BI-RADS 3病変が6か月後に疑わしい変化をする確率が低いことから年1回の経過観察が適切であることが示唆される [2013-08-27]
Low rate of suspicious changes of BI-RADS 3 lesions at 6 months suggests that yearly follow-up may be appropriate

2,600人以上の女性を対象とした多施設画像トライアルのデータに基づき、追加の超音波スクリーニング検査において'良性である可能性が高い'と分類された乳房病変は12か月後(6か月毎ではなく)の画像検査による再評価としてよい可能性があり、患者の不安、フォローアップ検査および不必要な生検を軽減することができると述べられた。このスタディの結果はRadiologyオンライン版に掲載されている。研究者らはトライアルの参加者2,662人の超音波スクリーニング検査の結果およびフォローアップデータを解析した。2,662人の女性のうち519人が計745のBI-RADS 3病変を有し、これは今回のスタディにおいて超音波で検出された病変全体の25%を占めた。6例が悪性であり全体の悪性率は0.8%であった。BI-RADS 3病変において検出されたがんの平均サイズは10mmであった。6か月の追跡期間中に疑わしい変化が認められたのは745のBI-RADS 3病変中、わずか1個であった。12か月後のフォローアップ画像検査の時点で疑わしい病変が別のBI-RADS 3病変内に認められ、乳房外には拡散していない浸潤性乳がんであることが示された。BI-RADS 3病変の低悪性率および6か月後のフォローアップ画像検査における疑わしい変化の確率が低いことから研究者らは、これらの病変に関しては年1回のフォローアップが適切である可能性があると述べている。

腫瘍の計測により進行非小細胞肺がんの生存率が予測できる [2013-08-27]
Tumor measurements predict survival in advanced non-small cell lung cancer

局所進行または転移性肺がん患者の3分の2に関しては、現在、全生存期間を予測するのに腫瘍サイズは使用されていない。British Journal of Cancerに掲載された新たなスタディの結果、進行したステージにおいても全体の腫瘍サイズは生存率に大きな影響を与えることが示された。研究者らは、進行肺がん患者850人の総腫瘍径―これには原発腫瘍のみでなくリンパ節および他部位への転移病変も含まれた―の記録を再検討した。平均の総腫瘍径は7.5cmであった。総腫瘍径が7.5cmを超えた患者の平均生存期間は9.5か月であった。総腫瘍径が7.5cm未満であった患者の平均生存期間は12.6か月であり、生存期間が30%延長した。総腫瘍径をさらに4分位に分類すると、生存期間は8.5か月から13.3か月の範囲となりその差はさらに大となった。これらの差は、年齢、性別、治療の種類などの複数の予後予測因子を解析に含めても依然として認められた。他の集団においても確認されれば、これらの結果は今後の臨床試験や患者の治療に影響を与えるであろう。

肺腺がんの病理における微小乳頭形態は術後のがん再発の予測因子となる可能性がある [2013-08-20]
Micropapillary morphology in lung adenocarcinoma pathology may predict cancer recurrence after surgery

Journal of the National Cancer Instituteに掲載されたスタディの結果、一部の肺がん患者の腫瘍病理の特定のパターンは再発の強力な予測因子であることが示された。研究者らは早期肺腺がんに対し手術を施行された患者734人の臨床的特徴および病理情報をレトロスペクティブに評価し、これらの患者の40%の腫瘍が術後がん再発と強力に関連する異常な細胞パターンを示すことを発見した。小型の早期段階肺腺がんの患者におけるこの分類(微小乳頭[MIP] 形態 )の予後予測に関する有用性を調査したスタディはこれまでにない。この結果、MIPパターンの患者においては、腫瘍を低侵襲な方法で切除し肺機能を温存する縮小手術は術後5年以内の再発リスクが34%であることが明らかとなったため適切でない可能性があることが示唆された。一方、肺葉切除術―腫瘍とともに肺の最大3分の1を切除する標準的な手術法―の術後5年以内の再発率はわずか12%であった。

スタディの結果DNA修復遮断によりT細胞急性リンパ芽球性白血病を治療する方法が提唱された [2013-08-20]
Study suggests way to treat T-cell acute lymphoblastic leukemia by blocking DNA repair

Leukemia誌オンライン版に掲載された新たな研究の結果、ある型の白血病が治療に抵抗するのに働くあるDNA修復複合体の一部を遮断することにより化学療法の奏効率が上昇し生存期間が延長する可能性があることが示唆された。この実験的併用治療戦略―化学療法に加え小分子阻害薬を併用する―は特にT細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)の抑制に対し有効であった。スタディではヒト白血病の実験室内細胞株およびマウスの白血病モデルを使用した。研究者らは、ファンコニ貧血(FA)パスウェイの阻害およびこれとDNA損傷化学療法薬を併用することは有望ながん治療戦略となるとの仮定のもとで研究した。白血病細胞のFA修復パスウェイを阻害するために彼らは、mTOR(哺乳類におけるラパマイシンの標的)と呼ばれる蛋白の阻害を試験した。これはFANCD2―FA修復パスウェイの構成要素―の有意なダウンレギュレーションを引き起こした。科学者らはその後、現在開発段階である3つの新たなmTOR阻害薬(pp242、AZD8055およびINK128)をAraC、エトポシド、およびシスプラチンを用いた化学療法と併用して試験した。mTORと化学療法の併用はmTOR阻害薬または化学療法の単独治療よりもはるかに奏効率が高かった。

高血圧に対する長期のカルシウム拮抗薬の使用は乳がん高リスクと関連する [2013-08-13]
Long-term calcium-channel blocker use for hypertension associated with higher breast cancer risk

高血圧治療のための長期カルシウム拮抗薬の使用は乳がん高リスクと関連するとの報告がJAMA Internal Medicineに掲載された。地域住民を対象としたこのスタディは55〜74歳の女性を組み入れた:うち880人は浸潤性乳管がんを、1027人は浸潤性小葉がんを有し、856人はがんを有さないコントロール群とされた。研究者らは乳がんリスクを計測し最近の降圧剤使用およびその期間を調査した。10年以上カルシウム拮抗薬を現在も内服し続けていることは乳管がん高リスク(オッズ比[OR]、2.4)および小葉がん高リスク(OR、2.6)と関連があった。これらの関連性は使用されるカルシウム拮抗薬の型により大きく異なることはなかった(短時間作用型対長時間作用型またはジヒドロピリジン系対非ジヒドロピリジン系)。他の降圧薬―利尿剤、β遮断薬およびアンジオテンシンU受容体拮抗薬―は乳がんリスク上昇とは関連がなかった。過去にいくつかのスタディにおいてカルシウム拮抗薬の使用と乳がんリスクとの関連性が示唆されたが、特に長期間にわたり現在もカルシウム拮抗薬使用を継続していることが乳がんリスクと関連すると認められたのはこれが初めてである。

大豆蛋白は遺伝子シグナル伝達経路を抑制することにより大腸がんを予防する [2013-08-13]
Soy protein protects against colon cancer by repressing genetic signaling pathway

生涯にわたる大豆イソフラボンゲニステインへの曝露は細胞、ポリープ、および最終的には悪性腫瘍の増殖を加速させるシグナルを抑制することにより大腸がんを予防するとの研究結果がCarcinogenesisに掲載される。科学者らは妊娠中のラットおよびその仔らに大豆蛋白抽出物を含む食事およびゲニステインを含む食事を与えることにより生涯にわたり大豆に曝露させた。第7週齢にラットの仔らは発がん性物質に曝露され、その後も大豆蛋白またはゲニステイン食を13週齢まで食べ続けた。13週後の時点で、継続的なゲニステインに曝露されたラットの大腸前がん病変数は40%減少し、Wntシグナルレベルは正常にまで減少していた。彼らはまたWntシグナルを発がん性物質曝露前後で比較し、いずれかの食事がそのアップレギュレーションに何らかの影響を及ぼしているかを観察した。ゲニステインを食べたラットにおけるシグナリングレベルは発がん性物質を投与されていないラットと同等であった。ゲニステインは3つの遺伝子発現を減少させ、異常細胞増殖やがん発現に関わるこれらのシグナリング過程を抑制した。この結果は大腸がんがエピジェネティックな疾患であることを示している、と筆者らは述べている。

デジタルトモシンセシスは乳がんスクリーニング再検査率を実質的に減少させる [2013-08-06]
Digital tomosynthesis effectively reduces the recall rate in breast cancer screening

デジタルトモシンセシスは乳がんスクリーニングにおける再検査率を低下させる有効な方法であることが明らかにされたとの新たなスタディ結果がRadiologyオンライン版に掲載された。研究者らは2つのグループの女性(従来のデジタルマンモグラフィーのみを受けた群とマンモグラフィーに加えトモシンセシスを受けた群)の乳がんスクリーニング再検査率を比較した。スクリーニングマンモグラフィーを施行された13,158人中6,100人がトモシンセシスを施行された。トモシンセシスを施行された患者におけるがん検出率は1,000人当たり5.7であったのに対し、マンモグラフィー単独を受けた患者では1,000人中5.2であった。総再検査率はマンモグラフィー単独で12.0%であったものがトモシンセシス群で8.4%であり、トモシンセシスを追加することにより30%減少した。トモシンセシス群ではすべての年代群および乳腺密度において再検査リスク軽減が認められた。高密度乳房で50歳未満の女性がトモシンセシスの恩恵を最も受けた。トモシンセシスはデジタルマンモグラフィーと比較し被曝線量が約2倍であり、有意な欠点を有する。しかし、新たな技術により被曝量は減らせると筆者らは述べている。

がんのハイリスクと関連する乳房の異常組織を有する女性に対しては定期的な画像診断と診察で十分な可能性がある [2013-08-06]
Periodic imaging and clinical exam may be sufficient for women with a breast tissue abnormality associated with a higher risk of cancer

がんのハイリスクと関連する特定のタイプの乳房異常組織に関しては必ずしも手術は必要でないとの新たなスタディ結果がRadiologyオンライン版に掲載された。 異型小葉過形成(ALH)および非浸潤性小葉がん(LCIS)は乳房生検において偶発病変として時に認められる異常乳房病変である。ALHまたはLCISを有する女性は乳がん発症リスクが4〜10倍高い。研究者らは10年間の病理および放射線科のデータを調査し、術後または経過観察後にがんに進行したALHおよびLCIS症例数と放射線科医と病理医との一致との関連を調査した。この研究により40〜73歳の女性49人の50症例が検出された。放射線科医と病理医の所見は50件中43件で一致した。良性で一致した症例のうち、がんに進行するものは一例もなく、これらの患者において経過観察は手術の代替療法となり得る手段であることが強力に示唆された。所見が一致しなかった7例のうち、2例は非浸潤性乳管がん(DCIS)に進行した。セカンドラインスクリーニング法としてマンモグラフィーに加えMRIまたは超音波検査を年1回行うことで十分であろう、と研究者らは結論付けている。