健康な高齢者において脳弓変性は初期認知機能低下の予測因子である [2013-09-24]
Fornix degeneration predicts incipient cognitive decline in healthy elderly individuals

健康な高齢者において、脳弓として知られる脳領域の白質の喪失は認知機能低下と関連し最も早期の臨床的な劣化の予測に有用な可能性があるとのスタディ結果がJAMA Neurology 2013年9月9日号に掲載された。認知機能低下の後期段階において海馬が萎縮することがよく認識されており、アルツハイマー病の過程に関連した最も研究されている変化のひとつである。しかし、スタディの背景によると、脳弓および海馬に構造上結合している他の脳領域の変化はまだ解明の過程である。スタディでは、地域への働きかけで組み入れられた認知機能の正常な高齢者102人(平均年齢73歳)を対象とした。スタディでは、4年間にわたる繰り返しの受診の際に、磁気共鳴画像および他のスキャン画像を用いた。その結果、脳弓の灰白質体積の変化は認知機能低下の"高度に有意な予測因子"であった。これは健康な高齢者における脳弓の変性を初期の認知機能低下の予測因子として確立した初めてのスタディである、と筆者らは述べている。

高用量スタチンを内服している患者は認知症発症リスクが低い [2013-09-24]
Patients taking high doses of statins have lower risk of developing dementia

高用量のスタチンは高齢者の認知症を予防するとの研究結果が2013年ESC学会で発表された。研究者らは台湾国内の健康保険を有する100万人の無作為サンプリングを行った。これらの中から、認知症の既往のない65歳超の患者57,669人を抽出した。解析には初老期認知症および老人性認知症が含まれたが、血管性認知症は除外された。約4.5年の経過観察期間中に5,516人が新たに認知症と診断された。残りの52,153人はコントロール群とされた。対象は1日の平均等価用量および総(経過観察期間全体)等価用量に基づき三分位に分類された。認知症に対する補正ハザード比は、1日の等価用量または総等価用量の増加に有意に逆相関した。総等価用量が最も高い患者は認知症発症リスクが3倍低かった。1日のスタチン等価用量に関しても同様の結果が認められた。スタチンの予防効果は異なる年代、性別および心血管リスクサブグループにおいても同様に認められた。

気分障害および行動障害に対し非定型抗精神病薬を使用している小児は2型糖尿病リスクが高い [2013-09-03]
Children using atypical antipsychotics for mood and behavior disorders have increased risk of type-2 diabetes

問題行動や気分障害を有する小児および若年成人に対し非定型抗精神病薬を処方することにより、不必要に2型糖尿病リスクにさらす可能性があるとのスタディ結果がJAMA Psychiatryに掲載された。注意力、行動または気分の障害に対し非定型抗精神病薬処方により治療された小児および若年成人(6〜24歳)を、これらの障害に対し承認された薬剤を処方された同様の若年者と比較した。多嚢胞性卵巣症候群のような一般的に糖尿病と関連する一部の疾患をさらに除外しても、抗精神病薬を内服している者は翌年に2型糖尿病を発症するリスクが3倍高く、リスクは累積用量が増えるに従ってさらに上昇した。この上昇したリスクは内服を中止しても少なくとも1年間は持続した。この年代では2型糖尿病の発症はまだまれであることを筆者らは指摘している。抗精神病薬投与群の29,000人近くの小児および若年者およびコントロール群14,400人のうち、106人が最終的に2型糖尿病と診断され治療を受けた。他のスタディにおいて非定型抗精神病薬使用に関連した2型糖尿病リスク上昇が示されているが、今回のスタディは小児におけるリスクを観察するのによくデザインされた初めての大規模なものである。

ゲノムワイド関連スタディにより統合失調症に関連するヒトゲノム個所数が推定される [2013-09-03]
Genome-wide association study estimates the number of places in the human genome that are involved in schizophrenia

新たなゲノムワイド関連スタディ(GWAS)により、統合失調症発症において役割を果たすと信じられている新たに発見された13個所を含むヒトゲノムの22個所が同定された。Nature Geneticsオンライン版に掲載された新たなスタディは、統合失調症患者において異常となっている可能性のある2つの異なるパスウェイのこれまでで最も明瞭な全体像を提供している。この結果は、スウェーデン国内の統合失調症患者5,001人およびコントロール6,243人を対象に開始し、その後過去のGWASスタディのメタ解析を行い、最終的に独立した検体の168のゲノム領域における一塩基多型(SNPs)の複製を行う、複数ステージ解析に基づいている。スタディの対象者は合計59,000人超であった。スタディで同定された2つのパスウェイのうちの1 つがカルシウムチャネルパスウェイであった。このパスウェイにはCACNA1CおよびCACNB2遺伝子が含まれ、これらの遺伝子の蛋白は神経細胞の重要な過程の一部として相互に接触する。もう1つは"マイクロRNA 137"パスウェイである。このパスウェイには同名遺伝子MIR-137−神経細胞発達の調節因子として知られる―およびMIR137に調節される少なくとも12の他の遺伝子が含まれる。