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高齢者における植込み型除細動器の有益性は若年者と同様に認められる [2013-06-25] |
Implantable cardioverter defibrillators benefit elderly as much as younger people |
埋め込み型除細動器(ICD)の有益性は高齢者においても若年者同様に認められる可能性があるとの新たな研究結果がCirculationに掲載された。研究者らは心筋梗塞の既往または心不全による心機能低下が原因で(38.5%は70歳以上、7%は80歳以上)、または心停止後に蘇生され(42.5%は70歳以上、10.9%は80歳代)、ICDを植え込まれた患者計5,399人を調査した。高齢者においても同様に生命を脅かす不整脈を治療するための適切な電気的ショックが行われた。しかし、高齢者の方が循環器系以外および心血管系疾患による入院が多く、関連死亡率が高かった。両群において、高齢なほどICD植え込み後の死亡リスクが高かった。デバイス使用による心調律回復に関しては若年者と高齢者とで同等に有効であった。全ての年齢群において、心停止後にICDを植え込まれた群の方が心停止の一次予防目的で植え込まれた群よりも適切な電気ショックが施される確率が高かった。ICD植え込み後に患者がいかに良好な状態でいられるかは年齢のみでなく総合的な健康度により判断し、ICD適応を決断する目安の補助とするべきである、と筆者らは述べている。 |
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負荷心臓磁気共鳴画像を使用することにより急性胸痛患者の有害事象が軽減する [2013-06-25] |
Stress cardiac magnetic resonance use reduces adverse events for patients with acute chest pain |
合併症を多く有する高齢患者を救急外来(ED)で負荷心臓磁気共鳴(CMR)画像を用いて評価することにより、通常の入院患者の治療とは対照的に、再入院、冠動脈血行再建術施行および追加の心臓検査の必要性が減少したとの研究結果がJACC: Cardiovascular Imagingプリント版に先立ちオンラインで掲載された。ある小規模な単施設臨床試験において研究者らは、患者105人に対しCMRを有する救急治療室の経過観察床または病院のいずれかで治療を受ける群に無作為に割り付けた。経過観察床とは短期(一般的ED受診よりは長いが入院よりは短い)滞在用に指定されたED内エリアである。患者を90日間追跡した結果、その後の冠動脈血行再建術施行が有意に減少し、再入院が少なく心臓再検査や追加検査の必要性も少なかった。今回のスタディは、負荷CMRを有する経過観察床で管理された合併症を多く有する患者においては1人当たりの年間医療費が約$2100削減できたとの過去の研究結果に基づき行われたものである。 |
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一般的な抗うつ薬は冠動脈疾患管理において役立つ可能性がある [2013-06-04] |
Common antidepressant could play a role in managing coronary heart disease |
うつ病や不安障害の治療に一般的に使用される薬剤は安定冠動脈疾患を有する患者のストレス誘発性心疾患を改善する可能性がある。研究者らは参加者にトレッドミルを用いた運動負荷テストおよびメンタルストレステスト(ひっかけ暗算問題、鏡に映った手の動きを見ながら星の図をなぞるもの、および怒りや悲しみを喚起させる状況に関する話をすること)を行った。メンタルストレス誘発性心筋虚血(MSIMI)を有すると同定された127人が、選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)エスシタロプラムまたはプラセボを投与される群に無作為に割り付けられた。6週間後に、参加者は同一のストレステストを受けた。エスシタロプラムを投与された患者はプラセボを投与された患者と比較し、経過観察時にMSIMIを発現する確率が2.62倍低かった。最終のメンタルストレステスト時に、エスシタロプラム群の患者はプラセボ群よりも有意に抑制がきき穏やかであると感じた。またエスシタロプラムを内服することにより血小板セロトニン受容体輸送体数の減少を含むいくつかの心血管マーカーの好ましい変化も認められた。JAMA 5月22/29日号に掲載されたこれらの研究結果は、負の感情がどのように心血管系の健康に影響するかに関する現在の理解をさらに深めるものである。 |
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PCIを施行される患者に対しbivalirudinまたはヘパリンを投与した場合の死亡率は同等であった [2013-06-04] |
Similar mortality found for patients undergoing PCI whether they received bivalirudin or heparin |
EuroPCR 2013で報告された大規模観察研究の結果から、GPIIb/IIIa阻害薬を使用しない際のbivalirudinのヘパリンに対する優越性に疑問が投げかけられた。今回のスタディでは、非ST上昇急性冠症候群(NSTE-ACS)を有し経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行された患者に、bivalirudinを投与した場合とヘパリンを投与した場合とで30日死亡率が同等であることを示した。現在のガイドラインでは、選択的、緊急または早期侵襲的治療を施行される患者において未分画ヘパリンとGP IIb/IIIa受容体阻害薬の代替薬としてbivalirudin単独使用が推奨されている。研究者らは2005〜2011年にPCIを施行されたスウェーデン冠動脈造影および血管形成術レジストリ(SCAAR)のNSTE-ACS患者に、ヘパリン単独を投与した場合とbivalirudinを単独投与した場合の30日死亡率を比較した。このレジストリには、全ての冠動脈造影およびPCIはスウェーデンで施行されたと記録されていた。ヘパリンのみを使用された患者31,351人およびbivalirudinのみを投与された患者10,186人の結果が解析された。補正後の30日死亡オッズ比はヘパリンの方が良好であった(完全症例解析で1.53)。Bivalirudinを使用した患者において、ヘパリンに切り替えれば同様の予後を達成し医療費を削減できるであろう、と筆者らは述べている。しかし、これらの患者群においてbivalirudinとヘパリンを比較した無作為化トライアルが必要である。 |
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