高レベルのC反応性蛋白は超高齢者において認知症に保護的に働く可能性がある [2012-08-28]
High levels of C-reactive protein may be protective against dementia in the very elderly
認知症を有さずC反応性蛋白(CRP)が高レベルである人々の親類も認知症をより回避できる可能性が高いとの新たなスタディの結果がNeurologyオンライン版8月15日号に掲載された。研究者らは認知症の症状のない75歳以上の男性277人を抽出し、CRPレベルを計測した。この集団は親や兄弟姉妹1,329人についての問診をされた。37家族の40人の親類が認知症を有していた。もう1つの無関係の集団で85歳以上の認知症を有さない男性51人のグループに対しても、親類202人の痴呆に関する問診を施行した。親類のうち9人が認知症を有していた。1つ目の集団においてCRP値の高い者は認知症の親類を有する確率が30%少なかった。もう1つの集団でも同様の結果が示された。CRPレベルは教育レベル、結婚歴、職業および運動などとは関連がなく、これらの因子は今回認められたリスクを低下させた原因とはなり得なかった。CRPは比較的若い高齢者の認知機能低下と関連があるため、認知機能を保っている超高齢者では、CRPレベルが上昇している者は認知症に対する耐性がありこの保護作用が近い親類に伝わっている可能性がある、と筆者らは述べている。
子供に対する会話療法単独よりも薬物により親が被る恩恵は大きい [2012-08-28]
Parents perceive greater benefits from medication than just talk therapy for their children
親が治療による恩恵をより大きく受けるほどその子供はメンタルヘルス治療を継続する傾向にあるとの研究結果がPsychiatric Services 8月号に掲載された。研究者らは、9つのクリニック外来患者で躁症状が強い6〜12歳の約600人のデータを調査した。子供が治療により多くの恩恵を受けたと報告した親は29%であり、いくらかの恩恵を受けたと報告した親は52%、恩恵がなかったと報告したのは19%であった。治療により多くの恩恵を受けた子供の親は、いくらか恩恵を受けたかまたは恩恵がなかった子供の親と比較し、治療を6か月間継続する確率が約2倍であった。薬物単独または薬物と治療の両者を受けた子供の親は、会話療法単独を受けた子供の親よりも約2倍の恩恵を受けたと報告する確率が高かった。他に精神医学的合併症を有さない子供の親は治療を有益であるとみなす確率が倍であった。認識された恩恵に関するこの情報は、家族が継続して治療に関わり子供が必要な治療を確実に受けられるのに役立つストラテジーを開発するのに使える可能性がある、と筆者らは指摘している。
青年期の一時的な過度の飲酒は将来の薬物使用を示す神経反応パターンのかすかな変化を起こす [2012-08-21]
Heavy episodic drinking during adolescence may be followed by subtle alterations of neural response patterns pointing to future substance use
過度の飲酒は青年期の脳の成長に影響することが知られているが、あるパターンの脳活性もまた、問題のある飲酒者になるリスクのある10代の青少年を予測するのに役立つ可能性があるとのスタディ結果が現在Journal of Studies on Alcohol and Drugsオンライン版で公表されており印刷版9月号に掲載予定である。このスタディは飲酒開始前およびその3年後に脳の機能的磁気共鳴画像(fMRI)を用いて検査された12〜16歳の青少年に焦点を当てた。約半数が3年の間に過度飲酒者となった。しかし、飲酒前に画像検査を行った際にこの集団は過去に過度の飲酒との関連を示された脳領域のfMRI反応が低下していることを既に示していた。過度の飲酒を始めた青少年は時間とともに、情報処理を有効に行えなくなっていた。これら10代の青少年が過度の飲酒を開始した時点で、fMRIデータは空間作業記憶課題を施行中の頭頂部および前頭部の活性が、過度の飲酒者において少量飲酒者に比べ、課題の成績は同等でありまた飲酒開始前の脳活性を考慮したとしても、大きいことを示した。
栄養補助食品はSSRIの無効な大うつ病女性に有効な可能性がある [2012-08-21]
Dietary supplement may help women with major depressive disorder who don't respond to SSRIs
日々の抗うつ剤を5gのクレアチンで増量された女性は2倍速く奏効し、抗うつ剤のみを内服している女性よりも疾患寛解率が2倍であるとのスタディ結果がAmerican Journal of Psychiatryオンライン版に掲載された。この8週間のスタディでは19〜65歳の大うつ病の韓国女性を対象とした。スタディ期間中は全員が選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)エスシタロプラムを内服した。25人はクレアチンを併用し、27人はプラセボを内服した。クレアチン群の8人およびプラセボ群の5人はトライアルを完了できず、計39人が残った。2週後および4週後のハミルトンうつ病評価尺度(HDRS)はクレアチン群(32%および68%)においてプラセボ群(3.7%および29%)よりも有意に高かった。8週後にうつ症状を示さなかったのはクレアチン群では半数であったのに対し、プラセボ群では4分の1であった。医師監視下でのクレアチン内服はSSRI抗うつ剤の無効な女性の治療アウトカムを改善する比較的安価な方法となり得る、と筆者らは提案している。
反抗的な態度を示す小児はニコチン、大麻およびコカイン依存となるリスクが高い [2012-08-14]
Children who exhibit oppositional behavior run the risk of becoming addicted to nicotine, cannabis and cocaine
Molecular Psychiatryに掲載された15年間の地域住民を対象としたスタディの結果、反抗的な態度を示す小児はニコチン、大麻およびコカイン依存となる一方で、注意欠陥症状は特異的なさらなるニコチン依存リスクを示すと結論付けられた。しかしながら、多動自体はいずれの薬物乱用や依存の特異的リスクとも関連していないようである。6〜12歳の小児1,803人の行動を母親や教師が毎年評価した。参加者の半数以上が女児であった。21歳までに13.4%がアルコール、9.1%が大麻、そして2.0%がコカイン乱用または依存となった。タバコ依存は参加者の30.7%に認められた。薬物乱用の最強の予測因子は小児期の頻繁な反抗行動にあった。反抗的行動が強い小児においては反抗的行動のほとんどない小児よりもタバコ乱用リスクが1.4倍高かった。大麻乱用では2.1倍、コカイン乱用では2.9倍リスクが高かった。他に重要な相関としては注意欠陥と喫煙との関係が挙げられた。非常に注意欠陥のある小児はタバコ依存になる確率が1.7倍高かった。注意欠陥の程度は将来のニコチン依存強度をも表していた。
運動は慢性心不全患者のうつ症状をやや軽減する [2012-08-14]
Exercise results in modest reduction in depressive symptoms for patients with chronic heart failure
運動療法に参加した慢性心不全患者は12か月後にうつ症状がやや軽減したとのスタディ結果がJAMA 8月1日号に掲載された。この無作為化コントロールトライアルには82の医療施設で治療されている安定心不全患者2,322人が組み入れられた。うつ症状の計測はBeck Depression Inventory II(BDI-II)で測定された。参加者は監視下有酸素運動(1〜3か月間は週90分施行しその後4〜12か月は自宅での運動を週120分以上)または教育と通常のガイドラインに基づく心不全管理を施行された。3か月の補正後平均BDI-IIは有酸素運動群で8.95であり通常管理群で9.70であった(-0.76の差)。12か月後の補正後BDI-IIは有酸素運動群で8.86であり通常管理群で9.54であった(-0.68の差)。臨床的に有意なうつ症状を有する(ベースラインBDI-IIスコア>14)患者サブセットにおいても同様の結果が認められ、3および12か月後のBDI-IIは有酸素運動群において通常管理群よりも低かった。運動処方へのアドヒアランスの高い有酸素療法群の患者はうつ症状の軽減度も相対的には高かったが、絶対的な軽減度は少なかった。
IDEALE study:シチコリンサプリメントは軽症の血管性認知機能障害を有する高齢成人記憶能および認知機能を改善する [2012-08-07]
IDEALE study: Citicoline supplement improves memory and cognition in older adults with mild vascular cognitive impairment
栄養補助食品としてシチコリンを摂取する人々は記憶能および認知機能の改善を示したとの多施設スタディが2012年Alzheimer's Association International Conference®(Abstract # 34018)で発表された。シチコリンは70以上の国において入手できる栄養補助食品であり、ある神経伝達物質の利用能を増加させる可能性がある。IDEALは、軽度の血管性認知障害を有する65歳以上の人々265人に対しシチコリンの有効性および安全性を評価した多施設スタディである。参加者はMini Mental State Examination(MMSE)スコアが≥21の高齢者またはMMSEの異常や脳画像検査における血管性病変はないが主観的な記憶障害を有する人々であった。スタディ対象者は500mgの経口シチコリンを1日2回摂取した。スタディ開始時、3か月後、および9か月後に参加者らは脳画像検査、および甲状腺機能検査、認知/記憶検査、機能独立検査、および気分に関する検査を受けた。9か月後の時点でシチコリンを摂取した者ではMMSEスコアがやや改善したが有意ではなかった(開始時22.4、9か月後22.9)。シチコリンを摂取しなかった者では低下を認めた(ベースライン時21.5、9か月後19.6)。これら2群間の差は統計学的に有意であった。有害事象は記録されなかった。
新たな選択的α-7部分アゴニストは軽度から中等度のアルツハイマー病患者の認知機能および臨床機能に対し有効である [2012-08-07]
New selective alpha-7 partial agonist has positive effects on cognition and clinical function in mild to moderate Alzheimer's disease patients
軽度から中等度のアルツハイマー病において、選択的部分的α-7ニコチンアゴニストである治験薬EVP-6124は、いくつかの認知機能スケールにおいて統計学的に有意な有益性をもたらすことが示されたとの研究結果が2012年Alzheimer's Association International Conference®(Abstract # 34239)で発表された。この薬剤を開発したEnVivo製薬会社の科学者らは、安定したアルツハイマー病治療中(ドネペジルまたはリバスチグミン)または無治療の軽度から中等度のアルツハイマー病患者409人に対し、3用量のEVP-6124を試みる6か月間の二重盲検プラセボコントロール第2b相試験を施行した[プラセボ(104人)、0.3mg/d (104人)、1mg/d(101人)、2mg/d(100人)]。一次有効性エンドポイントは、記憶力、言語、注意力および他の認知機能に関する確立され容認されている2つのスケール(ADAS-Cog-13および CDR-SB)であった。その他の予め特定されていたエンドポイントには認知機能、言語、気分、および機能の独立性の計測(ADAS-Cog-11、COWAT、CFT、NPI、ADCS-ADL(23)および認知機能、記憶力、および実行機能の総合的な計測などが含まれた。23週後に2mg治療群ではADAS-Cog-13 および CDR-SBにおいて統計学的に有意な有益性が認められた。ADAS-Cog 11、COWAT、複合認知機能、複合記憶能、および複合実行機能においても有意な有効性が認められた。

 

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