1日2皿を超えるフルーツの摂取は腹部大動脈瘤のリスクを低下させる [2013-08-27]
More than two servings of fruit daily decreases risk of abdominal aortic aneurysm

1日2皿を超えるフルーツの摂取により腹部大動脈瘤のリスクが低下する可能性があるとの新たな研究結果がCirculation誌に掲載された。研究者らは46〜84歳の80,000人余りを、自己申告の果物および野菜の摂取量に基づき同人数ずつの4群に分類した。その後13年間の入院および死亡の記録から1,086人が腹部大動脈瘤を有し、うち222人は大動脈が破裂をしたことが示された。大動脈が破裂した者の80%超が男性であった。果物摂取量が最も少ない群(1日の摂取量が1皿未満)と比較し、最も摂取量が多い群(ジュース以外で1日2皿超)では、大動脈疾患リスクが25%低く大動脈瘤破裂リスクは43%低かった。果物を全く摂取しない者と比較し、1日2皿超の果物を摂取する者は非破裂性大動脈瘤リスクが31%低く破裂大動脈瘤リスクが39%低かった。果物に含まれる高レベルの抗酸化物質が炎症を惹起し得る酸化ストレスを防ぐことにより腹部大動脈瘤を予防する可能性がある、と研究者らは述べている。しかし、同じように抗酸化物質に富む野菜とは関連性はないことが分かった。

脳卒中患者が症状発現後90分以内に治療を受けると不可逆的な機能障害は発現しにくい [2013-08-27]
Permanent disability less likely when stroke patients received care within 90 minutes of symptoms

軽症または中等症の脳卒中症例においては超早期―症状発現から90分以内―に治療を受けることにより機能障害リスクが大きく低下するとの新たなスタディ結果がStoke誌に掲載された。現行のガイドラインでは、脳卒中症状出現から3時間以内に病院に到着し組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)治療を最長4.5時間までに開始することを推奨している。今回のスタディでは、ヨーロッパの10の脳卒中センターの14年間の脳卒中患者6,800人余りを対象とした。患者らは注射用tPA薬アルテプラーゼの静脈内投与による治療を受けた。患者は脳卒中の重症度に基づき、軽微(NIH脳卒中スコア0〜6)、軽症/中等症(NIHスコア7〜12)、または中等症/重症(NIHスコア12超)に分類された。推奨されている時間枠である90分以内にtPAを投与された軽症から中等症の患者は、90〜270分であった患者と比較し3か月後に機能障害が軽いかまたはなかった。早期治療はまた軽微な脳卒中患者においても有用であったが、これらの患者における機能障害発現頻度はもとから低かった。重度の脳卒中患者においては、動脈閉塞が重度であり超早期治療から受ける恩恵はさほど多くはなかった。

スタディの結果、心臓再同期療法の恩恵を得られる可能性の高い心不全の患者背景が同定された [2013-08-20]
Study identifies characteristics of heart failure patients more likely to benefit from implantation of cardiac resynchronization device

植込み型心臓再同期療法(CRT)を受けた大規模心不全患者集団において、左脚ブロック(LBBB)およびQRS幅拡大を有する患者は全死因死亡、心血管疾患および心不全による再入院のリスクが最も低いとのスタディ結果がJAMAに掲載された。患者は、CRT-D植込み目的で入院または別の理由で入院、およびLBBBの有無、QRS幅により層別化された。補正後の3年死亡率はLBBBを有しQRS幅が150ms以上の患者(20.9%)において、LBBBを有しQRS幅が120〜149msの患者(26.5%)、LBBBを有さずQRS幅が150ms以上の患者(30.7%)、およびLBBBを有さずQRS幅120〜149msの患者(32.3%)よりも低かった。補正後の1年総再入院率もまた、LBBBを有しQRS幅150ms以上の患者(38.6%)において、LBBBを有しQRS幅が120〜149msの患者(44.8%)、LBBBを有さずQRS幅が150ms以上の患者(45.7%)、およびLBBBを有さずQRS幅120〜149msの患者(49.6%)よりも低かった。

動揺性僧帽弁弁尖を外科的に早期修復することにより長期生存率が上昇し心不全リスクが低下する [2013-08-20]
Earlier surgical correction of flail mitral valve leaflets associated with greater long-term survival and lower risk of heart failure

動揺性僧帽弁弁尖による僧房弁閉鎖不全の患者を対象としたスタディにおいて、早期外科手術施行は初期薬物療法よりも長期生存率が高く心不全リスクが低いことが示されたとJAMAに掲載された。研究者らはMitral Regurgitation International Database(MIDA)登録のデータを使用した。動揺性僧帽弁を有しACC/AHAガイドラインのクラスTトリガーを有さない(症状がないかまたは軽微であり左室機能障害がない)患者1,021人中、575人は最初薬物療法を施行され446人は発見後3か月以内に僧帽弁手術を施行された。マッチさせていないコホート全体の生存率は早期手術群で5年後95%、10年後86%、20年後63%であったのに対し、初期薬物療法群ではそれぞれ84%、69%、および41%であり、早期手術群において良好であった(5年死亡率は53%の低下)。クラスUトリガー(心房細動または肺高血圧)を有する場合に関しても生存率は早期手術で良好であった。心不全もまた早期手術後に少なく、心不全リスクは約60%低下した。後期発症心房細動の減少は認められなかった。

冠動脈CT血管造影を用いた胸痛患者の評価により多くの医療費や不必要な入院を削減できる可能性がある [2013-08-13]
Coronary CT angiography to evaluate patients with chest pain could save significant costs and unnecessary hospital admissions

冠動脈CT血管造影(CCTA)は救急外来における胸痛患者のトリアージにおいて有用であるとのスタディ結果がJournal of the American College of Cardiologyオンライン版 8月6日号に掲載された。救急外来(ED)のマッチさせた2群の患者894人を対象としたスタディにおいて、CCTAの使用により入院が減少しED滞在が短縮することが示された。研究者らは、急性冠症状に対する標準的な評価(心電図および血液検査を用いた心臓モニター)またはCCTAを施行された胸痛患者数千人のデータを解析した。標準的な評価を施行された患者はCCTAを施行された患者よりも入院リスクが5.5倍高く、ED滞在期間は1.6倍長かった。標準的な評価を行われた患者は侵襲的な冠動脈血管造影を施行される確率が7倍高かった。さらに、30日以内に胸痛の再発で救急外来を再受診する確率は標準的評価を施行された患者において5倍高かったが、30日以内の死亡および急性心筋梗塞の発現率は2群間で差がなかった。

心臓手術室のチームワークを改善することにより患者の安全性が上昇し得る [2013-08-13]
Improving teamwork in the cardiac operating room can increase patient safety

心臓手術チームのコミュニケーションを改善しチームワークを強化することは心臓手術室における回避可能な過失軽減のための勧告に含まれる、とAmerican Heart Associationの新たな学会のステートメントに掲載された。このステートメントは、チーム内およびチーム間のコミュニケーション、心臓手術室の物理的仕事空間および組織の行動様式に焦点を当てたエビデンスに基づく研究を再検討し、患者の安全性を改善するための勧告を提供した。このステートメントはCirculationに掲載されている。ステートメントのハイライトにはチェックリストの使用および/または毎回心臓手術前後に簡潔な指示を与えること;病院内の全ての設定における医療従事者による破壊的行動を定義した施設指針を、許容不可能な行動を透明かつ公式に指し示す形で作成すること;および医療チーム全員からの意見のとり入れを推奨する頑強な質向上システムを満たすことにより施設の安全文化を確立し、安全上の問題を継続的に見極め修正することなどが含まれた。外科チームはコミュニケーション、協力、調和、認知、論争解決および指導に集中するように、と筆者らは提案している。

tPAとeptifibatideの併用は急性虚血性脳卒中治療に有効である [2013-08-06]
Combining tPA with eptifibatide effectively treats acute ischemic stroke

組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)と抗血小板薬eptifibatideの注射の併用はtPA単独使用よりも血栓をより安全かつ迅速に溶解するとのスタディ結果がStrokeAmerican Heart Association学会誌オンライン版に掲載された。抗血小板薬eptifibatideの経静脈的投与はtPAと相互に作用し存在する血栓を溶解し血栓症を予防する。CLEAR-ER(Combined Approach to Lysis Utilizing Eptifibatide and rt-PA in Acute Ischemic Stroke – Enhanced Regimen)トライアルは、126人の患者を組み入れた第U相二重盲検、無作為化臨床試験である。これら患者のうち、101人がtPAとeptifibatideの投与を受け、25人はtPAのみを投与された。研究者らは、脳内出血発現、標準的な評価法を使用した90日アウトカムを観察し特定のエンドポイントにおける安全性を評価した。tPAとeptifibatideを投与された患者のうち50人(49.5%)は予後良好と分類された。tPAのみを投与された患者のうち予後良好であったのは9人(36%)であった。36時間、7日および90日エンドポイントでの安全性は2群間で同等であった。第V相試験に向けた計画が現在進行している。

吸入遺伝子治療は肺動脈高血圧を逆行させる肺内の重要な酵素機能を回復させる可能性がある [2013-08-06]
Inhaled gene therapy may restore function of a crucial enzyme in the lungs to reverse pulmonary arterial hypertension

肺動脈高血圧(PAH)として知られる致死的疾患は吸入遺伝子治療を用いることにより逆行する可能性があると、国際研究チームの研究者らがCirculation 7月30日号で報告した。SERCA2aがダウンレギュレートされるとカルシウムは本来よりも長く細胞内にとどまり、それにより新たな肥大細胞の過剰成長が生じる。研究者らによると、SERCA2a遺伝子投与によりSERCA2a酵素が産生され、それは心臓や肺の細胞が適切なカルシウム使用を取り戻すのに役立つ。新たなスタディにおいて科学者らは、ラットPAHモデルにおいて、ネブライザー様の吸入装置を介して投与された遺伝子治療によりPAHを完全に逆行できることを示した。この研究室においてはまた、PAH患者の肺動脈組織検体ではSERCA2aの発現が低下していることも明らかにした。同様のSERCA2a機能低下は心不全においても同様に発現している。今回のスタディでは、現在施行されているうっ血性心不全患者を治療する大規模第V相臨床試験において使用されているものと同じ遺伝子治療を用いている。しかし、PAH患者に対するこの遺伝子療法の臨床適用は心不全に対するものとはおそらく異なるものであろう。