2014
ステント留置後の長期抗血小板薬2剤併用療法(AHA2014 Abstract 19168)
スタチン療法にエゼチミブを併用することで臨床上の有益性が得られる(AHA2014 Abstract 20742)
PCSK9阻害薬はスタチン不耐性患者に対する可能性を有している(AHA2014 Abstract 15991 and 16110)
高齢者においてアスピリンは一次予防に役立たなかった(AHA2014 Abstract 20753)
ジルコニウム環状珪酸塩による高カリウム血症治療(AHA2014 Abstract 20737)
機械的CPRは用手的CPRと比較し利点がない(AHA2014 Abstract 22737)
活動性の喘息は心筋梗塞のリスクを上昇させる可能性がある(AHA2014 Abstract 15991 and 16110)
電子監視は減塩に役立つ可能性がある(AHA2014 Abstract 16922)
急性大動脈解離はインフルエンザの流行時期と関連がある(AHA2014 Abstract 19298)
マリファナの二次吸引は血管を傷害する(AHA2014 Abstract 19538)
心房細動に対する治療が認知症リスクを上昇させる(AHA2014 Abstract 13426)
女性における精神的ストレスの心血管系への有害な作用(AHA2014 Abstract 14860)
MIリスクは非閉塞性CADの範囲とともに上昇する
超高齢患者において大動脈弁置換術は安全で有効である
LDL-Cと大動脈弁疾患との関連が認められた(Abstract 395)
新たに献血された血液により心臓手術の合併症が減少する(Abstract 562)
DAPT:抗血小板薬2剤併用療法を薬剤溶出ステント留置後1年以上継続することにより冠動脈血栓のリスクが低下する [2014-11-25]
DAPT: Continuing dual antiplatelet therapy beyond 1-year after placement of drug-eluting stent reduces risk of coronary thrombosis

チエノピリジン系薬剤(クロピドグレルまたはプラスグレル)およびアスピリンをステント留置後標準的な12か月を超えて内服した患者は標準的な12か月のプロトコールに従って治療された患者よりも、ステント血栓および重大な心血管有害事象のリスクが低い、とのlate-breaking clinical trialの結果が2014年American Heart Association年次集会で発表され、同時にNew England Journal of Medicineに掲載された。DAPT(抗血小板薬2剤併用療法)スタディは5年間の国際スタディであり、薬剤溶出ステントを留置された患者9,961人(平均年齢62歳、約25%が女性、ほとんどが米国出身)をランダム化し一次解析した。ステント留置後アスピリンとクロピドグレルまたはプラスグレルを12か月ではなく30か月内服した患者は、12か月内服しその後アスピリンとプラセボを18か月間内服した患者(プラセボ群)よりもステント内血栓を発症する確率が0.5倍少なかった。彼らはまたプラセボ群と比較し新たな心筋梗塞を発症するリスクが約半分であった。また、チエノピリジン系薬剤治療中止がいつであってもその後3か月間は虚血イベントが著明に増加することも示され、2剤併用療法はさらに長期にわたり継続すべきであり生涯にわたり継続する必要性さえある可能性が示唆された。

IMPROVE-IT:異なる作用のコレステロール低下療法はスタチンの心血管リスク低下を増強する [2014-11-25]
IMPROVE-IT: Cholesterol-lowering drug with different action adds to statin's reduction of cardiovascular risk

高リスクの急性冠症候群(ACS)患者においてスタチン療法に他のタイプのコレステロール低下薬を併用することにより心筋梗塞(MI)および脳卒中がより予防できる、との大規模長期スタディが2014年American Heart Association年次集会で発表された。IMPROVE-IT (IMProved Reduction of Outcomes: Vytorin Efficacy International Trial)スタディは、低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールレベルが125mg/dL以下、または既にスタチン内服中であれば100mg/dL以下の50歳以上のACS患者18,144人を組み入れた。患者は平均約6年間追跡され、長期の者では8.5年であった。シンバスタチンとプラセボを投与された患者と比較し、シンバスタチンと非スタチン系薬剤エゼチミブの両者を投与された患者は、全ての心血管イベントリスクが6.4%、MIリスクが14%、脳卒中リスクが14%、および虚血性脳卒中リスクが21%低かった。心血管疾患死は両群ともに統計学的に同等であった。IMPROVE-ITはスタチン療法に非スタチン系薬剤を併用した際の著明な臨床上の有益性を示した初めてのスタディである。

ODYSSEY ALTERNATIVE:Alirocumabはベースラインレベルが非常に高いスタチン不耐性患者のLDL-Cを低下させる [2014-11-25]
ODYSSEY ALTERNATIVE: Alirocumab reduced LDL-C in statin intolerant patients with very high baseline levels

PCSK9を標的として阻害するモノクローナル抗体alirocumabは、ベースラインLDL-Cレベルが非常に高いスタチン不耐性患者において、エゼチミブおよびアトルバスタチンと比較し、LDL-C低下作用が有意に大きかった、との研究結果が2014年American Heart Association年次集会で発表された。ODYSSEY ALTERNATIVEスタディでは、ベースラインLDL-Cが非常に高い(〜190mg/dL)患者計314人を、2週間毎のalirocumab 75mg自己注射またはエゼチミブ1日10 mg、またはアトルバスタチン1日20mgを24週間内服する群にランダムに割り付けた。Alirocumabの用量は心血管リスクおよび第8週のLDL-C値に応じて12週後に最大150mgまで増加された。50%は第12週の時点で用量増加が不要であった。24週の時点でalirocumabはエゼチミブよりも有意にLDL-Cを低下させた(エゼチミブ群154mg/dL対alirocumab群96mg/dL、p<0.0001)。Alirocumab群患者の42%が第24週の時点でLDL-Cの目標値を達成した。LDL-C目標値を達成したのはalirocumab群患者の方がスタチン群患者よりも有意に多かった(p<0.0001)。さらに、骨関連有害事象は、アトルバスタチンまたはエゼチミブ群よりもalirocumab群の方で少なかった。スタチン不耐性歴を有する患者においてalirocumabは優れた代替療法となり得る、と筆者らは結論付けている。

JPPP:複数の動脈硬化リスクファクターを有する高齢者において低用量アスピリンは心血管イベントを低下させない [2014-11-25]
JPPP: Low-dose aspirin does not reduce cardiovascular events in elderly patients with multiple atherosclerotic risk factors

複数の心血管リスクファクターを有する高齢患者において低用量アスピリンは総心血管イベントを有意に低下させなかった、とのlate-breaking clinical trialの結果が2014年American Heart Association年次集会で発表された。Japanese Primary Prevention Project(JPPP)スタディでは、高血圧、脂質異常症および/または糖尿病を有し心血管疾患歴のない60〜85歳の患者14,466人を組み入れ、アスピリン腸溶錠1日100mgを内服する群またはアスピリンを内服しない群にランダムに割り付け、リスクファクターのコントロールは継続した。一次エンドポイントは、心血管系の原因による死亡、非致死性脳卒中および非致死性MIの合計であった。追跡期間中央値5.02年の時点で、一次エンドポイント数またはイベントリスクは2群間で差がなかった。TIA率はアスピリン群において有意に少なかった(43%低下、p=0.044)。逆に、アスピリン群では重篤な頭蓋外出血が有意に多かった−ハザード比からそれらのイベントが85%高いことが示された(p=0.004)。TIA減少に関するアスピリンのいかなる有益性も重篤な頭蓋外出血リスクの有意な上昇を考慮しバランスをとるべきである、と筆者らは警告している。

HARMONIZE:致死的な心臓不整脈に関連する可能性のある高カリウムレベルの低下に薬物が役立つ [2014-11-25]
HARMONIZE: Drug helps reduce high potassium levels associated with potentially lethal cardiac arrhythmias

ジルコニウム環状珪酸塩はカリウムレベルを急速に正常範囲内に低下させ、様々な程度の高カリウム血症患者の正常カリウムレベルを最長4週間維持することができる、との研究結果が2014年American Heart Association年次集会で発表され、同時にJAMAに掲載された。ナトリウムジルコニウム環状珪酸塩(ZS9)は、腸内のカリウムに選択的に結合する非吸収性薬剤である。第III相HARMONIZE臨床試験において、高カリウム血症患者(258人)が初回の48時間オープンラベル相にZS9を1日3回投与された。正常カリウムレベルを達成した患者(237人)がその後、5 g (45人)、10 g(51人)、または15 g(56人)のZS9またはプラセボ(85人)を毎日28日間投与される群にランダムに割り付けられた。ZS9のカリウム低下作用は全ての患者サブグループにおいて一貫しており、迅速に認められた(初回投与後1時間)。84%の患者において24時間以内に、98%の患者において48時間以内に、正常カリウムレベルに達した。プラセボと比較し、3用量全てのZS9の方が、最長28日間にわたり正常カリウム値患者の割合が高かった(全ての比較でp=0.0001)。

PARAMEDIC:機械的CPR装置は用手的胸骨圧迫と比較し生存率を改善しない [2014-11-25]
PARAMEDIC: Mechanical CPR device does not improve survival compared to manual chest compressions

院外で心停止を来した患者に蘇生を行う際に、機械的装置を用いた持続的な胸骨圧迫が用手的胸骨圧迫よりも生存率を改善することはないとのlate-breaking resuscitation researchの結果が2014年American Heart Association年次集会で発表され、同時にLancetに掲載された。このPARAMEDIC(pre-hospital randomized assessment of a mechanical compression device in cardiac arrest)トライアルでは、院外で非外傷性心停止を経験し、用手的胸骨圧迫または軽量携帯型電動式装置LUCAS-2を介した胸骨圧迫を受ける群にランダム割り付けられた患者の30日生存率を比較した。スタディの結果、英国の4つの救急サービスにより治療を受け、組み入れ条件に合致した患者4,471人(1,652人はLUCAS-2、2,819人は用手的胸骨圧迫)において、30日生存率は機械的群(6.3%)および手動的群(6.9%)とで同等であることが示された。もう1つの所見として、LUCAS-2は、脈拍および呼吸が再開したか、またはイベント後の脳機能が自立して生活できる程度に良好である患者が病院に到着するまで生存する割合を上昇させなかった。これらの結果に基づき、研究者らは用手的胸骨圧迫の代替法としてLUCAS-2を日常的に使用することを推奨していない。

活動性の喘息症状を有し長期管理薬使用中でも喘息症状のある人々はMIおよび脳卒中リスクが高い [2014-11-18]
People with active asthma symptoms and asthmatics on controller medications have elevated risk of MI and stroke

最近の喘息症状や毎日薬物を必要とする喘息は心筋梗塞(MI)リスクを有意に上昇させる可能性があるとの2つの研究論文が2014年American Heart Association年次集会で発表された。1つ目のスタディは、心疾患発症の初期徴候を追跡する地域研究の参加者6,792人(平均年齢62歳、男性47%)を対象とした。心血管リスクファクターで補正した結果、毎日の薬物療法を必要とする喘息患者は喘息を有さない人々と比較し、10年間の追跡期間中にMI、脳卒中またはそれらの関連疾患のようなイベントを来す確率が60%高かった。長期管理薬使用中でも喘息症状を有するとC反応性蛋白やフィブリノーゲンなどの炎症マーカーレベルが有意に高かった。2つ目のスタディは、MIを発症した543人と、同じ年代および性別(平均年齢67歳、女性44%)のMI歴のない患者543人を比較した。喘息と診断された患者は、喘息を有さない者と比較しMIリスクが70%高かった。過去1年間に喘息症状、薬物使用または喘息治療のために受診したことが明らかな"活動性喘息"患者は、最近の喘息症状がない喘息患者と比較しMI発症リスクが2倍であった。

電子監視機器の使用により減塩食への良好な適応が得られる [2014-11-18]
Successful adaptation to a lower sodium diet improves with use of an electronic monitoring device

電子監視機器の使用は心不全患者およびその家族が減塩食を遵守するのに役立つ可能性があるとの研究結果が2014年American Heart Association年次集会で発表された。Family Sodium Watcher Program(Family SWAP)では、減塩食の味付けに適応するための心不全患者と介護者/家族との協力関係に焦点を当て、食品内の塩分含有を検出する電子監視機器を使用し適応期間中には塩分の多い食事を避けた。患者−介護者のペア15組の3か月間トライアルにおいて、患者8人の介入群は、塩分摂取量を徐々に適応させる方法および電子監視機器を用いた12週間の心不全セルフケア教育を受けた。3か月後に、介入群では24時間の尿中ナトリウム排泄量が有意に減少した(患者3,894mg対3,604mg 、p=0.02;介護者4,123mg対3,380mg、p<0.05)。一部の人々は電子監視機器を用いることで減塩食がより楽しくなったと言い、90%の人々が食品中の塩分を味わう能力が変化した、と述べた。介護者らは、このプログラムによる負担の増加はなかった、と報告した。通常管理/コントロール群患者7人は、行動や塩分レベルに変化がなかった。

急性大動脈解離による入院が多いこととインフルエンザ流行時期のピークは一致する [2014-11-18]
High hospital admissions for acute aortic dissection coincide with peak flu season

急性大動脈解離(AAD)による入院はインフルエンザ流行時期のピーク(11〜3月)に最も多い、との研究結果が2014年American Heart Association年次集会で発表された。研究者らは、2001〜2013年の米国疾病管理予防センター(CDC)でのインフルエンザの流行状況とセンターにおける1か月毎のAADによる入院とを比較した。この期間に869件のAAD症例が治療を受けた。AADによる入院は11〜3月に最も多かった(この期間内の件数月3.1に対し他の期間の月平均2.1)。インフルエンザ活動性(インフルエンザ様疾患による受診者の割合)はAADのピーク期間は2.6%であったのに対し、他の月では1.1%であった(p<0.001)。特に、A型解離(上行大動脈および/または大動脈弓を含み下行大動脈を巻き込むこともある)はインフルエンザ流行時期のピークと関連があったが、B型はそうではなかった。A型解離とインフルエンザ活動性は周期的に移動し、概して期間中同期していた。インフルエンザが炎症反応を引き起こしそれにより罹患しやすい人々の解離の危険性が上昇するのであろう、と研究者らは仮説を立てている。彼らはハイリスク患者に対する季節毎のワクチン接種を推奨している。

マリファナの二次吸引はタバコと同様に血管内皮機能を障害させるがTHCは原因ではない可能性がある [2014-11-18]
Secondhand marijuana smoke impairs vascular endothelial function as much as tobacco but THC may not be the culprit

マリファナの二次吸引はタバコの受動喫煙と同様に心臓や血管に障害を与え得る、との予備研究の結果が2014年American Heart Association年次集会で発表された。このスタディにおいて、研究者らは改良した喫煙器具を用いてラットをマリファナの煙に曝露させた。高解像度超音波装置を用いて、主要な下肢動脈の機能が計測された。研究者らは煙への曝露前および曝露後10分と40分における大腿動脈拡張度を記録した。マリファナの煙を30分間二次吸引した実験室用ラットは、血管内皮機能が70%低下した。彼らはまた、THCを含有しないマリファナおよび通常の空気を用いて別の検査を行った。ラットが通常の空気に曝露された時に、血管機能の変化はなかった。THCを含有しないマリファナによる血管内皮機能低下は、この化合物が作用の原因ではないことを示唆している。同様に、このスタディから、喫煙の血管内皮機能障害にニコチンは必要ないことが確認された。過去のタバコのスタディにおいて、血管内皮機能は曝露から30分以内に正常範囲内に復する傾向にあった。しかし、マリファナの研究では、曝露から40分経過して計測した血管内皮機能は正常には戻らなかった。

抗凝固/抗血小板療法併用による長期の過剰治療は心房細動患者の認知症リスクを上昇させる可能性がある [2014-11-18]
Long-term overtreatment with anticoagulant/antiplatelet combination may raise risk of dementia in people with atrial fibrillation

抗凝固薬ワルファリンとアスピリンやクロピドグレルを用いた抗血小板薬の併用による脳卒中予防目的の長期過剰治療は心房細動(AF)患者の認知症リスクを上昇させる可能性がある、との研究結果が2014年American Heart Association年次集会で発表された。研究者らは脳卒中歴または認知症のない患者1,031人が薬物を併用している間、最長10年間調査した。一般的な脳卒中および出血のリスクファクターで補正した結果、凝固能モニター検査の25%以上においてINRが3.0を超えていた患者は、検査上過剰治療の回数が10%未満であった患者よりも認知症と診断される確率が2倍以上であった(HR 2.40、p=0.04)。この増加率は、彼らが過去にワルファリン単独で調査した時よりも高かった。INRの治療域を超えた回数の割合が高い患者においてはまた、弁膜症、腎不全(Cr>2.0)、CHADSスコア3〜6および出血歴を有する割合が高かった。これらのデータから、AFと認知症の関連の基となるメカニズムとして微小出血による慢性脳損傷の可能性が示唆される、と筆者らは述べている。

心疾患を有する若年女性は感情的ストレスの心血管系への影響を過剰に受けやすい [2014-11-18]
Young women with heart disease are disproportionally vulnerable to cardiovascular effects of emotional stress

安定冠動脈疾患(CHD)を有する若年女性は、感情的ストレス下に置かれると、男性よりも心筋虚血を生じやすいが身体的ストレスではそうではない、との研究結果が2014年American Heart Association年次集会で発表された。研究者らは安定CHD患者534人に、標準的な精神ストレス検査を施行し、別の日に従来の身体ストレス検査(運動または薬物)を施行した。ストレスと安静時との差から、総虚血性灌流欠損(IPD)の定量的計測が得られた。精神的ストレスに関しては、年齢による性別への有意な影響があった(p=0.001)。55歳以下の女性は精神的ストレスにより同年代の男性と比較し、IPDが3倍以上生じた。55歳以下の女性では心臓への血流が3倍以上減少し、56〜64歳では心臓への血流が2倍減少し、65歳以上では心臓への血流には差がなかった。精神的ストレスにより血流に大きな差が生じたのとは対照的に、身体的ストレス下での血流に関しての男女差はなかった。

非閉塞性冠動脈疾患は心筋梗塞および死亡のリスク上昇と関連する [2014-11-11]
Nonobstructive coronary artery disease associated with increased risk of myocardial infarction and death

約38,000人の患者を対象としたあるスタディにおいて、非閉塞性冠動脈疾患(CAD)と診断された者は診断後1年間の心筋梗塞(MI)または死亡のリスクが有意に高かった、とのスタディ結果がJAMA 11月5日号に掲載された。U.S. Veterans Affairs Clinical Assessment, Reporting, and Tracking(CART)プログラムのデータを用いて研究者らは、非閉塞性CAD、閉塞性CAD、およびCADなしの患者のMIおよび死亡率を比較した。CAD範囲は、血管狭窄の度合いおよび分布(1、2、または3枝病変)で決定した。スタディ期間中に37,674人がCAD関連の適応により待機的冠動脈造影を施行された;うち、22.3%が非閉塞性CADを有し、55.4%は閉塞性CADを有していた。1年以内に845人が死亡し、385人はMIのために再入院した。1年間のMIリスクは、非閉塞性CADと閉塞性CADとで急激な差があるわけではなく、CAD範囲に伴い徐々に上昇した。非閉塞性CADの患者はCADのない者よりもMIリスクが2〜4.5倍高かった。1年死亡率および1年間のMIと死亡を合計した予後に関しても同様の所見が認められた。

重度の大動脈弁狭窄を有する一部の有症状の90歳代患者は大動脈弁置換術の恩恵を被る可能性がある [2014-11-11]
Select symptomatic nonagenarians with severe aortic valve stenosis may benefit from aortic valve replacement

大動脈弁置換術(AVR)は90歳以上の重症大動脈弁狭窄患者の治療に安全に使用でき、手術による脳卒中や死亡リスクは低いとのスタディ結果がAnnals of Thoracic Surgery 2014年11月号に掲載された。研究者らは、重症大動脈弁狭窄に対しAVRを施行された90歳代59人の記録をレビューした。外科的AVR(SAVR)は33人(56%)に、経カテーテル的AVR(TAVR)は26人(44%)に施行された。AVR後に、SAVRを施行された2人およびTAVRを施行された1人の計3人の患者が死亡した。術後1年の生存率は81.3%で、2群間に有意差はなかった。22人(37.3%)が急性腎不全や脳卒中などの術後合併症を来した。自宅退院したのはSAVR群で5人(21.7%)であり、TAVR群では12人(48%)であった。残りの31人は全て、熟練を要する介護施設に退院した。術前には80%近くの患者が有意な心不全症状を有していたが、多くが著明な改善を認めた。一部の症候性重度大動脈狭窄の90歳代の患者において、AVRは否定すべきでないと筆者らは結論付けている。

LDL-Cが上昇しやすい遺伝的素因は大動脈弁石灰化および狭窄と関連する [2014-11-04]
Genetic predisposition to elevated LDL-C associated with aortic valve calcification and stenosis

低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)が上昇しやすい遺伝的素因は大動脈石灰化および大動脈弁狭窄の発症しやすさと関連があり、LDL-Cと大動脈弁疾患との因果関係を支持する結果が、2014年Canadian Cardiovascular Congressで発表され同時にJAMAに掲載された。研究者らは、血漿内脂質上昇の遺伝的素因を計測する加重遺伝子リスクスコア(GRS)が大動脈弁疾患と関連するか否かを評価した。対象は、約35,000人が解析に参加した地域住民ベースのコホートとした。大動脈弁石灰化はコンピュータ断層撮影で定量化した;大動脈弁狭窄の有病率および新規診断や大動脈弁置換は入院および死亡原因に関する国内登録の記録連携を用いて同定した。脂質分画を計測されたサブグループ(5,269人)において、ベースラインLDL-C値は新たな大動脈弁狭窄と有意に関連があり、高比重リポ蛋白(HDL-C)または中性脂肪(TG)はそうではなかった。LDL-C GRSは大動脈弁石灰化および新たな大動脈弁狭窄と有意に関連したが、HDL-CやTGのGRSはそうではなかった。これらのデータからLDL-C上昇の既知のリスクに大動脈弁狭窄も追加される可能性が示唆される。

新たに献血された血液を用いた方が心臓手術後合併症は少ない [2014-11-04]
Fewer post-operative complications after cardiac surgery with newly donated blood

新たに献血された血液を輸血された心臓手術後患者は2週間以上前に献血された血液を輸血された患者よりも術後合併症が有意に少ない、とのスタディ結果がCanadian Cardiovascular Congressで発表された。研究者らは、ほぼ9年間にわたって施行されたカナダの非緊急心臓手術記録について、手術中または術後に赤血球輸血を施行され入院期間が30日未満であった患者について調査した。2,015人の患者のうち、半数超(1,052人)が輸血前14日以内に輸血された"新しい"血液のみを輸血され、その他の患者は14日以上経過した"古い"血液のみまたは一部は"古い"血液を輸血された。カナダのプロトコールでは、血液は献血後最長6週間保存し使用することが許可されている。年齢、性別および他の健康状態で2群の患者を補正した結果、新しい血液のみを輸血された患者において、出血による再手術、24時間以上の人工換気、感染症、腎不全および死亡などの合併症が少なかった。全体で、新しい血液を輸血された患者は全てまたは一部は古い血液を輸血された患者よりも有意に予後が良好であった。