2014
若年女性においてうつ病はMIおよび死亡の高リスクに関連する
男性において加工赤身肉は心不全リスクを上昇させる
胸部CTは心血管疾患リスク予測に役立つ

6月10日、17日のDOL NewsはASCO特集のため、Cardiologyニュースは
お休みさせていただきました。

若年および中年女性は特に心血管リスクファクターとしてのうつ病になりやすい可能性がある [2014-06-24]
Younger and middle aged women may be especially vulnerable to depression as a cardiovascular risk factor

55歳以下の女性は中等度以上のうつを有していると心筋梗塞(MI)、心疾患死または冠動脈再灌流療法を要する確率が高くなるとの研究結果がJournal of the American Heart Associationに掲載された。研究者らは既知の心疾患を有しているかまたは心疾患が疑われ冠動脈血管造影を予定されている3,237人(女性34%、平均年齢62.5歳)のうつ症状を評価した。3年近い追跡期間の後、55歳以下の女性においては心疾患リスクファクターで補正後に、うつ症状が1ポイント増加するごとに心疾患を有する確率が7%上昇した。55歳以下の女性では中等度以上のうつを有しているとMI発症、心疾患死または冠動脈再灌流療法を要する確率が2.17倍高かった。55歳以下の女性においては中等度以上のうつを有していると、全死亡率が2.45倍上昇した。男性や高齢女性ではうつ病の症状は心疾患を有することの予測因子ではなかった。

男性において中等度以上の加工赤身肉摂取は心不全および心不全死のリスクを上昇させるようである [2014-06-24]
Eating moderate amounts of processed red meat appears to increase risk of heart failure and death from heart failure in men

コールドカット(ハム/サラミ)やソーセージなどの加工赤身肉を中等量摂取する男性は心不全発症および心不全死リスクが上昇する可能性があるとのスタディ結果がCirculation: Heart Failure に掲載された。加工赤身肉を無加工の赤身肉と区別して評価した初めてのスウェーデン男性のコホートスタディでは、心不全、虚血性心疾患またはがんの既往のない45〜79歳の男性37,035人を対象とした。約12年間の追跡後、2,891人が心不全と診断され266人が心不全で死亡した。複数の生活習慣変数で補正した結果、加工赤身肉を最も多く摂取した男性(1日75g以上)は摂取量が最も少ない男性(1日25g以下)よりも心不全リスクが28%高かった。加工肉摂取量が最も多かった男性は最も少ない群の男性よりも心不全による死亡リスクが2倍であった。加工肉の1日摂取量が50g(ハム1〜2切れ)増加するごとに、心不全発症リスクは8%上昇し、心不全による死亡リスクは38%上昇した。

胸部CT情報は心血管系リスクスクリーニングにおいて標準的な臨床戦略を補足する可能性がある [2014-06-03]
Chest CT information may complement standard clinical strategies in cardiovascular risk screening

胸部コンピュータ断層撮影(CT)で偶発的に発見された所見は将来の心発作や他の心血管イベントリスクを有する者を検出するのに役立つ可能性がある、との新たなスタディ結果がRadiology オンライン版に掲載された。研究者らは、胸部CTで偶発的に発見された所見の、心血管疾患高リスク患者検出に対する貢献度をより正確に評価する画像診断を基にした予測モデルの開発および検証を開始した。このレトロスペクティブスタディは、心血管疾患以外の目的で診断的胸部CTを施行された患者10,410人のデータを観察した。経過観察期間中央値3.7年間の間に、1,148件の心血管イベントがこれらの患者において発現した。これらの患者および残りの患者からランダムに抽出した10%の患者のCT画像が、様々な心血管所見について視覚的に段階評価された。最終の予測モデルには年齢、性別、CT適応、左前下行枝石灰化、僧帽弁石灰化、下行大動脈石灰化および心臓径が含まれた。このモデルにより、個々の患者が臨床的に適切なリスク分類に正確に割り振られることが示された。この結果から、放射線画像情報は心血管系リスクスクリーニングにおける標準的な臨床戦略を補足する可能性があり、適応患者の診断および治療を改善する可能性のあることが示された。