急性心不全で入院した患者の生存期間は延長しているが予後は依然として不良である [2013-05-28]
Patients hospitalized with acute heart failure are living longer but prognosis remains poor

急性非代償性心不全(ADHF)入院歴を有する患者は10年前と比較し生存期間が延長しているが、全体的な長期生存率は依然として低いとの新たなスタディ結果がJournal of the American Heart Associationに掲載され2013年American Heart Association's Quality of Care and Outcomes Research学会で発表された。患者が自宅で暮らせる慢性心不全と異なり、ADHFでは健康上の重度の悪化を伴う。ADHFにて1995年に米国の11の医療機関に入院した患者9,748人と2004年に入院した患者を比較した結果、研究者らは良い情報と悪い情報を得た。入院中に死亡した患者の割合は、2004年には1995年と比較し21%低下した。退院後30日以内に死亡した患者の割合は、2004年には1995年と比較し18%低下した。5年以上の長期生存率は45%改善した。しかし2004年にADHFで入院した患者の3分の1しか5年以上生存せず、予後は依然として不良であった。2004年にADHFで入院した患者は1995年の入院患者よりも高齢で重度であり、貧血や高血圧および慢性腎臓病などの慢性疾患を有する傾向にあった。

VIRGO study:心筋梗塞発症前の女性は男性よりもしばしばQOLが低い [2013-05-28]
VIRGO study: Young women often have poorer quality of life than men before myocardial infarction

心筋梗塞(MI)罹患前の女性は同年代の男性と比較し、しばしばQOLが低いとの研究結果が2013年American Heart Association's Quality of Care and Outcomes Research学会で発表された。研究者らは18〜55歳のMI患者を対象としたある国際スタディの男女2,990人を調査した。彼らは全身の健康指標および心筋梗塞発作前の胸痛やQOLを評価した疾患特異的質問表を用いた。55歳未満の女性は男性よりもMI発症率は低いが、発症した者に関しては女性の方が同年代の男性よりもMI前の身体的精神的健康状態は不良であり身体的制限がより多かった。これらの女性はまた男性よりも他の合併症を有する確率が高かった:糖尿病(40%対27%)、肥満(55%対48%)、脳卒中既往歴(6%対3%)、心不全(6%対2%)、腎不全(13%対9%)およびうつ病(49%対24%)。これらの結果から、女性の方が対照男性よりもMI後の予後が不良である原因に関する知見が得られる可能性がある。

iPad2は植込み型心調律デバイスの使用患者において電磁気的干渉を引き起こす [2013-05-21]
iPad 2s cause electromagnetic interference in patients with implantable cardiac rhythm devices

iPad2は心調律デバイスとの磁気的干渉を引き起こし患者の救命抗頻拍治療を停止させうるとの研究結果が第34回Heart Rhythm Society年次集会で発表された。植込み型除細動器(ICD)を含む心調律デバイスは、携帯電話からMRI機器に至るまでの製品内の磁気や放射線エネルギーの影響を受けうる。磁気の近くの心臓デバイスはマグネットモードに切り換わり必要な治療が障害される可能性がある。電磁干渉(EMI)の影響はほとんどの場合は一時的であり、磁気が心臓デバイスの近接に置かれた場合に起こる。iPad2はこのタブレット端末のカバーを保護するのに役立てるために磁気が使用されている。ICDを植え込まれた26人の患者がiPad2を読める距離に置き、また、このタブレット端末を使用している際に寝てしまった場合をまねて胸の上に置いた。iPad2を読む距離に置いた場合にはEMIは検出されなかったが、タブレットを胸の上に置くと30%の患者においてマグネットモードに切り換わった。このスタディではまた、ペースメーカーを植え込まれた患者4人とループレコーダーを植え込まれた患者1人についても調査したが、これらのデバイスは何ら影響を受けなかった。

Dual chamber ICDを植え込まれた患者においてはデバイス関連合併症が高い [2013-05-21]
Higher risk of device-related complications found in patients with dual-chamber cardioverter-defibrillators

一次予防目的にICDを植え込まれる患者はしばしばdual chamber ICDを植え込まれるが、dual chamberデバイスの使用はsingle chamberデバイスの使用と比較しデバイス関連合併症のリスクが高いとのスタディ結果がJAMA 5月15日号に掲載された。一次予防目的にICDを植え込まれ、ペーシングの明らかな適応のない患者が組み入れられた。ICDを植え込まれた患者32,034人の患者のうち、12,246人(38%)がsingle chamberデバイスを植え込まれ、19,788人(62%)がdual chamberデバイスを植え込まれた。合併症率はsingle chamberデバイスで低かった(3.51%対4.72%)が、デバイスの型と1年死亡率(未補正の死亡率、9.85%対9.77%)、1年総入院率(未補正の入院率、43.86%対44.83%)、または心不全による入院(未補正の入院率、14.73%対15.38%)とには有意な関連は認められなかった。これらの結果に基づき筆者らは、明らかなペーシングの適応を有さない患者においては、一次予防目的でのdual chamberICD植え込みの決断は注意深く行うべきであるとアドバイスしている。

PROACT:新たなデザインの心臓機械弁に低用量抗凝固療法を用いることにより出血リスクが低下する [2013-05-14]
PROACT: Low-dose anticoagulation therapy used with new design mechanical heart valve lowers bleeding risk

第93回AATS年次集会において、On-X大動脈弁用機械弁とともに低用量抗凝固療法と低用量アスピリンを併用することにより有害出血イベント発現が減少することが報告された。この新世代機械弁はより効率よくまた血栓をできにくくするいくつかのデザインの特徴を有する。Prospective Randomized On-X Anticoagulation Clinical Trial(PROACT)の一部として、大動脈弁置換術を施行された患者375人が術後3か月の時点でコントロール(190人、平均年齢55.8歳)または治療群(185人、平均年齢54.1歳)にランダムに割り付けられた。コントロール群は国際標準化比(INR) 2.0〜3.0を目標として維持する標準的なワーファリン治療を受けた。治療群はINR1.5〜2.0を目標とする低用量ワーファリンを投与された。全ての患者が1日81mgのアスピリンを含む標準治療を最初の3か月間受けた。約80%の患者が男性であり、93%が弁置換術前は洞調律であった。平均3.82年後の有害出血イベントは治療群で55〜60%低く、脳卒中、一過性脳虚血発作または合計の神経学的イベントの有意な増加はなかった。

ADVANCE III:植え込み型除細動器の検出間隔を増加させることで好ましくないアウトカムが減少する [2013-05-14]
ADVANCE III: Increasing detection intervals in implantable cardioverter-defibrillators reduce unfavorable outcomes

植え込み型除細動器(ICD)の検出間隔を標準的な間隔よりも長くプログラミングすることにより抗頻拍ペーシング発現、ICDショック施行、および不適切なショックが減少するとのスタディ結果がJAMA 5月8日号に掲載された。研究者らはスタディ(ADVANCE III)を行い、fast VT発現中に心室性不整脈(VT)を検出するのに30/40間隔(長い検出間隔)を用いることにより18/24間隔(標準的な検出間隔)を用いるよりも、抗頻拍ペーシング(ATP)やショック施行が減少するかどうかを判定した。このランダム化トライアルには、虚血性および非虚血性疾患を有し初回のICD植え込みをされた一次および二次予防患者1,902人(平均年齢65歳;男性84%;一次予防ICD 75%)が組み入れられた。経過観察期間中央値12か月の間に、長い検出間隔群患者は標準的な検出間隔患者よりも治療(ATPおよびショック)施行率が37%低かった(346対557)。長い検出間隔群では不適切なショック発現率が有意に低かった(45%低かった)。さらに、長い検出間隔群では入院率も低かった。適切な電気ショックは二群間で差がなく死亡率にも有意差はなかった。

それを超えると心血管イベントリスクが上昇するビタミンDレベルが同定された [2013-05-07]
Vitamin D levels identified above which there is increased risk for cardiovascular events

このレベルを超えると心血管イベントや死亡リスクが有意に上昇するビタミンDの安全な上限値が初めて算定されたとのスタディ結果が、Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism 2013年5月号に掲載された。研究者らは45歳以上の422,000人に血中ビタミンD計測を行うスタディを施行した。その結果、冠動脈疾患罹患率の観点からみたビタミンDレベルの安全域は20〜36ng/mLであった。これらの範囲以下および以上では死亡率および罹患率が有意に高かった。検査を受けた人々の60%超で血中ビタミンD濃度が不足していた。これらの人々の半分はビタミンDレベルが重度に低下しており、急性冠症候群罹患率および死亡率が1.5倍高かった。ビタミンDレベルが36ng/mLを超えていたのは検査をした人々の3%であり、冠動脈疾患罹患率または死亡率が1.13倍高かった。

ポリフェノールの豊富な食事およびサプリメントは高リスク患者の血管内皮機能を復活させるのに役立つ可能性がある [2013-05-07]
Diet of polyphenol rich foods and supplements may help reverse endothelial dysfunction in high risk patients

穀類、豆類および一部の野菜を減らした食事―"アンチエイジング"サプリメントとの組み合わせ―は血管内皮機能障害(ED)を改善したとのスタディ結果が2013年American Heart Association's Arteriosclerosis, Thrombosis and Vascular Biology学会で発表された。スタディ対象の51〜86歳200人のうち、40%は女性であった。全員が血管疾患リスクファクターを有し、4分の3近くがEDを有していた。食事は糖結合蛋白レクチンの豊富な食品を制限するものであった。制限された食品は穀物、豆類、果物、家禽類およびトマトを含むナス科に属する野菜であった。同時に、患者は大量の葉物野菜、甲殻類および魚、オリーブオイルおよび草食動物蛋白を摂取し、魚油、ブドウ種子エキス由来の抗酸化ポリフェノールやビタミンを含むサプリメントを摂取した。全ての患者は1日に2,000〜4,000mgの高DHA魚油、200mgのブドウ種子エキス、および50mgのピクノジェノールを摂取するよう指導を受けた。ベースラインの血管内皮反応(ER)は1.88+/-0.7(範囲1.0〜3.3)であり、200人中145人(72%)が血管内皮機能障害(1.60未満)を有していた。6か月後にERは2.25+/-0.5(範囲1.2〜3.6)(P <0.01)に上昇した。依然としてEDであった者は200人中わずか40人であったが、全員のER数値は上昇した。