血圧が120/80を超えると脳卒中リスクが上昇する可能性がある [2014-03-25]
Any blood pressure reading above 120/80 mmHg may increase risk of stoke

最適血圧の120/80mmHgを超えると脳卒中発症リスクが高い可能性があるとのスタディ結果がNeurology®オンライン版に掲載された。このメタ解析では、"高血圧前症"または血圧が最適値よりは高いが高血圧と診断される閾値(140/90mmHg)より低い人々における脳卒中発症リスクに関する入手可能なスタディを調査した。19の前向きコホートスタディの760,000人を超える参加者が解析に含まれ、4〜36年間追跡された。高血圧前症の人々は正常血圧の人よりも脳卒中発症率が66%高かった。これらの結果は、高コレステロール、糖尿病および喫煙などの脳卒中リスクを上昇させ得る因子で補正しても同様であった。スタディ参加者の脳卒中の20%近くが高血圧前症によるものであった。今回の解析ではまた、高血圧前症の人々を血圧130/85mmHg超の高領域群と低領域群とに分類した。高領域の人々は正常血圧の人々よりも脳卒中発症率が95%高く、低領域群では44%高かった。

心保護はMIおよび脳卒中発症時に起こる別々の生物学的プロセス間の経路と関連する [2014-03-25]
Cardioprotection linked to pathway between to two disparate biological processes that occur at the onset of MI and stroke

Cellに掲載された新たな研究により、心筋梗塞(MI)と脳卒中発症時に起こり、最終的に心保護に繋がる可能性のある2つの主要な生物学的プロセスが関連付けられた。片方のカスケードの最後には、いわゆる小胞体ストレス反応(UPR)が存在し、もう1つのカスケードの最後には変性糖分子が付着した多数の蛋白が存在する。この新たな発見はこれら2つの経路の直接的な結合を明らかにし、傷害性心血管イベントにより引き起こされた傷害を軽減させるUPRの治療的操作への期待を上昇させている。UPR内で活性化された3つの経路のうち、今回の新たな研究は、ヘキソサミン生合成経路(HBP)の直接的活性化因子として、スライスXボックス結合蛋白(Xbp1s)と呼ばれる分子を産生するIRE1を暗に示している。HBPは多数の蛋白に結合する変性糖分子を産生し、これらの蛋白の機能、安定性、および細胞内位置を有益的に変化させる役割を担っている。O-GlcNAcylationと名付けられたこの結合は、心筋細胞を含む疾患により傷害された細胞に対し好ましい効果を有している。O-GlcNAcylation過程が心臓および他の多くの細胞タイプや組織を広く保護することが過去に確認されている。しかし、O-GlcNAcylation過程を何が活性化しているかはいまだ不明である。

妊娠糖尿病を発症した妊婦は若年性心疾患リスク上昇に直面する [2014-03-18]
Pregnant women face an increased risk of early heart disease if they develop gestational diabetes

妊娠糖尿病を発症した妊婦は若年性心疾患リスク上昇に直面する可能性があるとの研究結果がJournal of the American Heart Associationに掲載された。研究者らは、後に1人以上出産した18〜30歳の女性898人において、妊娠前に心疾患リスクファクターを測定した。女性たちは20年間にわたり妊娠前後に定期的な糖尿病および代謝疾患に関する検査を受けた。妊娠後平均12年の38〜50歳の女性では頸動脈内膜中膜厚の計測が行われた。全体で、119人(13%)が妊娠糖尿病を発症したと報告した(出産100回当たり7.6)。20年間の追跡期間中に糖尿病またはメタボリック症候群を発症しなかった女性のうち、妊娠糖尿病を発症した女性はそうではなかった女性よりも頸動脈内膜中膜厚が平均0.023mm厚く、またこの差は妊娠前の肥満や高血糖によるものではなかった。これらの結果から、妊娠糖尿病歴は糖尿病やメタボリック疾患発症前の中年期の若年性動脈硬化の早期のリスクファクターとなり得ることを示唆している。

股関節および 膝関節置換術は変形性関節症患者の心血管系の健康を向上させる可能性がある [2014-03-18]
Hip and knee replacements may boost cardiovascular health in patients with osteoarthritis

中等度から重度の変形性関節症(OA)を有する患者において関節置換術(TJR)は、心筋梗塞(MI)および脳卒中を含む心血管イベントのリスクを低下させ、長期生存率を上昇させる可能性があるとのスタディ結果が、2014年American Academy of Orthopaedic Surgeons年次集会で発表された。スタディでは、組み入れ時(1996〜1998年)55歳以上の股関節/膝関節のOA患者2,200人から成るコホートを用いた。中等度から重度の関節炎患者で、ベースライン時の評価から3年以内に一次的TJRを受けた者および受けなかった者と、マッチさせた162組に関してアウトカムを比較した。これら2群は年齢、性別、ボディーマスインデックスおよび併存疾患に関して同等であった。股関節または膝関節置換術を施行された患者は、重篤な心血管イベント(MI、脳卒中、緊急冠動脈血行再建術施行またはこれらいずれかによる死亡)の発現率が40%以上低かった。スタディの発表者らは、中等度の股関節または 膝関節の変形性関節炎患者においてTJRは、おそらく高血圧、肥満および糖尿病に対する直接的有益性を有する中等度の運動(早歩きを週数回など)ができることにより心保護的な効果を有する、と結論付けている。

頸動脈MRIは脳卒中および心筋梗塞の確率を予測するのに役立つ [2014-03-11]
Carotid artery MRI helps predict likelihood of strokes and myocardial infarction

MRIを用いた非侵襲的頸動脈プラーク画像検査により、心血管疾患既往歴を有さない人々の将来の脳卒中や心筋梗塞(MI)などの心血管イベントを正確に予測できるとの新たなスタディ結果がRadiologyオンライン版に掲載された。MRIプラーク画像検査の予測能を調査するために、研究者らはMulti-Ethnic Study of Atherosclerosis(MESA)の無症状患者946人に対し、頸動脈超音波検査およびMRIを施行した。検査後平均5.5年間にわたり画像所見とMI、脳卒中および死亡を含む心血管イベントとを比較した。心血管イベントは59人に発症した。頸動脈壁肥厚およびMRI検査における内頸動脈の脂質コアおよび石灰化の存在は、その後のイベントの有意な予測因子であった。イベントを発現した患者のほぼ半分において脂質コアが認められたのに対し、イベントを有さない者におけるその割合は17.8%であった。頸動脈リモデリングインデックスと脂質コアの両者をリスク層別化に使用すると、イベントを発現した患者の約16%および発現しなかった患者の約7%が従来のリスクファクターを用いた時よりもさらに正しく層別化された。

慢性腎臓病患者において心房細動に対する抗凝固療法は死亡、MIまたは脳卒中リスクを上昇させない [2014-03-11]
Anti-coagulant treatment for atrial fibrillation does not increase risk of death, MI or stroke for patients with chronic kidney disease

いくつかの研究から慢性腎臓病患者の心房細動に対する抗凝固薬ワルファリンの使用は死亡または脳卒中のリスクを上昇させることが示唆されているが、24,000人以上の患者を対象とした研究の結果、そうではないことが示されたとの研究結果がJAMA 3月5日号に掲載された。研究者らは心血管疾患および心房細動が確定診断されている患者の腎機能に関連したワルファリン治療に伴う予後を調査した。Swedish registryのデータを用いて、スタディでは心房細動を有し血清クレアチニン計測検査を施行された心筋梗塞(MI)既往者(24,317人)が対象とされた。うち21.8%が退院時にワルファリンを処方された。約52%の患者が中等度以上の慢性腎臓病(CKD)を有していた。ワルファリン治療は、1年間の死亡、MI、および虚血性脳卒中の複合アウトカムリスクが低いことと相関があり、出血リスクは上昇させなかった。この関連は中等度、重度、または末期CKD患者において認められた。複合エンドポイント、出血イベント、およびこれら2つの合計を発現した患者数はCKDカテゴリーが悪化するほど増加し、これらのイベント発現率も同様であった。

PCIを施行される患者に対する輸血は院内心筋梗塞および死亡リスクの上昇と関連がある [2014-03-04]
Blood transfusions for patients undergoing PCI associated with increase in risk of in-hospital myocardial infarction and death

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行された患者200万人余りを対象とした解析において、赤血球輸血は院内心筋梗塞(MI)、脳卒中または死亡のリスクを上昇させたとのスタディ結果がJAMA2月26日号に掲載された。研究者らは、米国内でPCIを施行された患者の輸血施行パターンと予後に関して、1,431の病院でPCIを施行された患者の受診レジストリ(n = 2,258,711)のデータを用いて調査した。全体で、PCIを施行された患者の2.1%が輸血を施行された。調査の結果、輸血のパターンには病院ごとで 大きく違いがあることが明らかとなった。ほとんどの病院(96.3%)では輸血を施行した患者の割合が5%未満であり、5%以上の患者に輸血をした病院は3.7%であった。出血の合併症の有無に関係なく、輸血をしない場合と比較し輸血を施行することによりMI(4.5%対1.8%)、脳卒中(2.0%対0.2%)、および院内死亡(12.5%対1.2%)のリスクが上昇した。輸血を施行される確率が高かったのは高齢および女性患者であり、高血圧、糖尿病、進行した腎機能障害を有し、MIや心不全の既往を有する傾向が強かった。

中等度の運動が女性の脳卒中リスクを低下させホルモン補充療法によるリスク上昇を相殺するのに役立つ [2014-03-04]
Moderate physical activity cuts women's stroke risk and helps offset increased risk from hormone therapy

女性が脳卒中リスクを低下させるためにマラソンをしたりハードなエアロビクスをする必要はない。早歩きやテニスなどの中等度の運動で十分であろうとの研究結果が2014年American Stroke Association's International Stroke Conferenceで発表された。研究者らはCalifornia Teachers Studyの対象女性133,479人の情報を解析し、何人が脳卒中を発症したかを観察した。スタディに登録する前の3年間に中等度の運動をしていたと回答した者は、運動をしなかったと回答した者よりも脳卒中に罹患する確率が20%低かった。この脳卒中リスク低下効果は、中等度の運動を少しずつ持続的に行っている女性群においても認められた。スタディの結果、中等度の運動はホルモン補充療法を受けている閉経後女性に認められる脳卒中リスク上昇を相殺するのに役立つことも明らかにされたが、完全に相殺したわけではなった。ホルモン補充療法を受けている閉経後女性は、一度もホルモン療法を受けたことがない女性よりも脳卒中リスクが30%以上高かった。ホルモン内服を中止するとリスクは低下し始めた。さらに、糖尿病の女性は脳卒中リスクが高かったが、この中には過剰体重の女性も含まれていた。