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標準体重、肥満いずれの高齢女性もより多く運動をすることにより生命を脅かす不整脈のリスクを軽減することができる [2014-08-26] |
Both normal weight and obese older women can reduce risk of life-threatening arrhythmias by doing more physical activity |
運動の量や強度を増加することにより、高齢女性の生命を脅かす不整脈発症の確率を低下させることが可能であるとの新たな研究結果がJournal of the American Heart Association (JAHA)に掲載された。閉経後女性81,000人超(50〜79歳)が1日に外を10分以上歩く頻度、または汗をかくほどの十分な運動を行う頻度を質問された。11年後に、最も身体的に活動的である(1週間9MET時間以上費やす)女性は、肥満であったとしても、1週間に外を10分以上歩くのが1度もない女性よりも心房細動(AF)発症リスクが10%低かった。(9MET時間は、早歩き30分を週6日またはゆっくりとした速度での自転車乗り1時間を週2回にほぼ相当。)中等度の身体活動度の女性(週3MET時間未満)はAF発症リスクが少なくとも6%低かった。週15MET時間以上の活発な運動をする女性はAF発症リスクが9%低かった。 |
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心移植後の長期予後に対して高負荷運動は中等度の運動よりも有益である [2014-08-26] |
High-intensity better than moderate-intensity exercise for long-term heart transplant recipients |
高負荷運動は中等度の運動よりも、安定した心移植後患者がより高レベルの運動耐容能に到達し血圧コントロールをより改善する手助けとなり得る、とAmerican Journal of Transplantationに報告された。研究者らは、新しい心臓を移植された人々にとって高負荷インターバルトレーニングが有益であるのか、または現在推奨されている中等度の運動を行うべきなのかを調査した。研究チームは、心移植後1年以上経過した安定した患者16人において、12週間の高負荷インターバルトレーニングを行うかまたは中等度の運動を継続した場合の効果を比較した。その結果、心移植後患者において高負荷トレーニングは安全であり運動耐容能および血圧コントロールに対する効果は中等度トレーニングよりも優れていることが示された。VO2max、つまり最大酸素摂取量は高負荷トレーニングを行った患者において17%増加したのに対し、中等度トレーニングを継続した患者では10%であった。収縮期血圧は高負荷トレーニング患者で有意に低下し、一方中等度運動群では不変であった。最大心拍数もまた高負荷運動群で増加したが、中等度運動群では増加しなかった。心拍数回復は両群ともに改善した。 |
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高齢者における記憶力および認知機能低下は脳卒中のリスクを上昇させる可能性がある [2014-08-19] |
Declining memory and cognitive ability may increase the risk of stroke in older adults |
記憶力や注意力などの認知機能は脳卒中後に重要なだけではなく脳卒中発症前にも重要であるとの研究結果がStrokeに掲載された。研究者らは65歳超の成人7,217人(アフリカ系米国人61%および女性59%)の認知機能のデータを解析した。研究者らは対象者に、脳卒中発症前後の短期及び長期記憶、注意力、認識および他の精神機能などの認知機能を評価する4つの検査を3年毎に行った。脳卒中発症前の認知機能検査スコアが低い者は、脳卒中を発症する確率が61%高かった。脳卒中後の認知機能低下速度は脳卒中前の約2倍速かった。脳卒中と認知機能低下を合併すると死亡リスクが上昇した。また、認知機能低下と死亡との強力な関連も認められた。脳卒中既往を有する参加者は4つの検査全てにおいてベースラインの認知機能スコアが低く、追跡期間中に78%が死亡した。先行研究から、心血管系の健康状態が不良であると記憶力や学習の問題などの認知機能障害のリスクが増大することが示されている。しかし、認知機能障害が心血管系の健康、特に脳卒中に影響を与えるとの逆の考えはこれまでに確立されていなかった。 |
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心房細動に対する除細動の遅れは血栓塞栓性合併症リスクの上昇と関連する [2014-08-19] |
Delay in cardioversion for atrial fibrillation associated with increased risk of thromboembolic complications |
心房細動(AF)による異常心調律の正常化までに12時間以上経過することは脳卒中などの血栓塞栓症合併症のリスク増大と関連する、とのスタディ結果がJAMAに掲載された。研究者らはAF発症後48時間以内に救急治療室で除細動に成功した患者を対象とするスタディを施行した。一次アウトカムである血栓塞栓イベントは、除細動後30日以内の臨床的な脳卒中または全身性塞栓症と定義された。施術は除細動までの時間に基づき、12時間未満(グループ1)、12時間以上24時間未満(グループ2)、および24時間以上48時間未満(グループ3)に分けられた。急性AF患者2,481人において5,116件の除細動が抗凝固薬不使用で施行され成功した。38人(0.7%)において38件の血栓塞栓イベントが発現した;31件は脳卒中であった。血栓塞栓症合併症の発症率はグループ1では0.3%であったものがグループ3では1.1%に上昇した。解析において、除細動までの時間が12時間超であることは血栓塞栓合併症の独立した予測因子であった。 |
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検出間隔の長いICDを用いることにより初回入院までの期間が延長し医療費が削減される [2014-08-11] |
Using long-detection interval of ICDs associated with increase in the time to first hospitalization and reduced costs |
心室性不整脈検出間隔を長く設定された植え込み型除細動器(ICD)を使用することにより、標準的な間隔の設定と比較し、初回入院までの期間が延長し入院率、入院期間(LOS)および医療費が削減されるとのスタディ結果がJAMAに掲載された。研究者らは、初回ICD植え込み後患者1,902人が長い検出間隔群(948人;不整脈を検出する間隔数は30/40とプログラムされた)または標準間隔群(954人;18/24間隔)にランダムに割り付けられたADVANCE IIIスタディのデータを解析した。12か月間の経過観察期間中に、546人の患者が合計865回の入院(標準間隔群302人において473回および長い検出間隔群244人において392回)を報告した。長い検出間隔群は初回の全ての入院および心血管系疾患による入院までの時間が長いことおよび総入院率とLOSの減少と関連し、死亡率に差はなかった。心血管系疾患による入院率およびLOSにおいても同様の結果が認められた。長い検出間隔群では標準間隔群と比較し、全ての入院に関して患者年当たり平均$299および心血管系の入院に関して患者年当たり平均$329削減された。 |
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持久力のあるランナーは長距離レース中にもかかわらず心イベントよりも熱中症で死亡する確率が高い [2014-08-11] |
Endurance runners more likely to die of heat stroke than cardiac event during long-distance races |
温暖な気候下での耐久レース中のランナーにとって、熱中症は心イベントよりも10倍生命を脅かすとのスタディ結果がJournal of the American College of Cardiologyに掲載された。10km(6.2マイル)超のまたは耐久レース人口が増加しているため、研究者らは、耐久レース中の生命を脅かすイベント(人工呼吸器を要するイベントおよび集中治療室への入院)のうちどれぐらいが熱中症によるものかを、心イベントと比較し調査した。2007年3月から2013年11月までにテル・アビブで行われた14の一般向け長距離レースにおける総死亡および緊急入院のデータをレビューした。全体で、137,580人のランナーが調査された。この期間中に報告された重篤な心イベントはわずか2件であり、致死的であるものまたは生命を脅かすものはなかった。対照的に、同じ期間中に重篤な熱中症は21件あり、うち2件は死亡し12件は生命を脅かすものであった。前年にECG検査を受けたと報告したのはわずか35%であり、また過去5年以内にECG検査を受けたと述べた者は46%であったことから、心イベントが低かったのはリスクのあるランナーをレース前に除外したためである可能性は低かった。 |
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糖尿病患者において減塩食が心血管疾患リスクを軽減することがエビデンスにより支持される [2014-08-05] |
Evidence supports low sodium diet to reduce risk of cardiovascular disease in people with diabetes |
高塩分食を摂取する2型糖尿病患者は、塩分摂取が少ない者よりも心血管疾患発症リスクが2倍であるとの新たなスタディ結果がJournal of Clinical Endocrinology & Metabolism印刷版に先立ちオンライン版に掲載された。このスタディは、Japan Diabetes Complications Studyにおいて糖尿病と診断されていた40〜70歳の参加者を調査した。参加者は、日本全国の59の外来診療所および大学病院で選定された。全体で、1,588人が塩分摂取を含む食事の調査に答えた。研究者らは、8年の経過中に参加者が経験した心血管系合併症のデータを解析した。彼らは参加者を塩分摂取量に基づき4群に分類した。解析の結果、1日平均5.9gのナトリウムを摂取する者は、1日の平均摂取量が2.8gの者よりも、心血管系疾患を発症するリスクが2倍であることが示された。この高塩分食の影響は血糖コントロールが不良であると増大した。2型糖尿病の人々は心血管系合併症を予防するために血糖コントロールを改善し塩分を制限すべきである、と筆者らは述べている。 |
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極端な温度変化は、特に高齢者において、心血管死のリスクを上昇させる [2014-08-05] |
Extreme changes in temperature increase risk for cardiovascular death, especially in elderly |
Heart誌に掲載された新たな疫学研究から、気温が極端に高いかまたは低いと心不全や脳卒中による死亡数が有意に増加することを示した過去のエビデンスが確認された。研究者らはバイエルンの3つの都市における1990〜2006年の心血管疾患による死亡約188,000例を評価した。気温が20度から25度に上昇、または-1度から-8度に低下すると、心血管疾患死はそれぞれ9.5%および7.9%有意に上昇した。高温による影響は1日または2日であるのに対し、低温による影響は最長2週間持続した。高齢者が最も影響を受けやすかった。心不全、不整脈および脳卒中による死亡率に対する影響は特に顕著であった。しかしこれらの死亡を引き起こすメカニズムは、まだ十分には解明されていない。これまでに、特に高温は止血に影響し血液をより粘性に、その結果血栓リスクを上昇させることが知られている。さらに、気温低下は血圧に影響するため、低温と心血管イベントおよび脳卒中増加との関連が考えられている。 |
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