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紫外線への曝露は一酸化窒素レベルを変化させ心血管リスクを低下させる可能性がある [2014-01-28] |
Exposure to ultraviolet light alters levels of nitric oxide and may reduce cardiovascular risk |
皮膚を日光に曝露させることにより、皮膚内および血液内の小メッセンジャー分子一酸化窒素(NO)レベルが変化し、血圧を低下させしたがって心筋梗塞および脳卒中のリスクが低下するとのスタディ結果がJournal of Investigative Dermatologyに掲載された。スタディ期間中に、健康人24人の皮膚がタンニングランプからの紫外線A波(UVA)への20分間の曝露を2回行われた。1回目はUVAとともにランプの熱にも曝露され、2回目は紫外線が阻害され、皮膚はランプの熱のみに曝露された。その結果、UVAへの曝露により血管が拡張し、血圧が有意に低下し、循環NO代謝産物レベルが変化し、ビタミンDレベルは変化しなかった。さらに実験を行ったところ、上層皮膚内に予備生成されていた蓄積NOがこれらの効果発現に関係していることが示唆された。このデータは血圧の季節性変化および温帯の心血管リスクとも矛盾しない。皮膚がん予防には日光への曝露を制限することが必要であるが、曝露を最小限にすることは心血管病関連疾患を有するリスクを上昇させることにより不利益となる可能性がある、と筆者らは述べている。 |
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地中海式ダイエットは末梢動脈疾患リスクを低下させる [2014-01-28] |
Mediterranean diet associated with lower risk of peripheral artery disease |
エキストラバージンオリーブオイルまたはナッツ類を補充した地中海式ダイエットにより心筋梗塞および脳卒中が減少するとの多施設研究が過去に報告されたが、末梢動脈疾患(PAD)のリスクも低下させることが最近報告されたとJAMA 1月22/29日号に掲載された。研究者らは2003〜2010年に施行されたランダム化トライアルにおける地中海式ダイエットと症候性PAD発症との関連性を評価した。組み入れ基準を満たすのは、55〜80歳の男性および60〜80歳の女性で臨床的にPADがなく組み入れ時に心血管疾患を有さず2型糖尿病または心血管リスクファクターを3つ以上有する者であった。参加者らは3群(エキストラバージンオイルを補充した地中海式ダイエット;ナッツを補充した地中海式ダイエット;または低脂肪食の指導[コントロール群])のうちの1つにランダムに割り付けられた。全ての参加者が包括的な食事教育プログラムを年に4回受けた。トライアルには7,477人(平均年齢67歳、女性58%)が組み入れられた。フォローアップ期間中央値4.8年の間に、新たに89例の臨床的なPADが確認された。いずれの地中海式ダイエットにおいてもコントロール群と比較しPADリスクが低下した。 |
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冠動脈カルシウム濃度は心血管リスクと反比例する可能性がある [2014-01-21] |
Coronary artery calcium density is inversely associated with cardiovascular risk |
JAMA 1月15日号に掲載されたスタディの結果、冠動脈石灰化(CAC)密度は心血管イベントに対し保護的に働く可能性があり、最も広く用いられている有害心イベントリスク予測システムのひとつを再評価すべきであることが示唆される。研究者らは、米国の6施設におけるベースライン時に既知の心血管疾患(CVD)を有さず、ベースライン時のCTにおいてCACがゼロより大きかった45〜84歳の4人種(非ヒスパニック系白人、アフリカ系米国人、ヒスパニックおよび中国人)の参加者3,398人を観察した。追跡期間中央値7.6年間の間に心筋梗塞、蘇生された心停止または死亡などの冠動脈疾患(CHD)イベントが175件発現し、さらに脳卒中などの他のCVDが90件認められた。現在のスコアリングシステムでは冠動脈プラーク(CAC)密度が高いほど危険度が高いと考えられているが、今回のスタディの結果は逆であった;CAC密度スコアは冠動脈疾患と独立した逆相関を示した。つまり、CACは密度が高いと危険性が低い。今回示されたプラーク密度との逆相関も考慮する必要があるためこのスタディは、CVDリスク予測に使用するのにAgatstonスコアまたは容積スコアのみでは最良の方法ではないことを示唆している。 |
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軽度高血糖および遺伝子変異を有する患者は血管性合併症有病率が低い [2014-01-21] |
Patients with mild hyperglycemia and genetic mutation have low prevalence of vascular complications |
約50年間にわたり軽度高血糖を有するにもかかわらず、ある酵素グルコキナーゼを暗号化する遺伝子変異を有する患者は臨床的に有意な血管性合併症の有病率が低く、軽度高血糖のみに関連したリスクに関する知見を提供する結果が示されたとのスタディ結果がJAMA 1月15日号に掲載された。研究者らは、グルコキナーゼ(GCK)変異を有する患者の細小血管性または大血管性合併症の有病率および重症度を評価し、現在の目標血糖値と糖尿病関連合併症との関連性に関するさらなる情報を得た。臨床的に有意な細小血管合併症(網膜症、腎症、および神経障害)有病率は、GCK変異を有する患者(1%)においてコントロール群(2%)よりも低かった。一方で、若年発症2型糖尿病(YT2D)群の36%において、臨床的に有意な細小血管合併症を明らかに有していた。GCK変異を有する患者の30%が網膜症を有し、それと比較しコントロールでは14%でありYT2D患者では63%であった。虚血性心疾患有病率はGCKおよびコントロール群において低く、一方YT2D患者で高かった(16%)。GCKまたはコントロール群では脳卒中を発症した患者はいなかったが、YT2D群では83人中4人(5%)において認められた。 |
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心疾患および脳卒中学における主要な進歩上位10の年間リスト [2014-01-14] |
Annual list of the top 10 major advances in heart disease and stroke science |
新たな予防ガイドライン(肥満、コレステロール、リスク評価および生活習慣に関する)、血圧コントロールプログラム、より多くの人々が心臓リハビリテーションサービスを利用するようになったことおよび腸内細菌と心疾患リスクとに関連がある可能性などが、American Heart AssociationおよびAmerican Stroke Associationにより選出された、昨年の心血管系および脳卒中における進歩の上位の総括に含まれた。2013年に雑誌に掲載された他の研究では、先天性心疾患の遺伝子学に関する我々の理解は有意に増大し、消化器系内の微生物が、赤肉による心血管系疾患と関連のある2つの化学物質、Lカルニチンおよびトリメチラミン-N-オキシド、つまりTMAO上昇の原因である可能性のあることが示された。心房細動(AF)は多くのスタディの対象となり、あるスタディではAFは認知機能にも影響する可能性のあることが示された。心臓突然停止を来した患者を冷却することにより生存率および脳機能が改善し得ることが示され、2つのスタディはそのプロセスの単純化を提唱した。脳卒中の血管内治療は脳へ血液を供給するより多くの血管を治療後に開存させたが、その後のスタディでこれは標準的な薬物治療である静脈内tPA投与よりも予後を改善することが示されなかった。他のスタディではナイアシンは心血管リスクを低下させず有害である可能性のあることが示された。 |
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粘着性パッチはより好ましい外来心臓モニター法としてホルター心電図に取って代わる可能性がある [2014-01-14] |
Adhesive patch could replace the Holter monitor as preferred method of ambulatory heart monitoring |
胸部に最長2週間装着できる小型の粘着性ワイヤレス装置は、異常で危険であり得る心調律の検出においてホルター心電図よりも有用であるとの研究結果がAmerican Journal of Medicineに掲載された。ZIOパッチは、通常の生活を送りながら最長2週間装着でき、その後業者に郵送し独自のアルゴリズムでデータ解析を行う、目立たず、低侵襲の防水デバイスである。このスタディでは、ZIOパッチ(最長14日間)およびホルター心電図(24時間)を装着された患者146人の心電図データを用いた。ZIOサービスでは96件の不整脈イベントを検出したのに対し、ホルター心電図では61件であった。研究者らは、パッチの方が検出において優れていたのは主に長期モニターによるものであったとした。データをレビューした医師らは、パッチを使用した場合にはモニター期間の90%において確定診断に達したが、ホルターモニターデータを使用した場合にはそれがモニター期間の64%であったと報告した。ひとつの予想外の結果は、両デバイスを同時装着した時の最初の24時間においてホルター心電図の方がZIOサービスよりも不整脈を11個多く検出したことであった。しかし、これらの不整脈は全て、24時間を超えてパッチでモニターすることにより検出された。 |
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心筋梗塞および死亡予知において石灰化スキャンはコレステロールレベル、高血圧および他のリスクファクターよりも優れている [2014-01-07] |
Calcium scan better than cholesterol levels, high blood pressure and other risk factors in predicting myocardial infarctions and deaths |
European Heart Journalオンライン版に掲載された新たなスタディの結果、冠動脈石灰化(CAC)スクリーニングは、患者の心筋梗塞および心血管疾患関連死のリスク評価においてより優れた役割を有することが示された。Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis(MESA)参加時に明らかな心疾患を有さなかった成人参加者7,000人のデータを用いて、研究者らは2つのリスク評価法を比較した。ひとつは、コレステロール、血圧、現在の喫煙の有無および糖尿病を含めたリスクファクターのみを観察した。もうひとつの群では、リスクファクター評価および冠動脈石灰化スキャンに関して評価した。平均7.1年後に、非常に低リスクと信じられていた人々の15%において冠動脈カルシウムスコアが100を超えており、その後7年間の心イベントリスクが相対的に高かった。さらに、非常に高リスクでアスピリンやスタチンによる積極的治療が必要と考えられた参加者の35%が実際は冠動脈石灰化を有さずその後7年間のリスクが非常に低かった。これらの結果は、医師が患者の心疾患リスクを評価する際の重大なパラダイムシフトを喚起する可能性がある、と筆者らは述べている。 |
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心臓手術2時間前の予防的抗生剤投与は感染予防において最適である [2014-01-07] |
Preoperative antibiotics administered within two hours of cardiac surgery is optimal for protection against infection |
心臓手術2時間前の予防的抗生剤投与は手術部位感染(SSI)発症リスクを有意に軽減したとのスタディ結果がInfection Control and Hospital Epidemiology 1月号に掲載された。研究者らは、切開開始2時間前までに予防的抗生剤初回投与を行うことを含む、心臓手術における術前抗生剤予防投与の最適な指針を強調する10年間の前向きコホートスタディを施行した。予防的投与は3時間前から術後の範囲で、異なるタイミングで行われた。SSIは最適期間内に予防投与された患者においてそれ以外のタイミングで行われた場合よりも有意に少なかった。スタディ対象の2,637人のうちSSIを発症したのは、切開開始の2時間の枠内で予防的投与を行われた患者の8.3%(2,536人中206人)であったのに対し、それ以外のタイミングで投与された患者では13.9%(101人中14人)であった。さらに、スタディ期間の最後の2年間においては、術前抗生剤投与の最適投与がほぼ完璧に達成された。 |
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