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蘇生、細胞再生、高血圧治療および脳卒中治療デバイスが2012年心血管系の進歩の上位に立つ [2012-12-25] |
Resuscitation, cell regeneration, hypertension treatment and devices for treating stroke head top cardiovascular advances of 2012 |
蘇生、細胞再生、新たな高血圧治療および脳卒中治療デバイスの開発が今年の心血管および脳卒中研究の上位を形成する重要な科学的発見である、とAmerican Heart AssociationおよびAmerican Stroke Associationが認定した。本年、研究者らは延長CPRが生命を救うこと、腎除神経が高血圧を治療する可能性があること、および多枝病変の糖尿病患者はバイパス術を施行された方が有意に成績が良好であることなどが報告された。心筋再生に関しては心筋を置換する強固な方法が発見されうることが有望とされた。小児治療の進歩としては16歳未満の患者に対する移植までのブリッジとしての心室補助デバイスの使用および川崎病に罹患した小児の冠動脈病変を予防する高度に有効な治療が含まれた。SOLITAIREおよびTREVOデバイスはMERCIデバイスよりも脳卒中後の閉塞血管をより有効に開通させたが、一部の患者において開存した卵円孔の小さな穴を閉鎖するデバイスは標準的な治療と比較しその後の脳卒中をより予防する効果は示さなかった。Ugandaの小児を対象とした臨床試験では、心臓超音波検査によりリウマチ性心疾患が効果的にスクリーニングされることが示された。そして2つのスタディにより、心疾患および脳卒中リスク低下に対する生活習慣因子の影響が強調された。 |
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PCI前にクロピドグレルを投与することにより主要な心イベントが減少したが生存率は改善しなかった [2012-12-25] |
Administration of clopidogrel prior to PCI associated with reduction in major cardiac events, but not improved survival |
経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を予定されている患者における抗血小板薬クロピドグレルを用いた前処置は総死亡リスクは低下させないが主要な冠動脈イベントリスクは有意に低下させたとの、過去のスタディのレビューおよびメタ解析の結果がJAMA 12月19日号に掲載された。このメタ解析の対象とされた患者37,814人中8,608人がランダム化コントロールトライアル(RCTs)に参加し、10,945人はRCTsの観察解析に、18,261人は観察研究に参加した。RCTコホートにおいては、クロピドグレル前処置は総死亡を減少させなかった(絶対リスク1.54%対1.97%)。これらの結果はRCTsの観察解析および観察研究解析において一貫していた。RCTsの主要解析においてクロピドグレル前処置は重大な出血のリスクを有意に増加させなかった(絶対リスク3.57%対 3.08%)。主要解析において、クロピドグレル前処置は重大な冠動脈イベント(絶対リスク9.83%対12.35%)および心筋梗塞(4.53 %対5.90%)を有意に減少させた。ST上昇心筋梗塞(STEMI)高リスク患者においてこの前処置の有益性が最も得られるようであった。 |
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最大規模の冠動脈疾患スタディの結果、炎症と心疾患の遺伝子的関連のエビデンスが示された [2012-12-11] |
Largest coronary artery disease study shows evidence of genetic link between inflammation and heart disease |
大規模国際コンソーシアムの科学者らにより冠動脈疾患に関連した15の新たな遺伝子領域が同定され、冠動脈疾患を引き起こす根本的原因の理解に有意な一歩を踏み出すことになった。Nature Genetics オンライン版12月2日号に掲載されたこの研究は、ゲノムワイド関連スタディを通して発見された計46の検証された心疾患との遺伝子的関連を示した。興味深いことに、冠動脈疾患または心筋梗塞と関連した遺伝子領域の約4分の1がコレステロール、特に高LDLコレステロールレベルと、残りの10%は高血圧と強力な相関を有することが示された。これらの状態はいずれも冠動脈疾患のリスクファクターであることが知られている。このスタディで最も興味深いのは、一部の人々は炎症に関連したいくつかの重要な遺伝子に遺伝性突然変異を有するため生まれつき冠動脈硬化発症素因を有している可能性があることを示しているのであろう、と筆者らは指摘している。プラーク蓄積においてみられる炎症がプラーク自体の原因なのか結果なのかについて多くの議論がなされてきた。このスタディから、いくつかの炎症関連パスウェイの遺伝子的欠陥が原因であるとのエビデンスが得られたようである。 |
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混合型経口避妊薬を内服している多嚢胞性卵巣症候群の女性は静脈血栓塞栓症のリスクが高い [2012-12-11] |
Risk of venous thromboembolism higher for women with polycystic ovary syndrome on combined oral contraceptive |
混合型経口避妊薬を内服している多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の女性は経口避妊薬を内服するこの疾患を有さない女性と比較し血栓リスクが2倍高いとのスタディ結果が、Canadian Medical Association Journalに掲載された。PCOSは生殖年齢女性の6〜10%に認められ、ある推計によると15%とも言われ、この年齢層に最も多い内分泌疾患となっている。研究者らは18〜46歳の女性87,012人(半数がPCOSを有し半数はコントロール)を観察し、バースコントロールピルを内服しているPCOS女性がマッチさせた避妊薬内服女性と比較し、静脈血栓塞栓のリスクが高いか否かを判断した。心疾患、がん、および過去の血栓の既往を有する女性は除外された。その結果、混合型経口避妊薬を内服しているPCOSの女性はマッチさせたコントロールよりも静脈血栓塞栓リスクが2倍高かった。PCOSの定義を症状や治療を含めることで拡大しても同様の結果が認められた。また、経口避妊薬を内服していないPCOS女性においてもマッチさせたコントロールと比較し静脈血栓塞栓リスクが1.5倍高いことも示された。 |
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