在宅ベースのウォーキングプログラムは末梢動脈疾患の症状を緩和する [2014-05-27]
Home-based walking program eases symptoms of peripheral artery disease

在宅ベースの運動プログラムは末梢動脈疾患(PAD)患者がより長くより速く歩くのに役立つとの新たな研究結果がJournal of the American Heart Associationに掲載された。このプログラムは12か月後でも有益であった。スタディでは、在宅におけるウォーキングを奨励する6か月間のプログラム終了後1年間の患者およびコントロールの歩行能力を比較した。在宅プログラムでは患者は週5日以上、計50分のウォーキングを心がけるように指導された。足が痛いときには歩行を中止し、回復したら再度歩行を開始した。12か月後に、在宅ベースプログラムの参加者は6分間歩行距離が355.4mから381.9mに増加し、87フィートの改善を認めた。一方、コントロール群の歩行距離は353.1mから345.6mにやや減少した。これまでに、監視下の運動は歩行を改善しPAD症状を軽減し得ることがスタディで示されているが、今回のスタディは在宅ベースのウォーキングプログラムの長期有益性を証明した初めてのものである。たとえ患者が監視下運動プログラムへの参加ができなくても医師はウォーキングを推奨すべきである、と筆者らは述べている。

オンラインゲームを行った医師の患者は血圧コントロールが良好であった [2014-05-27]
Patients of doctors who played online game had better control of blood pressure

高血圧管理に関する臨床例を治療するオンラインゲームを行ったプライマリケア医はゲームをしなかった医師と比べ、短期間で患者の血圧コントロールを改善したとの研究結果がCirculation: Cardiovascular Quality and Outcomesに掲載された。このランダム化トライアルは111人のプライマリケア医を、オンラインゲームで血圧降下に関する教育を受ける群(48人)または静止画面のオンライン表示で同様の内容の教育を受ける群(47人)にランダムに割り付けた。このオンラインゲームは空間教育、すなわち情報が間隔を空けて示されたり強調されたりすることで知識保持が増強するという学習概念を利用したものであった。教育内容は32の妥当と確認された臨床例からなり、その後に多肢選択問題と高血圧管理に関する説明がなされた。14,336人の患者の17,866高血圧期間に関する多変量解析において、ゲームを行った医師の患者は血圧が標的レベル(<140/90mmHg)に142日で達したのに対し、オンライン表示を読んだだけの医師の患者では148日であった。ゲームに参加した医師4人当たり、標的血圧を達成した患者が約10人多かった。

SIMPLEトライアルの結果は除細動器植え込み時の除細動検査が必要か否かの論議を終了させるのに役立つ [2014-05-20]
Results of SIMPLE trial help end debate on whether or not defibrillator testing should be required at time of implantation

この種で初めてのランダム化トライアルの結果、ICD植え込み時の除細動検査(DT)は安全ではあるが臨床上の電気ショックの有効性を改善したり死亡を防いだりすることにはつながらない、と第35回Heart Rhythm年次集会Heart Rhythm 2014のLate Breaking Clinical Trial sessionで発表された。Shockless Implant Evaluation(SIMPLE)トライアルにおいて、初回ICD植え込みを施行された患者が植え込み時にDTを行う群または行わない群にランダムに割り付けられた。プロトコールでは、17Jでの少なくとも1回の心室細動停止または21Jでの2回の心室細動停止を必要とし、クライテリアに合致しない場合にはシステム修正を行った。18か国において2,500人の患者が2つの治療法群にランダムに割り付けされ、平均3.1年追跡された。このスタディの主な結果は、主要評価項目としての、DTを行わないICD植え込みはDTを行うICD植え込みに対し非劣性であることであり、そのp値は0.001未満であった。30日間の安全性評価項目および総死亡もまた両群の患者群で同率であった。これらの結果により医師の診療は変わるべきであり、患者の予後を悪化させずに医療費の軽減に役立つであろう、と筆者らは述べている。

ペースメーカーおよび除細動器植え込み後の遠隔監視へのアドヒアランス良好な患者は生存率が2倍高い [2014-05-20]
Pacemaker and defibrillator patients adhering to remote monitoring doubled their survival rate

ペースメーカーまたは除細動器を植え込まれた患者に関する研究の結果、遠隔監視へのアドヒアランスが高いと遠隔監視をされていない患者よりも生存確率が2倍以上であることが示されたとのLate Breaking Clinical Trialの結果がHeart Rhythm 2014で発表された。生存率は、デバイスの型に関係なく遠隔監視実行率が最も高い者において良好であった。ペースメーカー(112,692人)、心臓再同期ペースメーカー(7,704人)、ICD(82,621人)またはCRT-D(59,547人)デバイスを埋め込まれた患者260,000人余りが遠隔監視調査に組み入れられた。それぞれのデバイスタイプに関して、遠隔監視サービス頻度が高い、低いまたはサービスなしの患者それぞれに関して生存率がプロスペクティブに比較された。遠隔監視サービスへのアドヒアランスが高い患者―毎週のデータ送信が時間で換算して75%以上送信されたことで計測―では遠隔監視サービスを利用しなかった患者よりも死亡確率が58%低く、遠隔監視サービスへのアドヒアランスが低い患者よりも35%低かった。地理的ばらつきはあったが、社会経済的要因は遠隔監視システム使用とは関連がなかった。今回認められた正の相関は、個々の患者ケアおよび最良の診療に関して重要な意味をもっており、さらなる調査が必要である。

活動性の高い高齢者は身体活動度を上昇させることにより心筋梗塞リスクが低下する [2014-05-13]
Active seniors can lower risk of myocardial infarction by increasing the level of physical activity

65歳以降に身体活動性を維持するかまたは増加することにより心拍変動が改善し心筋梗塞リスクが低下し得るとのスタディ結果がCirculationに掲載された。研究者らは、65歳以上の人々における心疾患リスクファクターに関する大規模スタディである、地域住民ベースのCardiovascular Health Studyに参加した成人985人(ベースライン時平均年齢71歳)の24時間心モニター記録を評価した。その結果、より多くそして速く歩き身体的に活動性の高い余暇時間を有する人々は、活動性の低い人々よりも不整脈が少なく心拍変動が大きかった。スタディ期間の5年間に歩行距離または速度を増加させた参加者は、歩行距離や速度を減少させた者よりも心拍変動が良好であった。また、身体活動により引き起こされるある一定の有益な変化は身体活動度が低下すると減少する可能性があることも示唆された。研究者らは、身体活動性が最大の場合と最小の場合との差から心筋梗塞および心臓突然死のリスクが11%低下するであろうと推測している。

新生児の先天性奇形のリスクは大量喫煙をする高齢女性において最大である [2014-05-13]
Risk for congenital anomalies in babies greatest in older women who smoke and heavy smokers

妊娠中に喫煙をする女性は生まれてくる子供を先天性心奇形のリスクにさらしている可能性があり、喫煙本数が多いほどリスクが上昇するとのスタディ結果がPediatric Academic Societies(PAS)年次集会で発表された。病院の退院記録を用いて研究者らは、様々な心奇形を有する小児14,128人を同定し、これらと同年に出生した心奇形を有さない小児62,274人とをマッチさせた。心奇形を有する小児は喫煙する母親から生まれた確率が高く、またこのリスクは喫煙が最大である母親において最も高かった。35歳以上の女性はそれより若年の女性より妊娠中の喫煙率が低かったが、喫煙をしていると高齢女性は心奇形の子供を出産するリスクが高かった。母親が喫煙をしていた新生児は肺動脈弁および肺動脈の異常リスクが50〜70%高く、心房中隔欠損症のリスクが20%高かった。母親が妊娠第1期に喫煙していると全ての心奇形リスクが1〜2%になると研究者らは推測している。

無症状の頸動脈狭窄は記憶能および思考能力低下の徴候である可能性がある [2014-05-07]
Narrowing of the carotid artery without warning may signal memory and thinking decline

無症候の頸動脈狭窄を有する人々は同等のリスクファクターを有するが頸動脈狭窄を有さない人々と比較し、学習、記憶、思考および意思決定の問題と関連する可能性があることが初めて示された、と第66回American Academy of Neurology学会で発表された。スタディには、頸動脈径が50%以上減少している無症候性頸動脈狭窄(ACS)を有する67人、および血管リスクファクターは有するが頸動脈狭窄は有さない60人が組み入れられた。リスクファクターは糖尿病、高血圧、高コレステロール値および冠動脈疾患であった。参加者らは全般的な思考能力に関する広範な検査、および処理速度、学習、記憶、意思決定および言語などの特定の思考面に関する検査を受けた。ACS群は記憶および思考テスト全般において有意に成績が不良であった。特定の思考面の検査においては、ACS群は運動および処理速度、および学習や記憶の検査成績が不良であった。言語の点数は両群間で差がなかった。これらの結果がより大規模なスタディにおいて確認されれば、薬物治療、認知リハビリテーション、血管の狭窄解除などの積極的治療の新たな治療標的としての意味合いを有するであろう、と筆者らは述べている。

ディスパッチャー指令補助によるCPRを受ける小児は生存率および脳機能が良好である [2014-05-07]
Children who receive CPR assisted by dispatcher instruction have better survival and brain function

院外で心停止した小児は、CPRに際しバイスタンダーがディスパッチャー指令を受けた場合、生存率および脳機能がより良好である確率が高いとの日本のスタディがJournal of the American Heart Associationに掲載された。3年間にわたり施行された前向き地域住民ベースのスタディにおいて研究者らはCPRを施行された小児(幼児から18歳まで)5,009人を解析した。小児らは3群(ディスパッチャー指令を用いたバイスタンダーのCPRを施行された2,019人;ディスパッチャー指令を用いないバイスタンダーのCPRを施行された703人;バイスタンダーによるCPRを施行されなかった2,287人)に分類された。ディスパッチャー指令を用いたCPRにより生存率は8%から12%に上昇し、有意な差であった。また、1か月後の神経学的予後が良好である割合は、バイスタンダーによりCPRを施行されない場合と比較し増加した:ディスパッチャー指令を用いたCPRにおいて81%であり(有意差あり)、ディスパッチャー指令を用いないバイスタンダーによるCPRにおいて68%であった。またスタディの結果、小児においては心臓マッサージのみよりも従来のCPRの方が好ましいことも確認された。