な副作用は生じなかった。研究者らは人種差の調査は予定していなかったが、トライアル終了後に、アフリカ系米国人は本物の鍼治療をされているとシャムと比較しホットフラッシュの重症度および頻度がアフリカ系米国人以外の女性よりも軽減したことがわかった。断定的ではないが、鍼治療は一部の人種において他の人種よりも有効性が高い可能性があることが示唆される、と筆者らは指摘している。 |
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