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うつ病の生徒のインターネット使用パターンはより無作為で高帯域 アプリケーションと関連がある [2012-05-29] |
Depressed students' Internet usage patterns are more random and associated with high-bandwidth applications |
大学生のインターネット使用を解析したスタディにおいて、うつ徴候を示す生徒はうつ症状のない生徒とインターネットの使用の仕方が異なることを示した。研究者らは、Missouri大学科学技術科の学生216人の1か月分のインターネットデータを収集した。学生は最初に疫学研究用うつ病尺度(CES-D)検査を受けた:約30%がうつ病のミニマムクライテリアに合致した。研究者らはその後、スタディ参加者のインターネット使用データを解析した。うつ病の生徒は、ファイル交換サービス、eメールやオンラインチャットなどを使用する傾向にあった。また、うつ病でない生徒に比べ、フロー当たりのパケット量の高いアプリケーション(これらの広帯域アプリケーションはしばしばオンラインビデオやゲームと関連があった)を使用する傾向にあった。うつ徴候を示す生徒はまた、インターネットをより"無作為に"−おそらくチャットルームからゲームやeメールへとアプリケーションを頻回に変更した。この乱雑性はうつ病の特性である集中力欠如を示している可能性がある。この研究結果は次の4月号のIEEE Technology and Societyにアクセプトされており筆者のウェブサイトweb.mst.edu/~chellaps/papers/12_tech-soc_kcmwl.pdfでも閲覧可能である。 |
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女性において飽和脂肪酸は記憶力および認知機能全体の悪化に関連している [2012-05-29] |
Saturated fat associated with worse memory and overall cognitive function in women |
飽和脂肪酸の豊富な食品の過剰摂取が心血管系の健康にとって有害であることは知られている。Annals of Neurologyにオンラインで掲載された新たな研究の結果、飽和脂肪酸は女性において全体的な認知機能および記憶力の経時的な悪化に関連することが示された。この研究チームは、Women's Health Study(本来は45歳以上の女性40,000人近くのコホート)のデータを解析した。65歳以上の女性6,000人の小集団のデータに焦点を当てた。女性たちは3つの認知機能検査に参加していた。この検査は2年おきに施行され、検査期間は平均4年間であった。対象の女性たちは、Women's Health Study開始時および認知機能検査前に、非常に詳細な食物摂取頻度調査に回答した。赤身肉やバターなどの動物性脂肪から得られる飽和脂肪酸摂取量が最も多い女性は摂取量が最も少ない女性と比較し、4年間の検査における全体的な認知機能や記憶能が不良であった。一方、オリーブオイルなどに認められる不飽和脂肪酸を多く摂取する女性は期間内の認知機能スコアパターンが良好であった。 |
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人生に目的をもつことはアルツハイマー病に関連した脳の有害な変化を予防する可能性がある [2012-05-22] |
Purpose in life may protect against harmful changes in the brain associated with Alzheimer's disease |
人生により大きな目的をもつことはアルツハイマー病に関連した老人斑や神経原線維濃縮体の有害作用を抑止するのに役立つ可能性があるとArchives of General Psychiatry 5月号に掲載された。研究者らは、認知症を有さずその後死亡し脳の剖検を施行されたRush Memory and Aging Projectの参加者ら246人を調査した。参加者は、詳細な認知機能検査や神経学的検査を含む臨床評価を最長10年間受けた。彼らはまた人生における目的、人生の経験から意義を見いだしたものや集中していた、あるいは計画していたものの程度についての質問に回答した。脳内老人斑や神経原線維濃縮体は死亡後に定量化された。筆者らはその後、人生における目的が、例え老人斑や神経原線維濃縮体が沈着している高齢者においても認知機能低下率を減少させているかを調査した。人生により大きな目的をもつことは、人生の目的が少ない人と比較し、例え脳内に老人斑や神経原線維濃縮体が沈着していても認知機能が良好であった。これらの結果は、高齢者において有意義で目的のある活動に従事することは健全な認知機能を促進することを示唆していると筆者らは述べている。 |
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新たな治療法は健忘性軽度認知機能障害からアルツハイマー病への進行を阻害する [2012-05-22] |
New therapeutic approach interrupts progression of amnestic mild cognitive impairment to Alzheimer's disease |
Neuron誌5月10日号に掲載されたあるスタディの結果、しばしばアルツハイマー病に移行するある型の認知機能障害を有する患者の記憶力を改善し疾患進行を阻害する有望な治療法が提唱された。このスタディの焦点は、一般的に軽度認知障害や記憶力低下を引き起こす状態と関係がありアルツハイマー病リスク上昇に関連する"過剰な脳活動性"であった。過去にはこの海馬における神経過活動は新たな記憶形成の脆弱性に対する代償のための脳の試みであると考えられていた。それとは逆に、今回研究チームはこの過剰活動が、同年代の健康な人々よりも記憶力が低下する健忘性軽度認知障害(aMCI)などの状態に影響していることを示した。脳活動性を健康な年齢をマッチしたコントロールと同レベルに低下させる薬物を有効用量で治療された患者は記憶力課題の成績が良好であり、これはaMCI患者の海馬におけるこの過剰な活動性を軽減することの治療の有用性を示している。これらの結果は、海馬の過剰活動性が認知機能に有益性をもたらさないことを臨床的に示した初めてのものである。 |
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高齢者におけるコンピューター作業と中等度の運動の相乗効果による脳機能保護 [2012-05-15] |
Synergistic interaction between computer activities and moderate exercise in protecting brain function in elderly |
コンピューターを使用するなどの知的刺激のある活動と中等度の運動を組み合わせることにより、コンピューター使用または運動単独よりも記憶力低下速度を軽減することができると Mayo Clinic Proceedings 2012年5月号に掲載された。過去のスタディの結果、身体と精神を使うことで記憶力を保つことは示されたが、今回の新たなスタディでは高齢者の脳機能"保護"におけるコンピューター作業と中等度の運動との相乗効果が報告された。研究者らは過去1年以内の身体的な運動、およびコンピューター使用に関する自己申告制の質問表に回答した926人(年齢70〜93歳)を調査した。スタディでは、運動およびコンピューター使用と軽度認知機能障害のような神経学的リスクとの関連を調査した。運動をせずコンピューターも使用しなかった参加者のうち20.1%は認知機能が正常であり、37.6%は軽度認知機能障害(MCI)の徴候を示した。運動とコンピューター使用の両方を行った参加者のうち36%は認知機能が正常であり、MCI徴候を示したのは18.3%であった。筆者らは、このスタディによりこのトピックに関するさらなるスタディが行われることを期待している。 |
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生涯にわたるうつ病は血管性認知症のリスクを上昇させる可能性があり、晩年期のうつ病はアルツハイマー病の徴候である可能性がある [2012-05-15] |
Lifelong depression may increase risk of vascular dementia while late-life depression may signal Alzheimer's disease |
中年期および晩年期に発症するうつ症状はいずれも血管性認知症発症のリスクを上昇させるが、アルツハイマー病の初期徴候である可能性が高いのは晩年期に発症したうつ病のみであるとの研究結果がArchives of General Psychiatry最新号に掲載された。研究者らは、米国を拠点とする総合医療提供システムの長期会員13,000人以上を対象とする長期スタディにおいて、45年にわたるうつ症状と認知症との関連を調査した。スタディの対象は、彼らが40〜55歳であった1964〜1973年にサンフランシスコおよびオークランドでMultiphasic Health Checkup(多相式検診)と呼ばれる自発的健康調査に参加した会員であった。参加者らはMultiphasic Health Checkupの一部として中年期にうつ症状に関する評価を受け、1994〜2000年の晩年期にも再評価を受けた。2003〜2009年に3,129人が認知症と診断された。さらなる研究が必要ではあるが、今回の結果から、晩年期に発症したうつ病はアルツハイマー病の初期症状であり、生涯における慢性的なうつ病は血管性認知症のリスクを上昇させる長期間の脳内血流の変化課程を反映している可能性があることが示唆された。 |
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フラボノイドが豊富なベリー系果実は高齢者の記憶力低下を遅延させる [2012-05-08] |
Flavonoid rich berries can delay memory decline in older women |
苺やブルーベリーなどのフラボノイドの豊富なベリー系果実の多量摂取は、高齢女性における記憶力低下を徐々に2.5年遅延させるとのスタディ結果がAnnals of Neurologyに掲載された。研究チームはNurses' Health Studyのデータを用いた。1980年以降、スタディ参加者は4年ごとに食物摂取頻度に関する調査を受けた。1995〜2001年に70歳以上の参加者16,010人の記憶力を2年間隔で計測した。今回のスタディの対象女性は平均年齢74歳であり、平均ボディマスインデックスは26であった。その結果、週に2人前以上の苺やブルーベリーを摂取することにより、高齢女性の記憶力低下が遅くなった。アントシアニジンおよびフラボノイド摂取量が多いと記憶力低下の軽減と関連した。今回の結果は、ベリー系果実が高齢女性の記憶力低下を遅延させるようであるとの初めての疫学的エビデンスである。これらの所見は、ベリー系果実摂取を増やすことは高齢者の記憶力低下を軽減させる非常に簡便な食餌療法であるとの有意な公衆衛生上の意味合いを有している。 |
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スタディの結果から、女性は男性よりも情緒不安定時に冠動脈症状を来しやすい理由を説明し得る [2012-05-08] |
Findings of study could help explain why women are more likely than men to have coronary symptoms after emotional upsets |
精神的ストレス時に冠血流量は男性においては増加するが女性においては変化せず、このことからストレス時に女性が有害心イベントを来しやすいことを説明できる可能性があるとの研究結果が2012年Experimental Biologyで発表された。研究者らは男女比ほぼ半々の健康な成人17人を組み入れた。全てのボランティアが安静時に心拍数、血圧、および冠動脈血流を計測された。その後各々の参加者らは3分間の暗算を行いその後に無作為に異なる数から連続的に7を引く減算をさせられている間に同じ検査を受けた。ストレス負荷を増加させるために、研究者らは参加者らが課題をこなしている間に気安く話しかけ、彼らを急かしたり正しい回答をしても間違っていると告げたりした。その結果、安静時には3つの検査成績に男女差はなかった。ストレス暗算作業中の心拍数および血圧は性別に関係なく全ての参加者において上昇した。しかし、冠動脈血流は男性ではストレス下で増加したのに対し、女性では変化がなかった。この特徴の違いにより、女性がストレス下で心臓の問題を引き起こしやすい可能性がある。 |
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精神的充足は心血管疾患リスクを軽減するようである [2012-05-01] |
Psychological well-being appears to reduce risk of cardiovascular disease |
過去20〜30年の様々なスタディの結果、うつ、怒り、不安、および敵意などのネガティブな状態は心血管系の健康に有害であることが示され、その逆もまた然りの様である。Psychological Bulletin 2012年4月17日号オンライン版に掲載されたあるスタディにおいて、ポジティブな精神的充足感が心筋梗塞、脳卒中および他の心血管系イベントのリスクを軽減することが示された。200以上のスタディをレビューした結果、研究者らは、心血管疾患の保護能力のある楽観主義やポジティブな感情などの精神的な利点が存在することを明らかにした。これらの因子はまた、疾患の進行を遅延させる様でもある。特に、最近の3つの日本のスタディにおいて、自己効力感をもつ、あるいは人生をコントロールしている人々は心筋梗塞や脳卒中で死亡するリスクが低いことが示された。成人2,500人を対象としたある米国のスタディでは、情緒的充足感のある人々は、その充足感レベルの低い人々と比較し、6年間の脳卒中リスクが26%低下した。他の8つのスタディでは楽観主義と心疾患低リスクとの関連が認められた。これらの結果が今後のスタディにおいても示されれば、これは予防および介入戦略のデザインにおいて強力な意味合いを有する。 |
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高齢者はより強度な運動や日常生活活動によりアルツハイマー病リスクを軽減できる可能性がある [2012-05-01] |
The elderly may reduce their risk of Alzheimer's disease with more intense exercise and activities of daily living |
毎日の身体運動は、80歳を超えた人々においてもアルツハイマー病リスクを軽減する可能性があるとのスタディ結果が、Neurology 2012年4月18日号オンライン版に掲載された。このスタディにおいて平均年齢82歳の人々716人がアクティグラフという活動性をモニターするデバイスを利き手でない方の手首に連続10日間装着した。全ての運動および運動以外が記録された。彼らはまた4年間のスタディ期間中に記憶と思考能力を評価する検査を毎年受けた。スタディ期間中に71人がアルツハイマー病を発症した。参加者は身体活動および社会活動についても自己報告した。その結果、毎日の身体活動が下位10%の人々は上位10%の人々よりもアルツハイマー病発症率が2倍以上であった。身体活動強度が下位10%の人々は身体活動強度が上位10%の人々よりもアルツハイマー病発症率がほぼ3倍であった。スタディの結果、運動だけでなく、料理、皿洗いや洗濯などの活動もまたアルツハイマー病リスクを低減することが示された。 |
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