◆ |
治療可能なリスクファクターを有さない患者においてCT冠動脈血管造影所見は主要な心イベントと相関する [2013-02-26] |
CT angiography findings correlate with risk of major adverse cardiac events in patients with no treatable risk factors |
冠動脈疾患が疑われるが、高コレステロール血症や高血圧などの治療可能なリスクファクターを有さない患者において、冠動脈コンピュータ断層血管造影(CCTA)は心筋梗塞(MI)および他の有害心イベントリスクを決定する有用な方法であるとのスタディ結果がRadiology誌に掲載された。この種のものでは初めての今回のスタディにおいて、研究者らは冠動脈疾患が疑われるが医学的に修正可能なリスクファクターを有さない患者5,262人において、CCTA所見と主要な有害心血管イベントの相関関係を見出した。平均2.3年間の追跡期間に、104人が主要な有害心イベントを発現した。このスタディ対象は修正可能なリスクファクターを有していないにもかかわらず、冠動脈疾患有病率が高かった。4分の1以上の患者が非閉塞性病変を有し、他の12%は50%を超える冠動脈狭窄病変を有していた。閉塞病変を有する症候性および無症候性患者はいずれも、心疾患家族歴を有さなくとも主要な心イベントリスクが高かった。一方、CCTA上冠動脈疾患がないと主要なイベントのリスクは非常に低かった。 |
 |
◆ |
遺伝子治療により幹細胞を活性化させることにより虚血性心筋症患者の心不全症状が効果的に改善する [2013-02-26] |
Activating stem cells with gene therapy effectively improves heart failure symptoms in patients with ischemic cardiomyopathy |
この種のものでは初めての人を対象としたスタディにおいて、研究者らは心不全患者の症状、心機能およびQOLを改善するために患者の幹細胞を遺伝子治療で活性化したとのスタディ結果がCirculation Research誌に掲載された。細胞を採取し増殖させ再挿入する複数の手技を用いるのではなく、研究者らはSDF-1と呼ばれる因子を暗号化し"ホーミング"シグナルのように幹細胞を活性化する遺伝子を投与した。過去のスタディからSDF-1は体の幹細胞を活性化および導入し、傷害された組織を治癒させることが示されている。しかし、この効果は一時的である可能性がある。SDF-1が患者の幹細胞を刺激できることを再度確証しその時間を延長しようとする試みで、研究者らは3用量(5mg、15mgまたは30mg)のSDF-1遺伝子のうちの1つを虚血性心筋症患者17人(平均年齢66歳)の心臓に注射し、最長1年間追跡した。4か月後に患者らの6分間歩行検査の歩行距離は40m改善した。上から2番目までの用量を投与された患者の50%において、治療1年後の心不全分類のクラスが少なくとも1度改善した。この治療による明らかな副作用はなかった。 |
 |
◆ |
第一子におけるインスリンの有効性および高血圧に関するスタディ結果 [2013-02-19] |
Study finds reduced insulin effectiveness and hypertension in first-born children |
兄弟を比較したデータによると、出生順により第一子の糖尿病または高血圧発症リスクが上昇する可能性があるとのスタディ結果がJournal of Clinical Endocrinology & Metabolism 2013年3月号に掲載された。スタディでは空腹時脂質およびホルモン値、身長、体重および身体組成を4〜11歳の健康な子供85人において計測した。思春期や成人期の生活習慣がインスリン感受性に影響するため、研究者らは小児に焦点を当てた。スタディに参加した第一子の子供32人はインスリン感受性が21%低く血圧が4mmHg高かった。両親の身長およびボディーマスインデックスを考慮に入れても、第一子および一人っ子はそれ以外の子供よりも高身長で痩せている傾向にあった。若年の兄弟における代謝の差は母親の初回妊娠時の子宮の物理的な変化が原因である可能性がある、と筆者らは説明している。この変化の結果として、栄養成分の胎児への流入がその後の妊娠中に増加する傾向にある。これらの結果を成人の糖尿病、高血圧および他の疾患症例にどのように当てはめるかを決定するにはさらなる研究が必要である、と彼らは強調している。 |
 |
◆ |
MR RESCUE:急性虚血性脳卒中患者の脳画像診断は予後を改善しなかった [2013-02-19] |
MR RESCUE: Imaging acute ischemic stroke patients' brains did not lead to improved outcomes |
急性虚血性脳卒中発症直後の先進画像診断の使用は、血栓除去術による有益性が得られる患者サブグループを同定できなかったとの研究結果がNew England Journal of Medicineオンライン版に掲載され、同時にInternational Stroke Conferenceで発表された。MR RESCUE(Mechanical Retrieval and REcanalization of Stroke Clots Using Embolectomy:塞栓除去を用いた脳卒中血栓の機械的融解および血行再建)スタディでは、脳卒中発症後平均5.5時間以内の患者118人(平均年齢65.5年)を組み入れた。血流の減少した脳領域および救出不能な領域を同定するために、全ての患者に対し緊急CTおよびMRIが施行された。画像診断の結果に基づき、患者らは発症8時間以内に塞栓除去術を施行される群(64人)または診療プロトコールに基づいた通常治療群(54人)を受ける群にランダムに割り付けられた。脳卒中発症90日後の障害レベルは通常治療と血栓除去とで差がなかった。死亡率(21%)および症候性脳出血(4%)は両群で差がなかった。血栓除去術への反応は救出可能な脳組織を示唆する好ましい画像所見であった患者の58%において良好ではなかった。 |
 |
◆ |
MISTIE:出血性脳卒中後の低侵襲外科手術は安全であり予後を改善するようである [2013-02-12] |
MISTIE: Minimally invasive surgical procedure appears to be safe and improve outcomes after hemorrhagic stroke |
出血性脳卒中後の血栓除去のための低侵襲手術は安全であり長期の障害を減少させる可能性があるとのlate breaking researchが2013年American Stroke Association's International Stroke Conferenceで発表された。Minimally Invasive Surgery plus rtPA for Intracerebral Hemorrhage Evacuation(MISTIE)第II相試験で、外科医は患者の頭蓋骨に小さな穴を開けカテーテルを血栓の最も長い部位を通して通過させた。血栓に対し、遺伝子組み換え組織プラスミノゲンアクチベータ(rtPA)をカテーテルを介して8時間毎3日間にわたり投与した。血栓が溶解するとカテーテルを介して除去された。スタディには26病院の脳内出血(ICH)患者96人(平均年齢60歳、男性75%)が組み入れられた。試験のステージ2アームでは、外科手術を施行された患者25人と標準的な脳卒中後薬物療法のみを施行された患者31人に焦点を当てた。1年後の機能的予後は手術群の方が14%良好であった。全てのレベルの病院またはリハビリテーション病院への滞在期間中央値は手術群の方が38日短かった。血栓があまりにも大きい、または脳内の深すぎる場所にあるために手術で救助できなかった例はなかったことを研究者らは強調している。 |
 |
◆ |
生命補助装置を除去された脳卒中患者の一部は理想的とは言えないが許容範囲内の回復を遂げる可能性がある [2013-02-12] |
Some stroke patients whose life support is withdrawn may have achieved a less-than-ideal but acceptable recovery |
脳内出血を発症し生命補助装置を除去された患者の3分の1以上は、生命補助装置が維持されれば最終的には許容範囲内レベルの機能を回復する可能性があったとの新たなスタディ結果が2013年American Stroke Association's International Stroke Conferenceで発表された。研究者らは生命補助装置を除去された患者78人を検出し、生命補助装置を除去されなかった同様の患者78人と比較した。退院時に許容範囲内の状態であったのは生命維持装置を除去された患者ではわずか4%であったのに対し、生命維持装置を除去されなかった患者では38%であった―生命補助装置を除去された患者の34%は補助を継続されていれば許容範囲内の状態となった可能性があることが示唆される。生命補助装置除去の最強の予測因子は脳出血の重症度であった。これらの結果は、ヘルスケアプロバイダーはこれらの患者の予後評価に関して過剰に悲観的であり、患者が脳卒中から回復する機会を得る前に家族らに生命補助装置を除去することを選択させている可能性があることを示唆するエビデンスを提供している、と筆者らは述べている。 |
 |
◆ |
マリファナ吸引は若年成人において脳卒中リスクを上昇させる [2013-02-12] |
Smoking marijuana associated with higher stroke risk in young adults |
最も広く使用されている違法薬物であるマリファナは若年成人の脳卒中リスクを2倍にする可能性があるとの研究結果が2013年American Stroke Association's International Stroke Conferenceで発表された。あるニュージーランドのスタディにおいて、虚血性脳卒中および一過性脳虚血発作(TIA)の患者は、年齢性別でマッチさせた患者と比較し、尿検査においてマリファナとしても知られる大麻が検出される確率が2.3倍高かった。スタディでは入院時に尿検査スクリーニングを施行された虚血性脳卒中/TIA患者160人(18〜55歳)を対象とした。患者のうち150人が虚血性脳卒中を、10人がTIAを有していた。16%の患者が薬物スクリーニングで陽性であり、そのほとんどが煙草も吸う男性であった。コントロール群では尿検査で大麻が検出されたものは8.1%に過ぎなかった。マリファナ使用者と非使用者とで年齢、脳卒中の原因および多くの血管リスクファクターには差がなかった。今回のスタディにより、大麻と脳卒中との関連性を示すこれまでで最強のエビデンスが得られた。しかし、大麻を使用していた脳卒中患者のうち一人を除いて全員が煙草も日常的に吸っていたため、この関連性は判断が難しい。 |
 |
◆ |
脳内出血を経験した乳幼児および小児はその後2年間は痙攣やてんかん発作を来しやすい [2013-02-12] |
Infants and children who survive intracerebral hemorrhage may be prone to seizures and epilepsy within two years |
脳内出血(ICH)に罹患した乳幼児および小児の約3分の1は後に痙攣を来す可能性があり、2年以内に13%もの子供がてんかん発作を発症するとの新たな研究結果が2013年American Stroke Association's International Stroke Conferenceで発表された。この種では最大の今回のスタディにおいて研究者らは、2007〜2012年に米国の3つの病院における生後1か月から18歳までの53人の小児および20人の新生児の計73人のICH患者を追跡した。新生児の約60%およびそれより年上の小児の43%が、脳卒中発症時またはその後1週間以内に目視可能な痙攣を発現した。連続脳波監視装置を装着された患者32人中28%が、このモニターをしなければ検出されなかったであろう痙攣発作を起こしていた。研究者らは、これらの微細な痙攣発作は長期的な痙攣発作やてんかんまたは他の問題のリスクファクターであるか否かの調査を計画した。全てのスタディ対象者のうち約13%が2年以内にてんかんを発症した。薬物または外科的治療を要する脳内圧上昇を有する患者は、後に痙攣発作やてんかんを発症する確率が高かった。 |
 |
◆ |
太極拳運動は脳卒中既往者が脳卒中からの回復を補助するバランスの達成および維持に役立つ [2013-02-12] |
Tai Chi helped stroke survivors achieve and maintain balance to aid stroke recovery |
太極拳運動は成人脳卒中既往者の転倒を減少させる可能性があるとの研究結果が2013年American Stroke Association's International Stroke Conferenceで発表された。研究者らは脳卒中既往者89人−多くが虚血性脳卒中−を院外無作為化前向きスタディに組み入れた。参加者は平均70歳であり、46%が女性で、多くが大学教育を受け、米国に居住し、スタディ開始平均3年前に脳卒中を患った白人であった。参加者のうち30人が太極拳運動を実践し、28人は通常治療を受け31人はSilverSneakers®(米国フィットネスプログラム)に参加した。太極拳運動およびSilverSneakers®群は1時間の運動クラスに週3回12週間参加した。通常治療群は地域レベルの運動への参加に関して週1回の電話および書類を受け取った。12週間のトライアル期間中に、主に滑りまたはつまずきによる34件の転倒が参加者の家から報告された:太極拳群から5件;通常治療群から15件;SilverSneakers®群から14件であった。うち医療機関を受診したのはわずか4人であった。 |
 |
◆ |
虚血性脳卒中後のtPAは病院到着後60分以内に投与すべきである [2013-02-05] |
tPA following ischemic stroke should be administered within 60 minutes of hospital arrival |
Stroke誌に掲載された新たなAmerican Stroke Associationガイドラインによると、虚血性脳卒中の患者は血栓溶解薬リコンビナント組織型プラスミノーゲン活性化因子(tPA)を―適応の場合には―病院到着後60分以内に投与されるべきであるとしている。急性脳卒中の際には医師らは迅速に評価を行い可能な限り早く診断をし、患者がtPA投与(症状発現から4.5時間以内に投与しなければならない)の適応かどうかを判断しなくてはならない。目標は"ドアから注射へ"の時間を最小にすることである。新たなガイドラインでは包括的脳卒中センター、一次脳卒中センター、急性脳卒中対応医療機関、および地域病院の地域ネットワークを統合させることを推奨している。ガイドラインの他の改定では、実施可能な場合には、最も近い受け入れ可能な認定一次脳卒中センターまたは包括的脳卒中センターに、医療輸送機の使用も含め、患者を迅速に搬送すべきであるとされている。しかし、脳卒中専門医のいない病院に患者が運び込まれた場合には、手遅れになる前に早期に治療方針を決定するためにテレメディスンによる専門医へのリアルタイムのやりとりが可能である、と筆者らは述べている。ガイドラインではまた、全ての脳卒中センターで脳卒中管理を目標とした質改善プログラムを整備すべきであるとも述べられている。 |
 |
◆ |
糖尿病患者において血圧およびコレステロールは血糖コントロールよりもより重要な指標である [2013-02-05] |
Blood pressure and cholesterol more important indicators of heart disease risk in diabetics than blood sugar control |
糖尿病患者において、血圧やコレステロールをガイドライン推奨レベルにコントロールすることは、ガイドラインで推奨されたレベルに血糖値をコントロールするよりも心筋梗塞(MI)や脳卒中リスク軽減にははるかに重要であるとのスタディ結果がJournal of General Internal Medicineに掲載された。スタディでは糖尿病患者26,636人を対象とした。患者は平均6年間追跡され、その間に7%の患者が心血管イベントで入院した。約13%の患者が3つのリスクファクターの目標値を達成していた。これらの患者のMIおよび脳卒中による入院率はこれらの目標をひとつも達成していなかった患者よりも2.5倍低かった。3つのリスクファクターのいずれもがガイドラインの目標を達成していた患者、および血圧とコレステロールのガイドライン目標を達成していた患者はMIおよび脳卒中で入院する確率が最小であった。ガイドライン目標を1つも達成していない患者および血糖値のみガイドライン目標を達成していた患者は、MIおよび脳卒中で入院する確率が最も高かった。過去のスタディの多くはこれらのリスクファクターの1つまたは2つに関して調査しており、3つ全てに関して同時には調査していなかった。 |
 |