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二か国語を話す人は一つの言語しか話さない人よりも認知症の発症が遅い可能性がある [2013-11-19] |
People who are bilingual develop dementia later than those who speak just one language |
このテーマではこれまでで最大のスタディにおいて、第二言語を話す人は3つのタイプの認知症発症が遅い可能性があるとのスタディ結果がNeurology®2013年11月6日号オンライン版に掲載された。今回のスタディにおいて、認知症と診断されたインド人648人(平均年齢66歳)が評価を受けた。彼らのうち391人が2か国語以上を話した。計240人がアルツハイマー病を有しており、189人は血管性痴呆を、116人は前頭側頭型認知症を、その他はレビー小体型および混合性認知症を有していた。14%は読み書きができなかった。2か国語以上を話す人々は、一つの言語しか話さない人よりも、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症および血管性認知症の発症が遅かった。2か国語以上を話す人々は1か国語しか話さない人々よりも認知症の発症が4年半遅かった。この差は読み書きのできない人々においてもまた認められた。2か国語以上を話すことによる恩恵はその他にはなかった。この二か国語を話すことによる認知症発症遅延効果は、教育、性別、職業および都市に住むか地方に住むかなどの因子とは関係なく認められた。 |
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新たな統計モデルは軽度認知障害と早期アルツハイマー病の鑑別に役立つ可能性がある [2013-11-19] |
New statistical model could help differentiate mild cognitive impairment from early Alzheimer's disease |
認知機能検査から得られた点数を用いることにより、高齢者の記憶障害が良性のものかアルツハイマー病の経過途中であるかを判断するのに役立つ可能性のあるモデルが開発されたとのスタディ結果が、Neuropsychology誌オンライン版に掲載された。ある概念実証スタディにおいて、研究者らは認知症検査の一環として認知機能検査を依頼された528人(60歳以上)の記録を解析した。これらの結果を、ある一般的な加齢のスタディの参加者である健康な高齢者135人の結果と比較した。両群ともに記憶、言語、注意力、処理速度および描写能力の検査を受け、これらから13のスコアが記録された。各々がそれぞれの分野でもともと一部の能力が長けているため、健康な高齢者のスコアは対称なベル型の分布を示した。患者を認知症の重症度に基づきコホート別に分類することにより研究者らは、検査のスコアが個々人のスコアの経時的な悪化に類似しているようであることに気付いた。これらの変化は健康な対称性のベル型のカーブを移動させ非対称にした。スコアがどの程度低いかでなく、スコア分布の傾斜性が認知症と関連した。 |
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妊娠中は双極性障害治療薬の効果が低下するため、妊婦は良好な状態を保つために高用量の内服を必要とする [2013-11-12] |
Bipolar drugs lose effect during pregnancy so women need higher doses to stay well |
American Journal of Psychiatryに掲載された新たなスタディの結果、双極性障害に対し一般的に使用されるラモトリギンの血中濃度が妊婦において低下していることが示された。これは、妊娠中の生理学的変化がどのように一般的な双極性障害治療薬の効果を減弱し、双極性エピソードを再発しやすくしているかを調査した初めての綿密な研究である。スタディ対象の約半数の女性において、ラモトリギン血中濃度が低下するにつれて、うつ症状が悪化した。妊娠中は代謝が亢進するために薬物血中レベルが低下する。うつ状態の女性は自己の管理をしなくなる傾向があり、それにより栄養不足、出生前ケアのコンプライアンス欠如および家族や友人からの孤立がしばしば生じる。これはまた、出生時不良因子のうち未熟児や低出生体重児などと関連することが知られている。したがって、妊婦が良好な状態を保つために薬剤用量を最適にすることが重要である。このスタディ結果は、患者の妊娠中の薬物用量の増量の仕方や出産後の毒性を避けるための減量の仕方を医師らが理解するのに役立つであろう。 |
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個別のコミュニケーション戦略は抗うつ剤使用推奨を増大させる [2013-11-12] |
Tailored communication strategies increase clinical recommendations for antidepressant drugs |
プライマリケアの現場で評価を受けたうつ病患者において、対話型マルチメディアコンピュータプログラムをプライマリケア受診直前に使用することにより、抗うつ薬の処方や推奨、メンタルヘルスの紹介、またはその両者の受け入れが上昇したとのスタディ結果がJAMA 11月6日号に掲載された。このトライアルは、うつ病治療ビデオ(DEV)、個別の対話型マルチメディアコンピュータプログラム(IMCP)およびコントロールを、135人のプライマリケア医師による治療を受けた成人患者925人(うつ病患者603人およびうつ病を有さない患者322人)において比較した。うつ病患者においては、一次アウトカム達成(初診時の抗うつ薬推奨、メンタルヘルス紹介、または両者の受け入れの総数)はDEVでは17.5%、IMCPでは26%、コントロールでは16.3%であった。DEVおよびIMCPのいずれも患者の自己申告によるうつ病に関する情報のリクエストを増加させた。しかし、12週後のフォローアップ時点でいずれの介入でもメンタルヘルスの改善(質問票による計測)は認めなかった。うつ病を有さない患者では、医師の報告した抗うつ薬の処方の結果からはいずれの介入も有害であるとのエビデンスは認めなかったが、抗うつ薬を推奨されたとの患者の報告に基づくと有害性は否定できないと筆者らは述べている。 |
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トピラマートはコカイン渇望を軽減させ全般的な機能を回復させる [2013-11-05] |
Topiramate decreases cocaine cravings and improves participants' global functioning |
JAMA Psychiatryに掲載された新たな研究の結果、てんかんや片頭痛治療薬トピラマートはコカイン依存症治療にも役立つ初めての確かな薬剤ともなり得ることが示された。スタディには、コカイン依存症に対する治療を求める18歳以上の参加者142人が組み入れられた。参加者は、この二重盲検試験においてトピラマートまたはプラセボに無作為に割り付けられた。Intent-to-treat解析を用いた結果、トピラマートは週当たりのコカイン不使用日の割合を増加させ、コカインを使用しない週がある確率を増加させるのにプラセボよりも有効であった。さらに、トピラマートはプラセボと比較し、コカイン渇望の軽減および全般的な機能改善と有意に関連があった。またこのスタディにおいて、観察された薬物治療による副作用は少なかった。これらの結果は、コカイン依存症であるが治療を受けようとしていなかった者でトピラマートを内服した者はプラセボを内服した者よりもコカイン渇望および嗜好が軽減したとの過去の研究に基づくものである。今回のスタディ結果は、トピラマートはコカイン使用を積極的に止めたい依存症患者の治療においてより有効性が高い可能性があることを示している。 |
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耐糖能障害は糖尿病を有さない人々においても記憶障害を増加させる [2013-11-05] |
Impaired glucose tolerance increases memory problems even in people who do not have diabetes |
糖尿病または高血糖を有さない人であっても、血糖レベルが高めの者は記憶障害を有する確率が高いとの新たなスタディ結果がNeurology®2013年10月23日号に掲載された。スタディでは耐糖能障害を有さない141人(平均年齢63歳)を対象とした。過体重、1日3.5杯以上の飲酒をする者、記憶や思考の障害を有する者はスタディから除外された。参加者の記憶力および血糖レベルが検査された。血糖レベルが低い者は記憶力検査の点数が良好であった。15の言葉を聞いた後30分後に思い出す検査では、思い出す言語の数が少ないことは血糖レベルが高いことと関連があった。例えば、HbA1cが約7mmol/mol上昇すると思い出す言葉の数が2個少なかった。血糖値が高い人々は記憶において重要な役割を果たす海馬の体積が小さかった。 |
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