◆ |
DIG:ジゴキシンは慢性心不全の高齢患者における全入院を減少させる [2013-03-25] |
DIG: Digoxin reduces all cause hospital admissions in older patients with chronic heart failure |
ジゴキシンは、左室駆出率の低下した慢性心不全(HFrEF)の外来高齢患者の全入院率を有意に低下させるとの研究結果が第62回American College of Cardiologyで発表され、同時にAmerican Journal of Medicineオンライン版に公表され、2013年8月号の印刷版に掲載予定である。研究者らはDIG(Digitalis Investigation Group)トライアルのHFrEF患者6,800人の1995年以降の予後をレビューした。目的は30日以内の全ての原因による入院に対するジゴキシンの効果を調査することであった。患者は21〜94歳であり、半数は65歳以上であった。ジゴキシンは30日以内の全ての原因による入院を34%減少させた。ジゴキシンによる治療は追跡開始後30日以内の総死亡を増加させなかった。他の強心薬とは異なり、ジゴキシンは死亡率を増加させないようであり、低用量では神経ホルモンを遮断することが明らかにされた。HFrEFの死亡率や入院を減少させる薬剤の多くもまた神経ホルモンを遮断するため、この結果は重要であると専門家らは述べている。これらの結果から、ジゴキシンは退院後間もない急性心不全の高齢患者の再入院を減少させるのにも役立つ可能性があると研究者らは確信している。 |
 |
◆ |
RELAX:勃起不全治療薬は拡張期心不全患者を改善させなかった [2013-03-25] |
RELAX: Erectile dysfunction drug shows no improvement in patients with diastolic heart failure |
一般的に使用されている勃起不全治療薬の拡張期心不全治療効果に対する期待は大きかったが、有益性は認められなかったとのスタディ結果が第62回American College of Cardiology学会で発表された。RELAXスタディは拡張期心不全に対するシルデナフィルを用いた長期治療の効果を観察した初めての多施設トライアルである。スタディには拡張期心不全(LVEF≧50%、NYHAクラス2-3)の患者113人が組み入れられ、シルデナフィル20mgを1日3回3か月間内服しその後にさらに3か月間60mgを1日3回内服した。彼らはプラセボコントロール群(103人、年齢中央値68歳)と比較された。スタディの結果、一次エンドポイントである24週間後のピーク酸素摂取量の変化には有意差が認められなかった。6分間歩行検査、患者の健康状態に基づく臨床スコアおよびQOL、そして心臓超音波検査、MRIおよび血液検査によるバイオマーカーデータを含む心血管構造および機能検査などの他のアウトカムについてもまた、差はなかった。このスタディ結果はJournal of the American Medical Association (JAMA)オンライン版に掲載されており、3月27日号の印刷版に掲載予定である。 |
 |
◆ |
TERISA:Ranolazineの狭心痛軽減作用は血糖コントロール不良の患者において最も顕著であった [2013-03-25] |
TERISA: Angina pain reduction effects of ranolazine most pronounced in patients with poor glucose control |
Ranolazineは2型糖尿病患者の狭心症を軽減し、この効果は血糖コントロール不良な患者においてより顕著なようであるとの研究結果が第62回American College of Cardiologyで発表された。Type 2 Diabetes Evaluation of Ranolazine in Subjects with Chronic Stable Angina(TERISA)トライアルには927人の患者(男性61%)が組み入れられ、ranolazine 1,000mgを1日2回内服群またはそれに匹敵させたプラセボを8週間内服する群に無作為に割り付けられた。全ての患者が2型糖尿病を有し、冠動脈疾患の確定診断を受け、1週間に1回以上の狭心発作を伴う安定狭心症を有していた。患者はすでに、他の狭心症治療薬を1または2剤内服していた。一次エンドポイントは第2〜8週の自己報告の狭心症頻度であった。その結果、週当たりの胸痛発作はranolazine群において3.8回/週であり、プラセボ群の4.3回/週よりも少なかった(P =0.008)。重要な二次エンドポイントは、同じ時間枠内のニトログリセリン使用頻度であった。これもまたプラセボ群よりもranolazine群で低く、週当たり1.7回対2.1回であった(P =0.003)。このスタディ結果はJournal of the American College of Cardiologyオンライン版に掲載されており、5月21日号の印刷版に掲載予定である。 |
 |
◆ |
REMINDER:エプレレノンを標準治療に追加投与することによりMI後の心不全リスクが低下する可能性がある [2013-03-25] |
REMINDER: Eplerenone may reduce risk of heart failure after MI when given in addition to standard treatment |
薬剤エプレレノンは心筋梗塞(MI)後の心血管死亡および心不全のリスクを3分の1以上減少させるようであるとの研究結果が第62回American College of Cardiology学会で発表された。REMINDER(Reduction of heart failure morbidity in patients with acute ST-elevation myocardial infarction)は、ST上昇MI(STEMI)患者1,012人を対象とした無作為化二重盲検トライアルである。患者は心不全徴候または心不全歴を有さなかった。彼らはエプレレノンまたはプラセボを標準治療に加えて投与された。全体で、エプレレノン内服群はプラセボ内服群よりも予後不良率が38%低かった。追跡期間中央値10.5か月後の心不全、重症不整脈または死亡はエプレレノン投与群患者においてプラセボ投与群患者よりも頻度が低かった(18.4%対29.6%、P <0.0001)。また、1か月後にBNP/NT-proBNP上昇を認めたのはエプレレノン群患者でわずか16%であったのに対し、プラセボ群では25.9%であった(P <0.0002)。今回のスタディ対象患者は低リスク(死亡率0.4%)であり標準治療を受けていた。有害事象は両群で同等であった。 |
 |
◆ |
MASS COMM:院内緊急心臓外科手術の不可能な病院で施行される非緊急血管形成術は安全で有効である [2013-03-25] |
MASS COMM: Non-emergency angioplasty at hospitals without on-site cardiac surgery is safe and effective |
院内緊急心臓外科手術の不可能な病院で施行する非緊急血管形成術は、緊急心臓外科手術の可能な病院で施行される血管形成術と比較し、安全性および有効性は同等であるとの研究結果が第62回American College of Cardiology学会で発表された。計3,691人の患者が3:1の割合で無作為に割り付けられ、2,774人は緊急心臓外科手術の不可能な病院で、917人は外科的なバックアップのある病院に転送されPCIを施行された。対象の平均年齢は64歳であり、32%は女性、32%は糖尿病を有し、61%は急性冠症候群で来院した。血管形成術30日後および12か月後の総死亡率、心筋梗塞、再血行再建術または脳卒中などの予後は心臓外科を有さない病院群と有する病院群とで差はなかった。今回の結果から、心臓外科はなくとも適切な経験、確立された血管形成術プログラム、および必要とされるレベルの病院と術者の人数を有すれば、これらの病院を訪れた患者に血管形成術を施行することは受容できる選択であると筆者らは述べている。 |
 |
◆ |
NEXT:バイオリムス溶出ステントを留置された患者の1年後の予後はエベロリムス溶出ステントを留置された患者のそれと同等である [2013-03-25] |
NEXT: Outcomes of patients receiving biolimus-eluting stent comparable to everolimus stent at one year |
日本でトップの薬剤溶出ステントと生物分解性コーティングを特徴とする新たなデバイスの比較において、この新規参入ステントの1年後の成績は統計学的に同等であったとのNEXTトライアルのデータが第62回American College of Cardiology学で発表された。NEXTトライアルは、これら2つのステントを比較した最大の多施設、無作為化、オープンラベルスタディであり、3,235人の患者がバイオリムス溶出ステント(BES)またはエベロリムス溶出ステント(EES)に割り付けられた。スタディは日本における 98の参加施設において薬剤溶出ステント挿入を予定された全ての患者を組み入れ、除外項目はなかった。1年後の標的病変血行再建率はBESで67%であったのに対しEESでは66%であり(両群ともに4.2%)、BESはEESに対し非劣性であるとの目的を達成した。明確なステント血栓の累積発生率は低く、BES群で0.25%であったのに対しEES群で0.06%であった。スタディ対象患者の多くは高齢であり(平均年齢69.2±9.8年)、糖尿病を有していたり(46%)すでに冠動脈内ステントを留置されたりしていた(51%)。解析の結果、これらのサブグループにおいて2つのステント群間の予後に差はなかった。初期成功率はBESおよびEESで非常に良好であり両群ともに99.6%であった。 |
 |
◆ |
日本における2011年の地震による余震は心筋梗塞および突然死を倍増した [2013-03-19] |
Aftershock of the Japan 2011 earthquake linked to a doubling in myocardial infarctions and sudden death |
地震およびそれに続く余震による急性の情動的および身体的ストレスは、心疾患率の低い人々においても心筋梗塞(MI)および突然死の誘因として重要である可能性があるとの研究結果が第62回American College of Cardiology学会で発表された。研究者らは日本における2011年の地震およびその後の津波を被った地域におけるMIと心臓突然死を発症した患者の誘因および臨床的特徴を評価した。最初の最大の地震は2011年3月11日に発生し震源地のマグニチュードは9.0であった。岩手ではこれにより震度5.6の地震が起きた。2つ目の地震は4月7日に発生した震度5.5の地震であった。それまでの年と比較し、この災害後4週間のMIおよび突然死発生総数は倍であった。津波の影響を受けた地域と内陸とで有意な差は認められなかった。これらの結果および心イベントと自然災害とを関連付けた他のスタディから、自動体外式除細動器の公共配置や病院における高度な災害計画などの予防措置をとることの必要性が強調される。筆者らはまた、高リスク患者には薬剤(即効性カルシウム受容体拮抗薬、β遮断薬、アスピリンおよびニトログリセリン舌下錠)を供給し手元に置かせることも提案している。 |
 |
◆ |
CORONARY and GOPCABE:オンポンプおよびオフポンプバイパス術技術の安全性および有効性は同等である [2013-03-19] |
CORONARY and GOPCABE: Similar safety and efficacy with on- and off-pump bypass surgery techniques |
第62回American College of Cardiology学会で発表された2つのレイトブレイキングトライアルにおいて、オンポンプおよびオフポンプ冠動脈バイパス術(CABG)の有効性は同等であると発表され同時にNew England Journal of Medicineオンライン版に掲載された。CORONARYスタディは、オンポンプとオフポンプバイパス術を比較した最大規模の国際的多施設トライアルである。このスタディではバイパス術施行を既に予定された患者4,752人を組み入れた。死亡、脳卒中、心筋梗塞または術後1年以内の透析を要する新たな腎不全の複合である一次エンドポイントについては、オフポンプバイパス術を受けた患者とオンポンプバイパス術を受けた患者とで有意差はなかった(12.2%対13.3%、P =0.24)。もう1つの大規模多施設トライアル―GOPCABEと呼ばれるドイツ高齢者におけるオフポンプ冠動脈バイパス術(ドイツの12の心血管医療センターにおいて初回の待機的CABGを予定された75歳以上の患者2,539人を組み入れ)においても同様の結果が報告された。一次エンドポイントは死亡、脳卒中、心発作、血行再建術再試行または術後30日以内の新たな腎移植の複合であった。その結果、オンポンプバイパス術を受けた患者とオフポンプバイパス術を受けた患者とで一次エンドポイントに有意差はなかった(8.2%対7.8%、P =0.74)。 |
 |
◆ |
DKCRUSH-III:治療困難な分岐部病変において"ダブルキッシング"クラッシュステントを用いた際の有害事象は少ない [2013-03-19] |
DKCRUSH-III: Fewer adverse events with "double kissing" crush stent in challenging bifurcation lesions |
冠動脈分岐部病変を有する患者に対する治療は"ダブルキッシング"クラッシュとして知られるステント技術を用いた方がキュロットステント治療よりも有意に優れていたとのDKCRUSH-III トライアルの結果が第62回American College of Cardiology学会で発表された。キュロット技術は主幹動脈および分枝にオーバーラップするステントを留置する。DKクラッシュ技術は分枝ステントの小片を主幹動脈の方へ延長させる。この方法はバルーンを動脈内で拡張させることと"ダブルキス"させることの2点を取り入れている。今回の多施設スタディでは、非保護左主幹動脈末梢分岐病変の患者をDKクラッシュ(210人)またはキュロット(209人)ステントを施行する群に無作為に割り付けた。8か月後の追跡冠動脈造影の結果、ステント内再狭窄をDKクラッシュ群で12例に、キュロット群で22例に認めた(6.8%対12.6%)。1年後に主要な有害心事象を来したのはDKクラッシュ群患者の方がクロット群より少なかった(6.2%対16.3%)。標的病変および標的血管の再血行再建術施行率はキュロット法の方が明らかに高かった:標的病変においては6.7%対2.4%であり、標的血管においては10.5%対4.3%であった。この結果はJournal of American College of Cardiologyのオンライン版に公表されており、印刷版4月9日号に掲載予定である。 |
 |
◆ |
STREAM:病院到着前のtenecteplase投与は一部の心筋梗塞患者において有益である [2013-03-19] |
STREAM: Treatment with tenecteplase before hospital benefits some patients suffering myocardial infarction |
血栓溶解療法は緊急血管形成術を行うことのできない一部の心筋梗塞患者において有益である可能性があるとのレイトブレイキングトライアルの結果が第62回American College of Cardiology学会で発表され、同時にNew England Journal of Medicineに掲載された。Strategic Reperfusion Early After Myocardial Infarction(STREAM)トライアルにはST上昇心筋梗塞(STEMI)患者1,915人を組み入れた。患者は初めにカテーテルインターベンション(PCI)の施行できない状況で、地域病院または救急隊員により診察された。大規模な医療機関に転送される前に、患者は到着直後にPCIを施行される群、またはtenecteplaseとエノキサパリンとの併用および到着前のクロピドグレルおよびアスピリンによる薬物療法群にランダムに割り付けられた。大規模医療機関へ転送された時点で、tenecteplase患者の約3分の1が緊急血管形成術を必要とした。一次エンドポイント(総死亡、ショック、うっ血性心不全および30日以内の心発作の合計)は緊急PCI群とtenecteplase群とで同等であった(14.3%対12.4%、P =0.211)。心臓特異的死亡率または心疾患による再入院に関して差はなかった。Tenecteplase群の方が冠動脈造影上正常な血流を有する確率が高かった(58%対21%)。また同群はPCI施行群よりも冠動脈完全閉塞を有する率が低かった(16%対59%)。 |
 |
◆ |
PARTNER:脳卒中および死亡は経カテーテル的大動脈弁置換術と標準的な手術とで同等である [2013-03-19] |
PARTNER: Midterm stroke and death rates comparable for transaortic valve replacement and standard surgery |
高リスク高齢者において経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVR)の3年後の総死亡率および心血管死亡率は開心術と比較し同等であり術後30日間の脳卒中リスクも上昇しないとのレイトブレイキング臨床試験の結果が第62回American College of Cardiology学会で発表された。第V相多施設スタディPARTNERでは、高リスクのfaulty大動脈弁患者699人を標準治療(351人)またはTAVR群(348人)に割り付けた。3年後の総死亡率は両群間でほぼ同等であった:標準手術群44.8%に対しTAVR群44.2%。心血管死亡率もまた標準手術群で30.2%およびTAVR群で30.1%であり、統計学的には差がつかなかった。両群ともに症状は同様に改善し、それは3年間持続した。2年後または3年後の脳卒中リスクにも差はなかった。TAVR脳卒中率は1年後で6%、2年後では7.7%であり3年後では8.2%であったのに対し、標準的な手術ではそれぞれ3.2%、4.9%および9.3%であった。このスタディはAmerican Journal of Medicineオンライン版で公表されており2013年8月号印刷版に掲載予定である。 |
 |
◆ |
Horus study:4,000年前まで遡ると多くの地域や生活習慣からミイラに動脈硬化があったことが分かった [2013-03-19] |
Horus study: Atherosclerosis found in mummies from many geographies and lifestyles dating back 4,000 years |
動脈硬化は近代の生活習慣の産物であるとしばしば考えられているが、この現象はさまざまな地理的位置や遺伝子背景および生活習慣を含む数千年にわたる疾患であるとのレイトブレイキングトライアルの結果が第62回American College of Cardiology学会で発表された。このHorus Studyは古代人における動脈硬化の証拠を調査した初めての系統的な研究である。研究者らの国際協力によりエジプト、ペルーおよび北米の4,000年近くの期間を経たミイラ137体の全身コンピュータ断層撮影(CT)が施行された。研究チームは調査したエジプト人76体の38%、ペルー人51体の25%、アナサジ族5体の40%、アレウト族5体の60%において、動脈硬化の証拠を明らかにした。科学的調査から推定した年齢に基づくと、これらのミイラの死亡時平均年齢は36歳であったが、動脈硬化を有する者の平均年齢は有意に高く43歳であった。このスタディの立案者らによると、古代人の平均寿命は約40歳であることから、一部の人々において動脈硬化は老化特有のものであるとの仮説が導かれる。 |
 |
◆ |
CHAMPION PHOENIX: Cangrelorの他に類を見ない即効性の抗凝固作用は循環器領域において広く有用である可能性がある [2013-03-12] |
CHAMPION PHOENIX: Uniquely fast anticoagulant action of cangrelor has potential for broad utility in cardiology |
冠動脈ステント留置を施行された患者を対象とした大規模グローバルトライアルにおいて、治験中の抗凝固薬cangrelorは一般的に使用されているクロピドグレルよりも確実に優れていたとの第V相CHAMPION PHOENIXスタディのデータが第62回American College of Cardiology学会で発表され、同時にNew England Journal of Medicineオンライン版に掲載された。このトライアルでは新たな静注薬cangrelorと経口薬クロピドグレルによる標準治療を世界中の153施設の患者約11,000人において比較した。トライアルは全てのタイプの急性冠症候群、狭心症およびPCIを施行された他の疾患の患者を対象とした。Cangrelorの成績はクロピドグレルよりも有効性の計測値において有意に優れており(4.7%対5.9%)、つまり一次エンドポイント(総死亡、心筋梗塞、無作為化後48時間以内の虚血による血行再建術またはステント血栓)発現率が22%低下した。Cangrelorはまた重要な二次エンドポイント(48時間以内のステント血栓)発現率も38%低下した。安全性エンドポイントである48時間以内の重篤な出血の発現率は、両治療群ともに低く統計学的に同等であった(0.16%対0.11%)。有効性と安全性の結果は一般的に報告されるサブグループ全てにおいて一貫していた。 |
 |
◆ |
SELECT ACS:InclacumabはNSTEMI患者のPCI後の心筋傷害を軽減する [2013-03-12] |
SELECT ACS: Inclacumab reduces myocardial damage after PCI in patients with NSTEMI |
治験中の抗炎症薬inclacumabの単回投与は血管形成術中の心筋傷害を軽減するとのスタディ結果が第62回ACC学会で発表され、同時にJournal of the American College of Cardiologyに掲載された。SELECT ACS第U相試験は非ST上昇心筋梗塞(NSTEMI)を発症した患者530人(年齢中央値61歳)を対象とした。患者は、20mg/kg のinclacumab、5mg/kgのinclacumabまたはプラセボを血管形成術の1時間前に投与される群に無作為に割り付けられた。研究者らはトロポニンIおよびCK-MBを用いて心筋傷害を評価した。20mg/kgの inclacumabを投与された患者においてはプラセボ投与患者と比較し、16時間後のトロポニンI値が22.4%(P =0.066)そして24時間後のトロポニンI値が24.4%(P =0.05)低かった。CK-MB値はプラセボと比較し、16時間後に16.3%(P =0.088)そして24時間後に17.4%(P =0.055)低かった。血管形成術後24時間の時点で、プラセボ群では18.3%でCK-MBが 正常上限の3倍以上(多くの臨床試験で血管形成術後心筋梗塞を定義するのに用いる閾値)に上昇していた。これと比べ高用量のinclacumab投与患者におけるその割合は8.9%であった(P =0.051)。5mg/kgの用量は有効性のエンドポイントにおいて有意な効果は示さなかった。 |
 |
◆ |
エキストラバージンオリーブオイルや木の実を補充した地中海式ダイエットは心疾患および脳卒中のリスクを軽減する [2013-03-05] |
Mediterranean diet supplemented with extra-virgin olive oil or tree nuts reduces risk of heart disease and stroke |
New England Journal of Medicine 2月25日号に掲載された無作為化コントロールトライアルの結果、エキストラバージンオリーブオイルや木の実を補充した地中海式ダイエットは心血管死、心筋梗塞または脳卒中罹患リスクを30%減少させるとの強固なエビデンスが得られた。糖尿病または主要なリスクファクターを3つ以上有する患者7,447人(年齢55〜80歳、女性57%)がこのスタディの対象とされた。対象者は3つの食事介入群:エキストラバージンオリーブオイルを補充した地中海式ダイエット、木の実(クルミ、アーモンド、ヘーゼルナッツ)を補充した地中海式ダイエット、および低脂肪(動物性および植物性)食を摂取するコントロール群、に割り付けられた。栄養士が患者を3か月毎に訪問し、また患者らは食事療法トレーニングのグループ学習に参加した。さらに患者には、それぞれのダイエット型および季節に合わせた買い物リスト、メニューやレシピが提供された。5年後に、地中海式ダイエットのいずれかを行った参加者においては心血管死、心筋梗塞または脳卒中を発現するリスクが実質的に低下した(介入の総合的な効果においてP =0.015)。 |
 |
◆ |
長期のスピロノラクトン投与は心機能を改善するかもしれないが心不全患者の症状は改善しない [2013-03-05] |
Long-term use of spironolactone may improve heart function, but does not improves symptoms for patients with heart failure |
心駆出率の保たれた心不全患者において、スピロノラクトンを用いた長期治療は左室拡張能を改善したが最大運動耐容能、患者の症状、またはQOLには影響しなかったとのスタディ結果がJAMA 2月27日号に掲載される。研究者らは、左室駆出率の保たれた心不全患者におけるアルドステロン受容体拮抗薬スピロノラクトンの拡張能および運動耐容能に対する長期効果について調査した。このAldo-DHFトライアルにはNYHAクラスIIまたはIIIの慢性心不全を有し、左室駆出率は50%以上保たれ、拡張障害が証明されている患者422人(平均年齢67歳)が組み入れられた。患者はスピロノラクトン25mg1日1回(213人)またはそれにマッチさせたプラセボ(209人)を投与される群に無作為に割り付けられ、12か月間追跡された。一次アウトカムは心臓超音波上の拡張能および心肺運動負荷検査上の最大運動耐容能(peak VO2)の変化であった。スピロノラクトンはいくつかの計測値(左室拡張充満、左室リモデリング、および神経液性活性)を改善した。最大運動耐容能はスピロノラクトン投与によりプラセボと比較し有意に変化はしなかった。また、スピロノラクトンは心不全症状やQOLを改善することはなく、6分間歩行距離をわずかに減少させた。 |
 |