2つの関連のないパスウェイを組み合わせて乳がんを治療できる可能性がある
炎症マーカーはがんによる死亡のリスク上昇と関連している

11月6日、13日、20日のDOL NewsはAHA特集のためOncologyニュースは
お休みさせていただきました。

PI3キナーゼとPARP阻害薬の併用はトリプルネガティブ乳がんの新たな治療法となる可能性がある [2012-11-27]
Combination of PI3-kinase and PARP inhibitors may offer new treatment option for triple-negative breast cancers

2つの別々の関連のないと思われるパスウェイの同時阻害は、トリプルネガティブ乳がんの有効な治療となり得るとの2つの研究結果がCancer Discovery 11月号に掲載された。1つ目のスタディは、トリプルネガティブ乳がんにおいてしばしば不適切に活性化されているシグナリングパスウェイの重要な要素であるPI3-キナーゼを阻害することにより、BRCA変異乳がんに存在する病態を複製でき、したがってPARP阻害薬への感受性が高まるであろうとの仮説を立てている。BRCA機能を有するトリプルネガティブ乳がん細胞株においてPI3キナーゼ機能が阻害されれば、BRCA蛋白ダウンレギュレーションによりDNA傷害が起こり、結果としてPARPの傷害修復が活性化されることが示された。2つ目のスタディは、BRCA-1欠損のマウス乳がんモデルを用いた。研究者らは、BRCA1変異を有するマウスはPI3キナーゼパスウェイの強力な活性を示す分子指標を有しており、この腫瘍がPI3キナーゼ阻害薬の感受性が高い可能性があることを示唆しているとの結果を得た。マウスをPI3阻害薬で治療すると、腫瘍の倍化は5日から26日へと遅延した。BRCA変異腫瘍はまたPARP阻害薬にも反応することが知られていることから、研究者らがこれら2つの薬剤を併用した結果、腫瘍の倍化が70日以上に遅延した。

高レベルの高感度C反応性蛋白により肺がんによる死亡リスクの高い男性を同定できる [2012-11-27]
High levels of high-sensitivity C-reactive protein identifies men at increased risk of death from lung cancer

炎症の重要なマーカーである血中高感度C反応性蛋白(hs-CRP)を、がんを有さないと思われる男性において計測することにより、がんの中でも特に肺がんにより死亡するリスクの高い男性を同定するのに役立つとのデータがCancer Epidemiology, Biomarkers & Preventionに掲載された。韓国の研究者らは33,556人のデータをレトロスペクティブに解析した。平均フォローアップ期間9.4年の間に総死亡1,054人およびがんによる死亡506人が記録された。年齢、糖尿病、喫煙の有無および運動習慣などの変数で補正した結果、hs-CRPレベルが最高(3r/L以上)であった男性はhs-CRPレベルが最低(1mg/L以下)であった者よりも全ての原因による死亡の確率が38%高かった。彼らはまたがんによる死亡の確率が61%高かった。hs-CRPと部位別がんとの関連を解析した結果、有意な相関が存在したのは肺がんのみであった。hs-CRPレベルが最高であった者は最低レベルであった者より肺がんで死亡する確率が2倍以上高かった。統計学的には有意ではなかった。