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高リスク前立腺がんに対するホルモン療法の期間は治療の有効性を損なうことなく短縮することが可能である [2013-02-26] |
Duration of hormone therapy for high-risk prostate cancer can shorten without compromising treatment efficacy |
Genitourinary Cancers Symposiumで発表された前向き無作為化臨床試験の結果、放射線療法と36か月または18か月のアンドロゲン遮断療法を施行された高リスク前立腺がん男性の生存率は同等であることが示された。この第III相スタディにおいて、リンパ節転移陰性の高リスク前立腺がん患者630人は、骨盤および前立腺放射線療法前、中、後に36か月または18か月のアンドロゲン遮断療法(ビカルタミドおよびゴセレリン)を施行する群に無作為に割り付けられた。追跡期間中央値77か月の時点で生存していた患者はこれら2群間で差がなかった−36か月群で77.1%であり18か月群で76.2%であった。5年および10年全生存率についてもまた、36か月群と18か月群とで同等であった−これらの2群でそれぞれ92.1%対86.8%、および63.6%対63.2%であった。がん特異的生存率を評価した結果、アンドロゲン遮断療法期間を半減しても前立腺がんによる死亡確率に影響しないことが示された(10年疾患特異的生存率は両群ともに87.2%であった)。この結果は、アンドロゲン遮断療法の標準コースである24〜36か月は、短縮しても安全であり、生存を脅かすことなく副作用や患者や社会の経費を軽減する可能性があることを意味している。 |
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大規模地域住民を対象としたスタディの結果、経過観察は腎小腫瘍を有する高齢患者において安全な手術の代替療法であることが示唆された [2013-02-26] |
Large population-based study suggests surveillance is safe alternative to surgery for older patients with small kidney tumors |
Genitourinary Cancers Symposiumで研究者らは、腎臓の小腫瘤と診断された患者の大規模レトロスペクティブ解析の結果から、経過観察をされた場合と腫瘤を外科的に切除された場合とで腎がん関連死は同等であることを示した。このスタディにおいて研究者らは、腎小腫瘤と診断された66歳以上の患者に対するUSメディケア請求とリンクしたSEER登録データを解析した。8,317人中5,706人(70%)が手術を施行され、2,611人(31%)は経過観察された。追跡期間中央値4.8年の総死亡数は2,078人(25%)であり、腎がんで死亡した患者は277人(3%)であった。腎がん関連死亡率は手術を施行された患者と経過観察された患者とで同等であった。経過観察はまた、全ての原因による死亡のリスクおよび、慢性心不全、虚血性脳卒中、および血管疾患などの心血管イベントリスクが低いことと関連があった。この結果から、MRI、超音波検査、CTなどの画像による経過観察は高齢者の腎小腫瘤の管理として安全な選択肢であることが示唆された。 |
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拡散異常指標は放射線療法に対する脳腫瘍の反応を示す画像バイオマーカーとなりうる [2013-02-19] |
Diffusion abnormality index provides potential imaging biomarker to indicate brain tumor response to radiation therapy |
拡散異常指標(DAI)は脳腫瘍の放射線療法に対する反応を計測する画像バイオマーカーとして有望であることが示されたとの研究結果が2013年Cancer Imaging and Radiation Therapy Symposiumで発表された。脳腫瘍の放射線療法に対する反応の早期予測は、各々の病変に対して適切な放射線量を照射するために極めて重要である。このスタディでは脳転移を有し全脳照射療法で治療を受けた患者20人を対象とした。脳腫瘍患者の計45病変がさらに16の反応性病変、18の安定病変および11の進行性病変に分類された。放射線療法前(pre-RT)から治療開始後2週間にかけての脳転移のみかけの拡散係数(ADC)の複雑な動態を解析し、研究者らは治療後腫瘍反応の予測に対する新たな拡散指標DAIを開発した。このDAIにはADCが低くも高くも寄与した。pre-Tから2週間後のDAI低下割合は反応性腫瘍において安定または進行性の腫瘍よりも有意に大であった(P <0.0009)。2週間後のDAIの変化は腫瘍体積の増加よりもRT後反応を予測する有意に優れた予測因子であり(P <0.01)、体積変化より前に生理的変化が生じていることが示唆された。この変化は治療後の無反応病変を予測する上で有用性が高かった。 |
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腫瘍のCTテクスチャ解析は限局性食道がんの有用なバイオマーカーである可能性がある [2013-02-19] |
CT texture analysis of tumors may be a valuable biomarker in localized esophageal cancer |
原発腫瘍のCTテクスチャ解析は、ネオアジュバント化学療法後の限局性食道がんの画像バイオマーカーとなり得るとの研究結果が2013年Cancer Imaging and Radiation Therapy Symposiumで発表された。CTスキャンのテクスチャ解析は、肉眼では見えない細部を増強するプロプリエタリー(著作権のある)ソフトウエアを用いた後処理法である。今回のスタディでは、限局性の切除可能な食道がんに対しネオアジュバント化学療法を施行された患者31人(年齢中央値63歳)のスタディ開始時および治療後のCTスキャンにおける腫瘍のテクスチャ解析を評価した。全ての患者がプラチナ製剤およびフルオロウラシルを基本とした化学療法施行後に手術を受けた。異なる空間幅(1.0[細かい]、1.5〜2.0[中等度]および2.5[粗い])の構造を強調するために、4つのフィルター値に関してテクスチャパラメータ(平均灰白色レベル強度[MGI]、エントロピー、均一性、尖度、歪度 およびヒストグラムの標準偏差)が得られた。追跡期間中央値は21.9か月であった。原発腫瘍は化学療法後にはより均質になり、エントロピーは減少し、均一性は増加した。化学療法後の歪度の変化が小さいことは有意な予後規定因子であった−全生存期間中央値は36.1か月対11.1か月であった。ベースラインのエントロピーが低く治療後MGIが低いと生存期間は良好であったが統計学的には傾向が認められるのみであった。 |
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S-1による術後補助化学療法は膵がん患者の生存率を改善する [2013-02-05] |
Adjuvant S-1 chemotherapy improves survival for patients with pancreatic cancer |
第10回Gastrointestinal Cancers Symposiumで発表されたステージI-III日本人膵がん患者を対象とした第III相試験の結果、S-1を用いた術後補助化学療法は標準的な術後薬物治療薬ゲムシタビンによる治療と比較し、全生存率を実質的に上昇させることが示された。研究者らは385人の患者をゲムシタビンまたはS-1を用いた術後化学療法群に無作為化した。トライアルの中間解析の結果、S-1を投与された患者はゲムシタビンを投与された患者よりも死亡リスクが44%低いことが示された。S-1およびゲムシタビンの2年生存率はそれぞれ70%および53%であった。2年無再発生存率はS-1とゲムシタビンでそれぞれ49%および29%であった。S-1の忍容性は良好であり、70%超の患者が治療を完遂した。過去のスタディから、手術不能のアジア人患者においてはS-1による治療成績はゲムシタビンのそれと同等であり、白人患者においてはS-1は有害な副作用がより多く認められることが示唆された。これらの中間解析の結果に基づき、このトライアルを監視している安全および有効性委員会は、S-1を膵がん患者に対する術後補助化学療法の新しい標準薬として承認するのを早めるために、今回の結果を早期に報告するよう勧告した。 |
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転移性または再発性GISTに対するイマチニブ治療後の手術は生存率を改善する [2013-02-05] |
Surgery after imatinib therapy improves survival for metastatic or recurrent GIST |
第10回Gastrointestinal Cancers Symposiumにおいて報告された新たな後ろ向き研究の結果、イマチニブ治療後の残存腫瘍の切除術を施行されたGIST患者はイマチニブ療法のみを施行された場合と比較し、全生存期間および無増悪生存期間が有意に良好であることが示された。スタディには転移性または再発性消化管間質腫瘍(GIST)をイマチニブのみで治療された患者(92人)およびイマチニブに加え残存腫瘍病変切除術を施行された患者(42人)が含まれた。無増悪生存期間はイマチニブ群とイマチニブと手術併用群とでそれぞれ42.8か月および87.7か月であった。全生存期間もまた手術群で有意に良好であり、イマチニブと手術を併用された群で死亡リスクが5.5倍低かった。最初の腫瘍量が少ないと全生存期間が長いことも確認された。最初の腫瘍量が少ないこと、女性、およびKIT遺伝子のある特定の変異は疾患の進行が遅いことと関連があった。KIT変異を有する患者は一般的にイマチニブ治療の有効性が高かった。 |
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