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心停止に対し延長して蘇生を施行された小児入院患者は神経学的に良好な状態で生存する [2013-01-29] |
Many hospitalized children survive with good neurological outcomes after prolonged resuscitation for cardiac arrest |
入院中の小児の多くは心停止後の長時間CPRにより生存することができるとの新たな研究結果がCirculationに掲載された。過去には無力とされた長時間のCPRは、これを行わなければ死亡したであろう小児の生命を救う可能性がある。入院中の小児心停止について施行された最大規模の今回のスタディにおいて、研究者らは328の米国およびカナダの病院の小児3,419人の記録を解析した。蘇生された患者の28%近くが生存して退院した。これらの患者のうち17%がCPRを35分以上施行された。生存した小児のうち60%は神経学的予後が良好であった。生存した患者における蘇生時間は平均で10分であり、それに対し死亡した患者においては25分であった。補正後の生存確率はCPR時間が1〜15分で41%であり、35分以上で12%であった。一般的な内科患者と比較し、心臓手術患者では、CPR時間にかかわらず、生存および神経学的予後の良好な確率が2倍以上であった。全体で、入院中にCPRを要した生存患者の19%は予後が良好であった。専門家らはこれまでは20分を超えるCPRは無益であると考えていた。 |
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妊娠中に高血圧性疾患を有する女性は慢性腎臓病のリスクが大である [2013-01-29] |
Greater risk of chronic kidney disease among women with hypertensive disorders during pregnancy |
妊娠中に高血圧性疾患を有する女性は高血圧を有さない女性と比較し、慢性腎臓病および末期腎不全のリスクが高いとのスタディ結果がCanadian Medical Association Journalに掲載された。研究者らは、初回妊娠時に高血圧性疾患を有した台湾の女性26,651人のデータを調査し、高血圧性疾患を有さなかった女性群213,397人と比較して末期腎不全のリスクが高いかどうかを判断した。女性達は19〜40歳で高血圧、糖尿病、および腎疾患歴はなかった。妊娠中に高血圧性疾患を有した群における慢性腎臓病発現率は、疾患を有さない女性群と比較し慢性腎臓病のリスクが約11倍高かった。末期腎不全は高血圧性疾患を有するコホートにおいて14倍高かった。子癇前症を有した女性は妊娠高血圧のみを有した女性よりもリスクが高かった。台湾は末期腎不全率が世界で最も高い国の1つである。 |
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院外心停止に対する先進的な気道管理の手技は神経学的アウトカム不良と関連がある [2013-01-22] |
Advanced airway procedures for out-of-hospital cardiac arrest associated with poorer neurological outcomes |
院外心停止(OHCA)患者において、気管内挿管などの先進的気道管理を用いた心肺蘇生は従来のアンビューバッグ換気と比較し神経学的予後を不良とする有意な予測因子であり、積極的な気道介入は予後を改善するとの仮説に相反するとのスタディ結果がJAMA 1月16日号に掲載された。国内地域住民を対象としたこのスタディには、OHCAを来し救急隊員により蘇生を試みられ、その後に医療機関に搬送された成人日本人患者649,654人が組み入れられた。57%がアンビューバッグによる換気を施行され、43%は(6%の気管内挿管および37%の声門上気道器具を含む)先進的気道管理を施行された。全体で、心拍再開率、1か月生存率、および神経学的に好ましい生存率はそれぞれ6.5%、4.7%、および2.2%であった。神経学的に好ましい生存率は気管内挿管群で1.0%、声門上気道器具群では1.1%、アンビューバッグ換気群で2.9%であり、先進的気道管理群は好ましい神経学的アウトカム率がアンビューバッグ群よりも62%低かった。神経学的に好ましい生存率は気管内挿管群および声門上気道器具群で有意に低かった。 |
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苺およびブルーベリーは女性において心筋梗塞リスクを低下させる可能性がある [2013-01-22] |
Strawberries and blueberries may reduce risk of myocardial infarction in women |
1週間に3盛分以上のブルーベリーおよび苺を摂取することは女性の心筋梗塞(MI)リスクを3分の1も減少させる可能性があるとCirculationに掲載された。研究者らはNurses' Health Study IIに登録された25〜42歳の女性93,600人に対し前向きスタディを施行した。女性らは18年間にわたり食事に関する質問表に4年ごとに回答した。スタディ期間中に405件の心臓発作が発現した。ブルーベリーおよび苺を最も多く摂取した女性はこれらのベリー系果実を1か月の摂取が1回未満であった女性(例え他の果物や野菜の摂取量が豊富な食事を摂取していても)よりもMIリスクが32%低かった。この結果は、年齢、高血圧、MIの家族歴、ボディーマスインデックス、運動、喫煙、カフェインまたはアルコール摂取などのリスクファクターとは独立して認められた。ブルーベリーと苺には、自然の植物性フラボノイドが豊富に含まれ、これはブドウやワイン、ブラックベリー、茄子、および他の果物や野菜にも含まれる。アントシアニンと呼ばれる特定のサブクラスのフラボノイドが血管を拡張しプラーク蓄積を逆行させ他の心血管系の有益性を提供している可能性がある、とスタディでは述べられている。 |
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代謝ストレスはKATPチャネルの活動性と一致した心房の電気的活性の変化を引き起こす [2013-01-15] |
Metabolic stress causes changes in the electrical activity of the heart's atrium consistent with the activation of KATP channels |
代謝ストレスは心房性不整脈の発症を増加させる可能性があるとの研究結果がCirculation: Arrhythmia and Electrophysiologyに掲載された。代謝ストレスが心室性不整脈を引き起こすことは数年にわたり認知されてきたが、今回の研究は心房における不整脈を示した初めてのものである。KATPチャネルとして知られる蛋白は細胞を代謝の変化に反応できるようにする。KATPチャネルは心房において認められるが、心室とは異なりその心房における役割は不明である。電気刺激を与え心房性不整脈の誘発を試みたところ、代謝ストレスを有している時に心房性不整脈を誘発することは可能ではあったが代謝ストレスの前には誘発されなかった。重要なことに、2型糖尿病患者の治療に用いる薬物(グリベンクラミドおよびトルブタミド)を用いてKATPチャネルを遮断したところ、心房の電気的活性への代謝ストレスの影響を完全に元に戻し心房性不整脈の誘発を防止した。これらの糖尿病治療薬は代謝ストレスがなければ効果がなかった。この結果は、心房KATPチャネルは代謝ストレスにより活性化され、また心房性不整脈を誘発しうるとの"原理証明"を示している。このように、心房KATPチャネルは将来の心房細動などの心房性不整脈治療の標的となる可能性がある。 |
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一般臨床でICDを植え込まれた患者と臨床試験でICDを植え込まれた患者とで生存期間に有意差はない [2013-01-15] |
No significant difference in survival between patients who receive ICDs in clinical practice vs. clinical trials |
一定のクライテリアに合致し一次予防目的に植え込み型除細動器(ICD)を一般臨床で植え込まれた患者の生存期間は臨床試験でICDを植え込まれた患者の生存期間と同等である、とのスタディ結果がJAMA 1月2日号に掲載された。研究者らは、トライアルへの参加が適格で一次予防ICDを植え込まれた大規模国内登録に記録されている患者と2つの最大の一次予防臨床試験、MADIT-II(対象742人)および SCD-HeFT(対象 829人)においてICDを植え込まれた同等の患者とで生存期間の差が存在するか否かを調査した。その結果、ICD登録のMADIT-II様患者とICD投与群にランダム化されたMADIT-IIの患者とで生存率に有意差はなかった(2年死亡率13.9%対15.6%)。ICD登録のMADIT-II様患者の生存率は薬物療法群にランダム化された患者よりも有意に良好であった(2年死亡率13.9%対22%)。ICD登録のSCD-HeFT様患者とICD療法群にランダム化されたSCD-HeFT群とで生存率に有意差はなかった(3年死亡率:17.3%対17.4%)。ICD登録のSCD-HeFT様患者の生存率はプラセボ群にランダム化されたSCD-HeFT患者よりも良好であった(3年死亡率17.3%対22.4%)。 |
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心筋梗塞治療中の輸血は総死亡リスクを上昇させる [2013-01-08] |
Blood transfusion during treatment of myocardial infarction associated with increased risk of all-cause mortality |
10のスタディのメタ解析の結果、心筋梗塞(MI)患者に対する輸血は、MI時に輸血しない場合と比較し総死亡率を上昇させるとの報告がArchives of Internal Medicineオンライン版に掲載された。研究者らは1966年1月〜2012年3月までに論文に掲載されたスタディのレビューを行った。計203,665人を対象とする10のスタディが解析のために選択された。そのうち無作為化トライアルはわずか1つであり、その他は観察研究であった。解析の結果、MIに際して輸血を施行する治療は輸血をしなかった場合と比較し、総死亡を増加させることが示され(18.2%対10.2%)、絶対リスクは12%であった。他の統計学的解析の結果、ベースラインのヘモグロビンレベル、ヘモグロビン底値および入院中のヘモグロビンレベル変化と関係なく輸血により死亡リスクが上昇することが示唆された。輸血はまたその後の心筋梗塞リスクを上昇させると思われた(リスク比2.04)。実際の診療を変更する前に適切なサンプルサイズのバイアスリスクの低い無作為化トライアルから得られたさらなるアウトカムデータが必要である、と研究者らは述べている。 |
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冠動脈カルシウムスキャンにより心血管疾患による糖尿病関連死が予測できる [2013-01-08] |
Coronary artery calcium scan predictive of diabetes-related death from cardiovascular disease |
心疾患のリスクが最大である糖尿病患者を予測する最良の方法は、フラミンガムリスクスコアに加え冠動脈石灰化(CAC)テストを用いることであるとのスタディ結果がDiabetes Care 12月号オンライン版に掲載された。地域住民ベースの糖尿病心臓スタディ(Diabetes Heart Study)はCACから得られる心血管疾患や死亡率に関するさらなる情報を追加することが、最も一般的に用いられる評価法であるフラミンガムリスクスコアよりも優れているか否かを判断した。34〜86歳の2型糖尿病患者計1,123人を平均7.4年追跡した。スタディ参加者は西部のノースカロライナのクリニックから組み入れられ、この地域の糖尿病患者を有する家族の人口断面を反映していた。最新の医療ガイドラインでは全ての糖尿病患者を高リスクとして扱うように推奨しているが、今回のスタディの結果、CACは致死的となりうる心血管疾患を発症するリスクの非常に高い患者およびリスクの低い糖尿病患者を同定できることが示された。より詳細なリスクレベルを診断することにより、医師らがさらに有効な治療を提供し、予後を改善することが期待できると筆者らは述べている。 |
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