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包括的な線量計測により非ホジキンリンパ腫患者の標的放射免疫療法の可能な最適用量が推測できる [2013-06-25] |
Comprehensive dosimetry estimates best possible dose for targeted radioimmunotherapy in patients with non-Hodgkin lymphoma |
最先端3D画像に基づく放射免疫療法(RIT)における吸収線量を正確に見積もることにより、非ホジキンリンパ腫患者の無増悪生存期間を改善するためのより有効な個別治療がもたらされる可能性がある、と2013年Society of Nuclear Medicine and Molecular Imaging年次集会で発表された。このスタディは、放射性医薬品I-131 tositumomabを用いたRIT治療の吸収線量と予後の関連に焦点を当てた。前向き研究の一部として研究者らは、合計で130の腫瘍を有する患者39人の用量評価を行い、彼らの用量反応解析モデルに当てはめた。重要な発見は、有意に高線量(200センチグレイ以上)を照射された患者において無増悪生存期間がはるかに長かったことである。高線量照射患者の無増悪生存期間中央値は13.6か月であったが、照射線量が200センチグレイ未満であった者ではわずか2か月でがんが進行した。吸収線量は治療前の診断的研究から推定することができ、将来の治療プロトコールは腫瘍への照射線量を200センチグレイ以上にするようにカスタマイズすることが可能である。これにより患者の全生存期間の著明な改善が得られる可能性がある、と筆者らは述べている。 |
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パラレルイメージングは進行乳がん患者のリスク層別化および患者管理を改善する [2013-06-25] |
Parallel imaging improves risk stratification and patient management for patients with advanced breast cancer |
進行乳がん患者において陽電子放射断層撮影(PET)および磁気共鳴(MR)画像は、医師らに術前化学療法の有効性を提供することによりQOLおよび生存期間を改善する可能性があるとSociety of Nuclear Medicine and Molecular Imaging 2013年年次集会で発表された。このスタディでは、44人の進行乳がん女性において異なる画像システム−PET、MRおよびCT−を組み合わせて、ネオアジュバント化学療法の経過を図示した。全員が3サイクルの術前補助化学療法およびその後の全身FDG PET/CT、乳房MRおよび遅延PET/CTを計4回(第1クールの化学療法前に1回、第1クール後に1回、第2クール後および術前にそれぞれ1回)施行され、無病生存期間を予測し確認された。術前補助化学療法後のがん無再発期間は、3か月弱から約3年の範囲であり中央値は661日であった。さらに、今回のスタディによりこれらの画像システムを組み合わせることの可能性が示され、これにより代謝および血管灌流画像を用いた融合PET/MR画像が患者に有益性をもたらし得るとのエビデンスが提供される。 |
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DECISION:ソラフェニブはここ40年において治療抵抗性分化型甲状腺がんに対し有効であることが示された初めての薬剤である [2013-06-18] |
DECISION: Sorafenib is first drug in four decades to be shown effective for treatment-resistant differentiated thyroid cancer |
第49回American Society of Clinical Oncology年次集会で報告された第III相試験DECISIONの中間解析の結果、マルチターゲット阻害剤ソラフェニブは、標準的な放射性ヨード療法(RAI)に抵抗性の甲状腺分化がん患者の無増悪生存期間を延長することが示された。ソラフェニブは2つの別々の蛋白(RafキナーゼおよびVEGF受容体キナーゼ)を阻害するマルチターゲット阻害剤である。このスタディにおいて、転移性、RAI抵抗性分化型甲状腺がん患者417人がソラフェニブまたはプラセボを投与される群に無作為に割り付けられた。患者は疾患が進行した際にはソラフェニブ群に切り替えることが許可されていた。無増悪生存期間中央値はソラフェニブ群で10.8か月であり、プラセボ群では5.8か月であった。30%以上の腫瘍縮小が認められたのはソラフェニブ群で12.2%、プラセボ群で0.5%であった。ソラフェニブ群ではさらに42%が6か月以上の病勢安定、病勢コントロール率は54%であったのに対し、プラセボ群の病勢コントロール率は34%であった。全生存期間のデータは完成していない。もし承認されれば、ソラフェニブは分化型甲状腺がんに対しこの40年で初めての新たな有効な薬剤となるであろう。 |
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FIRE-3:転移性大腸がんに対するファーストライン治療としてセツキシマブはベバシズマブよりも優れている [2013-06-18] |
FIRE-3: Cetuximab is superior to bevacizumab as first-line treatment for metastatic colorectal cancer |
第49回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された第III相臨床試験FIRE-3の結果、セツキシマブとFOLFIRI化学療法(葉酸、フルオロウラシル、イリノテカン)併用によるファーストライン治療はベバシズマブとFOLFIRIの併用療法よりも生存期間を約4か月延長することが示された。これらの併用療法はいずれも、KRAS野生型の進行大腸がんに対し現在使用されているが、今回の新たな結果から、ファーストラインとしてFOLFIRIとの併用はセツキシマブの方が選択肢として優れていることが示唆された。今回のスタディにおいて、変異のないKRAS野生型の転移性大腸がん患者592人がファーストライン治療として、FOLFIRIとセツキシマブ併用またはFOLFIRIとベバシズマブ併用群に無作為に割り付けられた。全奏効率はFOLFIRIとセツキシマブ併用群で良好であったが、有意なレベルに到達したのは評価可能な患者においてのみであった。これらの患者(526人)は、ベースライン後に少なくとも1回は画像検査を施行されている必要があった。無増悪期間は2群間でほぼ同等であった(10.0対10.3か月)が、全生存期間はセツキシマブ群(28.7か月)においてベバシズマブ群(25.0か月)よりも明らかに長かった。FOLFOX(葉酸、5フルオロウラシル、オキサリプラチン)とベバシズマブ併用またはセツキシマブ併用の直接比較試験が現在行われている。 |
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GALAXY-1:新たな画期的標的治療薬は進行肺腺がん患者の生存期間を改善する [2013-06-18] |
GALAXY-1: First in class targeted drug improves survival for patients with advanced lung adenocarcinoma |
第49回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された大規模第II相試験GALAXY-1の結果、初回治療後に進行した進行肺腺がん患者のセカンドライン治療において、新たな熱ショック蛋白質90(Hsp90)阻害薬ganetespibとドセタキセルの併用は、標準的なセカンドラインドセタキセル単独療法と比較し、全生存期間が延長することが示された。EGFRやALKなどの肺がんの増殖を促進する多くの蛋白質の形成にはHsp90を必要とする。今年のASCOで報告された252人の患者は、ドセタキセルとganetespib併用またはドセタキセル単独療法を行う群に無作為に割り付けられた。Ganetespib併用群ではドセタキセル単独群と比較し、全生存期間が長かった(9.8か月対7.4か月)。この併用療法は特に進行肺がんの初回診断から6か月以上経過した患者において興味深く、これらの患者群ではganetespibとドセタキセル併用で全生存期間が67%改善した(全生存期間中央値10.7か月対6.4か月)。最近開始された第III相試験GALAXY-2においてこれらの患者群のスタディが現在施行されている。これらの結果が確認されればganetespibはこの条件の患者の予後を改善するここ10年間で初めての治療法となるであろう。 |
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早期スタディの結果、selumetinibは進行ぶどう膜メラノーマに対する初めての有効な治療薬となる可能性があることが示唆された [2013-06-18] |
Early study suggests selumetinib may be the first active drug for treating advanced uveal melanoma |
第49回American Society of Clinical Oncology年次集会で報告された第II相試験の結果、標的治療薬selumetinibが一般的なGnaq/Gna11遺伝子変異を有する眼の進行メラノーマの患者において臨床的に強力な有効性を示すことが明らかにされた。GnaqおよびGna11の変異はがん細胞増殖を促進するMAPKパスウェイを活性化する。これらの変異はこの疾患患者の85%以上において発現する。Selumetinib はMAPKパスウェイの重要な構成要素であるMEK蛋白質を阻害する。今回のスタディにおいて、転移性ぶどう膜メラノーマ患者98人がselumetinib(48人)またはテモゾロミド(50人)投与群に無作為に割り付けられた。テモゾロミド治療で悪化した患者はselumetinibに切り替えることが許可された。Selumetinib群では50%の患者において腫瘍が縮小し、15%で腫瘍が著明に縮小した。テモゾロミド群では有意な縮小に達した者はいなかった。無増悪期間中央値はselumetinib群において15.9週であったのに対し、テモゾロミド群では7週であった。全生存期間に関してselumetinibの有害作用はなく、生存期間中央値はselumetinib群で10.8か月、テモゾロミド群では9.4か月であった。この臨床試験は、転移性ぶどう膜メラノーマ患者の治療成績が薬物により改善することを認めた初めてのものである。 |
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RTOG 0825:新たに診断された神経膠芽腫に対する標準的な化学療法にベバシズマブを併用しても延命効果は認められなかった [2013-06-18] |
RTOG 0825: No survival benefit to adding bevacizumab to standard chemoradiation for newly diagnosed glioblastoma |
神経膠芽腫患者における第III相試験の結果、ベバシズマブはファーストライン治療として使用されるべきではないことが示唆された。ベバシズマブとテモゾロミド併用で治療された患者はテモゾロミド単独で治療された患者よりも副作用が多く、全生存期間は改善しなかった。この多施設臨床試験において、新たに診断された神経膠芽腫患者637人が化学放射線療法(テモゾロミドと放射線療法)にプラセボを追加する群または化学放射線療法にベバシズマブを追加する群に無作為に割り付けられた。全ての患者が化学放射線療法を開始する前に手術を施行された。全生存期間中央値は、両群間で統計的な差はなかった(プラセボ群16.1か月対ベバシズマブ群15.7か月)。無増悪進行期間中央値はプラセボ群と比較しベバシズマブ群で長かった(10.7か月対7.3か月)が、この差はこのスタディで規定された事前設定レベルには達しなかった。分子マーカー(MGMTメチル化状況および9つの遺伝子発現様式)に基づくサブグループ解析の結果、ベバシズマブを用いることにより生存期間が延長するサブグループは認められなかった。第49回American Society of Clinical Oncology年次集会プレナリーセッションで発表されたこの結果から、ベバシズマブはこれらの神経膠芽腫患者に対するファーストライン治療の一部としては使用すべきでないことが示唆された。 |
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治験薬の抗PD-1抗体薬nivolumabは進行メラノーマ患者において強力な抗がん作用を有することが示された [2013-06-18] |
Investigational anti-PD-1 antibody nivolumab shows strong anti-cancer activity in patients with advanced melanoma |
Nivolumabの長期拡大第I相試験の結果から、この新たな免疫療法は標準的な全身療法にもかかわらず進行した進行メラノーマ患者において単剤使用薬として非常に有効であることが示された。腫瘍縮小率および全生存期間中央値は、この条件下における過去の免疫療法薬のデータと比較し著明に改善した。今回のスタディにおいて、107人の患者が5つの異なる用量のnivolumabで治療された。全ての患者が過去の標準全身治療にもかかわらず疾患が悪化していた−25%は過去に3回以上の治療歴があり、63%は2回以上の治療歴があった。全体で、107人中33人(31%)において腫瘍が30%以上縮小し、いずれの用量でも奏効が認められた。推定2年生存率は43%であった。全ての用量での全生存期間中央値は16.8か月であった;その後の臨床試験で選択された用量では20.3か月であった。今回は初期臨床データであるが、結果は顕著であり、全生存期間中央値はごく最近承認されたメラノーマ治療薬で認められたよりも長かった。これらの結果を確認する第III相試験が現在進行中である。この研究結果は第49回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。 |
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aTTomスタディ:ER陽性乳がん再発および死亡に関して10年間のタモキシフェン療法は5年間の治療よりも優れている [2013-06-11] |
aTTom study: Ten years of tamoxifen is superior to five in reducing ER-positive breast cancer recurrence and death |
第49回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された英国aTTomスタディの結果、ER陽性(ER+)乳がん女性において10年間のタモキシフェンを用いた術後補助療法は、現在の標準的な5年のみのタモキシフェン治療に比べ乳がん遅発性再発および死亡の予防効果が高いことが報告された。タモキシフェンを5年間内服した英国女性(6,953人)がさらに5年間のタモキシフェン治療を継続する群または即中止する群にランダムに割り付けられた。ランダム化後10年以上(一部の女性は20年もの長期間)追跡された女性5,000人において、乳がん再発は10年間療法群において5年間療法群よりも少なかった(16.7%対19.3%)。診断後5〜9年間の再発率および死亡率は治療群間で差がほとんどなかった。しかしその後(つまり診断10年後以降)、タモキシフェン治療継続群は5年で治療を中止した群に比べ、再発率が25%低く乳がん死亡率が23%低かった。これらの結果は、最近雑誌に掲載された国際スタディATLASを捕捉し確証するものである。 |
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有効で手軽な価格の子宮頸がんスクリーニング法が低所得国の何千人もの女性の命を救うことが期待される [2013-06-11] |
Effective, affordable cervical cancer screening strategy promises to save thousands of women's lives in low-income countries |
第49回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された大規模ランダム化トライアルの結果、訓練されたプライマリヘルスケア職員が行う酢酸(VIA、つまり酢)を用いた目視検査による隔年スクリーニングが有効であり大規模な実施が可能であることが示された。がんの既往のないインドの女性(35〜64歳)がVIAを用いた隔年スクリーニング(75,360人)またはスクリーニングなし(76,178人)にランダムに割り付けられた。コントロール群は組み入れ時に一通りのがん教育を受け、スタディ期間中に子宮頸がんの徴候や症状が何かあれば報告するように指示された。スクリーニング群は4回のVIAスクリーニングと24か月間隔のがん教育を受けた。浸潤性子宮頸がんの発生率は両群間で差はなく(スクリーニング群100,000人当たり26.7人、コントロール群100,000人当たり27.5人)、スクリーニングにより過剰診断に結びつくことはないことが示唆された。VIAを用いたスクリーニングにより、子宮頸がん特異的死亡率が31%低下した(100,000人当たりそれぞれ11.1人および16.2人)。このスクリーニング法により、インドにおいて毎年22,000件の子宮頸がん死を防ぐことができ、世界中の資源の乏しい国では73,000件近いであろう、と研究者らは推定している。 |
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化学療法にベバシズマブを併用することにより転移性または再発性子宮頸がんの女性の生存期間が改善する [2013-06-11] |
Adding bevacizumab to chemotherapy improves survival for women with metastatic or relapsed cervical cancer |
第49回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された第III相ランダム化スタディの結果、標準的な化学療法にベバシズマブを併用することにより転移性または再発性子宮頸がんの女性の生存期間が改善したことが報告された。これらの患者集団において生物学的製剤が生存期間を有意に延長したのはこれが初めてである。今回の4群の臨床試験において、再発性転移性子宮頚がんの女性452人が従来通りの化学療法のみまたは化学療法にベバシズマブを併用する治療群にランダムに割り付けられた。検証された2つの化学療法レジメンは、シスプラチンとパクリタキセルの併用およびトポテカンとパクリタキセルの併用であった。これらの2つのレジメンを比較し、これらの患者群における標準的な化学療法であるシスプラチンよりもトポテカンがより有益であるかどうかを調べた。その結果、これら2つの化学療法群で生存期間に有意差はなかった。全体的に見て、ベバシズマブと化学療法を併用された患者の生存期間中央値は17.0か月であったのに対し化学療法のみを施行された患者では13.3か月であった。腫瘍縮小率はベバシズマブ投与群で高く(48%対36%)、奏効は長く持続した。さらに、ベバシズマブに関連した生存期間に関する有益性はQOL低下の代償として得られるものではなかった。 |
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進行卵巣がんを有する女性におけるパゾパニブを用いた維持療法は再発を遅延させる [2013-06-11] |
Maintenance therapy with pazopanib delays relapse in women with advanced ovarian cancer |
進行卵巣がん女性を対象とした第III相臨床試験の結果、初回の化学療法が奏効した後の経口分子標的薬パゾパニブによる治療はプラセボと比較し無病生存期間を平均5.6か月延長させたことが示された。パゾパニブは経口薬で、血管新生に関わるいくつかの標的を遮断する。今回のスタディにおいてstage III/IVの卵巣がん、卵管がん、および原発性腹膜がん患者をパゾパニブまたはプラセボを毎日24か月間内服する群にランダムに割り付けた。全ての患者はすでに手術を受け、5サイクル以上の化学療法が奏効し疾患の増悪が予防されていた。患者は平均24か月間追跡された。パゾパニブ群とプラセボ群における無増悪生存期間中央値は、それぞれ17.9か月および12.3か月であった。初回の手術および化学療法による治療が奏効したにもかかわらず、進行卵巣がん患者の70%が再発を経験し、半数は1年以内である。再発した際に、患者は強力な治療を受けなくてはならない。現時点で患者の再発リスクを予測する検査はなく、従って今回のような維持療法が多くの患者において行われるであろう。このスタディ結果は第49回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された。 |
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Ipilimumab にGM-CSFを併用することにより転移性メラノーマ患者の生存率が改善する [2013-06-11] |
Adding GM-CSF to ipilimumab significantly improves survival in patients with metastatic melanoma |
第49回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された第U相試験の結果、遺伝子組換え型顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF, sargramostim)を高用量ipilimumabに併用することにより転移性メラノーマ患者の生存期間が延長することが示された。IpilimumabもGM-CSFも免疫系に働きかけることで作用する。Ipilimumabは免疫T細胞を不活化状態に維持する蛋白CTLA-4を標的とする。GM-CSFは一般的に化学療法または幹細胞移植後に白血球数を増加させるために使用される増殖因子である。今回のスタディでは過去に治療を多くて1回施行された転移性メラノーマ患者245人が、ipilimumabとGM-CSFの併用またはipilimumab(10mg/kgの用量)のみを投与される群にランダムに割り付けられた。腫瘍縮小率は両群で同等であった(11〜14%)が、全生存期間は併用群で長かった:治療開始後1年の時点での生存率は併用群で68.9%であったのに対し、ipilimumab単独群では52.9%であった。死亡リスクは併用群でipilimumab単独群よりも35%低かった。さらに、併用療法の方がipilimumab単独治療よりも重篤な副作用が少なかった。 |
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2つの一般的な術後補助化学療法レジメンは有効性では同等であるが副作用では差があった [2013-06-11] |
Two common adjuvant chemotherapy regimens have comparable efficacy but differ in side effects |
第49回American Society of Clinical Oncology年次集会で発表された第III相試験の結果、外科手術を施行された高リスクの早期乳がんに対する週1回低用量パクリタキセル術後補助化学療法は、標準用量の2週間に1回のレジメンと有効性は同等であったが副作用はかなり少なかったことが報告された。リンパ節転移陽性またはリンパ節転移陰性高リスクで手術可能な患者が、まずドキソルビシンおよびシクロホスファミドの異なる3つのレジメンのうちの1つを受けその後にパクリタキセルを用いた2つの異なるレジメンのいずれかをランダムに施行された。パクリタキセルのレジメンは標準用量投与をpegfilgrastim(遺伝子組換え型顆粒球コロニー刺激因子)のサポートを用いながら12週間にわたり2週間に1回施行する群か、または毎週1回の低用量投与を12週間行う群のいずれかであった。推定5年無増悪生存期間は週1回と2週間に1回のパクリタキセル群とで同等であった(それぞれ82%および81%)。これらの2つの投与計画は副作用の種類および重症度の点で異なっていた:2週に1回の投与スケジュールでは週1回投与よりもアレルギー反応(1.4%対0.6%)、筋および骨痛(11%対3%)が多かった。神経毒性の頻度もまた2週に1回の群で多かった(17%対10%)。 |
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Stage III非小細胞肺がん患者に対する標準線量の放射線療法は高線量よりもより安全で有効である [2013-06-04] |
Standard-dose radiation is safer and more effective than high-dose for patients with stage III non-small cell lung cancer |
第49回ASCO年次集会で発表された第III相試験の結果、stage III非小細胞肺がん患者に対する標準線量(SD:60 Gy)の放射線療法は高線量(HD:74 Gy)よりも治療の有効性および生存期間両者の観点から優れていることが示された。研究者らは464人の患者を標準的な化学療法(パクリタキセルとカルボプラチン)にSDまたはHDによる放射線治療を併用する群に無作為に割り付けた。生存期間中央値はSD放射線療法を施行された患者においてHD放射線療法群患者よりもはるかに長く(28.7か月対19.5か月)、推定18か月全生存率もまたSD群で高かった(66.9%対53.9%)。18か月時点でのがん再発率はHD群においてSDと比較し高かった(局所再発率34.3%対25.1%、遠隔再発率44%対35.3%)。ほとんどの患者の主要死因は肺がんであったが、治療関連死数はHD群(10)でSD群(2)よりも著明に多かった。この患者集団におけるHD治療は第I相や第II相臨床試験では有望に思えたが、今回のスタディではそうではないことを明確に示している。 |
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Stage Iセミノーマの男性に対する術後化学療法または放射線療法の追加は不要である [2013-06-04] |
Additional chemotherapy or radiation therapy not needed following surgery for men with stage I seminoma |
一般的な精巣がんであるセミノーマのstage I男性に関する長期スタディの結果、がんに対する手術が成功した男性のほとんどにおいては、化学療法または放射線療法の追加よりむしろがん再発のサーベイランスで十分であることが示唆された。サーベイランスには5年間の定期的な診察、胸部X線検査、CTスキャンおよび血液検査が課せられた。デンマークにおける国内臨床データベースを用いて研究者らは、5年間のサーベイランスプログラムで追跡されたstage Iセミノーマ患者1,822人を同定した。患者の記録と国内登録とを関連付けることにより、患者を期間中央値15.4年間追跡することができた。全ての患者が原発がんを治療するために初回手術を受けた。全体で1,822人中355人(19.5%)が再発し、放射線療法(216人)、化学療法(136人)または手術(3人)による治療を受けた。10年がん特異的生存率は99.6%であった。腫瘍サイズが1.5インチを超えていること、血液またはリンパ管への拡散、および血液マーカーであるヒト絨毛性ゴナドトロピン上昇が再発リスクを増加させた。これらの因子は過去の小規模スタディにおいて高リスク患者と関連していた。このスタディは第49回ASCO年次集会で発表された。 |
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