40〜49歳にマンモグラフィーで検出された乳がんの患者は予後が良好である [2012-02-28]
Mammography-detected breast cancer in 40-49 year-olds has better prognosis
Radiology誌3月号に掲載予定の2,000人近くの乳がん患者のスタディに基くと、40〜49歳の女性において、マンモグラフィーで検出された乳がんの予後は良好である。研究者らは1990〜2008年に治療された乳がん患者(40〜49歳)1,977人のデータをレビューした。データ解析の結果、この18年間の間にマンモグラフィーにより検出される乳がんの割合は有意に増加したことが示された(1990年の28%から2008年の58%)。患者および医師により発見された乳がんの割合は1990年には全症例の73%であったものが、2008年には58%にまで低下した。マンモグラフィーにより検出された乳がんへ割合がシフトしたことに伴い早期がんでの診断へとシフトした。ステージ0で診断された患者数は66%増加した一方で、ステージIIIの乳がん患者数は66%減少した。がんを自ら発見した患者や医師らにより乳がんを発見された患者と比較し、マンモグラフィーで乳がんを発見された患者は乳腺腫瘤摘出術を施行される確率が高く(67%対48%)、乳がんで死亡する割合は低かった(4%対11%)。
ホルモン受容体の遺伝子発現を停止させると消化管のバリアを脆弱化しがんにかかりやすくする可能性がある [2012-02-28]
Silencing hormone receptor weakens intestinal barrier, making body more susceptible to cancer
漏出しやすい消化管は他の臓器のがん形成の根源となる可能性があるとのスタディ結果がPLoS ONEオンライン版に掲載された。ホルモン受容体グアニル酸シクラーゼC(GC-C)−過去に発見された消化管に存在する腫瘍抑制因子−が、消化管領域を他の体の部位と区別しがんを食い止めるのに役立つ可能性のある消化管のバリアを強化する役割を担っているようである。この受容体がないとこのバリアは弱まる。ある前臨床試験において研究者らは、マウスのGC-Cの遺伝子発現を停止させると消化管バリアの保全性が損なわれることを明らかにした。GC-Cの遺伝子発現停止は炎症の発生およびがん発生薬物の体内への浸透を許容し、DNAを損傷し肝臓、肺およびリンパ節などの消化管以外の臓器にがんを形成させる。逆に、マウスの消化管内のGC-C刺激はこれらの病的な変化と反対の消化管バリアを強化する。脆弱化した消化管バリアは炎症性腸疾患、喘息および食物アレルギーなどの多くの疾患と関連しているが、今回のスタディにより消化管の保全性においてGC-Cが役割を果たしているとの最新のエビデンスが得られた。GC-Cを強化することにより消化管以外の炎症やがんから防護できる可能性がある、と研究者らは述べている。
進行頭頸部がんの一部の患者では放射線とシスプラチンの併用により長期の良好な結果が得られる [2012-02-21]
Evidence strengthens link between NSAIDs and reduced cancer metastasis through lymphatic system
ある新たなスタディにより、がんのリンパ節への拡散を促進する重要な因子が明らかにされ、一般的な市販抗炎症薬がリンパ系経路の腫瘍拡散を抑制するメカニズムが示されるとCancer Cell 2月14日号に掲載された。研究者らは、リンパ管の収集法がVEGF-D誘導転移の間にどのように変化するかを検討した。彼らは、VEGF-Dがリンパ管拡張の重要な調整役であるプロスタグランディン経路と関連していることを発見した。プロスタグランディン阻害薬として知られる非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)はリンパ管拡張を軽減し、従って腫瘍の転移を抑制する。このリンパ系増殖因子とプロスタグランディンとの重要な相互作用から、身体の腫瘍拡散のための血管収集調整およびNSAIDsによるリンパ系がん転移抑制のメカニズムが明らかにされると筆者らは述べている。これらの結果により転移抑制療法のデザインへの新たな道が切り開かれる。
一般的に行われている術後放射線療法はステージIII非小細胞肺がんの高齢患者の生存率を改善しない [2012-02-21]
Commonly-used postoperative radiotherapy does not improve survival in older people with stage III non-small cell lung cancer
いまだ論議はあるものの、肺がん患者の治療によく取り入れられている術後放射線療法(PORT)は局所進行肺がんの高齢患者の寿命を延長しない可能性があるとの研究結果がCANCERオンライン版2月13日号に掲載された。非小細胞肺がん(NSCLC)患者における標準治療は腫瘍切除手術である。しかし、ステージIIIであるタイプのN2リンパ節転移を有する患者において医師らはしばしば予後改善目的で1コースのPORTを処方する。研究チームはN2リンパ節転移を有するステージIII NSCLC患者1,307例を特定した。全体で、66歳以上の患者のうち710人、つまり54%が腫瘍切除術後にPORTを受けた。その結果、PORTを受けた患者の1年および3年生存率はこれを受けなかった患者と比較し改善していないことが示された。研究者らは、決定的なデータが得られるまではPORTの使用は限定すべきであると結論付けた。ランダム化コントロールトライアルが現在進行中である。
進行頭頸部がんの一部の患者では放射線とシスプラチンの併用により長期の良好な結果が得られる [2012-02-07]
Radiation plus cisplatin provides long-term positive results for subgroup of patients with advanced head and neck cancer
選択された一部の頭頸部がん患者においては放射線とシスプラチンの併用療法により放射線単独療法よりも予後が良好であり、治療後10年間にわたり良好な結果が持続するとのスタディ結果が、Multidisciplinary Head and Neck Cancer Symposiumで発表された。研究者らは進行頭頸部がんを有し放射線療法単独または放射線療法とシスプラチンの併用療法を行われた2つのサブグループの患者計410人を解析した。顕微鏡的に切除断端病変を有しており、かつ/またはがんが被膜外拡散している患者では放射線療法と化学療法の併用により局所コントロールが改善した。治療10年後の局所再発率はそれぞれ33.1%および27.1%であった。無病生存率は放射線単独療法群患者で12.3%であったのに対し、放射線療法とシスプラチン併用群では18.4%であり、全生存率はそれぞれ19.6%および27.1%であった。一方、複数のリンパ節転移を有する患者では放射線療法と化学療法の同時併用療法による有益性は認められなかった。
PET/CTでのルーチンの経過観察により局所頭頸部がんの再発をより早期に発見できる [2012-02-07]
Routine follow-up PET/CT scans can detect local head and neck cancer recurrences earlier
頭頸部がん患者の経過観察において、ポジトロン断層法/コンピュータ断層法(PET/CT)スキャンをルーチンに行うことにより局所再発が臨床的に明らかになる前に検出することが可能となり、その後のサルベージ療法の成績が改善する可能性があるとのスタディ結果が2012年Multidisciplinary Head and Neck Cancer Symposiumで発表された。研究者らは2006〜2010年に化学放射線療法による治療後にPET/CTスキャンを受けた頭頸部がん234症例を検討した。スキャンの結果、さらに評価を必要とする異常を有する患者15人が同定され、生検の結果この15例中8例において悪性であることが示された。残りの7例は偽陽性であった。PET/CTスキャンで陰性であった患者全てがその後の経過観察で再発のない状態を持続した。スキャンで異常であった者の53%に悪性所見が認められ、今回の研究からPET/CTスキャンは頭頸部がん患者のルーチンのフォローおよび調査手段としての価値を有している、と筆者らは述べている。しかし、偽陽性率は46%であり、スキャンで異常所見検出後の生検の依頼は慎重に行い過剰で不必要な生検を避けるべきであるとも注記している。