新たなデバイスは乳腺腫瘍摘出術後の乳房の美容的外見を温存する(Abstract # 144)
再発スコアは乳がん治療勧告に影響を与える(Abstract # 1)
脳への放射線照射は肺がんの転移リスクを軽減する(Abstract # 5)
クリゾチニブはALK陽性肺がんの腫瘍サイズを縮小させる(Abstract # 4)

9月4日、11日のDOL NewsはESC特集のためOncologyニュースは
お休みさせていただきました。

新たなデバイスはさらに大量の乳房組織を取ることなくフォローアップ手術の必要性を軽減する可能性がある [2012-09-25]
Novel device may reduce need for follow-up surgeries after lumpectomy without having to remove larger amounts of breast tissue

2012年Breast Cancer Symposiumで発表された大規模前向きスタディの結果、腫瘍摘出の際に十分な組織を取ることを確実にする新たなデバイスにより、追加の手術が減少しさらに大量の組織を取る費用が不要となることが明らかにされた。患者にとってこの結果は、フォローアップ手術に伴うリスクの軽減および腫瘍摘出後の美容的な乳房外観が温存されるという意味をもつ。このスタディでは患者596人(161人は非浸潤性乳管がん)が、標準的な乳腺腫瘍摘出術後に手術室でMarginProbe群またはデバイスを使用しない群(コントロール)に無作為に割り付けられた。MarginProbeが切除標本の断端近接にがん細胞を検出した場合には、外科医は同じ外科的手技を用いてより多くの組織を切除することとした。その後、手術中に切除された組織量とデバイス使用後に追加切除した組織全てと、初回切除量およびコントロール群において再手術の際に切除した組織量とを比較した。総組織量はデバイス群とコントロール群とで同等であった(83cc対76cc)が、再切除率はデバイス群で有意に低かった(13%対37%)。

腋窩リンパ節に拡散したER陽性乳がん患者における再発および死亡リスクがスタディにより精査された [2012-09-25]
Study refines risk of recurrence and death in patients with ER-positive breast cancer that has spread to axillary lymph nodes

2012年Breast Cancer Symposiumで発表された後ろ向きスタディの結果、再発スコア(RS)は、数に関係なくリンパ節が転移陽性のエストロゲン受容体(ER)陽性乳がん患者において、アジュバントホルモン療法と化学療法併用後の予後の良・不良に対する有意な予測因子となることが示された。このスタディの結果、21遺伝子RSは化学療法とアジュバントホルモン療法併用後の予後の良・不良を予測し、アジュバント療法の用量を患者ごとに調整することや新たな治療の恩恵を被る可能性のある患者の選択に役立つ。研究者らは、無作為化臨床試験の一部としてアントラサイクリンまたはアントラサイクリン/タキサンを基本とした化学療法とホルモン療法の併用を施行された、リンパ節転移陽性、ER陽性乳がん患者1,065人において、RSの予後に与える影響を調査した。また、過去の乳房手術から得た組織検体を用いて再発スコアを計算し、RSと無病生存期間および全生存率の相関をみた。10年無病生存率、無遠隔転移生存率、および全生存率は、RSの低い女性ではそれぞれ76%、81%、90%であり、RSの高い女性ではそれぞれ48%、56%、63%であった。さらに、RSにより年齢、腫瘍サイズ、転移陽性リンパ節のグレードおよび数などの臨床因子に加え、さらなる予後情報が提供された。

RTOG 0214:予防的頭骸照射は非小細胞肺がん治療後の脳転移のリスクを軽減する [2012-09-18]
RTOG 0214: Prophylactic cranial irradiation reduces risk of brain metastases following treatment for non-small cell lung cancer

手術および/または放射線療法による治療に加え予防的頭骸照射(PCI)も受けたステージIII非小細胞肺がん(NSCLC)患者は脳転移発症のリスクが有意に低いとのRTOG 0214トライアルの最新の解析結果が2012年Chicago Multidisciplinary Symposium in Thoracic Oncologyで発表された。しかし、このスタディではPCIによる全生存期間の改善は示されなかった。研究者らは、手術および/または放射線療法と化学療法併用または非併用のステージIIINSCLC患者340人を調査した。患者らはPCIを受ける群または追加治療を受けない群(観察群)に無作為に割り付けられた。患者全体では追跡調査期間中央値24.2か月、および生存している患者においては58.6か月の後、全生存率はPCI群と観察群とでそれぞれ26.1%および24.6%であった(P = 0.57)。5年無病生存率においてもまた有意差は認められなかった(P = 0.13;PCI 18.5% 対観察群14.9%)。しかし、PCI群の脳内転移は17.3%で観察群の26.8%よりもかなり低かった(P = 0.009)。

PROFILE 1005:ALK陽性進行NSCLC標準治療としてのクリゾチニブの強力なエビデンス [2012-09-18]
PROFILE 1005: Strong evidence for crizotinib as a standard of care for advanced ALK-positive NSCLC

喫煙歴の全くない人々に多くみられるがんである未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者においてクリゾチニブは腫瘍縮小に有効であり、この疾患の進行期の標準治療となるべきであるとの研究結果が2012年Chicago Multidisciplinary Symposium in Thoracic Oncologyで発表された。PROFILE 1005は、再発性、進行、または転移性進行ALK陽性NSCLCに対する化学療法後に疾患が進行した患者におけるクリゾチニブ(250 mg 1日2回を3週間)の安全性および有効性を評価する、現在進行中の国際的多施設オープンラベルシングルアーム第II相試験である。研究者らは安全性について901人、腫瘍奏効性について261人の患者を追跡した。クリゾチニブ治療に対する全奏効率は60%であり、無増悪生存期間(PFS)中央値は8か月であり、クリゾチニブがALK陽性肺がんの腫瘍縮小と高いPFS率を示した過去の結果が確認された。この薬剤はまた忍容性においても好ましいプロファイルを示した。過去のスタディ結果を確認したことに加え、このトライアルの結果により症状の影響を軽減しうることが示されたことから、この進行した段階の肺がんと診断された患者のQOLを改善することが示された。クリゾチニブは抗MET活性を有する、ALK 受容体チロシンキナーゼに対する選択的低分子阻害剤であり、画期的新薬である。