ADHDを有する小児は成人期になっても精神疾患のリスクが高い [2013-03-12]
Children with ADHD have increased risk for psychiatric disorders as adults

注意欠陥多動性障害の小児を成人期まで追跡した初めての大規模地域住民対象スタディの結果、ADHDはしばしば消失せずADHDを有する小児は成人期にも他の精神疾患を有する確率が高いことが示された。この結果はPediatricsオンライン版 3月4日号に掲載される。このスタディはADHDと診断された小児367人を含む5,718人の小児を追跡した。この患者群のうち、232人が追跡調査に参加した。約4分の3が小児期にADHD治療を受けた。追跡調査の時点で、ADHDを有していた小児の29%が成人期にも依然としてADHDを有していた。ADHDを有する小児の57%が成人期にも他の精神疾患を少なくとも1つ有しており、それと比較し、小児期ADHDを有さなかった者におけるその割合は35%であった。最も多く認められたのは薬物乱用/依存、反社会性パーソナリティ障害、軽躁エピソード、全般性不安障害および大うつ病であった。成人期にもADHDを有していた者のうち、81%は少なくとも他の精神疾患を1つは有していたのに対し、成人期にはADHDを有さなくなった者におけるその割合は47%であり、小児期ADHDを有さなかった者では35%であった。小児期ADHDを有していた者はまた、成人期に自殺をしたり投獄されたりする確率も高いようであった。             

認知症患者が食習慣を思い出す手助けをすることで身体的精神的健康が改善する [2013-03-12]
Helping dementia patients remember to eat well improves physical and mental health

Journal of Advanced Nursingオンライン版に掲載された新たな解析の結果、認知症患者が適切な食習慣を思い出すのに役立つ方法を組み合わせることにより、彼らの身体的健康が改善し、うつ症状が軽減することが明らかにされた。研究者らは、認知症患者に対して適切な食習慣を思い出す方法を組み合わせることの有効性を調査した。この介入はspaced retrieval(本人が少しの情報を徐々に間隔を広めながら思い出させる一種の記憶力トレーニング)およびモンテッソーリ法に基づく活動(これを介して日常生活に関連した系統立った活動を連続して繰り返し行う)を組み合わせた。25人がspaced retrievalとモンテッソーリ法に基づく活動を計24の固定グループクラスで受けた。38人の参加者らは同じ介入を、各々の学習反応に合わせて受けた。27人のコントロールは通常のケアのみを受けた。うつ病に関する検査、ボディーマスインデックス、および栄養指導を、セッションの前後、および1、3、6か月後に施行した。いずれかの介入を受けた患者では時間とともに栄養状態が改善し、ボディーマスインデックスが上昇した。各参加者の学習効果に基づき調整した介入を受けた者では、うつ病スコアは栄養状態の改善と並行して低下した。

糖尿病と未治療のうつ病を合併する患者は死亡リスクが高い [2013-03-05]
People living with diabetes and untreated depression at increased risk of death

糖尿病を有し未治療のうつ病も合併している人は死亡リスクが高いとの新たなエビデンスレビューが次号のGeneral Hospital Psychiatryに掲載される。糖尿病、高血圧、肥満とうつ病の合併などの肥満関連合併症があると、患者が負のスパイラルに陥るのは非常に一般的にみられることである、と筆者らは述べている。今回のスタディでは、1型または2型糖尿病とうつ病を有する患者42,000人余りの解析を行った。その結果、うつ病は死亡リスクを1.5倍上昇させることが判明した。レビューされたスタディのうち4つにおいて、うつ病が合併すると糖尿病患者の心血管死亡リスクが20%高かった。うつ病は糖尿病の自己管理をより困難にさせ、QOLを低下させるため、うつ病治療を糖尿病の治療戦略全体に含めるべきであると筆者らは提案している。

長年退役軍人と関連付けられてきた疾患が挿管歴のある患者においても3人に1人に認められる [2013-03-05]
Condition that had long been linked to war veterans also found in one in three ventilated patients

集中治療室(ICU)に滞在し人工呼吸器使用を要した人々の3人に1人が、最長2年持続する明らかな心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発現したとのスタディ結果がPsychological Medicineオンライン版に掲載された。研究者らは、急性肺傷害(ALI)のために人工呼吸管理を施行された13のICU患者520人を観察した。53%の患者が生存して退院し、186人がその後2年間の追跡期間中に少なくとも1回はこの研究のために受診した。その結果、186人中66人(35%)が臨床的に有意なPTSD症状を有しており、最も多くの人々が初回の3か月後のフォローアップ受診までに明らかに発症した。PTSDを発症した患者の62%は2年後の受診の際にも依然として症状を有していた。これらの患者群の半数が向精神薬を内服しており、40%はALIで入院してから2年以内に精神科を受診していた。入院前にうつ病を有していた患者はPTSDを発症する確率が2倍であり、ICU滞在時間が長いほど症状を有する確率が高かった。ICU滞在中に敗血症を有していた者、高用量のオピオイド製剤を投与された者はPTSD発症確率も高かった。