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女性において腎結石の既往歴は冠動脈疾患リスクを軽度上昇させた [2013-07-30] |
History of kidney stones associated with modest increased risk of coronary heart disease in women |
計240,000人以上が参加した3つのスタディのデータ解析の結果、女性において腎結石既往歴の自己報告は冠動脈疾患(CHD)の統計学的有意な上昇と関連があったが男性においてはこの関連は明らかではなかった、とのスタディ結果がJAMA 7月24/31日号に掲載された。この解析には、Health Professionals Follow-up Study(HPFS)、Nurses' Health Study I(NHS I)、およびNurses' Health Study II(NHS II)の参加者で登録時にCHDのない米国男性45,748人および女性196,357人が組み入れられた。参加者のうち19,678人が腎結石の既往を、16,838人がCHDの発症を報告した。個々人のアウトカムに関する多変量調整解析の結果、NHS IおよびNHS II参加者において、腎結石既往歴と心筋梗塞および血行再建術施行との関連が認められた。NHS IおよびNHS IIコホートを蓄積したところ、腎結石既往を有する女性はCHD、致死的および非致死的心筋梗塞、および血行再建術施行のリスクが高かった。男性においては腎結石既往とCHDとの有意な関連は認められなかった。 |
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食事のタイミングは冠動脈疾患につながる代謝への有害な影響を引き起こす可能性がある [2013-07-30] |
Timing of meals may cause adverse metabolic effects that lead to coronary heart disease |
朝食を常に抜くと報告した男性は心筋梗塞(MI)または致死的冠動脈疾患(CHD)のリスクが高いとの研究結果がCirculation誌に掲載された。研究者らは、45〜82歳の男性医療従事者26,902人の食事頻度に関する質問表のデータを解析し、健康上の予後を16年間追跡した(1992〜2008年)。スタディ期間中に1,572人が初回の心イベントを発現した。朝食を摂ると報告した男性は朝食を抜くと報告した男性よりも1日の平均食事回数が1回以上多かったことから、朝食を抜く男性はその後の追加の食事は摂っていないと考えられた。朝食を抜く男性は朝食を抜かない男性よりもMIまたはCHD死亡リスクが27%高かった。朝食を抜くと報告した男性は朝食を摂る男性よりも若年で喫煙の傾向が強く、フルタイム勤務をし、独身で、身体活動性が低く飲酒量が多い傾向にあった。夜遅くに食事をする(寝室に行った後に食べる)と報告した男性は、そうでない男性よりも冠動脈疾患リスクが55%高かった。しかし、この習慣があると報告した男性は少なかった。 |
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併用療法は心停止後の神経学的に良好な生存率の改善に役立つ可能性がある [2013-07-23] |
Combination therapy may help improve rate of survival with favorable neurologic status following cardiac arrest |
昇圧剤を必要とする院内心停止患者における併用療法の使用は、神経学的に良好な状態で生存して退院する確率を向上させたとのスタディ結果がJAMA 7月17日号に掲載された。このトライアルには蘇生ガイドラインでエピネフリン使用を必要とした心停止患者268人が組み入れられた。患者は無作為化後、最初の5CPRサイクルでバソプレシンとエピネフリン(VSE群、130人)または食塩水のプラセボとエピネフリン(コントロール群、138人)を投与され、その後必要に応じてエピネフリンを追加された。無作為化後最初のCPRサイクルの間、VSE群患者はメチルプレドニゾロンを投与されコントロール群は食塩水を投与された。蘇生後のショックはストレス用量のヒドロコルチゾン(VSE群、76人)または食塩水のプラセボ(コントロール群、73人)で治療された。20分以上の心拍再開(ROSC)率はVSE群においてコントロール群よりも高かった(83.9%対65.9%)。VSE群患者は追跡期間中の予後不良率が低く、神経学的回復が良好な状態で生存し退院する確率が高かった(13.9%対5.1%)。 |
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人工弁感染性心内膜炎の1年死亡率は依然として高く、手術と内科的治療とで差はない [2013-07-23] |
One-year mortality remains high in patients with prosthetic valve endocarditis with no difference between surgery and medical therapy |
人工弁感染性心内膜炎(PVE)の1年死亡率は高く、早期弁置換術施行は内科的治療と比較し死亡率低下につながらないようである、とのスタディ結果がJAMA Internal Medicineに掲載された。スタディの背景によると、PVEは弁置換術後5年以内の患者の約3〜6%に発症し、有意な有病率および死亡率と関連がある。PVE患者計1,025人がInternational Collaboration on Endocarditis-Prospective Cohort Study(ICE-PCS)に組み入れられた。スタディ参加者のうち、490人(47.8%)が早期手術を施行され、535人(52.2%)は薬物治療のみを受けた。薬物療法と比較し、補正前解析および治療選択バイアスによるコントロール後では、早期手術は院内死亡率低値と関連が認められた。しかし、生存者バイアスで補正すると、手術に関連した死亡率低下は認められなかった。PVE患者の約3分の1が診断後1年以内に死亡し、死亡率は他の慢性疾患、医療関連感染、黄色ブドウ球菌、およびPVE合併症と強い関連が認められた。 |
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大規模メタ解析の結果、スタチンによる副作用はまれであり有益性がリスクを上回ると結論付けられた [2013-07-16] |
Large meta-analysis concludes that side effects from statins are rare and the benefits outweigh the risks |
Circulation: Cardiovascular Quality and Outcomesに報告された新たな研究結果によると、スタチンの副作用に関する過去最大規模のメタ解析において、スタチンにより引き起こされる副作用はまれなようである。研究者らは、1985〜2013年に公表された約250,000人の患者を対象とした135の過去の薬剤研究トライアルのデータを再検討し、市場の7つのスタチンの安全性を評価した。平均でトライアルは1年余り継続された。一部のスタディでは1つのスタチンを他と比較し、一方その他ではスタチンと作用のないプラセボを比較した。その結果彼らは、「クラスとして、スタチン治療に関連した有害事象は多くない」と結論付けた。スタチンはがんリスクを増加させなかった。しかしこの薬剤は一般的には可逆性の肝酵素上昇と関連があったが、それでもスタチン使用患者における実際の肝毒性率は非常に低かった。スタチン使用者では糖尿病リスクが9%上昇することを筆者らは特筆している。シンバスタチンとプラバスタチンの特に低用量および中等量が、安全性プロファイルにおいて最も良好なようであった。スタチンによる副作用はまれであり、有益性がリスクを上回ると筆者らは結論付けている。 |
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アスピリン療法への反応に基づくバイオマーカーにより心筋梗塞リスクが予測できる [2013-07-16] |
Biomarker predicts risk of myocardial infarction based on response to aspirin therapy |
新たな遺伝子発現プロファイルはアスピリンの有効性を測定するのみでなく心筋梗塞(MI)高リスク患者の強力な予測因子ともなるとのスタディ結果がJournal of the American College of Cardiologyオンライン版に掲載される。研究者らは、健康なボランティアおよび循環器外来を訪れた心疾患患者を登録した。健康なボランティアはアスピリン(1日325mg を最長1か月間)を投与された。心疾患患者は治療の一環として低用量アスピリンを処方されていた。アスピリンのRNA発現および血小板機能に対する影響を観察するために血液解析が行われた。アスピリン投与後のRNAマイクロアッセイプロファイリングの結果、一組の共発現する60の遺伝子が明らかにされた。研究者らはこれを"アスピリン反応サイン"と呼び、これらは健康人および心疾患患者いずれにおいてもアスピリン療法への血小板反応が不十分であることと一貫して相関した。アスピリン反応サインはまた心臓カテーテルを施行される患者のうち将来MIを発症したり死亡したりする者を同定するのにも有効であった。この研究は、アスピリンの恩恵を得られない患者を同定する血液検査の開発につながり、それにより彼らは他の治療選択を模索することができるようになる可能性がある。 |
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ペプチド値を用いたスクリーニングと共同的ケアの併用は心不全リスクを低下させる [2013-07-09] |
Screening using peptide level and collaborative care helps reduce risk of heart failure |
心不全リスク患者において脳性ナトリウム利尿ペプチドスクリーニングを基本とした共同的ケア(collaborative care)は、左室収縮機能障害、拡張障害、および心不全(HF)および緊急の心血管疾患入院の複合発現率を低下させたとのスタディ結果がJAMA 7月3日号に掲載された。この無作為化トライアルは、心血管リスクファクターを有する参加者1,374人(平均年齢65歳)を対象とした(平均追跡期間4.2年)。患者は、通常のケアを受ける群(コントロール群;677人)またはBNP検査を用いたスクリーニング群(697人)に無作為に割り付けられた。BNP値が50pg/mL以上の介入群参加者は、心エコー検査およびプライマリケア医と循環器専門医による共同的ケアを施行された。一次エンドポイントである左室機能障害およびHFは、コントロール群677人中59人(8.7%)、介入群697人中37人(5.35)において認められた。無症候性の左室機能障害はコントロール群の6.6%、介入群の4.3%に認められた。HFはコントロール群の2.1%、介入群の1.0%に発現した。主要な心血管有害事象で入院したのはコントロール群で71人(10.5%)、介入群で51人(7.3%)であった。 |
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良好な夜間睡眠は従来の生活習慣因子の心血管系への恩恵を増加させる [2013-07-09] |
A good night's sleep increases cardiovascular benefits of traditional healthy lifestyle factors |
良好な夜間睡眠は運動、健康的な食事、中等量の飲酒および非喫煙による心血管疾患(CVD)予防の恩恵を増加させるとの大規模スタディの結果がEuropean Journal of Preventive Cardiologyに掲載された。Monitoring Project on Risk Factors for Chronic Diseases(MORGEN)は、ベースライン時点でCVDを有さない20歳の男性6,672人および女性7,967人を期間中央値12年間追跡したオランダの前向きコホート研究である。身体活動、食事、飲酒、喫煙および睡眠時間の詳細が1993〜1997年にかけて記録され、対象は国内の病院および死亡登録とのクロスリンクを介して追跡された。予想されたように、4つの従来の生活習慣それぞれに対する遵守性のみでもCVDリスクは軽減した。しかし、十分な睡眠時間のみでも睡眠不足と比較し、総合的CVDリスクを22%(HR 0.78)および致死的CVDを43%(HR 0.57)低下させた。これらの恩恵は5つの生活習慣因子を認めるとより大となり、総合的CVDリスクが65%低下し致死的CVDリスクは83%低下した。 |
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経頭蓋磁気刺激は脳卒中サバイバーの会話および言語機能を回復させる可能性がある [2013-07-02] |
Transcranial magnetic stimulation may help stroke survivors recover speech and language function |
非侵襲的脳刺激は脳卒中サバイバーの会話および言語機能回復に役立つ可能性があるとの新たな研究結果がAmerican Heart AssociationのジャーナルStrokeに掲載された。この小規模スタディにおいて、様々なタイプの失語症を有する脳卒中サバイバー24人が治療を受けた。13人は経頭蓋磁気刺激(TMS)を受け、11人はシャム刺激を受けた。TMS装置は低強度刺激を与える携帯型磁気コイルであり運動皮質に刺激を与えると筋収縮を誘発する。要するに、研究者らは脳卒中で傷害された部位が言語を再学習できるように脳の機能している部位を停止させる。患者は20分のTMSまたはシャム刺激およびその後の45分間の会話および言語療法を10日間施行された。TMS群の改善度は非TMS群よりも平均で3倍を超えていたと研究者らは述べている。TMSは失語症のうちで衰弱性の最も強い症状である失名詞において最も有効であった。脳卒中発症後約5週以内の早期は回復過程を調整する遺伝子の活動性が高いため、この期間中の脳刺激は最も有効であるはずであると筆者らは考えている。 |
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外傷性脳損傷がその後の脳卒中の新たなリスクファクターとして同定された [2013-07-02] |
Traumatic brain injury identified as new risk factor for subsequent stroke |
外傷性脳損傷(TBI)を経験した人々は将来的に脳卒中を発症する確率が高い可能性があるとの研究結果がNeurology®オンライン版2013年6月26日号に掲載された。研究者らはTBIまたは脳損傷のない他の外傷のために救急治療室を受診または入院したことのある成人の記録を5年間にわたり調査した。TBI既往者435,630人および脳損傷以外の外傷既往者736,723人であった。外傷後平均28か月の間に11,229人、つまり1%が虚血性脳卒中を発症した。TBI既往者の計1.1%が脳卒中を発症したのに対し、脳損傷以外の外傷既往者においては0.9%であった。年齢、高血圧および高コレステロールおよび心疾患や外傷重症度などの脳卒中リスクに影響する因子で補正した結果、TBI既往者は脳損傷以外の外傷既往者よりも脳卒中発症確率が30%高かった。 |
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