人間関係における不安は免疫能を低下させ病気に罹りやすくなる可能性がある [2013-02-26]
Anxiety about relationships may lower immunity and increase vulnerability to illness

親しい人間関係に関する心配や不安は免疫能を損なう慢性のストレス因子として機能するようであるとの新たな研究結果がPsychological Science誌オンライン版に掲載され、印刷版に掲載予定である。研究者らは平均結婚期間12年以上の85カップル(平均年齢39歳)において、愛着不安 の健康への影響を調査した。参加者らはExperiences in Close Relationshipsと呼ばれるアンケートに回答した。彼らはまた全般性不安障害の症状と睡眠の質に関しても報告した。研究者らは彼らの唾液検体を3日間、血液検体を2日間にわたり採取した。愛着不安の強い参加者らはそれが低い参加者らと比較し、コルチゾール分泌が11%多かった。パートナーへの愛着不安が高い参加者はまた、それが低い参加者よりもT細胞が11〜22%少なかった。このスタディにおいては4つのT細胞マーカーが解析された。コルチゾールは免疫抑制効果を有しうるため、T細胞の産生も阻害する可能性がある。過去の研究ではT細胞レベルが減少するとワクチンに対する免疫反応を傷害する可能性があり、またこの細胞レベル低下は免疫系老化の特徴であることが示唆されている。

血小板の微小胞を発達させるのを阻害することは閉経後の記憶障害を軽減させる方法となり得る [2013-02-26]
Preventing platelets from developing microvesicles could be a way to decrease memory problems after menopause

Neurology誌2月13日号に掲載された新たな研究の結果、閉経後女性が記憶障害につながる脳領域傷害のリスクが高く脳卒中のリスクが高い可能性があるかどうかに関する糸口は血液にある可能性があることが示唆された。スタディには最近閉経した95人の女性(平均年齢53歳)が組み入れられた。彼女らはプラセボ、経口ホルモン療法またはホルモン貼付薬を投与された。さらに、スタディ開始時およびその後4年間の間に定期的に脳の磁気共鳴画像(MRI)検査を受けた。血栓形成性微小胞レベルの高い女性は、記憶障害につながる可能性のある白質の高信号部位(MRI画像上濃厚な白色領域として示される)増加量が多かった。全ての女性においてスタディ開始時点で白質の高信号を認めた。この白質高信号量は18か月で平均63mm3、3年で122mm3、4年で155mm3増加した。血小板の微小胞発達を阻害することは脳の白質高信号の増加を抑制でき得る、と筆者らは述べている。

救急治療室の混雑は急性冠症候群による心的外傷後ストレス障害と関連する可能性がある [2013-02-19]
Emergency department crowding may be associated with acute coronary syndrome-induced posttraumatic stress disorder

救急治療室(ED)の混雑は急性冠症候群(ACS)による心的外傷後ストレス障害(PTSD)症状と関連する可能性があるとの研究報告がJAMA Internal Medicineオンライン版2月11日号に掲載された。研究者らは、現在進行中のPrescription Use, Lifestyle, Stress Evaluation(PULSE)スタディの対象患者135人(平均年齢63歳)において、ニューヨーク市内の大規模教育病院のED来院時刻を記録した。ED滞在時間は11時間を超えた。ACS重症度、合併症、患者背景、およびうつ病などのいくつかの因子で補正した結果、EDが混雑するほど1か月後のACSによるPTSD症状は増大した。ED混雑とPTSD症状増大との関連メカニズムは、より混沌とした環境が生命の危機感および統制不能感を増大させ、それが 急激な精神的身体的興奮を増大させる可能性があると筆者らは仮説を立てている。患者の精神的健康に対する医療環境の影響を十分認識する必要がある、と彼らは述べている。 

眼窩上神経に対する電気刺激は片頭痛発現を効果的に減少させる [2013-02-19]
Electrical stimulation to the supraorbital nerve effectively reduces incidence of migraine

神経刺激装置の1日20分の装着は片頭痛患者における新たな治療法となる可能性があるとの研究結果がNeurology®2013年オンライン版2月6日号に掲載された。刺激装置は前頭部に装着され、電気刺激を眼窩上神経に与える。スタディにおいて、1か月平均4回の片頭痛発作を有する患者67人が無治療で1か月追跡された。その後、彼らは20分間の電気刺激またはシャム刺激のいずれかを1日1回3か月間受けた。刺激を受けた患者は3か月目には最初の無治療の1か月間と比較し片頭痛を有する日が減少した。片頭痛を発現した日は月6.9日から4.8日に減少した。シャム治療ではこの数は変化しなかった。スタディではまた、1か月間の片頭痛を有する日数が50%以上減少した者の数を観察した。その人数は電気刺激を受けた患者群では38%であったのと比べてシャム治療群では12%であった。電気刺激による副作用はなかった。

自尊心、楽観主義および認知制御は脳卒中患者およびその介護をする配偶者のうつに影響する [2013-02-12]
Self-esteem, optimism and perceived control influence depression in stroke patients and their spouse caregivers

自尊心、楽観主義および認知制御は脳卒中患者およびその介護をする配偶者−一緒に治療されるべき−のうつに影響するとの研究結果が2013年American Stroke Association's International Stroke Conferenceで発表された。研究者らはうつ病の脳卒中既往者112人およびその配偶者を最長8週間解析した。患者の66%は男性(平均年齢62歳)で、その介護者の66%が女性であった(平均年齢60歳)。彼らは4つの異なる質問表(患者の健康質問表、Rosenberg Self-Esteem Scale、Revised Life Orientation Test、Sense of Control Scale)を用いて、うつ、自尊心、楽観主義および認知制御に関して評価した。その結果、自尊心と楽観主義は各々のパートナーのうつに影響していることが示された。例えば、配偶者が高度の自尊心や楽観主義を有しているとその患者のうつレベルは低かった。脳卒中リハビリテーションにおけるペア間のこの相互依存的な関係は、うつの改善はそれぞれのパートナーの性格に依存する可能性があることを意味する。ヘルスケアプロバイダーは脳卒中既往者およびその介護者を、別々にではなく、ペアとして評価すべきである、と筆者らは述べている。

心疾患は、特に女性において、非健忘型認知機能障害の独立したリスクファクターのようである [2013-02-05]
Cardiac disease appears to be an independent risk factor for non-amnestic cognitive impairment, especially in women

心疾患は、特に女性において、血管性および他の非アルツハイマー型認知症の前兆となり得る非健忘型軽度認知機能障害(naMCI)のリスクを上昇させる可能性があるとの報告がJAMA Neurologyオンライン版に掲載された。研究者らは、参加者2719人(70〜89歳)をスタディ開始時およびその後15か月ごとに神経学的評価や神経心理学的検査を用いて評価した。追跡調査を施行した1,450人のうち、追跡期間中央値4年間に348人がMCIを発症し18人が認知症を発症した。MCIを発症した348人中231人(66.4%)が健忘型軽度認知障害(aMCI、アルツハイマー病による認知症へ進行すると考えられている)を、93人(26.7%)がnaMCIを、さらに24人(6.9%)が未知のサブタイプのMCIであった。男女合わせると心疾患はnaMCIリスク上昇と関連があった(ハザード比、1.77)が、この関連性には男女差があった。性別の心疾患とnaMCIとの関連性は、女性において男性よりも大であった。これらの結果から心疾患は、特に女性において、高齢者の独立した調整可能なリスクファクターであることが示唆された。

ソーシャルメディア使用の解析により患者の心理学的健康の全体像をセラピストに提供し得る [2013-02-05]
Analysis of social media use could give therapists more complete view of patient's psychological health

フェイスブック活動は利用者の心理学的健康への窓となるとのスタディ結果がPsychiatry Research誌に掲載された。研究者らは参加者にフェイスブック活動について印刷するように依頼し、この活動の様子と社会的脱落から奇妙な信念にわたるスキゾティピーを示す程度とを相関付けた。一部の参加者は社会的無快感症、つまり他人との触れ合いや、やり取りなどの日常の楽しい活動から喜びを感じられないこととして知られるスキゾティピー状態の徴候を示した。このスタディにおいて社会的無快感症の人々はフェイスブック上での友人数が少なく、友人との通信頻度が低く写真の共有が少なかった。他のスタディ参加者はフェイスブックのプロファイルの多くの部分を研究者らに見せる前に隠していた。これらの参加者らもまた、本人の世界の変則的な経験である知覚的偏奇、および物理的な原因と結果の関係のないイベントがなぜか因果関係があると信じてしまう幻想的思考などで知られるスキゾティピー症状を示した。フェイスブックの活動を隠すことはまた高レベルの妄想の徴候であった。社会的メディアのプロファイルは患者らの自己申告に関連した問題の一部を取り除くため、より完璧な患者の病像を作成するのに使用できると筆者らは述べている。