中年男性の心肺フィットネスはその後の人生におけるがん発症およびがん死を予防する [2013-05-28]
Men's cardiopulmonary fitness in middle age protects against developing and dying from cancer later in life

第49回ASCO年次集会で、17,000人余りの男性を対象とした20年間の追跡調査の結果から、中年男性の心肺フィットネスはその後の人生における肺がんおよび大腸がんの発症やがん死亡を予防することが分かった。スタディでは、専門的な予防検診の一部として単回の心血管フィットネス評価を施行された男性17,049人(平均年齢50歳)を対象とした。参加者は彼らの心肺フィットネス度の成績に従って、5分位に分類された。追跡期間中央値20〜25年の間に、2,332人が前立腺がん、276人が大腸がん、277人が肺がんと診断された。がんによる死亡は347例であり、心血管疾患死は159例であった。肺がんまたは大腸がんと診断されるリスクは、最もフィットネス度の高い男性において最もフィットネス度の低い男性に比べ、それぞれ68%および38%低いことが示された。フィットネス度は前立腺がんリスクには影響しなかった。フィットネス度が少し改善するだけでも生存率には有意な差があった−がんによる死亡および心血管疾患のリスクがそれぞれ14%および23%低下した。心肺フィットネス度が低いと、肥満がなくてもリスクが高かった。

進行したメラノーマ、肺、腎、大腸および胃がんに対する抗PD-L1抗体薬の抗がん作用は有望である [2013-05-28]
Anti-PD-L1 drug shows promising anti-cancer effects in advanced melanoma, lung, kidney, colorectal and stomach cancers

第49回ASCO年次集会で発表されるPD-L1標的抗体MPDL3280Aの第1相試験の結果、進行メラノーマおよび非小細胞肺がん、腎細胞がん、大腸がんおよび胃がんの患者の21%における腫瘍が縮小したことが分かった。全体で140人中29人(21%)の患者において腫瘍が有意に縮小し、また治療奏効数が最も高かったのは肺がんおよびメラノーマの患者であった。3〜15か月の治療に参加中の29人中26人において、治療は現在も奏効を維持している。この新薬は安全であり効果は持続性で、ほぼ全てが奏効を維持している。何人かの患者では治療開始後数日以内に腫瘍の縮小を認めた。重要なことに、多くの患者が酸素吸入を必要としなくなったり疼痛コントロールのための麻薬性鎮痛薬の必要が減ったりという、がんに関連した症状の改善を報告した。このスタディはさらに広範囲の固形がんおよび血液がんに範囲を拡大し、現在275人を超える患者が組み入れられている。これらの早期データは有望であるが、この結果を確認するには無作為化試験が必要である。

精巣がんを上昇させる4つの新たな遺伝子多型が同定された [2013-05-21]
Researchers identify four new genetic variants associated with an increased risk of testicular cancer

精巣がんを上昇させる4つの新たな遺伝子多型が同定されたとの、この種で初めてのメタ解析がNature Geneticsオンライン版に掲載された。3つのゲノムワイド関連スタディを動員して、研究者らは精巣がん患者931人およびコントロール1,975人を解析し、その結果をさらに精巣がん男性3,211人およびコントロール7,591人において確認した。スタディの結果、精巣胚細胞腫瘍のリスクは4つの遺伝子座−4q22、7q22、16q22.3および17q22−と関連があった。これらの遺伝子座のいずれも他のがんでは同定されていなかった。さらに、これらの遺伝子座は、乳がんや前立腺がんなどの他の一般的ながんに対し同定された大多数の遺伝子座よりもリスクを上昇させる。これらの遺伝子多型の発見は、最終的に、研究者らがどの男性が精巣がんの高リスクであるかをより判断する助けとなり、早期発見や予防を可能にさせる。研究者らはまた、がんのリスク上昇と関連する遺伝子多型が染色体分配に関与する遺伝子とどの程度同じ遺伝子であるかについても解説した。これらの遺伝子多型はまた、胚細胞の発育に重要な遺伝子の近くで発見された。これらのデータは、精巣がんが胚細胞発育および成熟の障害であるとの観念を強く支持するものである。

胸部血管内ステントグラフトは大動脈浸潤腫瘍切除術の際の心肺バイパスの必要性を除去する [2013-05-21]
Endovascular thoracic stent-grafts eliminate need for heart-lung bypass during surgery to remove tumors invading the aorta

大動脈内にステントを留置することによりその後の腫瘍除去が容易になり心肺バイパスの必要性が除去されたと第93回AATS年次集会Emerging Technology and Techniques Forumで発表された。胸部血管内ステントグラフト使用は大動脈瘤、解離、外傷、および大動脈破裂において適応とされている。しかし世界中において、大動脈に浸潤した腫瘍除去に役立てるのにこの人工血管は逸話的に使用されてきたのみであった。今回のスタディにおいて大動脈に腫瘍が浸潤した5人の患者が腫瘍切除1〜9日前に大動脈エンドグラフトを留置された。3人の患者は非小細胞肺がんを有し2人は肉腫を有していた。ステントグラフトの近位部断端は大動脈弓または下降大動脈に留置した。腫瘍は全ての患者において一塊として切除され、5人中4人においては胸壁および椎骨の切除も行われた。9〜62か月後に全ての患者が生存しており再発もなかった。エンドグラフトに関連した合併症は認められなかった。大動脈エンドグラフトの適応は特定のがん症例に拡大できうると筆者らは述べている。

肺がんの新規病変または再発検出にあたり最小線量CTは従来の胸部X線撮影よりも優れている [2013-05-14]
Minimal dose CT superior to conventional chest X-ray for detection of new or recurrent lung cancer

第93回American Association of Thoracic Surgery年次集会で発表されたスタディの結果、肺がんの新規または再発病変検出にあたり、胸部の最小線量コンピュータ断層撮影(MnDCT)は従来の胸部X線撮影と同線量で感度ははるかに高いことが示された。スタディでは治療的切除術を施行された肺がん(stage Iが80%、stage IIが12.5%)患者271人を追跡した。標準的な胸部X線およびMnDCTを用いて追跡画像検査を3、6、12、18、24、36、48および60か月後に繰り返し施行した。その結果、MnDCTでは94%のがん再発を検出したのに対し、標準的なX線撮影ではわずか21%であった(P <0.0001)。重要なことに、肺がんの再発は非常に早期段階で発見され、それにより患者らは治癒的手術を再度受けることができた。無症状の新規または再発がんの検出により75.5%の患者はさらに手術または放射線療法を受け、その他の患者は緩和治療を勧められた。生存期間は治療群において緩和治療群よりも有意に長かった(69か月対15か月、P <0.0001)。MnDCTは偽陽性率が高く、この制約は追跡期間中の臨床判断を行う際に考慮すべきである。

術前補助化学療法に対するリンパ節の反応が良好であることが乳がんに対する外科的処置の変更につながる可能性がある [2013-05-14]
Favorable lymph node response to neoadjuvant chemotherapy may prompt shift in surgical approach to breast cancer

第14回American Society of Breast Surgeons年次集会で発表された研究の結果、乳がんがリンパ節に転移した患者において術前補助化学療法への反応が良好であることは新たな外科的処置が妥当となる可能性のあることが示された。このスタディでは浸潤性乳がんを有し術前補助化学療法を施行された患者の後ろ向きレビューのデータを使用した。全体で、50人の患者が術前補助化学療法を施行される前に腋窩リンパ節に転移を有していることが明らかにされた。これらの患者のうち46%が化学療法により完全奏効した。化学療法に対する奏効率が良好なことに関して異なるホルモン受容体サブタイプ間で統計学的有意差はなかったが、Her2群では75%であり、より奏効率の高い傾向を認めた。他の群−luminal A、luminal B、basal-like−の奏効率はそれぞれ、41%、37.5%および42%であった。これらのデータから、術前補助化学療法により完全奏効を得られる患者を同定するためにセンチネルリンパ節生検を代わりに用いれば、腋窩リンパ節転移陽性患者のかなりの者が腋窩リンパ節完全切除術に関連した合併症を免れることができる可能性のあることが示唆される。

化学放射線療法後の手術により肺がん患者の生存率が改善する [2013-05-07]
Chemotherapy and radiation followed by surgery improves survival in lung cancer patients

その種で最大の観察研究の1つにおいて、stageV非小細胞肺がん患者における化学放射線併用療法後の手術により生存率が改善することが報告された。Journal of Thoracic Oncologyオンライン版に掲載されたこのスタディでは、全生存期間に関して最善の選択肢を同定するために様々な治療戦略を調査した。研究者らは、stageV非小細胞肺がんの治療を受けた19歳以上の成人患者11,242人を抽出した。この型の肺がんに対し使用された治療戦略は化学療法、化学放射線療法後手術、および手術後化学療法であった。5年全生存率は化学放射線療法後に肺葉切除を施行された患者で34%、手術後に補助化学療法を施行された患者で20%、化学放射線療法のみで手術を施行されなかった患者で13%であった。さらに前向き研究を行い手術前の化学放射線療法の有益性を確認しstageV非小細胞肺がん患者の標準治療を定義付けることが必要である、と研究者らは述べている。

びまん性低グレード神経膠腫において発見された異常な突然変異は小児脳腫瘍の診断および治療に役立つ可能性がある [2013-05-07]
Unusual mutation found in diffuse low-grade gliomas may help diagnose and treat pediatric brain cancer

低グレードの型ではあるが時に致死的な小児の脳腫瘍が多くの症例において異常な突然変異を有しており、これが腫瘍の分類、診断および治療に役立つ可能性があるとProceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)オンライン版に掲載された。研究者らは、腫瘍塊がなく脳全体に拡がるためにびまん性低グレード神経膠腫と呼ばれる脳腫瘍に焦点を当てた。結果的に、びまん性神経膠腫はしばしば術後再発し非びまん性低グレード腫瘍よりも致死的な神経膠芽腫に進行しやすい。研究者らは45の組織検体のDNAを解析し、腫瘍ゲノム内DNAコードの過剰または欠失コピーにより引き起こされる変異を検索した。1つの変異が際立った:腫瘍の悪性度の観点からgradeUに分類されるびまん性腫瘍の30%近くにおいて、他の遺伝子調節に重要な転写因子であるMYBL1と呼ばれる遺伝子が再配列されその遺伝情報の一部が欠落していた。科学者らはさらにマウスにおいて変異MYBL1が腫瘍を発現させ得ることを示した。これまでにMYBL1ががんを引き起こすことは知られていなかったが、密接に関連のある遺伝子MYBは最古の"がん原遺伝子"の1つである。