妊娠中の母親の喫煙はその子供の問題行動に関連する [2013-07-30]
Maternal smoking during pregnancy associated with offspring conduct problems

妊娠中の喫煙は小児の問題行動に関連した胎児期のリスクファクターのようであるとのスタディ結果がJAMA Psychiatry 2013年7月24日号に掲載された。研究者らは妊娠中の母親の喫煙とその子供の問題行動の関連を、遺伝子的に関連のある母親および遺伝子的に関連のない母親に養育された小児において調査した。3つのスタディが使用された:Christchurch Health and Development Study(血のつながった子供および養子を含む長期コホートスタディ)、Early Growth and Development Study(長期生下時養子縁組スタディ)、およびCardiff IVF(体外受精)Study(遺伝子的に関連のある家族間および遺伝子的に関連のない家族間受胎時養子縁組)。妊娠中の母親の喫煙は妊娠中の1日の喫煙本数をもって評価した。遺伝子的に関連のある母親および遺伝子的に関連のない母親に養育された子供において母親の妊娠中の喫煙とその子供の問題行動とには有意な相関関係が認められた。メタ解析の結果から、蓄積されたスタディ標本全体においてこのパターンが確認された。この関係は出生後の環境因子からでは完全には説明できない、と筆者らは述べている。

認知症患者の介護者が感じる負担には複数の因子が関与する [2013-07-30]
Multiple factors contribute to burden felt by caregivers of those with dementia

複数因子−罪悪感、欲求不満および困惑−がアルツハイマー病および他の型の認知症を有する人々の介護者の感じる負担に関与しているとのスタディ結果がAmerican Journal of Geriatric Psychiatry印刷版に先立ちオンライン版に掲載された。計206人が参加したこのスタディでは、配偶者および成人の子供の両介護者を観察した。約84%の介護者が臨床的に有意な負担を報告した。負担に有意な影響を及ぼすことが明らかにされた3つの因子の中で、欲求不満と困惑が介護者の生活への影響と直接的な相関を示した。もう1つの因子である罪悪感は他の因子とは相関しなかったが、欲求不満や困惑と同様にうつ症状と直接的な相関を示した。これらの負担は、身体的な健康不良や感情的苦痛およびうつの率の上昇など介護者に有害な影響を及ぼした。このスタディでは主にアルツハイマー病患者を介護している白人女性の介護者が大部分であったため制約がある、と研究者らは指摘しており、このことや他の因子から、さらにスタディを行うことが勧められた。

2つの新薬は軽度認知障害および早期アルツハイマー病の徴候を有する人々の認知機能を改善する [2013-07-23]
Two new drugs improve cognition in people with mild cognitive impairment and early signs of Alzheimer's disease

アルツハイマー病に対する2つの新薬は早期試験において有望であることが示され、次の段階の臨床試験へと進められる可能性が高いと2013年Alzheimer's Association International Conferenceで発表された。CHF5074は損傷性の炎症を軽減すると考えられている小膠細胞モジュレーターである。研究者らは、軽度認知障害(MCI)患者に対し3つの異なる用量(200、400および600mg/日)のCHF5074を使用した90週間のトライアルの結果を報告した。スタディ第88週に到達した患者27人の中間解析の結果、統計学的に有意な用量依存性の認知能力改善が参加者に認められた。ApoE4遺伝子を1または2コピー有する参加者はApoE4遺伝子を有さない者よりも、2つの認知機能検査において有意に成績が良好であった。他のトライアルでは、軽症から中等症のアルツハイマー病患者に対しMK-8931と呼ばれる治験薬BASE1阻害薬の複数用量試験が行われた。この薬剤は、アミロイド前駆体蛋白(APP)として知られる親分子を分解することによりβアミロイドを産生する2つの酵素の1つであるベータセクレターゼ(BACE1)を阻害することにより作用する。MK-8931は軽症から中等症のアルツハイマー病患者の脳脊髄液中のベータアミロイドレベルを用量依存的に有意に低下させた;最大用量ではベースラインからの平均低下率は80%を超えた。両薬剤ともに忍容性は全般的に良好であった。

認知機能検査と脳画像の組み合わせにより早期アルツハイマー病が検出される [2013-07-23]
Combination of cognitive tests and brain scans detect earliest stages of Alzheimer's disease

軽症から中等症のアルツハイマー病患者において、最近多くの後期段階の薬物トライアルが不成功であったことから、認知症症状が明らかになった段階で治療しても疾患の過程としては遅すぎるため、治療を有効にするためには早期発見早期介入へと転換する必要があると、この領域の一部の人々は確信している。これらの患者を早期に発見するために研究者らは、認知機能の正常な人々における記憶力や思考能力の検査成績が潜在性アルツハイマー病と関連するかどうかを調査した。彼らは認知機能の正常な65〜85歳の高齢者129人を認知機能検査および2つのPET脳スキャン(1つは脳がブドウ糖をどのように使用するか[FDG代謝]を計測し、もう1つは脳アミロイドプラーク量[PiB沈着]を計測するもの)を用いて調査した。記憶能力の低い者は一般的にアルツハイマー病の影響を受ける脳領域のPiB沈着率が高くFDGブドウ糖(FDG代謝)が低かった。一方、記憶能力以外の思考能力検査の成績が不良な者においてはFDG代謝は低下していたがPiBスキャンでは正常であった。また、高学歴の参加者はFDG代謝が低かったりPiB蓄積率が高かったりするにもかかわらず検査成績が正常である者が多かった。このスタディ結果は2013年Alzheimer's Association International Conferenceで発表された。

うつを有する幼児の扁桃体に認められた変化の早期エビデンス [2013-07-16]
Early evidence of changes seen in the amygdala of young children with depression

感情を調節する重要な脳組織である扁桃体は、うつを有する未就学児において健康な対照と異なる働きをすることがJournal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry 7月号に掲載された。研究者らは4〜6歳の小児54人を調査した;23人はうつ病と診断され、31人はうつ病ではなかった。抗うつ薬を内服していた小児はいなかった。機能的磁気共鳴画像(fMRI)検査を受ける間に、小児らは特定の感情(幸せな、悲しい、恐ろしい、はっきりしない)を伝える顔の表情をした人々の写真を見た。うつを有する成人や年長児を対象とした同様のスタディでは、扁桃体は幸せな表情や無感情の顔よりも悲しい顔や恐ろしい表情などの悲観的な表情によく反応した。うつを有する未就学児においては、健康な対照と比較し、すべての表情に対し扁桃体は強く反応した。この違いから、うつを有する幼児の脳機能における変化についてのこれまでで最も早期のエビデンスが得られた。この結果から、うつを有する小児を疾患経過のより早期に発見し治療することが可能となり、将来の問題を予防できる可能性がある、と研究者らは述べている。

てんかんおよび認知機能障害の患者はしばしば認知機能低下の早期徴候を有している [2013-07-16]
Patients with epilepsy and cognitive impairment often have earlier symptoms of cognitive decline

てんかんを有する健忘性軽度認知機能障害(aMCI)またはアルツハイマー病(AD)の患者はてんかんを有さない患者よりも早期に認知機能が低下したとの報告がJAMA Neurologyオンライン版に掲載された。このスタディはaMCIおよびてんかんと診断された患者(12人)、ADおよびてんかんと診断された患者(35人)そしてADおよび潜在性てんかん様活動と診断された患者(7人)計54人を対象とした。てんかんを有するaMCI患者はてんかんを有さないaMCI患者よりも認知機能低下症状の発症が6.8年早かった(64.3歳対71.1歳)。てんかんを有するAD患者はてんかんを有さないAD患者よりも認知機能低下が5.5年早く出現した(64.8歳対70.3歳)。ADと関連したてんかん様活動は、これらの患者に有害な影響を与え、見過ごされ治療されなかったりしがちであり、ADの他の側面の一因にもなる病的過程を反映する可能性もあるため注目に値する、と筆者らは述べている。また、これらの患者のてんかんを注意深く見極め治療することにより臨床経過を改善することができる可能性がある、と結論付けている。

抗精神病薬の減量または中止は寛解した初回エピソード精神病の長期回復率上昇と関連がある [2013-07-09]
Dose reductions or discontinuation of antipsychotics associated with higher long-term recovery rates for remitted first-episode psychosis

寛解した初回エピソード精神病(FEP)の早期段階での抗精神病薬減量/中止(DR)は維持療法(MT)と比較し長期回復達成率が高いとのスタディ結果がJAMA Psychiatry 7月3日号に掲載された。これは、MTとDRを比較した2年間のオープン無作為化臨床試験に参加した患者128人のフォローアップスタディである。寛解6か月後に、患者は18か月間のDRまたはMTに無作為に割り付けられ、トライアル後の治療は医師の裁量に任された。研究者らが試験終了から5年後に接触し、103人が精神病の経過および予後に関するフォローアップ問診に参加することに同意した。回復率はDR患者(52人)においてMT患者(51人)の2倍であった(40.4%対17.6%)。DR群においては回復率が良好なことと機能的寛解率が高いことに関連が認められたが、臨床的寛解率では関連が認められなかった。短期評価では明らかでなかった機能的能力の上昇などのベネフィットは長期観察においてのみ現れた、と筆者らは指摘している。

一般的に処方されているADHD治療薬はコカイン依存症において脳機能を改善する [2013-07-09]
A single dose of commonly prescribed ADHD drug helps improve brain function in cocaine addiction

一般的に処方される注意欠陥多動性障害(ADHD)治療薬単回投与はコカイン依存症において脳機能を改善するとの画像スタディ結果がJAMA Psychiatryに掲載された。研究者らはコカイン依存症患者18人を組み入れ、メチルフェニデートまたはプラセボを経口投与する群に無作為に割り付けた。機能的磁気共鳴画像(fMRI)を用いて、依存症において役割を果たすことで知られる特異的な脳回路接続の強度を内服開始前および最大薬効期間中に計測した。また各対象の依存重症度を評価し結果に何らかの影響を与えるかを観察した。メチルフェニデートは、薬剤を捜し求めたり渇望したりする習慣の形成に強力に関与するとされる脳領域間の接続性を軽減させた。画像検査により、メチルフェニデートが感情を調節したり行動をコントロールすることに関連するいくつかの脳領域間の接続性−コカイン依存において破壊されることが過去に報告された−も強化することも示された。このスタディは予備的なものであるが、この結果は特に認知行動療法や認知矯正療法とともに、さらなる研究を支持するものである、と筆者らは述べている。

自閉症スペクトラム障害の小児における脳ネットワーク接続性がスタディにより調査された [2013-07-02]
Study examines brain network connectivity in children with autism spectrum disorder

小児自閉症は主要な大規模脳内ネットワークの過剰な接続性により特徴付けられ、セイリアンスネットワークは自閉症スペクトラム障害(ASD)を見分ける因子である可能性があるとのスタディ結果がJAMA Psychiatryに掲載された。ASDは小児88人にほぼ1人の割合で生じる神経発達障害であり、言語や社会的コミュニケーション、運動行動や感覚系に障害を来す。筆者らが述べているこのスタディの背景によると、セイリアンスネットワークは相互接続する脳領域の機能的ネットワークであり、この脳領域はこれらの人々にとって顕著である外部および内部刺激への処理や注意力配分に関わると仮定されている。スタディにはASDを有する7〜12歳の小児20人および年齢、性別およびIQをマッチさせた標準的発達(TD)の小児20人を組み入れた。その結果、ASDの小児においてはTDの小児と比較し、いくつかの大規模脳内ネットワークにおいてより強力な機能的接続性が認められた。各個人のセイリアンスネットワークマップを用いると、分類の精度78%、感度75%、特異度80%でASDの小児をTDの小児と鑑別することができた。脳内ネットワーク接続の定量はASDの小児を客観的に見極めるバイオマーカーを開発する1つの段階である、と筆者らは述べている。

コンピュータ脳フィットネスプログラムを用いることにより高齢者の記憶および言語能力が改善する [2013-07-02]
Memory and language skills improve for older adults using computerized brain-fitness program

コンピュータ上の脳フィットネスプログラムを定期的に使用した高齢者は記憶および言語能力が有意に改善したとのスタディ結果がAmerican Journal of Geriatric Psychiatry 7月号に掲載された。研究者らは、南カリフォルニアの退職後高齢者居住地区から組み入れた認知症を有さない高齢者69人(平均年齢82歳)を調査した。参加者は、短期および長期記憶、言語、視空間処理、推理と問題解決および計算技術領域の400を超える課題を通して、個人を訓練するDakim BrainFitness と呼ばれるコンピュータ脳フィットネスプログラムを実施した。その結果、参加者69人中、6か月間にプログラム上の40セッション(それぞれ20分)以上をこなした52人は、直後および遅延記憶能力および言語機能の改善を示した。この結果から、コンピュータ脳トレーニングに参加した高齢者は認知機能が改善する可能性があることが示唆された。このスタディ結果は、脳フィットネスツールが言語および記憶の改善に役立ち最終的には人々の加齢やアルツハイマー病による認知機能低下予防に役立つ可能性があるかを調査する研究に追加される。