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不安レベルが高いことと長期脳卒中リスクが高いこととがスタディにより初めて結びつけられた [2013-12-24] |
First study to link high anxiety levels with higher long-term risk of stroke |
不安レベルが大であるほど脳卒中発現リスクが高いとの新たな研究結果がStroke誌に掲載された。このスタディは、うつ病などの他の因子に関係なく不安症と脳卒中を関連付けた初めてのものである。22年にわたり、研究者らは初めての国内健康および栄養調査National Health and Nutrition Examination Survey(NHANES I)の対象となった、国民を代表する25〜74歳の6,019人を解析した。参加者は問診および血液検査、診察を受け、精神科的質問表に回答し不安およびうつレベルの評価を受けた。研究者らは、病院または介護施設の報告書および死亡診断書を介して脳卒中を追跡した。他の因子を考慮した結果、不安が軽度増加しても脳卒中リスクが上昇することが示された。不安症状が上位3分の1である人々はそれより低レベルの人々よりも脳卒中リスクが33%高かった。不安レベルが高い人々は喫煙者であり運動をしない確率が高く、これらは不安−脳卒中の関連の原因の一部である可能性がある。ストレスホルモンレベル、心拍および血圧が高いこともまた因子となり得る、と筆者らは述べている。 |
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軽度認知障害患者においてBACE1活性上昇はアルツハイマー病の早期インディケーターとなり得る [2013-12-24] |
Elevated BACE1 activity in mild cognitive impairment could be early indicator of Alzheimer disease |
重要な酵素β-セクレターゼ1(BACE1)は散発性アルツハイマー病(AD)患者の脳内で上昇していることが知られている。The American Journal of Pathology 1月号において、科学者らは軽度認知障害(MCI)患者の脳内においてBACE1レベルが上昇していることを明らかにし、BACE1活性が軽度認知障害からADへの転換において重要でありADの早期インディケーターである可能性があることが示唆されたと報告した。研究者らはAD患者18人、MCI患者18人および痴呆を有さない人々18人の死亡解剖された脳組織を調査した。BACE1酵素活性はMCIおよびAD患者の脳において有意に上昇していた。MCI患者の脳組織内のBACE1活性は、痴呆のない人々よりも27%と有意に上昇していた。MCI患者18人中11人において脳皮質BACE1レベルは早期認知症の間は上昇しており、認知障害が進行すると急激に低下した。BACE1活性上昇はプラーク数および認知機能の状態と相関した。MCIとADとでBACE1活性に有意差はなかった。腫瘍壊死因子α(TNFα)がMCI患者の脳において上昇していることも明らかにされた。TNFαレベル上昇はMCI患者とAD患者とで有意差はなかった。 |
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認知症の世界的負担は劇的に増加し貧困国に移行しつつある [2013-12-17] |
Global burden of dementia increasing dramatically and is shifting to poorer countries |
初のG8認知症サミットに参加した政府トップの政策提言において、国際アルツハイマー病協会(ADI)はアルツハイマー病を有する人々は2013年の時点で世界に4,400万人(2010年には3,500万人と推定)と推定され、2030年には7,600万人(同じく6,600万人)、2050年までには13,500万人(同じく11,500万人)と推定されることを公表した。これは、2009年世界アルツハイマーレポートにおける以前のADI推定と比較し、世界中の認知症を有する人々の推定人数が17%増加したことを示している。これまで高所得国が認知症急増の矢面に立たされてきたが、現在この疾患は世界現象である。2050年までに認知症患者の71%は低−中所得国の人々となり、今後数十年の間に世界中におけるこの疾患の負担は低‐中所得国へと移行するであろう。政府、企業およびアルツハイマー協会のような非営利団体の協力的な活動計画が急務である、と研究グループは述べている。我々が患者ケアの質および保障を改善し認知症の経過を改善する治療を発見しより多くの予防手段を特定するのであれば、その研究は世界中の優先事項となるに違いない。 |
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一般的に用いられるうつ病質問表は自殺リスクの高い患者の同定に役立つ [2013-12-17] |
Commonly used depression questionnaire can help identify patients at increased risk for suicide |
一般的に用いられるうつ病スケールのある質問に対する特異的な反応は、医師が自殺リスクの高い患者を同定するのに役立つ可能性があるとの研究結果がPsychiatric Services 12月号に掲載された。4年間にわたりうつ病治療のために外来受診をする 度に患者の健康質問表(Patient Health Questionnaire[PHQ-9])に回答したうつ症状を有する患者84,000人余を対象としたスタディの結果、"ほとんど毎日"死や自傷行為について考えていると回答した者は、これらを考えないと回答した者よりも自殺企図のリスクが6倍以上高かった。年齢、性別、治療歴、および全体的なうつ病重症度で補正した後でも、PHQ-9の質問に対する反応は依然として自殺企図の強力な予測因子であり、後の自殺死亡の中等度予測因子であった。年齢や性別パターンが自殺企図や自殺死亡には非常に異質であっても、PHQの9項はこれら両者を予測した。直後の自殺企図リスクは低いが数日間に上昇し数か月間上昇し続けることから、持続するリスクに向けた継続的組織的フォローアップケアの必要性が示唆される、と筆者らは指摘している。 |
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磁場相関と呼ばれるMRI技術がADHDの診断改善および最良の治療を導くのに役立つ可能性がある [2013-12-10] |
MRI technique called magnetic field correlation may help improve ADHD diagnosis and guide optimal treatment |
磁気共鳴画像(MRI)により注意欠陥多動性障害(ADHD)患者の脳内鉄レベルを非侵襲的に測定できるとのスタディ結果が2013年Radiological Society of North America年次集会で発表された。過去のスタディにおいて、精神刺激薬はドーパミンレベルを上昇させドーパミンレベル低下が疑われる小児に役立つことが示された。脳内鉄はドーパミン合成に必要であるため、筆者らはMRIによる鉄レベル評価によりドーパミンを非侵襲的で間接的に測定できると確信した。彼らはADHDの小児と成人22人および健康なコントロールの小児と青少年27人の脳内鉄を磁場相関(MFC)と呼ばれるMRI技術を用いて測定した。薬物療法を一度も受けたことのない12人のADHD患者は精神刺激薬による治療を受けた10人のADHD患者や標準的に成育したコントロール27人よりもMFCが有意に低かった。一方、緩和速度または血清測定を用いた場合には群間で有意差は認められなかった。薬物療法未施行群における脳内鉄レベル低値は、精神刺激薬により正常化するようであった。MFC画像の非侵襲的脳内鉄レベル検出能力は、ADHDの診断改善および最良の治療を導くのに役立つ可能性があると研究者らは述べている。 |
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早産児に対するMRスペクトロスコピーにより白質の発達は灰白質の成長と"ずれている"ことが示された [2013-12-10] |
Magnetic resonance spectroscopy on premature infants reveals white matter development is 'out of sync' with gray matter development |
早産は、子供を先々衝動性や注意力散漫などの問題から自閉症や注意欠陥多動性障害などのさらに重症な状態のリスクを上昇させ得る白質の成長過程の引き金となるようである。構造的磁気共鳴画像検査(MRI)において何らかの白質の傷害は一目で明らかであったが、研究グループはMRスペクトロスコピー(MRS)を用いて光顕レベルでの違いを観察した。今回のスタディにおいて研究者らは満期産児51人および早産児30人において、成熟した白質および灰白質に関連するある化学物質の濃度を比較した。スタディ対象者群の構造的MRI所見は正常であったが、MRSの結果から白質の生物化学的成熟度は満期産児と早産児とで有意に異なることが示され、白質と灰白質の成熟のタイミングおよび同期の乖離が示唆された。新生児の脳は著明な可塑性を有しており、したがって、特に異常が早期に同定されれば治療的介入がより有効であり得る。このスタディ結果は2013年Radiological Society of North America年次集会で発表された。 |
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