急性冠症候群で受診する男性よりも女性の方が急性狭心症は一般的に認めにくい [2013-09-24]
Acute angina less common in women than men who present with acute coronary syndromes

急性冠症候群(ACS)において胸痛を有さない確率は55歳以下の女性の方が55歳以下の男性よりも多いが、男女ともに狭心症は最も一般的な症状であるとのスタディ結果がJAMA Internal Medicineに掲載された。スタディではACSで入院し、性別および心血管疾患のスタディに登録された患者1,015人(女性30%、年齢中央値49歳)を対象とした。その結果、男女とも80%において狭心症が受診時の症状であったが、狭心症を有さないのは男性より女性に多かった(19%対13.7%)。胸痛を有さない若年女性は、胸痛を有する女性よりも一般的に症状が少なく(症状数3.5対5.8)、男性においても同様であった(2.2対4.7)。男女における最も一般的な非狭心症症状は脱力感、灼熱感、息切れ、冷汗および左腕や左肩の痛みであった。しかし、狭心症のない女性は狭心症のない男性よりも症状が多かった。胸痛のない患者は胸痛を有する者とACSのタイプ、トロポニン上昇レベルまたは冠動脈狭窄において違いはなかったことをスタディでは指摘している。

小児期に血圧値が高いと成人期の高血圧のリスクが3倍になる可能性がある [2013-09-24]
High blood pressure readings in childhood likely to triple the risk for the condition as adults

血圧測定値が1回以上高い小児は成人期に高血圧を発症する確率が約3倍高いとのスタディ結果が、2013年American Heart Association High Blood Pressure Research Scientific Sessionsで発表された。1986年に研究者らは米国の青少年1,117人の追跡を開始した。血圧測定は学校の保健師によりまたはクリニックを受診した際に行われ、小児は27年間追跡された。スタディ参加者のうち、119人が成人期に高血圧と診断された。年齢、性別および体重を考慮した結果、小児期の血圧値が高いことと成人期の高血圧とに直接的な関連が認められた。小児期に血圧測定値が高くなかった小児における成人期の高血圧の割合は8.6%であった。この割合は小児期に少なくとも1回は血圧測定値が高かった者においては18%に上昇した。小児期の血圧測定で高値であったのが2回以上であった者においては、35%に跳ね上がった。高血圧と診断された成人の59%が小児期に過剰体重または肥満であった。

BIC-8:急性冠症候群が疑われた際のバイオマーカー評価により診療が変わり得る [2013-09-17]
BIC-8: Biomarker assessment in suspected acute coronary syndrome could be practice-changing

救急外来において2つのバイオマーカーを用いて急性冠症候群(ACS)疑い患者をトリアージすることにより早期に安全に退院できる患者が増加する可能性があるとのBiomarkers in Cardiology 8 (BIC-8)トライアルの結果が2013年European Society of Cardiology学会で発表された。この多施設オープン無作為化コントロール臨床試験では、初回のトロポニン検査陰性であった患者902人を対象としこの方法を評価した。試験群(451人)ではコペプチン検査が陰性(10pmol/L未満)の患者は外来診療で72時間以内の再受診とされ、一方コペプチン検査陽性の患者は最新のガイドラインに従い標準治療を受けた。追跡期間30日後に主要な心血管イベント(MACE)は両群で同等であった(試験群5.46%対標準治療群5.5%)が、救急外来を退院する割合は試験群で有意に高かった(66%対12%;P <0.001)。これらの結果から、ACSが疑われた患者で入院時のトロポニンおよびコペプチン検査が陰性の場合は退院させても安全であることが示唆された。この方法を用いて心筋梗塞を迅速に除外できれば、多くの患者が早期に退院でき不必要な治療や医療資源を節約できる可能性がある。

COMPARE:アンジオテンシン受容体拮抗薬はマルファン症候群患者の大動脈根部拡大を軽減する [2013-09-17]
COMPARE: Angiotensin-receptor blocker reduces aortic root enlargement in patients with Marfan syndrome

一般の人々に用いられる高血圧治療薬が、マルファン症候群患者における危険でしばしば致死的な循環器系の問題を有意に軽減することが示されたと2013年European Society of Cardiology学会で発表された。COMPARE(COzaar in Marfan PAtients Reduces aortic Enlargement)スタディでは、ロサルタン(Cozaar)で治療された患者において3年後の大動脈拡大発現率がこの治療を受けなかった患者と比較し有意に低かったことを明らかにした。研究者らはマルファン症候群患者233人(平均年齢41歳、女性47%)を組み入れた。これらの患者のうち27%が過去に予防的大動脈根部置換術を施行されており、多く(73%)がβ遮断薬による治療を受けていた。計117人が追加治療を受けない群に、116人が1日50mgのロサルタンを内服し副作用がなければ14日後に倍量を内服する群に無作為に割り付けられた。大動脈拡大は磁気共鳴画像を用いてモニターされた。3年後に大動脈拡大はコントロール群よりもロサルタン群で有意に少なく(0.77mm対1.35mm、P =0.014)、ロサルタン群の患者の50%は大動脈根部の拡大を示さなかったのに対しコントロール群におけるその割合は31%であった(P =0.022)。

PURE:高所得国では低所得国よりも心血管リスクファクターは多いが死亡率は低い [2013-09-17]
PURE: Cardiovascular risk factors greater, but mortality lower in high income vs. low income nations

高所得国に居住する人々は心血管リスクファクターの負荷は大きいにもかかわらず、低所得国の人々よりも重篤で致死的でさえあり得る心血管疾患(CVD)の多くから逃れられていると2013年European Society of Cardiology学会で発表された。PURE(Prospective Urban Rural Epidemiologic)スタディでは高所得国(カナダ、スウェーデン、アラブ首長国連邦)、10の中所得国、低所得国(インド、バングラディシュ、パキスタン、ジンバブエ)の郊外および都市の人々それぞれ16,110人、104,260人、および34,875人を組み入れた。対象者は35〜70歳であり、平均3.9年間追跡された。CVDリスクファクターは高所得国で最も多く、低所得国で最も低かったが、医療および予防対策もこれに準じた(P <0.0001)。全体で、CVDによる入院は中および低所得国よりも高所得国で高かったが(P <0.05)、入院理由を調査する中で、低所得国と比べ高所得国では致死的および他の重大なCVD(心筋梗塞、脳卒中および心不全)のいずれも頻度が低く、重大でないCVDが多く認められた(全体でP <0.001)。これらの結果は、心臓に対し健康的な習慣に加え優れたヘルスケアシステムの価値を強調している。

Echo-CRT:QRS幅の狭い心不全患者において心臓再同期療法はICD療法以上の有益性をもたらさない [2013-09-17]
Echo-CRT: Cardiac resynchronization therapy offers no benefit beyond ICD therapy in narrow-QRS heart failure

Echocardiography Guided Cardiac Resynchronization Therapy(EchoCRT)スタディの結果、QRS幅が130ミリ秒未満の狭い心不全患者においてCRTは有益ではないことが示された。EchoCRTはこの種で最大の医師主導型国際多施設前向き無作為化二重盲検臨床試験である。スタディ組み入れ終了時までに809人の患者がCRT=ONまたはCRT=OFFのいずれかに割り付けられ、平均19.6か月追跡された。総死亡または心不全増悪による初回入院は、CRT患者404人中116人に発現したのに対しコントロール群では405人中102人(28.7%対25.2%;ハザード比、1.20;95%信頼区間[CI]、0.92〜1.57;P =0.15)であり、このスタディ対象者においてはCRTの有益性が示されなかった。この結果は、QRS幅の狭い患者をCRTの対象から除外している現在のガイドラインを再確認し、心エコー検査で機械的非同期を計測するよりも簡便な心電図上の計測値であるQRS幅が依然としてCRTの臨床的な有益性の最も重要な予測因子であるとのエビデンスの本体を拡充するものである。EchoCRTの結果に基づき、CRTの恩恵を最も被る人々を12誘導ECGで最も簡単に同定することができる。

ATOMIC-AHF:一次有効性エンドポイントは逃したが、omecamtiv mecarbilの好ましい傾向が認められた [2013-09-17]
ATOMIC-AHF: Despite missing primary efficacy endpoint, positive trends identified for omecamtiv mecarbil

心筋ミオシン活性化因子omecamtiv mecarbil(OM)は急性心不全患者の呼吸困難軽減における一次有効性エンドポイントは達成できなかったとの第2相ATOMIC-AHF(Acute Treatment with Omecamtiv Mecarbil to Increase Contractility in Acute Heart Failure)スタディが2013年European Society of Cardiology学会で発表された。しかし、最大用量を投与されたコホートでは呼吸困難の改善が大であり、用量および濃度依存性のその他の好ましい傾向が認められた。研究者らは安静時または軽労作時呼吸困難を伴い緊急入院した左室収縮障害患者613人を、プラセボまたは血漿濃度を115、230、および310ng/mLと増加させる3つの用量のOMを48時間静脈内投与する群に無作為に割り付けた。蓄積されたプラセボ群と比較し、OM群は呼吸困難症状において差はなかった(P =0.33)。しかし、最大用量のOM群では対照のプラセボ群よりも有効性が高い傾向にあり(51%対37%、P =0.03)、有効性は有意に用量依存的および血漿濃度依存的な傾向であった(それぞれP =0.025およびP =0.007)。さらに、収縮期駆出時間も有意に濃度依存的に増加した(P <0.001)。また、心不全増悪は軽減し、上室性不整脈発現は減少し、心室性不整脈は増加しない傾向も認められた。

高血圧および耐糖能障害を有する患者においてはBMIが低いことが心血管疾患のリスクファクターである [2013-09-17]
Low BMI is a risk factor for cardiovascular disease in patients with hypertension and glucose intolerance

糖尿病を有する高血圧患者においては低BMIが心血管疾患(CVD)のリスクファクターであるとの研究結果が2013年European Society of Cardiology学会で発表された。この結果から、耐糖能障害を有する高血圧患者における肥満パラドクスのエビデンスが提供された。研究者らは、耐糖能障害を有する高血圧患者1,105人においてバルサルタンとアムロジピンの有効性を比較した無作為化トライアルNagoya Heart Studyのデータを使用した。患者はベースラインのBMI:<23kg/m2(283人)、23〜24.99 kg/m2(290人)、25.00〜27.49 kg/m2(277人)、および≧27.50 kg/m2(255人)に基づき4群に分類された。層別化解析は最小のBMI群を対照に行われた。経過観察期間中央値は3.2年であった。年齢、性別および喫煙の有無で補正した結果、BMIが最小の群ではCVD発現率が最大であり(14.8%、4.6/100人-年)、BMIが最大の群ではCVD発現率が最小であった(5.1%、1.5/100人-年)。BMI最大群におけるCVDリスクはBMI最小群と比べ3分の1未満であった。このスタディの結果は、重症の肥満はCVDリスクファクターであるとの事実に異議を唱えるものであり、耐糖能障害を有する高血圧患者における肥満パラドクスを指し示している。

PRAMI:STEMIにおいて非責任病変への予防的PCIも施行した方が責任病変のみのPCIよりも予後が良好である [2013-09-10]
PRAMI: Preventive PCI results in better outcomes than culprit artery PCI alone in STEMI

ST上昇を伴う心筋梗塞(STEMI)において非責任病変に対しても予防的に血管形成術を施行された患者は、責任病変の狭窄のみに限定して治療された患者よりも予後が良好であるとのスタディ結果が2013年European Society of Cardiology学会で発表され、同時にNew England Journal of Medicineに掲載された。Preventive Angioplasty in Myocardial Infarction(PRAMI)トライアルは、計画されていた中間解析の結果、予防的PCIにおいて明らかな望ましい有益性が示されたため早期に中止された。患者は、急性ST上昇または左脚ブロック心筋梗塞で多枝冠動脈病変を有し緊急PCIを施行された患者を、予防的PCI(234人)または責任病変のみのPCI(231人)施行群に無作為に割り付けられた。平均追跡期間23か月の間に、予防的PCI群の21人および責任病変のみ群の53人が一次アウトカムイベント(心臓死、非致死性心筋梗塞または難治性狭心症)を発現し、予防的PCI群において患者100人当たり14人の絶対的リスク低下[ハザード比 0.35(95% CI、0.21〜0.58)、P <0.001]、および65%の相対リスク低下が認められた。合併症率は両群で同等であった。施術時間、被曝線量および造影剤使用量は予防的PCI群で多かった。

Hokusai-VTE:再発性深部静脈血栓症および肺塞栓症の予防において1日1回のエドキサバンの効果はワルファリンと同等である [2013-09-10]
Hokusai-VTE: Once daily edoxaban comparable to warfarin for averting recurrent deep-vein thrombosis and pulmonary embolism

静脈血栓塞栓症(VTE)の治療において、経口抗凝固薬エドキサバンは標準治療のワルファリンと比較し、両剤とも低分子ヘパリン(LMWH)初回治療に加えた場合、有効性は同等であり安全性は優れているとのトライアル結果が2013年European Society of Cardiology学会で発表され、同時にNew England Journal of Medicineに掲載された。Hokusai-VTEトライアルは近年の他の経口抗凝固薬トライアルの対象患者に比べより広範囲のVTE患者を対象とし、肺動脈塞栓症(PE)および右室機能低下を有する患者(30%)、腎機能障害および低体重のために出血リスクの高いサブグループ(20%)も含まれた。合計で、深部静脈血栓患者4,921人およびPE患者3,319人が皮下LMWHによる初期治療を受けその後1日60mgのエドキサバン(出血リスクの高い患者では30mg)、またはワルファリン(標準治療)を3〜12か月投与される群に無作為に割り付けられた。一次エンドポイントである再発性有症状VTEはエドキサバンおよびワルファリンでそれぞれ3.2% 対3.5%に発現し(非劣性に関してP <0.001)、エドキサバンのワルファリンに対する非劣性が認められた。しかし、PEおよび右室機能障害の認められる患者群において、有効性はエドキサバンの方が優れていた(3.3%対6.2%、ハザード比0.52)。

IN-TIME:植込み型家庭モニタリングによりICD植え込み後心不全患者の臨床管理が改善する [2013-09-10]
IN-TIME: Implant-based home monitoring improves clinical management of heart failure patients with ICDs

植込み型除細動器(ICD)または心臓再同期療法除細動器(CRT-D)を、異常の可能性を医療専門家に警告するテレモニタリング技術と組み合わせることで、心不全患者は有意な生存上の恩恵を被るとの研究結果が2013年European Society of Cardiology学会で発表された。IN-TIMEトライアルは、3か月以上持続する慢性心不全のNew York Heart Association (NYHA)クラスUまたはVの症状を有し、左室駆出率が35%以下に低下している平均年齢66±9歳の患者664人を解析した。全ての患者がテレモニタリング機能を有する植込み型デバイスを装着され、58%はCRT-Dを、42%は植込み型デュアルチャンバーデバイスを植え込まれた。1か月間の導入期間は心不全治療の最適化に使用され、デバイスのトランスミッションシステムが機能していることが確認されてから、テレモニタリング群(333人)または標準治療群(331人)に無作為に割り付けられた。12か月後に悪化した患者はテレモニタリング群よりも標準治療群において多かった(27.5%対18.9%、P <0.05)。総死亡率および心血管死亡率は、標準治療群よりもテレモニタリング群において低かった(3.4%対8.7%、P <0.01)。

LINC:機械的心臓マッサージの有効性は手動のCPRと同等である [2013-09-10]
LINC: Mechanical chest compressions are equally effective as manual CPR

心停止患者に対し心肺蘇生(CPR)を行う場合、心臓マッサージ中に除細動器を用いる機械的心臓マッサージの有効性は、手動の心臓マッサージと同等であるが、より優れてはいないとのLUCAS in Cardiac Arrest(LINC)スタディの結果が2013年European Society of Cardiology学会で発表された。このスタディは、院外心停止に対し蘇生を必要としたヨーロッパ6施設の患者2,589人を対象とした。救急医療担当者が現場に到着次第、直ちに全ての患者に対し手動による心臓マッサージが開始された。その後、手動の心臓マッサージ継続群(1,289人)または心臓マッサージ中に除細動器を用いる機械的心臓マッサージに切り換えられる群(1,300人)に無作為に割り付けられた。両群とも、ガイドラインに従い換気や薬物投与を施行された。CPR開始4時間後の生存率は、機械的CPR群と手動CPR群とで同等であった(23.6%対23.7%)。自己循環再開率や脈が触知できる状態で救急治療室に到着した患者数、集中治療室退室時に生存していた患者数、そして1および6か月後の神経学的予後などの後期予後もまた両群間で同等であった。

DECAAF:心房細動患者に対するDE-MRI画像は高周波カテーテルアブレーションの成功率を予測する [2013-09-10]
DECAAF: DE-MRI imaging of patients with atrial fibrillation predicts success of radiofrequency catheter ablation

心房細動(AF)の患者において、アブレーション治療前の遅延造影磁気共鳴画像(DE-MRI)により心房線維化度がステージ分類でき治療成功率の予測に役立つと2013年European Society of Cardiology学会で発表された。DECAAFトライアルは、心房線維化を伴うAFに対しアブレーションを施行された患者260人(平均年齢59歳、発作性AF 64.6%)を対象とした。高解像度DE-MRIがアブレーション最長30日前に施行され心房線維化の存在および範囲を判定され、また、アブレーション後DE-MRIが90日後の経過観察で施行され残存アブレーション範囲を判断した。90日後に不整脈の再発が33.8%の患者において確認された。成功率は、アブレーション前の線維化がstage 1(傷害心房組織が10%未満)であった患者で85.8%、stage 2(傷害が10〜20%)の患者で63.3%、stage 3(20〜30%)の患者で55%であり、stage 4(30%超)の患者では31%であった(P <0.001)。アブレーション前の線維化が1%増加するごとに、AF再発リスクは5.8%上昇した(HR 1.058、95%CI 1.033〜1.085)。同様に、線維化の残存が1%増加するごとに、症状再発リスクは8.2%上昇した(HR 1.082)。

TASTEトライアルは心筋梗塞後に血栓を吸引する現在の診療に異議を唱えた [2013-09-10]
TASTE trial challenges current practice of blood clot aspiration after myocardial infarction

冠動脈再開通前に心筋梗塞を引き起こした血栓をバルーンカテーテルを用いて吸引を行うことは、バルーン拡張およびステント留置のみを施行する場合に比べ生存率を改善しないとの、Thrombus Aspiration in ST- Elevation myocardial infarction in Scandinavia(TASTE)トライアルの結果が2013年European Society of Cardiology学会で発表された。多施設前向き無作為化コントロールオープンラベルのこのトライアルでは、ST上昇心筋梗塞(STEMI)と診断されたスウェーデン、デンマークおよびアイスランドのSTEMI患者7,244人が組み入れられた。患者の半分は経皮的冠動脈インターベンション(PCI)群に、残りの半分はPCI前に血栓を吸引される群に割り付けられた。施術後30日間の死亡率はグループ間で有意差がなかった(それぞれ3.0%対2.8%)。同様に、新たな心臓発作、脳卒中および治療に関連した合併症などの二次エンドポイントに関しても、2群間で差はなかった。喫煙者、糖尿病患者および血栓が大きい患者などのハイリスク患者であっても、いずれの群でも同等の結果であった。TASTEトライアルの結果は血栓吸引をルーチンに付加することに疑問を投げかけており、国際ガイドラインにおけるこれを一般的に使用することに関する勧告はおそらく引き下げるべきであろう、と筆者らは述べている。

皮下植込み型心臓除細動器はワイヤが心臓に触れることなく心拍を効果的に復調させる [2013-09-03]
A subcutaneous implantable cardiac defibrillator restores heartbeat effectively without wires touching the heart

皮下に植え込まれる新タイプの除細動器は、ワイヤが心臓に接触することなく、危険な異常心調律を検出し電気ショックを与え正常な心拍に復調させるとの研究結果がAmerican Heart Association学会誌Circulationに掲載された。従来の植込み型除細動器(ICDs)は血管内に挿入し心臓に接触する導電性ワイヤを有している。皮下植込み型心臓除細動器(S-ICD®)は胸骨左側沿いの皮下に設置するリードを有している。医師らはX線ガイドなしにデバイスを挿入でき、リードワイヤの破損、血管損傷、血管感染および従来のデバイスの除去を困難としていた瘢痕化などの問題が軽減した。33施設のスタディにおいて、330人の患者(平均年齢52歳)中314人がS-ICD®を植え込まれ評価された。平均11か月の経過観察期間中に、21人の患者が38件の心室細動または心室頻拍を自発的に発現した。全例において正常心調律への復調に成功した。さらに、41人(13.1% )は危険な心調律の先行なしに不適切な電気ショックを与えられた。S-ICD®患者の99.9%が植え込み後180日の間合併症がなかった。従来のICDとS-ICD®の比較が現在行われている。

遺伝子変異が2型糖尿病患者の心疾患リスク上昇に有意に関連する [2013-09-03]
Genetic variant significantly associated with increased coronary heart disease risk in individuals with type 2 diabetes

2型糖尿病患者の冠動脈疾患(CHD)リスク上昇と有意に関連するこれまで知られていなかった遺伝子座が同定されたとのスタディ結果がJAMAに掲載された。研究者らは、Nurses' Health Study、Health Professionals Follow-up Study、Joslin Heart Study、 Gargano Heart Study、および Catanzaro Studyの5組の独立したCHD症例および非CHDコントロールに関して調査した。対象となったのはCHD症例計1,517人および非CHDコントロール2,671人であり、全員が2型糖尿病を有していた。糖尿病患者における結果をNurses' Health StudyおよびHealth Professionals Follow-up Studyコホートの非糖尿病CHD737症例および非糖尿病非CHD1,637症例と比較した。3ステージのゲノムワイド解析のステージ1においてCHDとの関連が調査された2,543,016の遺伝子変異のうち、26がステージ2へのクライテリアに合致し、これらのうち3つがさらにステージ3へのクライテリアに合致した。ステージ3へのクライテリアに合致した3つの変異のうち、染色体 1q25(rs10911021)上の変異が一貫して糖尿病患者のCHDリスクと関連した。非糖尿病者においてはこの変異とCHDリスクとの関連はなかった。この変異は機能的にグルタミン酸代謝と関係しており、メカニスティックな関連が示唆される。