◆ |
プライマリPCI時ステント挿入中のOCTガイドによる利点の可能性がスタディにより示された [2014-09-30] |
Study demonstrates the potential merit of OCT guidance during stent implantation in primary PCI |
ST上昇心筋梗塞(STEMI)に対しプライマリ経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行される患者にステントを埋め込む際の連続的光干渉断層法(OCT)ガイドを調査する初めてのランダム化トライアルが第26回Transcatheter Cardiovascular Therapeutics(TCT)シンポジウムで発表された。OCTは血管内カテーテルから発せられる光を用いて冠動脈内の高感度断面像を得るものである。経橈骨動脈診断造影検査の後、201人の患者がプライマリPCIのみ(96人)またはOCTガイド下プライマリPCI(105人)のいずれかにランダムに割り付けられた。OCT群ではOCTデータに基づきより多くのステントが用いられ(施術中のOCT所見に基づく確率が高い)、また透視時間はOCT群において有意に長かった。30日後および9か月後のMACE率は非常に低く両群で同等であった。ステント血栓、後期内腔消失および再狭窄率もまた両群ともに同様に低かった。9か月後のOCT解析の結果、OCTガイド群において血管内腔狭窄が少なく(p=0.001)ステントストラットの露出が少ない傾向にあった(p=0.07)。スタディではプライマリPCI中のOCTガイドの利点の可能性が示されたが、最終的には大規模ランダム化トライアルが必要であると結論付けられた。 |
 |
◆ |
血管内超音波ガイド下インターベンションは慢性冠動脈閉塞患者の予後を改善した [2014-09-30] |
Intravenous ultrasound guided intervention improved outcomes for patients with chronic total coronary occlusion |
慢性完全閉塞(CTO)の患者において、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)中の血管内超音波(IVUS)ガイド下インターベンションは、従来の血管造影ガイド下の方法と比較し予後を改善するとの研究結果が、第26回Transcatheter Cardiovascular Therapeutics(TCT)シンポジウムで発表された。IVUSは超音波を用いて冠動脈を評価するもので、PCI後のステントの仕上がりを最良にするために用いることができる。今回の前向き多施設トライアルはCTOの患者402人を、ガイドワイヤクロス成功後にIVUSガイドまたは血管造影ガイドのいずれかの群にランダムに割り付けた。一次エンドポイントは12か月間の心臓死、心筋梗塞、および標的血管血行再建術(TVR)の合計であった。12か月間の追跡期間後に、一次エンドポイント発現は血管造影ガイド下群よりもIVUSガイド下群で有意に低かった(2.6%対7.1%;p=0.035)。心臓死および心筋梗塞の発現の合計も、血管造影ガイド下群と比較しIVUSガイド下群で有意に低かった(p=0.045)。クロスオーバー率はIVUSガイド下群から血管造影ガイド下群で2.5%であり、血管造影ガイド下群からIVUSガイド下群で17.4%であった(p<0.001)。Per-protocol 解析に基づくと、一次エンドポイント発現率は、IVUSガイド下群において血管造影ガイド下群よりも低かった(2.2%対8.4%;p=0.005)。 |
 |
◆ |
CONFIRM HF:鉄欠乏の心不全患者は経静脈的補充により改善する可能性がある [2014-09-22] |
CONFIRM HF: Iron deficient heart failure patients see improvement with intravenous supplementation |
鉄欠乏の心不全患者は鉄の静脈内投与をわずか1〜2回受けるだけで機能的能力およびQOLの有意かつ持続的な改善を来し、心不全悪化による入院のリスクを軽減することができるとの研究結果が2014年European Society of Cardiology Congressホットラインセッションで発表された。CONFIRM-HFは、鉄欠乏を伴う安定した有症状の心不全患者304人を組み入れた、二重盲検、プラセボコントロールトライアルであった。患者はランダム化され、鉄分(カルボキシマルトース鉄溶液[FCM])静脈内鉄投与(152人)またはプラセボ(生理食塩水)静脈内投与(152人)を52週間投与される群に割り付けられた。プラセボ群と比較し、FCM群は24週目の6分間歩行テストで33m(p=0.002)、36週目には42m、52週目には36m長く歩行した(36週目および52週目のいずれもp<0.001)。12週以降、FCM治療群患者はプラセボ群と比較し、患者の全般的評価(Patient Global Assessment)において有意な有益性を示し(12週目でp=0.035、24週目でp=0.047および36週目と52週目でp<0.001)、New York Heart Associationクラスの改善においても同様のパターンが認められた(24週目でp=0.004および36週目と52週目でp<0.001)。 |
 |
◆ |
FOCUS:新たな治療体制はより多くの患者が2度目の心筋梗塞を発症するのを予防するのに有望である [2014-09-22] |
FOCUS: Novel treatment regime has potential to prevent more patients having a second heart attack |
新たな合剤は心筋梗塞(MI)後治療へのアドヒアランスを上昇させるとのスタディ結果が2014年European Society of Cardiology Congressホットラインセッションで発表された。FOCUS2はMI後患者における固定用量の組み合わせ(アセチルサリチル酸[ASA]100mg、シンバスタチン40mg、ラミプリル2.5、5、または10mg を含むCNIC-FS (3)-FERRER合剤)へのアドヒアランスおよび心血管リスクファクターのコントロ―ルに対する効果を調査した。計695人の患者が合剤または3剤を別々に内服する群にランダムに割り付けられ、9か月間追跡された。患者は合剤として与えられた方が3剤別々の錠剤として与えられた場合よりもMI予防の薬剤を内服する確率が高かった。このスタディでは2つの方法を用いた。自己申告のアンケートでは、合剤群の患者の68%が薬を内服していたのに比べ、3剤内服群では59%だけであった。錠数を確認すると、合剤群の92%の患者が内服を順守したのに対し、別々に内服した群では84%であった。この新たな治療体制は患者が2度目のMIを発症するのを軽減する可能性がある。 |
 |
◆ |
FAMOUS-NSTEMI:診断技術により、MI後の患者の5分の1が手術を回避できる [2014-09-16] |
FAMOUS-NSTEMI: Diagnostic technique allows avoidance of surgery in one fifth of patients following an MI |
非ST上昇心筋梗塞(NSTEMI)後患者における客観的冠動脈狭窄計測法である冠血流予備量比(FFR)計測は、これら患者の5分の1以上において血行再建術を回避するのに役立ち得る、とのスタディ結果が2014年European Society of Cardiology Congressホットラインセッションで発表され、同時にThe European Heart Journalに掲載された。症状の安定した患者を対象とした過去のスタディでは、FFR値が0.80を超える患者は薬物療法で治療しても安全であるが、計測値が0.80以下である場合は血行再建術の適応であることが示されている。しかし、このFFRカットオフがNSTEMI患者においても妥当であるか否か、またはFFRがすべての冠動脈(責任病変および非責任病変)において使用できるかは不明である。スタディは350人の患者(平均年齢62歳、男性74%)を対象とした。FFRガイド下治療群にランダム化割り付けされた患者のうち、21.6%において治療方針が変更され最終的に22.7%が薬物療法を受けた(すなわち血行再建術を回避)のに対し、冠動脈造影を基に治療方針を決定された群では13.2%であった(p=0.022)。12か月後も血行再建術施行率はFFR群で低いままであり(79.0%対86.8%、p=0.054)、FFR群では経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を72.2%に、冠動脈バイパスグラフト(CABG)を6.2%に施行されたのに対し、冠動脈造影に基づき方針を決定する群ではそれぞれ79.9%および6.9%であった。 |
 |
◆ |
ODYSSEY COMBO II:Alirocumabはエゼチミブのコレステロール低下作用を上回る [2014-09-16] |
ODYSSEY COMBO II: Alirocumab outshines ezetimibe for lowering cholesterol |
心血管疾患(CVD)リスクの高い高コレステロール患者において治験薬alirocumabを標準的なスタチン療法に併用することにより、エゼチミブよりもコレステロールレベルが有意に改善したとのODYSSEY COMBO IIトライアルの結果が2014年European Society of Cardiology Congressホットラインセッションで発表された。AlirocumabはPCSK9(前駆蛋白質転換酵素サブチリシン/ケキシン9)阻害薬―標準的なコレステロール降下薬と相乗的に作用すると考えられている新しいクラスの薬剤―である。スタディには高コレステロール血症および他の心血管疾患リスクを有し、既に1日の最大用量のスタチンを内服しており忍容性のある患者720人(62歳前後)を対象とした。彼らはalirocumabの皮下注射(1回75〜150mgを2週間おき)を受ける群(479人)またはエゼチミブ錠(1日10mg)を104週間投与される群(241人)にランダムに割り付けられた。エゼチミブと比較し、alirocumabは24週までおよび52週までにLDL-Cレベルを有意に低下させた(それぞれ50.6%対20.7%、p<0.0001;49.5%対18.3%、p<0.001)。同様に、alirocumab治療患者の77%が24週までにLDL-C値1.81 mmol/L [70 mg/dL]以下を達成したのに対し、エゼチミブ治療群では45.6%であった(p<0.0001)。 |
 |
◆ |
LISTEN:ロスバスタチンはアトルバスタチンよりも早期には血糖値に対して好ましい作用を有する [2014-09-16] |
LISTEN: Rosuvastatin initially has more favorable effect on glucose levels compared to atorvastatin |
2型糖尿病患者に対するコレステロール降下薬スタチン系薬剤に関して言うと、ロスバスタチンはアトルバスタチンよりも選択肢として好ましい可能性があるとの日本のスタディ結果が、2014年European Society of Cardiology Congressホットラインセッションで発表された。LISTENトライアルは高コレステロール血症を有する2型糖尿病患者を1日5mgのロスバスタチン(514人)または1日10mgのアトルバスタチン(504人)を内服する群にランダムに割り付けた。スタディ終了時に両群ともに非HDLコレステロールの低下を示し、ロスバスタチン群とアトルバスタチン群とで統計学的に有意ではない差が認められた(それぞれ-32.86%対-31.01%)。同様に、1年後のLDLコレステロール低下も両群間で有意な差はなかった(それぞれ-34.79% および -32.78%)。しかし3か月後に、LDL低下はロスバスタチン群で有意に大であった(-39.38% 対-36.39%、 p=0.0106)。血糖値は両群ともに上昇し、12か月後の値は両群間に有意差はなかった。しかし、初期の血糖値上昇はアトルバスタチン群(3か月後および6か月後はそれぞれ121.4および126.0mg/dL)でロスバスタチン群(それぞれ118.8および122.9mg/dL)より急激であり、この差は統計学的に有意であった(p=0.0104)。 |
 |
◆ |
IBIS-4:STEMIを発症した患者において高用量ロスバスタチンは冠動脈プラークを退縮させる [2014-09-16] |
IBIS-4: High-dose rosuvastatin reduces coronary plaque in patients who have had a STEMI |
ST上昇心筋梗塞(STEMI)既往患者において1日40mgのロスバスタチンを1年間投与することにより、冠動脈内プラークが退縮し得る、との研究結果が2014年European Society of Cardiology Congressで発表され、同時にThe European Heart Journalに掲載された。IBIS-4は責任病変の再開通に成功した急性STEMI患者103人を対象とした。患者はスタディ開始時および高用量ロスバスタチン治療13か月間の後に画像検査を施行され、非責任病変に対する薬物の影響を評価された。13か月後の血管内超音波検査では、85%の患者が少なくとも1本の冠動脈においてプラークの退縮を示し、56%は責任血管および非責任血管両者において退縮した。全体で、冠動脈内プラーク容積は平均0.9%(p=0.007)減少し、総粥腫容積の平均変化量は-13.7 mm3(p=0.006)であった。プラーク容積の減少はベースラインのコレステロール値とは関係がなく、13か月間のコレステロール低下度に直接関係があった。高周波血管内超音波検査を用いたプラーク組織組成の解析の結果、壊死性コアに変化はなく"高リスクプラーク"の減少は認められなかった。予想されたように、ロスバスタチンはコレステロールレベルにも有益な効果を示した。 |
 |
◆ |
AMIO-CAT:心房細動に対するアブレーションの直後にアミオダロンを投与すると早期予後が改善する [2014-09-16] |
AMIO-CAT: Better early outcomes seen when amiodarone is given immediately after ablation for atrial fibrillation |
心房細動(AF)の治療として高周波アブレーションを施行される患者は、施術直後にアミオダロンを内服すると早期予後が改善するとの研究結果が2014年European Society of Cardiology Congressホットラインセッションで発表され、同時にThe European Heart Journalに掲載された。AMIO-CATでは、発作性AFまたは持続性AFに対し高周波アブレーションを施行される患者212人を、アミオダロン(108人)またはプラセボ(104人)を施術直後から8週間投与される群にランダムに割り付けた。スタディの一次エンドポイントは、"ブランキング期間"−治癒過程としてAF発作が起こり得る3か月間で通常最終的なスタディの結果にカウントしない−後の30秒以上持続するAFであった。6か月後のAF再発は実薬群とプラセボ群とで有意差がなかった(39%対48%、p=0.18)が、ブランキング期間のAF再発数はアミオダロン群でプラセボ群よりも少なく(34%対53%、p=0.006)、不整脈による入院(p=0.006)および除細動率(p=0.0004)は半分以下であった。アブレーション後3か月間の早期再発性の不整脈はこの薬剤により効果的に減らすことができる、と筆者らは結論付けている。しかし、この有益性は3か月以上持続しなかった。 |
 |
◆ |
X-VERT:電気的除細動を施行される患者において、リバーロキサバンを用いた経口抗凝固療法はビタミンK拮抗薬の安全な代替療法となり得る [2014-09-16] |
X-VERT: Oral anticoagulation with rivaroxabon is safe alternative for patients undergoing elective cardioversion |
心房細動(AF)を正常な心調律に服するために電気的除細動を施行される患者において、リバーロキサバンを用いた経口抗凝固療法はビタミンK拮抗薬(VKA)の安全な代替療法となり得る、との研究結果が2014年European Society of Cardiology Congressで発表された。X-VERTは、電気的(97.6%)または薬物的(2.4%)除細動を予定された患者1,504人を対象とした前向きランダム化トライアルである。全体で、1,002人の患者が経口リバーロキサバン20mgを1日1回内服する群に、そして502人がVKA(ワルファリンまたは他のVKAを医師の裁量で投与)を内服する群にランダムに割り付けられた。患者は早期(58%)または後期(42%)除細動を行う群のいずれかに割り付けられた。リバーロキサバンによる治療を受けた患者は、脳卒中または一過性脳虚血発作、末梢動脈塞栓、心筋梗塞、および心血管死から成る複合アウトカムのリスクがVKA治療群と同等であった。リバーロキサバンの実際的な利点はVKAで治療された患者と比較し除細動までの時間が短いことで示された。早期除細動群では、ランダム割り付けと除細動との間隔は両治療群で同等であった(中央値1日)が、後期群ではリバーロキサバンで治療された患者はVKA治療群よりも除細動待機期間が有意に短かった(中央値22日対30日、p<0.001)。 |
 |
◆ |
PARADIGM-HF:心不全治験薬は心不全管理を変化させる可能性がある [2014-09-09] |
PARADIGM-HF: Investigational heart failure drug could be poised to change the management of heart failure |
レニン−アンジオテンシン系内およびそれを超えた作用を有する新たに開発された薬剤を内服した慢性心不全(HF)の患者は、HFによる入院および心血管系の原因による死亡数が少ないことが示唆されたとの第3相試験の結果が2014年European Society of Cardiology Congressホットラインセッションで発表され、同時にNew England Journal of Medicineに掲載された。この新たな薬剤はLCZ696として知られるアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬である。PARADIGM-HFトライアルではクラスII〜IVで左室駆出率40%以下の心不全患者8,399人をランダム化し、推奨治療法に加えLCZ696 200mgを1日2回(4,187人)またはエナラプリル10mgを1日2回(4,212人)内服する群のいずれかに割り付けた。トライアルが早期終了された時点(追跡期間中央値27か月)での心血管疾患による死亡または心不全による入院(一次複合アウトカム)は、LCZ696群の21.8%およびエナラプリル群の26.5%に発現した(p=0.0000002)。エナラプリルと比較し、LCZ696は心血管系の死亡リスクを20%(13.3%対16.5%;p<0.0001)低下させ、心不全による入院のリスクを21%(12.8%対15.6%;p<0.0001)低下させた。これらの結果は今後の慢性心不全治療を変えるであろう、と筆者らは述べている。 |
 |
◆ |
RELAX-AHF:静注薬が入院後5日以内の心不全増悪発現率を低下させる [2014-09-09] |
RELAX-AHF: Intravenous drug reduces incidents of worsening heart failure during first 5 days of hospitalization |
Serelaxinは急性心不全で入院した患者の院内心不全増悪をほぼ半減させるとの研究結果が2014年European Society of Cardiology Congressホットラインセッションで発表された。RELAX-AHFは、急性心不全で入院した患者1,161人に静注薬serelaxinの48時間投与を行い臨床上の予後を評価したランダム化二重盲検コントロールトライアルであった。Serelaxinによる初期徴候や心不全症状の改善および死亡率低下は既にRELAX-AHFトライアルで報告されている。今回の解析では、serelaxin群とプラセボ群における入院後5日以内の心不全増悪発現を比較した。その結果、入院後5日以内に心不全増悪エピソードを発現したのは標準治療群患者の12.2%であったのに対し、serelaxin治療群では6.7%であった。心不全増悪エピソード再発もまたserelaxinにより減少し、結果として心不全増悪または死亡イベントはプラセボ群で計87件であったのに対し、serelaxin治療群では43件であった。 |
 |
◆ |
CvLPRIT:血行再建術の際の責任病変を超えた治療により心筋梗塞後の予後が改善する [2014-09-09] |
CvLPRIT: Moving beyond the culprit lesion during revascularization improves outcome following myocardial infarction |
心筋梗塞(MI)の治療を受けている患者に、有意狭窄全ての完全血行再建を行うことにより梗塞の原因となる"責任病変"のみの血行再建を行うよりも予後が改善する、との新たなスタディ結果が2014年European Society of Cardiology Congressホットラインセッションで発表された。CvLPRITにはインターベンションを行っているUK循環器センターを受診したMI患者296人が組み入れられた。PCI治療前に患者は、梗塞の責任冠動脈(IRA)のみにインターベンションを施行される群(146人)またはIRAに加え有意狭窄が認められた非IRAの両者に完全に血行再建術を施行する群(150人)にランダムに割り付けられた。総死亡、MI再発、心不全および虚血により血行再建術を必要としたことからなる主要な心イベント(MACE)の複合エンドポイントに基づくと、1年後の予後は完全血行再建術群においてIRAのみに血行再建術を施行された患者群よりも有意に良好であった。MACEはIRAのみの群の21.2%に発現したのに対し、完全血行再建術群では10.0%であった(p=0.009)。この差は早期に出現した(30日後でp=0.055)。施術時間と造影剤使用量は完全血行再建術群で有意に大であったにもかかわらず、完全血行再建術群の患者において脳卒中、重大な出血または造影剤による腎不全が増加することはなかった。 |
 |
◆ |
MORE CRT:心臓再同期療法において4極リードは2極リードよりも優れている [2014-09-09] |
MORE CRT: Quadripolar lead better than bipolar option in cardiac resynchronization therapy |
心臓再同期療法(CRT)の際の2極リードの代わりに4極左室(LV)リードを用いることにより、6か月後の合併症を減少させる可能性があるとの予備的なホットラインセッションの結果が2014年European Society of Cardiology Congressで発表された。MORE-CRTスタディには、13か国63施設のCRT予定の心不全患者1,068人が組み入れられた。患者(68歳前後)は1:2の比率で2極リード(コントロール;348人)または4極リード(720人)を用いてCRTを施行される群にランダムに割り付けられた。6か月後に、4極リードを用いられた患者は2極リードを用いられた患者と比較し、術中および術後LVリード関連合併症から成る複合エンドポイントが生じない確率が有意に高く(85.97%対76.86%、p=0.0001)、40.8%の相対的リスク軽減(RRR)が認められた。この有益性は主に、4極リード群において術中合併症が50%以上減少した(5.98%対13.73%、p<0.0001、RRR 56.4%)ことによるものであった。4極リード群ではまた、術後合併症も少なかったが、この差は統計学的に有意ではなかった。4極リードは一般的なペーシング合併症を有効に管理する選択肢を増やし、したがってCRTの能力を改善する、と筆者らは結論付けている。 |
 |
◆ |
SEPTAL CRT:心臓再同期療法のリード位置として中部中隔は安全である [2014-09-09] |
SEPTAL CRT: Mid-septal location is safe for lead position in cardiac resynchronization therapy |
心臓再同期療法(CRT)を施行される心不全患者において、右室(RV)リードの中部中隔への留置は従来の心尖部への留置と比較し予後が同等である、との研究結果が2014年European Society of Cardiology Congressホットラインセッションで発表された。SEPTAL-CRTスタディは、25のヨーロッパの施設で施行された、前向き、多施設、ランダム化トライアルである。研究者らはCRT患者263人(平均年齢63.4歳)を、RVリードを従来の心尖部に留置する群(132人)、または中部中隔に留置する群(131人)にランダムに割り付けた。左室リードは従来通り冠静脈洞に留置した。このスタディの主な目的は、左室収縮末期容積(LVESV)変化に関してRVリードの中隔留置が心尖部留置に劣らないことを示すことであった。6か月後の追跡時点でベースラインからのLVESV減少は中隔群と心尖部群とで同等であった(それぞれ-25対-29 mL;p=0.79)。臨床上の予後も両群間で差がなかった。RVリードの中部中隔留置では挿入の成功率および合併症率も従来の留置部位の場合と同等であった。 |
 |
◆ |
BIOSCIENCE:超薄型の構造と生分解性素材を組み合わせた治験用冠動脈ステント [2014-09-09] |
BIOSCIENCE: Experimental coronary stent combines ultrathin structure with biodegradable material |
生分解性成分と超薄型スキャ フォールドを組み合わせた新世代の冠動脈ステントは、現在のゴールドスタンダードと比較し有望であることが示された、とのスタディ結果が2014年European Society of Cardiology Congressホットラインセッションで発表され、同時にLancetに掲載された。現在の薬剤溶出ステントは非生分解性ポリマーでコーティングされており厚いステンレススチールストラットを有しており、この特徴と合併症率の高さが関連している。これとは対照的に、今回の治験用ステントは生分解性ポリマーと"超薄型"コバルト-クロムストラット(現在使用できるもので最も薄い)が組み合わされている。このトライアルの対象者は冠動脈疾患を有し、PCI時に治験用ステント(1,063人)または標準ステント(1,056人)を使用する群にランダムに割り付けられた。一次エンドポイントである標的病変不全は、12か月間の心臓死、標的血管領域の心筋梗塞、および臨床的に標的病変の血行再建術が必要とされたものの合計であった。トライアルは非劣性を示すようにデザインされており、それは示された(一次エンドポイントは治験群で6.5%に対し標準ステント群で6.6%)。しかし、心筋梗塞(MI)で来院した患者のサブグループにおいて、治験用ステント群は優性を示し、一次エンドポイントは3.3%しか認めなかったのに対し、標準ステント群では8.7%であった(p=0.024)。この顕著なMI患者サブグループにおける有益性に関しては、さらなる研究が必要である。 |
 |
◆ |
COPPS-2: 心臓手術による合併症軽減に対するコルヒチンの効果は様々である [2014-09-02] |
COPPS-2: Colchicine shows mixed results in reducing complications from cardiac surgery |
心臓手術の術前および術後の経口コルヒチン(通常、痛風に用いられる植物ベースの薬物)投与による合併症軽減に対する効果は様々であるが、消化器系有害事象のリスクは上昇させる。COPPS-2(COlchicine for Prevention of the Post-pericardiotomy Syndrome and Post-operative Atrial Fibrillation)トライアルの結果が、2014年European Society of Cardiology Congressホットラインセッションで発表され、同時にJAMAオンライン版に掲載された。このランダム化トライアルは、イタリアの11施設の心臓手術患者360人を組み入れ、プラセボ(180人)またはコルヒチン(180人)を術前48〜72時間に開始し、術後1か月間継続する群に割り付けた。スタディの一次計測アウトカムである3か月以内の心膜切開後症候群は、コルヒチン群の35人(19.4%)およびプラセボ群の53人(29.4%)に発現した。術後AF(コルヒチン33.9%;プラセボ41.7%)および術後心嚢液/胸水(コルヒチン57.2%;プラセボ58.9%)に関しては、コルヒチン群とプラセボ群とで有意差はなかった。コルヒチン群患者の約20%が、主に消化器系の忍容性が原因でコルヒチン内服を中断した。コルヒチンはよく吟味された患者において検討すべきである、と筆者らは提言している。 |
 |
◆ |
SOLID-TIMI 52: 心筋梗塞後の炎症性酵素阻害はその後のイベントリスクを低下させない [2014-09-02] |
SOLID-TIMI 52: Inhibiting inflammatory enzyme after myocardial infarction does not reduce risk of subsequent event |
炎症性酵素リポ蛋白質関連ホスホリパーゼA2を阻害するdarapladibの使用は急性冠症候群(ACS)イベントを来した患者の主要な冠動脈イベント再発のリスクを軽減しなかった。SOLID-TIMI 52(Stabilization Of pLaques usIng Darapladib-Thrombolysis in Myocardial Infarction 52)トライアルの主要結果が2014年European Society of Cardiology Congressホットラインセッションで発表され、同時にJAMAオンライン版に掲載された。研究者らはACSで入院後30日以内の患者13,026人を、ガイドライン推奨治療に加え1日1回のdarapladibまたはプラセボ投与を行う群のいずれかにランダムに割り付けた。追跡期間終了時に、スタディの一次エンドポイントである主要な冠動脈イベント(冠動脈疾患死、心臓発作、または心筋虚血に対する緊急冠血行再建術の合計)は、darapladib群患者6,504人中903人、およびプラセボ群6,522人中910人(3年後の時点で16.3%対15.6%、p=0.93)に発現した。心血管死、心筋梗塞、または脳卒中はdarapladib群824人に対し、プラセボ治療群838人(3年後の時点で15.0%対15.0%、p=0.78)に発現した。一次エンドポイントまたは総死亡の個々の要素におけるイベント発現率および発現数は治療群間で有意差はなかった。 |
 |