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大学時代の頻回の大量飲酒はその後の人生における心血管疾患へと繋がる可能性がある [2013-04-30] |
Frequent binge drinking in college can lead to cardiovascular disease later in life |
大学時代に短時間に大量飲酒を繰り返すことは体内循環の急激な変化を来し、その他の点では健康な若年者が心血管疾患を将来発症するリスクを上昇させる、との研究結果がJournal of the American College of Cardiologyオンライン版に掲載された。研究者らは非喫煙の大学生2グループ(大量飲酒歴のある者と飲酒を控えている者)を観察した。大量飲酒群の学生はそのような機会を4年間に平均で月6回有していた。非飲酒者は前年の飲酒量が5杯以下であることで定義した。スタディの結果、大量飲酒者は血管内皮および平滑筋細胞の機能障害を有していることを見出した。これらの血管の変化は生涯にわたり大量飲酒を毎日繰り返している者において認められる障害と同等であり、動脈硬化や心筋梗塞および脳卒中などの他の心血管疾患の前兆となる可能性がある。大量飲酒者は、高血圧や高コレステロール血症などの心疾患の確立したリスクファクターは有さなかった;しかし、高血圧および高コレステロール血症はいずれもこれらの学生に認められたのと同様の血管機能変化を引き起こす。 |
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過酷な肉体労働は心血管疾患リスクを上昇させる [2013-04-30] |
Demanding physical work associated with an increased risk of cardiovascular disease |
今年のEuroPRevent 2013学会で発表された2つのスタディの結果、過酷な肉体労働は冠動脈疾患リスクにおいて有害な作用を及ぼすことが示唆された。1つ目のスタディは、初回脳卒中患者連続250人および初回急性冠症候群患者連続250人と同等にマッチさせたコントロール500人において職業を評価したケースコントロールスタディであった。9単位スケール(1=身体的に過酷な仕事、9=動きの少ない/精神的な仕事)で評価したところ、概して脳卒中および冠動脈イベントを来した者はコントロール群よりも身体的に過酷な職業に従事している率が高かった。可能性のある様々な交絡因子で補正すると、身体的な過酷度が低い職業になるほど(つまり、スケールが上がるごとに)、急性冠イベント(統計学的有意なオッズ比0.81)または脳梗塞(オッズ比0.83)発現の可能性が20%低下した。2つ目はスタディ開始時には、冠動脈疾患を有さなかった中年男性14,000人余りを対象としたコホートスタディであった。平均3.15年の経過観察期間中に、余暇身体活動の冠動脈イベントへの有益な効果が認められたが過酷な肉体労働では有害な影響がみられた。 |
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細胞療法および高用量超音波を用いた心不全に対する治療は心機能を軽度改善する [2013-04-23] |
Treatment for heart failure involving cell therapy and high-dose ultrasound results in modest improvement in cardiac function |
心筋梗塞後慢性心不全患者に対し、骨髄由来単核細胞(BMCs)注入前にショック波(高用量超音波を用いた)標的心組織プレコンディショニング治療を行うことにより、4か月後の左室駆出率(LVEF)が軽度だが有意に改善したとのスタディ結果がJAMA 4月17日号に掲載された。治療は、左室前壁を標的とした低用量(42人)、高用量(40人)またはプラセボ(21人)ショック波のいずれかを用いた。ショック波前治療を施行された患者らは24時間後に冠動脈内BMCsまたはプラセボを注入される群にランダムに割り付けられ、プラセボショック波を施行された患者は冠動脈内BMCs注入を受けた。一次エンドポイント(ベースラインから4か月後のLVEFの変化)は、ショック波+BMCs施行群でショック波+プラセボ注入を施行された群よりも有意に改善した(LVEF絶対値の変化、3.2%に対し1.0%)。局所壁厚増大はショック波+BMCs群で有意に改善したが、ショック波+プラセボ注入群では改善しなかった(3.6%対0.5%)。重大な心有害イベントはショック波+BMCs群で有意に頻度が少なかった。 |
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C-CURE:心筋産生"スマート"幹細胞は心不全患者治療において有望である [2013-04-23] |
C-CURE trial: Cardiopoietic "smart" stem cells show promise in heart failure patients |
Journal of the American College of Cardiologyに掲載の報告によると、国際研究チームが心筋再生または"スマート"幹細胞を用いた治療により心不全患者の心臓の状態を改善し得ることを示した。このC-CUREトライアル(Cardiopoietic stem cell therapy in heart failure)は、ベルギー、スイスおよびセルビアの心不全患者を対象とした。コントロール群の患者は確立されたガイドラインに沿って標準的な心不全治療を受けた。細胞療法群の患者は、標準ケアに加えて心筋再生幹細胞(生物学的画期的新薬)投与を受けた。幹細胞群の患者全てに改善が認められた。治療6か月後に、細胞療法群においては駆出率(EF)の絶対値がベースラインよりも7%改善したのに対し、コントロール群では有意な変化は認められなかった。さらに、幹細胞療法前と比較し健康状態が改善し歩行距離も延長した。このスタディは不全臓器の再生を標的としたlineage-guided幹細胞を患者に初めて応用したものであり、次世代の再生医療に開発の道を開くものである。 |
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ウォーキングはランニングと同程度に高血圧、高コレステロール血症および糖尿病のリスクを低下させる [2013-04-16] |
Walking can lower risk of hypertension, hypercholesterolemia and diabetes as much as running |
早足のウォーキングはランニングと同程度に高血圧、高コレステロール血症および糖尿病のリスクを低下させることができるとの驚くべき結果がArteriosclerosis, Thrombosis and Vascular Biology誌に報告された。研究者らはNational Runners' Health Studyのランナー33,060人およびNational Walkers' Health Studyのウォーカー15,045人を解析した。過去のスタディとは異なり、研究者らはウォーキングやランニングの労力を時間ではなく距離で評価した。参加者はアンケートに回答することにより活動データを提供した。スタディ参加者は18〜80歳であり、40〜50歳代が多かった。ウォーカーの21%およびランナーの51.4%が男性であった。エネルギー消費と自己申告によるスタディ6年間の医師に診断された高血圧、高コレステロール血症、糖尿病および冠動脈疾患発現率とを比較した結果、ランニングにより高血圧発症のリスクが4.2%およびウォーキングにより7.2%と有意に低下した。高コレステロール初回診断はランニングにより4.3%そしてウォーキングにより7%低下した。ランニングは初回糖尿病を12%減少させたのに対し、ウォーキングは12.3%減少させた。ランニングは冠動脈疾患を4.5%減少させたのに対し、ウォーキングは9.3%減少させた。 |
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心臓手術は胸部放射線療法を施行されたがん経験者において死亡リスクを上昇させる [2013-04-16] |
Heart surgery increases risk of death for cancer survivors who had chest radiation |
胸部放射線療法を施行されたがん経験者は放射線療法を施行されたことのない患者と比較し、主要な心臓手術後数年以内の死亡率が2倍近いとの研究結果が、American Heart Association学会誌Circulationに掲載された。研究者らはがんに対して平均18年前に放射線療法を施行された心臓手術の必要な患者173人を調査した。彼らは心臓手術患者を平均7.6年追跡し、放射線療法を受けたことのない同様の心臓手術を施行された患者305人と比較した。術式は弁膜またはバイパス手術であり、大多数が複数の弁膜手術または弁膜手術とバイパス手術など複数同時手術を受けた。約4分の1の患者が再手術を施行された。放射線療法施行患者と非施行患者とで術前リスクスコアは同等であった。主要な心臓手術後30日間は、放射線療法の有無に関係なく予後は同様であった。しかし、平均7.6年の追跡期間中に放射線療法施行群患者の55%が死亡し、それと比較して非施行群では28%であった。このスタディは、過去の放射線療法が主要な心臓手術後の長期予後にどのように影響するかに関する最大のものである。 |
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青年期の不健康な食生活や運動不足は成人期の心血管疾患発症率上昇に影響する [2013-04-09] |
Poor adolescent diet and activity levels influence worsening rates of cardiovascular disease as adults |
青年期の不健康な生活レベルが高いことおよび好ましくない心血管リスクファクターは成人期の心疾患の確率を上昇させる可能性があるとの新たな研究結果がCirculationに掲載された。米国内健康と栄養に関する調査の対象の一部である青年期男女4,673人(12〜19歳)を全ての主な民族において等しく男女に分別した。これらの民族全体の男女において、健康的な食事スコア(果物および野菜、魚、全粒粉、塩分および加糖飲料レベルに基づく)は最も好ましい計測値が少なかった―貧しい食事を摂っているのは80%を超えていると点数付けした。理想的な健康食レベルに達したのは男女ともに1%未満、許容範囲内レベルの健康因子が5個以上であったのは50%未満(男子45%、女子50%)であり、運動が理想的なレベルに達したのは女子の44%および男子の67%であった。これらの男女の3分の1において総コレステロールレベルが中等度から不良の範囲であった。運動や食事が最良のレベルに達していないことは肥満や過体重につながり、結果としてこれらの若年期における高血圧、高脂血症および高血糖率の悪化に影響しているようである、と筆者らは結論付けている。 |
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繊維質の多い食品の摂取量が多いと初発脳卒中リスクが低下する [2013-04-09] |
Greater intake of fiber-rich foods associated with decreased risk of first-time stroke |
より多くの食物繊維を摂取することにより初発脳卒中リスクが低下する可能性があるとのスタディ結果がStroke誌に掲載された。過去の研究から食物繊維は、高血圧や血中低密度リポ蛋白(LDL)コレステロール高値を含む脳卒中のリスクファクターの軽減に役立つ可能性があることが示されている。今回の新たなスタディにおいて、研究者らは1990〜2012年に発表された8つのスタディを解析した。スタディでは全てのタイプの脳卒中を4つの脳梗塞リスク特異的検査および脳出血を評価する3つの検査を用いて報告した。観察研究の結果を年齢や喫煙などの他のリスクファクターと組み合わせ考慮に入れた。その結果、1日の食物繊維摂取量が7g増加するごとに初発脳卒中リスクが7%低下した。全粒粉パスタ1人前と果物または野菜2人前により約7gの食物線維が摂取できる。この結果は食物繊維総摂取量に基づいた。可溶性食物繊維と脳卒中リスクとには関連は認められず、不溶性食物繊維に関しては結論を出すのに十分なデータがなかった。この結果は少なくとも1日25gの食物繊維を含む食事の重要性を強固にするものである。 |
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キレート療法は心血管イベントを軽度減少させる可能性があるがこの結果は日常臨床における使用を支持するものではない [2013-04-02] |
Chelation therapy may result in small reduction of risk in cardiovascular events but findings do not support routine clinical use |
エデト酸ナトリウム(disodium EDTA)を用いたキレート療法は、冠動脈疾患治療に対するその有効性のエビデンスは限られたまま使用されてきたが、JAMA 3月27日号に掲載された陳旧性心筋梗塞(MI)を有する患者を対象としたトライアルの結果、キレートを用いた治療法は複合有害心血管事象リスクを軽度減少させることが示された。この無作為化トライアルには6週間以上前にMIを発症した患者1,708人(年齢中央値65歳)を組み入れ、500mLのキレート液(839人)またはプラセボ(869人)を40回点滴しビタミンミネラル剤またはプラセボを内服させた。一次エンドポイント(総死亡、MI再発、脳卒中、冠動脈血行再建術施行、または狭心症による入院の合計)はキレート療法群の26%およびプラセボ群の30%に発現した。総死亡に対する効果はなかった(キレート療法:死亡87人[10%];プラセボ:死亡93人[11%])が、この比較に関しては検出力不足であった。死亡以外の一次エンドポイント項目に関するEDTAキレート療法の効果は総合的な効果と同程度であった。これらの結果はMI治療におけるキレート療法の日常的な使用を示唆するには不十分である、と筆者らは結論付けている。 |
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スタディの結果、長期の健康を最小限の医療費で促進することにおける人口股関節全置換術の有用性が支持された [2013-04-02] |
Study supports the value of total hip replacement in aiding long-term health at minimal cost |
生活の質を改善し疼痛を軽減することに加え、人工股関節全置換術(THR)は変形性関節症患者の死亡、心不全、うつおよび糖尿病率を低下させたとの研究結果が2013年American Academy of Orthopaedic Surgeon学会で発表された。研究者らは股関節の変形性関節症患者43,000人超を抽出し2群(THRを受ける群とTHRを受けない群)に割り付けた。THR患者は一貫して死亡リスクが低かった―THR無施行群の52%未満。術後1年間の心不全は両群で差がなかったが、術後3〜7年後では一貫してリスクが低かった(THR無施行群のリスクの0.85〜0.92倍のリスク)。THR患者は1年後および3年後の糖尿病リスクが低かった。THR患者のうつ病リスクは3年後から低下し始めた。THR患者は術後1年では虚血性心疾患および動脈硬化リスクが高く、全ての時点において"非特異的心血管疾患"のリスクが高かった。7年間のTHRのコストはTHRを施行せずに変形性股関節症の股関節痛を治療した場合と比較し$6,366高かったに過ぎなかった。 |
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