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網膜症のスクリーニングのための簡便な眼科検査は血管疾患に関連した認知機能変化のマーカーとして役立つ可能性がある [2012-03-27] |
Simple eye screening for retinopathy may serve as marker for cognitive changes related to vascular disease |
軽度でも網膜症を有する65歳以上の女性は認知機能低下および関連した脳血管の変化を来している確率が高いとの多施設スタディがNeurology 2012年3月14日号に掲載された。このスタディは511人の女性(平均開始年齢69歳)を10年間追跡した。毎年女性らは、短期記憶および思考過程に焦点を当てた認知機能検査を受けた。4年目に彼女らは目の状態を評価する検査を受けた。8年目には脳の画像検査を受けた。39人(7.6%)の女性が網膜症と診断された。平均してこれらの女性は他の女性と比較し認知機能検査の点数が不良であった。網膜症を有する女性は全体の血管系の虚血性病変が47%多く、頭頂葉の病変が68%多かった。特記すべきことに、これらの女性はアルツハイマー病に関連した脳萎縮がより多いわけではなかった。この結果から、網膜症はアルツハイマー病よりも神経血管疾患のマーカーであることが示唆された。これらの所見から、比較的簡便な眼科検査が血管疾患に関連した認知機能変化のマーカーとなり得ることから、早期の診断と治療を考慮することで認知症につながる認知機能の進行を減らす可能性が示唆される。 |
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冠動脈ステント挿入術後6か月のうつ病患者は死亡率が高い [2012-03-27] |
Mortality rates higher in patients with depression six months after coronary stent implantation |
うつ病は冠動脈ステント留置後患者の死亡リスクを上昇させるとの研究結果が第12回Annual Spring Meeting on Cardiovascular Nursing in Denmarkで発表された。今回のスタディにおいて、ロッテルダム循環器病院におけるラパマイシン溶出ステントの評価(Rapamycin-Eluting Stent Evaluated At Rotterdam Cardiology Hospital [RESEARCH]) レジストリの26〜90歳のPCI患者1,234人(平均年齢62歳)がHospital Anxiety and Depression Scaleに回答しステント留置後6か月のうつ状態についての評価を受けた。うつ病の有病率は26.3%(1,234人中324人)であった。7年後までに計187人(15.2%)が死亡した。うつ病患者の総死亡率は23.5%(324人中76人)であったのに対し、うつ病を有さない患者群においては12.2%(910人中111人)であった。うつ病は社会人口統計学的背景(年齢、性別)、臨床的特徴、不安およびタイプD人格で補正後の総死亡率と独立した関連を有していた(ハザード比=1.56; 95%信頼区間[1.03-2.25], p=.035)。臨床的特徴にはステントのタイプ(薬剤溶出/ベアメタル)、閉塞血管数、ボディーマスインデックス、心手術または心筋梗塞既往歴、PCI施術のインディケーション、冠動脈リスクファクター(高血圧、高脂血症、糖尿病、心血管疾患家族歴、喫煙)および循環器系薬剤(アスピリン、ACE阻害薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、利尿薬、硝酸薬およびスタチン)が含まれた。 |
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認知症に一般的に使用される薬剤は進行したアルツハイマー病患者に有用な可能性がある [2012-03-20] |
Commonly used dementia drugs can help more patients with Alzheimer's at later stages of disease |
軽度から中等度のアルツハイマー病治療に対し既に広く使用されている認知症治療薬ドネペジルは中等度から重度の患者においても役立つ可能性があるとのスタディ結果がNew England Journal of Medicineに掲載された。研究者らは2つの薬剤:ドネペジルとメマンチンについて調べた。ドネペジルは最も一般的に処方されている認知症治療薬であり最も早期段階のアルツハイマー病患者に対する使用が推奨されている。現在医師は、アルツハイマー病が進行し中等度から重度になった場合には処方を中止するようにアドバイスされており、ドネペジル内服の継続が患者にとって有益であるとの明らかなエビデンスはこれまでのところ示されていない。トライアルの経過を通して、ドネペジル内服を継続した患者はプラセボを内服した患者と比較し、認知機能および機能的能力の低下は有意に少なかった。持続内服により認められた有益性は臨床的に重要でありまた重症度のより低いアルツハイマー病において過去に認められた有益性より大であった。効果は少し劣るものの、メマンチン治療もまたプラセボよりも認知機能および機能的能力の有意に良好な結果をもたらした。このスタディの結果、これらの患者群への適応拡大は世界中の2倍の患者の治療に役立つことが示唆された。 |
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母親の選択的セロトニン再取込み阻害薬の使用はうつ症状の軽減と胎児頭部の成長遅延をもたらす [2012-03-20] |
Maternal use of selective serotonin reuptake inhibitors associated with fewer depressive symptoms, delayed fetal head growth |
選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRIs)による妊婦の治療はうつ症状を軽減し、胎児頭部の成長を遅延させ早産リスクを上昇させるが、胎児の体部の成長は遅延させないようであるとArchives of General Psychiatryオンライン版に報告された。研究者らは、妊婦7,696人を対象としたスタディの一部として、うつ症状と母親のSSRIs使用における胎児および出生の関連を評価した。無治療のうつ症状もまた妊娠中の胎児の頭部を含む全体的な身体の成長を遅延させた。一方、胎児期の SSRIs使用は胎児の頭部の成長を遅延させたが胎児体部の成長には影響しなかった。うつ病をSSRIsで治療されなかった母親の子供も頭囲増加遅延を示したが、SSRIsを使用した母親の子供はうつ病をSSRIsで治療されなかった母親の子供と比較し、頭囲の増加遅延が著明であった。うつ症状を有しSSRIsを使用した母親の子供は妊娠期間が短く(平均1日)早産の確率が2倍高かった。筆者らは妊娠中のSSRIs使用と将来の成長の問題との関連を推断しないように警告している。 |
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冠動脈疾患を有する高齢患者において持続性のうつ症状は認知機能の著しい低下と関連がある [2012-03-13] |
Persistent depression appears associated with greater cognitive decline in older patients with coronary artery disease |
心臓カテーテルを施行された冠動脈疾患を有する高齢患者において持続性のうつ症状は認知機能の有意な低下と関連がある可能性があるとのスタディ結果がArchives of General Psychiatry 3月号に掲載された。カナダの研究者らは、心臓カテーテル検査後に冠動脈バイパス術、経皮的冠動脈インターベンションまたは薬物療法を施行された高齢患者におけるうつ症状と長期(血行再建術施行後30か月以内)のある領域の認知機能変化を調査した。彼らはまた、これらの相関がアポリポ蛋白E(APOE)ε4アレルが存在することにより影響を受けるか否かについても調査した。スタディは、過去に血行再建術を施行されたことのない、非緊急カテーテル検査を施行された60歳以上の患者350人を対象とした。持続的なうつ症状を有する患者は、30か月後の注意力/実行機能、学習/記憶、言語の流暢度および全体的な認知機能の低下(ベースラインと比較し)が、うつ症状を有さないかまたはベースライン時のみにうつ症状のあった者と比較し、有意に大であった。最初の1年のみ症状が持続した場合もまた、その後(12〜30か月)の4つの認知機能検査全ての低下の有意なリスクファクターであった。全体的な認知機能低下度およびそれよりは少ないが言語流暢性の低下もAPOE ε4アレルを有する者においてより大であった。 |
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小児の睡眠時異常呼吸は多動や攻撃性のリスクと関連がある [2012-03-13] |
Children's abnormal breathing during sleep linked to increased risk of hyperactivity and aggressiveness |
11,000人を超える小児を対象とした6年間のスタディの結果、睡眠呼吸障害(SDB)により、情動症状や交友関係における困難に加え、多動や攻撃性などの行動的な困難を発症しやすいことが示されたとのスタディ結果がPediatricsに掲載された。子供の親たちは、生後6〜69か月の様々な間隔で子供のSDB症状に関するアンケートに回答した。子供がおおよそ4、7歳の時に親たちは、注意欠陥/多動、情動症状、交友問題、素行の問題、および向社会的行動の評価である、強さと困難に関するアンケートStrengths and Difficulties Questionnaire(SDQ)に回答した。SDBを有する子供はSDAを有さない子供と比較し、7歳までに神経行動上の問題を発症する確率が40〜100%高かった。最も上昇したのが多動であったが、5つの行動計測値全てにおいて有意に上昇していた。症状が早期−6または18か月時点−に最高となった子供は呼吸の正常な小児と比較し、7歳の時点で行動上の問題を生じる確率がそれぞれ40%および50%高かった。行動問題が最も重度の小児は、評価期間中を通してSDB症状を有し30か月後に最も重度になった者であった。 |
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片頭痛の既往歴を有する女性はうつ病発症リスクが高い [2012-03-06] |
Women who have a history of migraine are at an increased risk for developing depression |
片頭痛を有する女性または過去に有していた女性は既往を有さない女性と比較しうつ病を発症するリスクが高いとのスタディ結果が、4月に開催される第64回American Academy of Neurology学会で発表される予定である。研究者らは、女性の健康に関するスタディ(Women's Health Study)に組み入れられたうつ病を有さない女性36,154人を分類し、片頭痛に関する情報を提供した。女性たちは、閃輝暗点を伴う片頭痛を現在有する者、閃輝暗点を伴わない片頭痛を現在有する者、片頭痛の既往歴(しかし過去1年以内には発症していない)を有する者、または片頭痛の既往のない者に分類された。女性たちはまた、うつ病の診断に関する情報も提供された。計6,456人の女性が現在または過去に片頭痛を有していた。平均14年間の追跡期間中に3,971人がうつ病を発症した。何らかの片頭痛既往歴を有する女性は、既往歴を有さない女性と比較し、うつ病発症リスクが40%高かった。この結果は閃輝暗点を伴うか否かで差はなかった。 |
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低レベルのオメガ3脂肪酸は視覚記憶や高次機能低下と関連がある [2012-03-06] |
Low levels of omega-3 fatty acids linked to poor visual memory and executive function |
主に魚に認められる栄養素であるオメガ3脂肪酸の少ない食事は脳の老化を促進し記憶や思考の能力の一部を喪失させる可能性があるとのスタディ結果が2012年2月28日号にAmerican Academy of Neurology学会誌NeurologyRに掲載された。オメガ3脂肪酸にはドコサヘキサエン酸(DHA)およびエイコサペンタエン酸(EPA)と呼ばれる栄養素が含まれる。今回のスタディのために平均年齢67歳の認知症を有さない1,575人がMRI脳画像検査を施行された。彼らはまた、精神機能、ボディマスインデックスおよび赤血球細胞内のオメガ3脂肪酸レベルを計測する検査を受けた。DHAレベルが最低から25%以内の者はDHAレベルが高い者と比較し、脳体積が少なかった。同様に、オメガ3脂肪酸レベルが最低から25%以内の者は視覚記憶や問題解決、複数課題、抽象的思考などの実行機能の検査においてもスコアが低かった。 |
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