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若年成人および中年成人においてマリファナの使用は心臓の合併症を増加させる可能性がある [2014-04-28] |
Marijuana use may increase heart complications in young and middle-aged adults |
若年および中年成人においてマリファナの使用は心血管系合併症を引き起こす可能性があり、死亡すらあり得るとのスタディ結果がJournal of the American Heart Associationに掲載された。研究者らは、French Addictovigilance Networkに報告されたマリファナ使用後の重篤な心血管系合併症を解析した。彼らは心血管および心臓、脳、四肢の血管疾患35症例を同定した。多くは男性であり、平均年齢は34.3歳であった。マリファナ関連合併症の約2%(1,979人中35人)が心血管系合併症であった。35症例中、22症例は20件の心筋梗塞を含む心臓関連であり、10件は末梢血管、3件は脳血管に関連するものであった。報告された心血管合併症の割合は、2006年から2010年にかけて3倍以上になった。9人、つまり25.6%の患者が死亡した。マリファナ使用とそれによる何らかの健康被害に関しては過小報告されている、と筆者らは指摘している。既存の心血管系疾患を有する人々はマリファナの有害作用をより受けやすいようである。 |
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冠動脈造影CTを用いた動脈プラークの評価は糖尿病管理において特に有用である [2014-04-28] |
Using coronary computed tomography angiography to assess arterial plaque is especially helpful when managing diabetics |
コンピュータ断層撮影(CT)造影を用いた冠動脈画像検査は動脈プラークの正確な評価をもたらし、心筋梗塞や他の心血管イベントの高リスク糖尿病患者の管理において劇的な効果をもたらし得るとの多施設研究がRadiology誌に掲載された。石灰化プラークは非石灰化プラーク、つまりソフトプラークよりも破裂しにくいとのエビデンスは多数存在する。血管内超音波検査は非石灰化および石灰化冠動脈プラークを定量化できるが、侵襲的でありスクリーニングには適さない。一般的な非侵襲的な方法としてのCTを用いた冠動脈カルシウムスコアリングには限界がある。冠動脈造影CT(CCTA)を用いたプラーク定量化が実行可能なスクリーニング法として登場してきた。研究者らは無症状の糖尿病患者224人においてCCTAを評価した。彼らは冠動脈壁体積および長さを計測し冠動脈プラーク体積インデクス(PVI)を判定した。この技術により冠動脈狭窄の有無以上の情報が提供された。PVIは年齢、男性、ボディーマスインデックスおよび糖尿病罹病期間と関連した。糖尿病罹病期間の短い若年患者は、ソフトプラークを有する割合が高かった。冠動脈プラークのうち石灰化を有していたのはわずか3分の1程度であり、非石灰化プラークが多く存在することが強調された。 |
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多くの心血管系リスクファクターを有する患者において歯周病は多く認められる [2014-04-22] |
Periodontal disease common in patients with numerous cardiovascular risk factors |
歯牙欠損や歯肉炎のような歯周病は心血管疾患のリスクマーカーである可能性があるとの大規模スタディの結果がEuropean Journal of Preventive Cardiologyに報告された。この報告は、CHDのリスクファクターを少なくともさらに1つ以上有する39か国の慢性冠動脈疾患患者15,828人を対象とした臨床研究である、STABILITYトライアルの自己報告の歯の健康に関する情報を要約したものである。その結果、全体の歯牙欠損有病率は高かった:16%が歯は全くないと報告し、41%は残数が15本未満であった。約4分の1(26%)の患者が歯を磨く際に歯茎から出血すると報告した。しかし、これらの結果は地域、国、および民族により異なり、歯牙欠損や歯茎出血は東ヨーロッパにおいて最も高率に認められた。全体で、約70%の参加者が現在喫煙しているか喫煙経験者であった。統計学的解析の結果、歯牙欠損有病率が高率であることは、空腹時高血糖、LDLコレステロール高値、収縮期血圧が高い、および腹囲が大きいことと有意に関連した。歯茎出血有病率が高いことはLDLコレステロール高値および収縮期血圧が高いことと有意に関連した。 |
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中等度から重度の閉塞性睡眠時無呼吸は脳卒中、がんおよび死亡リスク上昇と関連する [2014-04-22] |
Moderate to severe obstructive sleep apnea linked to increased risk of stroke, cancer and death |
中等度から重度の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は脳卒中、がんおよび死亡と独立して関連するとの新たなスタディ結果がJournal of Clinical Sleep Medicine 4月15日号に掲載された。このスタディは、オーストラリアで進行中のBusselton Health Studyに参加している成人397人を対象とした。中等度から重度のOSA有病率は4.6%であり、軽度のOSAは20.6%であった。20年間の追跡期間中に77人が死亡し、脳卒中31例および39例の致死性を含むがん125件が発症した。中等度から重度の閉塞性睡眠時無呼吸を有する人々は、死亡確率が4倍であり(ハザード比4.2)、脳卒中を発症する確率が4倍近く高く(HR=3.7)、がんで死亡する確率が3倍高く(HR=3.4)がんを発症する確率が2.5倍高かった。これらの結果は、ボディーマスインデックス、喫煙の有無、総コレステロールおよび血圧などの交絡因子で補正された。軽度の睡眠時無呼吸は健康上のリスク上昇とは関連しなかった。このスタディの結果は米国およびスペインで施行された先行研究の結果と一致している、と筆者らは述べている。 |
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HEAT-PCCI: MI後患者治療においてヘパリンを用いた方がbivalirudinを用いるよりも心血管系イベント再発が少ない [2014-04-15] |
HEAT-PCCI: Fewer repeat cardiovascular events with heparin than bivalirudin in treating patients after an MI |
心筋梗塞後、直接的経皮的冠動脈インターベンションを受けた患者における抗凝固薬の比較において、ヘパリンを用いた方がbivalirudinを用いたよりも28日間の重大な心血管系イベントが少なかったとの研究結果が、第63回American College of Cardiology学会で発表された。この単施設オープンラベルトライアルは、MIが疑われ冠動脈造影を施行された患者1,829人を組み入れた。患者は未分画ヘパリンまたはbivalirudinを投与される群にランダムに割り付けられた。患者は28日間追跡され、一次エンドポイント−総死亡、脳卒中、MI再発または予定外の再血行再建の合計−について調査された。データから、bivalirudinを内服している患者はこれらのアウトカム発現率が有意に高いことが示された(bivalirudin群8.7%対ヘパリン群5.7%)。2群間で最も差が大きかったのは、ステント血栓により発症したMI再発であった(bivalirudin群3.4%対ヘパリン群0.9%)。一次安全性アウトカムである重大な出血に関しては2群間で有意差はなかった(bivalirudin群3.5%対ヘパリン群3.1%)。 |
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LAPLACE-2:Evolocumabはスタチン単独療法時よりもさらにLDL-Cを良好に低下させ、この結果から2剤併用療法の有効性が示唆される [2014-04-15] |
LAPLACE-2: Evolocumab safely drops LDL cholesterol well below statin-only baseline suggesting efficacy of 2-drug approach |
モノクローナル抗体evolocumabはスタチンに追加することにより低密度リポ蛋白(LDL)コレステロールを極めて有意に低下させたとの第III相LAPLACE-2試験の結果が、第63回American College of Cardiology学会で発表された。Evolocumabは、PCSK9を阻害することにより肝臓による血液からのLDL除去能を上昇させる。1,899人の患者が、evolocumabまたはプラセボ、evolocumabとプラセボ、プラセボおよびエゼチミブ、またはプラセボのみの異なる用量およびスケジュールに割り付けられた。Evolocumab治療を受けた全グルーブにおいてプラセボと比較し極めて有意なLDLコレステロール低下を示した:evolocumab注射を2週間毎に施行する群で66〜75%、4週毎の群で63〜75%。LDLコレステロール<70mg/dLを達成したのは中等度強化スタチン群で86〜94%であり、高度強化群で93〜95%であった。エゼチミブは、中等度強化スタチン群でLDLコレステロールを17〜20%低下させ、高度強化群で51〜62%低下させた。Evolocumabを追加することにより、LDLコレステロールレベルが中等度強化スタチン群で39〜49mg/dLに低下し、高度強化群で33〜39mg/dLに低下した。 |
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GAUSS-2: スタチン不耐性の難治性患者に対しevolocumabはエゼチミブよりも有効である [2014-04-15] |
GAUSS-2: Evolocumab superior to ezetimibe for clinically challenging statin-intolerant patients |
低密度リポ蛋白コレステロール(LDL-C)を低下させるPCSK9阻害薬と呼ばれるある種の注射剤evolocumabは、スタチン内服不能患者において副作用がほとんどなくエゼチミブよりも有効であるとのGAUSS-2の結果が第63回American College of Cardiology学会で発表され、Journal of the American College of Cardiologyオンライン版に掲載された。GAUSS-2スタディでは、307人の患者(平均年齢62歳、女性46%)が2つのevolocumab療法群(140mgを2週間毎または420mgを月1回に加えプラセボを毎日内服)または2つのエゼチミブ療法群(プラセボ注射を2週間毎または月1回に加えエゼチミブ10mgを毎日内服)のいずれかにランダムに割り付けられた。LDL-Cのベースラインからの低下である一次エンドポイントは合致した:evolocumab治療群において第12週のLDL-Cのベースラインからの低下が53〜56%であったのに対し、エゼチミブ治療群では37〜39%。筋骨格系の副作用はevolocumab使用患者の12%において報告されたのに対し、エゼチミブでは23%であった。治療関連副作用がevolocumab群の8%、およびエゼチミブ群の13%に認められたため、治験薬は中止された。 |
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高リスク患者において薬剤溶出ステントはベアメタルステントよりも1年後の予後が良好であることが示された [2014-04-15] |
Drug-eluting stents demonstrate better outcomes after one year than bare metal stents in at-risk patients |
出血または血栓リスクが高いため薬剤溶出ステントの適応が不確かであると以前は思われた患者に、薬剤溶出ステント留置後に個別化した抗凝固療法を行った場合、薬剤溶出ステントを使用した方がベアメタルステントを使用した場合よりも1年後の心血管イベントリスクが低いとの研究結果が第63回American College of Cardiology学会で発表された。薬剤溶出ステントを使用された患者のうち計140人、つまり17.5%が1年以内に重大な心血管イベントを発現したのに対し、ベアメタルステントを留置された患者におけるその割合は178人、22.1%であった。薬剤溶出ステントを使用された患者はまた、心筋梗塞(2.9%対8.1%)および再血行再建施行(5.9%対10.7%)が少なかった。薬剤溶出ステント群患者においては、ステント周囲血栓発現率もまた低かった(2.0%対4.1%)。出血率は両群間に差は認めなかった。抗血栓療法施行期間が現在推奨されているよりも短かった患者において良好な結果が認められたことから、現在のガイドラインにおける薬剤溶出ステント留置後のより長期の抗血小板薬療法に対し疑問が投げかけられる可能性があり、より個別化した方策の必要性が示されていると筆者らは述べている。 |
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ビタミンDレベル低下は冠動脈疾患の範囲および重症度の予測因子となる [2014-04-15] |
Lower levels of vitamin D predict extent and severity of coronary artery disease |
ビタミンDレベルが低いことと冠動脈疾患を有する確率および重症度が高いこととに関連があることから、ビタミンD欠乏は心疾患の独立した危険因子であるとの研究結果が第63回American College of Cardiology学会で発表された。ビタミンDレベルと冠動脈疾患との関連を評価したこの種で最大のこのスタディにおいて、研究者らは1,484人の患者においてビタミンDレベルを評価した。冠動脈造影を施行される患者の70.4%においてビタミンD欠乏(20ng/mL)が認められた。ビタミンDレベルが最低の患者群では冠動脈疾患夕病率が32%高く、多枝病変を有する重症冠動脈疾患の頻度が20%近く高く、ビタミンD欠乏と冠動脈疾患有病率が高いことに関連が認められた。ビタミンD欠乏が重症なほどより心疾患が進行していた。ビタミンDレベルが10ng/mL未満の患者はこれが正常範囲内の者と比較し、冠動脈硬化が2倍近く多く認められた。これらの結果からビタミンD欠乏は動脈硬化の結果というよりも原因であることを示唆している、と筆者らは述べている。 |
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2つのタイプのペースメーカーを比較したスタディの結果、軽度心不全患者における明らかな有益性が認められた [2014-04-15] |
Study comparing two types of pacemakers finds clear benefits for patients in mild heart failure |
両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)として知られる特別なペースメーカーを植え込まれた軽度心不全患者は、従来の植込み型除細動器(ICD)を植え込まれた患者よりも生存期間が長い可能性があるとの研究結果が第63回American College of Cardiology学会で発表された。Multicenter Automatic Defibrillator Implantation with Cardiac Resynchronization Therapyトライアルでは、軽症心不全症状を有する患者および心不全症状を有さない患者1,820人(左脚ブロックを有する1,281人を含む)を組み入れ、彼らをCRT-D療法またはICDを施行される群にランダムに割り付けた。患者はクラス1または2の心不全と診断され、左室機能障害を有し左室駆出率は30%以下であった。オリジナルのトライアルは患者を平均2.4年間追跡したが、今回のスタディではこの追跡期間を組み入れから最長7年間に延長した。CRT-Dを植え込まれた左脚ブロック患者は従来のICDを埋め込まれた患者よりも死亡リスクが41%低下した。このサブセットにおいて、CRT-D患者の7年間後の総死亡率は18%であったのに対し、ICD群では29%であった。CRT-D群患者の5年生存率は90%近かった。 |
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SYMPLICITY HTN-3:過去のトライアルにおいて認められた腎除神経術の強力な効果は新たな厳密なスタディにおいて消失した [2014-04-08] |
SYMPLICITY HTN-3: Strong effects of renal denervation seen in earlier trials disappear with rigorous design of new study |
重度の治療抵抗性高血圧患者において腎除神経術は一次および二次の有効性ゴールを満たさなかったが、一次安全性エンドポイントには合致したとの切実に待ち望まれていたSYMPLICITY HTN-3のデータが第63回American College of Cardiology学会で発表され、同時にNew England Journal of Medicineオンライン版に掲載された。研究者らは、収縮期血圧160mmHg以上の治療抵抗性高血圧患者535人を腎除神経術群または血管造影のみの群にランダムに割り付けた。両群ともに3剤以上の降圧薬治療を継続された。両スタディ群とも6か月後にはベースラインと比較し統計学的に有意な血圧低下(腎除神経群 -14.1mmHgに対しシャム治療コントロール群-11.7mmHg)を示したが、2群間に認められた外来収縮期血圧の-2.29mmHgの差は有意ではなかった。24時間収縮期血圧の変化においても結果は同様で、2群間には有意でない-1.96mmHgの差が認められた。この極めて重要なトライアルは治療抵抗性高血圧治療として腎除神経術を行ったスタディの中で最大であり、盲検化およびコントロール群のシャム治療などは最も厳密にデザインされたものである。 |
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POISE-2:クロニジンは非心臓手術後の死亡や心筋梗塞を減少させない [2014-04-08] |
POISE-2: Clonidine does not reduce deaths or myocardial infarction after non-cardiac surgery |
クロニジンは非心臓手術後の臨床的に問題のある血圧低下や非致死性心停止発現率を上昇させるとのPOISE-2トライアルの結果が第63回American College of Cardiology学会で発表され、New England Journal of Medicineオンライン版に掲載された。心血管系リスクを有する収縮期血圧105mmHg以上および心拍数55bpm以上の患者が入院手術前にクロニジンまたはプラセボ群にランダムに割り付けられた。クロニジン群(5,009人)は0.2mgのクロニジン錠を術前に、同用量となる貼付剤を術後72時間にわたり投与された。プラセボ群(5,001人)は対応する錠剤および貼付剤を与えられた。その結果、ランダム化後30日間の死亡率および非致死性心筋梗塞(MI)からなる一次エンドポイントはクロニジン群で365件およびプラセボ群で339件であり、クロニジンはこれを改善させなかった。クロニジン群でMI数増加が認められた(クロニジン群325件対プラセボ293件)が統計学的に有意ではなかった。しかし、2つの二次エンドポイントは有意であった:臨床的に重要な血圧低下はクロニジン群患者の2,385人(48%)に認められたのに対しプラセボ群では1,854人(37%)であり、非致死性心停止はクロニジン群で16件であったのに対しプラセボ群では5件であった。 |
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POISE-2:アスピリンを再開する必要のある患者の術後リスク期間が明らかにされる [2014-04-08] |
POISE-2: Data clarify post-operative risk period for patients who should restart aspirin |
非心臓手術後の循環器系の問題を予防するためにアスピリンを投与された患者は、アスピリンを投与されなかった患者と比較し重篤な出血リスクが高い。アスピリンは術後心筋梗塞(MI)発症および死亡を軽減しなかったとの研究結果が第63回American College of Cardiology学会で発表され、New England Journal of Medicineオンライン版に掲載された。POISE-2は10,011人の患者を組み入れアスピリン内服の有無によりグループ分けした:術前6週間のうち4週間用量にかかわらずアスピリンを内服していた群(継続層)および内服しなかった群(開始層)。継続層においてはアスピリンの内服を手術の72時間以上前に中止した。全患者がプラセボまたはアスピリン200mgを術直前まで内服した。開始層はアスピリン100mgまたはプラセボを毎日30日間継続した。継続層はアスピリン100mgまたはプラセボを7日間投与され、その後に元のアスピリン療法に戻した。一次エンドポイントである30日間の死亡および非致死性MIは両群間で差がなかった(アスピリン群7%対プラセボ群7.1%)。重大な出血はアスピリン治療群で有意に高かった(4.6%対3.7%)。一次および二次転帰は2つのアスピリン層で同等であった。 |
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STAMPEDE:肥満手術は肥満糖尿病患者の血糖コントロールに対する強化薬物療法に勝る [2014-04-08] |
STAMPEDE: Bariatric surgery beats intensive medical therapy for glycemic control in obese diabetics |
過剰体重または肥満患者のコントロール不良2型糖尿病の管理において、胃バイパス術および胃スリーブ切除術は強化薬物療法よりも有効であるとの研究結果が第63回American College of Cardiology学会で発表され、New England Journal of Medicineオンライン版に掲載された。STAMPEDEは、血糖コントロール達成(スタディにおいて3か月の平均HbA1cレベル6%以下と定義)の補助として、肥満手術と強化薬物療法の効果を比較した最大のランダム化コントロールトライアルである。3年間のフォローアップにおいて、この一次エンドポイントを満たしたのは薬物療法では5%に過ぎなかったが、胃バイパス術患者では37.5%であり、胃スリーブ切除術群では24.5%であった。手術群患者では薬物療法のみの患者と比較し、ボディーマスインデックス、体重コントロール、中性脂肪および高密度リポ蛋白コレステロ−ルなどの心血管系リスクファクターにおいてもまた、有意に改善した。薬物療法群では血糖コントロールにおいて1年以内の早期の改善を認めたが、これは3年以内には元のレベルに戻った。手術群では血糖値が平均2.5%低下し(ベースライン9.3%、3年後胃バイパス術および胃スリーブ切除術群でそれぞれ6.7%および7.0%)、維持された。 |
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高感度心筋トロポニンTは胸痛患者の心筋梗塞リスク予測に役立つ [2014-04-08] |
High-sensitivity cardiac troponin T helps predict myocardial infarction risk for patients with chest pain |
救急外来受診患者のうち、血液バイオマーカーである高感度心筋トロポニンT(hs-cTnT)が不検出レベルで心電図上虚血の所見のない者は、30日以内の心筋梗塞(MI)リスクが極小であるとの研究結果が第63回American College of Cardiology学会で発表され、Journal of the American College of Cardiologyオンライン版に掲載された。胸痛を主訴にスウェーデンの救急外来を受診し、初回検査でこのバイオマーカーが不検出レベル(< 5ng/L)であり、ECG上虚血による心筋傷害の所見のない患者約9,000人(平均年齢47歳、女性53%)がスタディに組み入れられた。30日以内に39人がMIと診断され、うち15人はECG上心筋傷害の所見がなかった。したがって、胸痛で医療機関を受診したがECG上心筋傷害所見がなくhs-cTnT不検出レベルの患者のうち実際に直後のMIリスクを有するのは、594人にわずか1人である。この検査のMIに対する陰性的中率は99.8%であり、死亡に関しては100%であった。この相関関係は、患者のリスクファクターや症状の持続時間に関係なく維持された。 |
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CoreValue:主要試験において大動脈弁狭窄に対する自己拡張型経カテーテル大動脈弁は手術よりも優れていた [2014-04-08] |
CoreValue: Self-expanding transcatheter aortic valve better than surgery for aortic stenosis in pivotal trial |
重度大動脈弁狭窄を有する高リスク患者において、自己拡張型弁置換術を用いた経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)は従来の手術と比較し1年間の死亡率が有意に低いことが初めて示されたとの研究結果が、第63回American College of Cardiology学会で発表され、New England Journal of Medicineオンライン版に掲載された。CoreValve U.S. Pivotal High Risk Trialは、リスク評価にて大動脈弁手術による死亡リスクが高い患者を組み入れた。795人の患者がカテーテルまたは手術による弁置換術を施行される群にランダムに割り付けられ、747人がどちらかの施術を受けた(TAVR群390人および外科的大動脈弁手術群357人)。両群ともに平均年齢は83歳であった。その結果、初回非劣性ゴールを超えていたため、既にデザインされていた優位性解析へと移行した。30日間の死亡率には有意差はなかった(TAVR 3.3%対手術4.5%)。有意差は一次エンドポイントである1年間の総死亡において発現した(TAVR 14.2%対手術19.1%)。予備解析では、1年間の心筋梗塞、脳卒中またはこれらの関連死はTAVRで有意に低い(20.4%対27.3% )ことも示された。 |
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セリアック病とCVDの研究により心臓の健康に対する全身性炎症の役割に関するさらなるエビデンスが加わる [2014-04-01] |
Study of celiac disease and CVD adds to mounting evidence about the role of systemic inflammation in heart health |
セリアック病患者は一般集団と比べ冠動脈疾患リスクが2倍近く高い可能性があるとの研究結果が、第63回American College of Cardiology学会で発表された。研究者らは13の参加医療システムから患者の電子カルテを入手した。2,240万人近くの患者のうち、24,530人がセリアック病と診断された。セリアック病を有さない人々はコントロールとされた。2群間で喫煙や糖尿病の有無に差はなかった。セリアック病を有する者は高コレステロールを有する率がやや高かったが、血圧は低い傾向にあった。対象者は18歳以上であった。セリアック病患者はコントロール群に比べ冠動脈疾患有病率が有意に高かった(それぞれ9.5%対5.6%)。65歳未満の若年層においてもセリアック病患者と疾患を有さない者との比較において、同様の傾向が認められた(4.5%対2.4%)。セリアック病患者においては脳卒中リスクもやや高かった。今回のスタディにより、全身性炎症および自己免疫プロセスが心血管疾患発症にいかに影響するかに関してさらなる理解が深まる。 |
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無重力環境における宇宙飛行士の心臓に関するスタディは地球上の一定の心血管疾患患者にも恩恵をもたらす可能性がある [2014-04-01] |
Study of astronaut's hearts in a microgravity environment may also benefit certain cardiovascular patients on Earth |
12人の宇宙飛行士のスタディの結果、心臓は宇宙において無重力空間に長期間曝露されると心臓に問題を引き起こす可能性のある球状化を来すことが示された、と第63回American College of Cardiology学会で発表された。このスタディはまた、地球上の患者の一般的な心血管疾患をより理解することにも繋がると研究チームは述べている。彼らは、宇宙飛行士に国際宇宙ステーションに設置された超音波機器を用いて自分の心臓の画像を撮れるよう訓練した。12人の宇宙飛行士が参加し、飛行前、飛行中および飛行後に心臓の形のデータを提供した。その結果、宇宙において心臓は9.4%さらに球状になり、この変化は研究者らがこのプロジェクト用に開発した複雑な数式モデルを用いて予測したものに類似の変化であることが示された。宇宙で認められたこの形状変化の健康への長期影響は不明であるが、より球状の形状は心臓の運動効率が低下していることを意味する可能性がある。宇宙飛行士用に開発された運動療法は、長期臥床または心不全のような重度の活動制限を有する地球上の人々の心臓の健康維持にも役立つ可能性があると研究者らは述べている。 |
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スタチンは勃起不全を有する高コレステロールの男性にさらなる有益性を提供する可能性がある [2014-04-01] |
Statins may offer additional benefit for men with high cholesterol and erectile dysfunction |
スタチンは勃起不全を有意に改善させるとの研究者らが期待する事実により、心臓発作のリスク軽減目的でスタチン内服を必要とする男性らが勇気付けられるだろうとの研究結果が第63回American College of Cardiology学会で発表され、同時にJournal of Sexual Medicineオンライン版に掲載された。勃起不全とスタチンに関する過去のスタディの初めてのメタ解析において、研究者らはInternational Inventory of Erectile Function−5つの質問を用いた自己評価で、それぞれの質問につき5点満点で合計し、点数が低いほど性機能低下を示す−を用いて、勃起機能を計測した。11のスタディ全てを組み合わせた解析の結果、勃起不全を有する高コレステロールの男性において、スタチンの勃起機能に対する統計学的に有意な効果が示された。全体で、勃起機能スコアはスタチン内服男性で3.4%高かった(14.0から17.4へ上昇、23.4%上昇)。スタチンによる勃起機能スコア上昇は、シルデナフィルやタダラフィルのような薬剤で報告されているスコア上昇のほぼ3分の1から2分の1であった。スタチンは血管の適切な拡張およびペニスへの血流改善を促すことにより勃起機能を改善するのであろうと研究者らは考えている。 |
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4人以上の生児出生を有する女性は動脈硬化の早期徴候を示す確率が高い [2014-04-01] |
Women who have four or more live births are more likely to show early signs of atherosclerosis |
子供を4人以上出産した女性はそれより妊娠の少ない女性に比べ動脈硬化所見を有する確率が高いとの研究結果が第63回American College of Cardiology学会で発表された。スタディでは、生児出生数に関する自己申告情報および関連画像データが提供可能な多民族住民ベースコホート、Dallas Heart Studyの女性1,644人(平均年齢45歳)を対象とした。コンピュータ断層画像を用いて計測した冠動脈石灰化(CAC)スコアおよび磁気共鳴画像による大動脈壁厚(AWT)により、心臓や動脈壁に潜在性の動脈硬化所見を有するか否かを判断した。2人または3人の生児出生の女性を基準に用いたところ、4人以上生児出生の女性はCACまたはAWTが異常値であるリスクが約2倍であった。この相関は社会経済的状況、教育、人種および心血管疾患リスクを上昇させることが知られている因子で補正しても、依然として認められた。興味深いことに、出産をしていないかまたは1人しか出産していない女性もまた潜在性動脈硬化所見を示し、U型の相関を認めた。 |
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