ROCKET AF:リバロキサバン内服中の心房細動患者においてワルファリン内服中の患者よりも消化管出血が多く認められた [2012-10-30]
ROCKET AF: More gastrointestinal hemorrhage seen in atrial fibrillation patients on rivaroxaban than warfarin

リバロキサバン内服中の心房細動(AF)患者はワルファリン内服中の患者よりも重大なまたは重大ではない臨床的に明らかなGI出血を多く経験するとの研究結果がAmerican College of Chest Physiciansの年次集会CHEST 2012で発表された。ROCKET AFトライアルの一部として、複数施設の研究者らは非弁膜症性AF患者14,264人をリバロキサバンまたは用量を調節したワルファリンを内服する群に無作為に割り付けた。試験薬内服中および最終内服2日後までの間に全患者においてPost-hoc解析を施行した。GI出血イベント(上部、下部、直腸)はリバロキサバン内服患者(394人)においてワルファリン内服患者(290人)よりも頻度が高かった。さらに、重大な(2.00 対 1.24%/年)および重大でない(1.75 対 1.39%/年)臨床的に明らかな出血は、リバロキサバン内服群においてより多く認められた。重大なGI出血は高齢者、現在/過去の喫煙者、GI出血歴を有する者、ベースライン時に軽度の貧血を有しクレアチニンクリアランス低値の者に多く、女性または脳卒中/TIA既往者においては少なかった。しかし、致死的なGI出血はリバロキサバン群において少なく、絶対致死率は非常に低かった。致死的なGI出血を発現したのはリバロキサバン群ではわずか1人であり、ワルファリン群では5人であった。

末梢塞栓予防デバイスおよび予防的ニカルジピンの使用により経皮的冠動脈インターベンションの合併症が減少する [2012-10-30]
Using distal protection devices plus prophylactic nicardipine reduces complications of percutaneous coronary intervention

末梢塞栓予防デバイスと薬剤ニカルジピンの予防的投与との併用は末梢塞栓予防デバイス単独使用よりも、バイパス手術歴のある患者に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の生命を脅かす合併症の予防に有効であるとの研究結果が、Transcatheter Cardiovascular Therapeutics conferenceで発表された。研究者らはバイパス手術歴のある患者連続163人において、PCI後30日間の臨床上のアウトカムを観察した。グループIは末梢塞栓予防デバイスのみを使用してPCIを施行された(ニカルジピン前投与なし)患者60人から成り、グループIIには末梢塞栓予防デバイスを用いてPCIを施行され予防的ニカルジピン前投与を施行された患者103人が含まれた。ベースライン時の年齢(71±10歳)、糖尿病(47対44%)およびバイパスグラフト年数(13±6年)などの人口統計学的背景は両群間で同等であった。グループIIは病変長が長く、合併症リスクが高かった。PCI後30日間の死亡、心筋梗塞、バイパスまたはPCI再施行の割合は、グループIで10%の患者において認められたが、グループIIではわずか1%の患者においてのみ認められた。死亡率はグループIで3.3%であり、グループIIではゼロであった。心筋梗塞発症率はグループIで10%、グループIIでは1%であった。

大規模国際スタディの結果、21の遺伝子がコレステロールレベルと関連しており薬剤の標的となる可能性が拡がる [2012-10-23]
Large international study finds 21 genes tied to cholesterol levels expanding possible drug targets

コレステロールおよび他の血中脂質に関する過去最大の遺伝子スタディにおいて、国際コンソーシアムは心疾患および代謝異常のリスクに関連する21の遺伝子変異を同定した。この研究結果により、脂質関連心血管疾患に対する薬物治療や他の治療法の標的となり得るもののリストが拡大する。このスタディは現在American Journal of Human Geneticsオンライン版に掲載されており、11月2日号印刷版に掲載予定である。世界中の180人を超える研究者から成るこのコンソーシアムでは、ヨーロッパ系の90,000人あまりの遺伝子データを解析した。1つ目の研究者グループは過去32のスタディ対象者65,000人あまりのデータセットの検出にCardiochip(遺伝子解析ツール)を用いた。その後、過去に報告されたスタディの100,000人に加え25,000人を対象とした他のスタディにおける追試を検索した。このメタ解析から、このコンソーシアムは49の既知のシグナルを確認するとともに、低密度リポ蛋白、高密度リポ蛋白、総コレステロール、および中性脂肪に関連した21の新たな遺伝子を同定した。研究者らはまた、一部の強力なシグナルは性別特異的であり、変異は男性に多く認められるものもあれば、女性において多く認められるものもあることを明らかにした。

抗酸化物質リコピンの豊富なトマトベースの食品は脳卒中リスクを低下させるようである [2012-10-23]
Tomato-based foods that are high in the antioxidant lycopene appear to lower risk of stroke

抗酸化物質リコピンの豊富なトマトおよびトマトベースの食品を摂食することにより脳卒中リスクが低下する、との新たな研究結果がNeurology® 2012年10月9日号印刷版に掲載された。スタディには46〜65歳のフィンランド男性1,031人が組み入れられた。血液中のリコピンレベルがスタディ開始時に計測され、平均12年間追跡調査された。その間に67人が脳卒中を発症した。血中リコピンレベルが最高量であった者は最低量の者に比べ、脳卒中発症リスクが55%低かった。リコピンレベルが最低であった男性258人中25人が脳卒中を発症した。リコピンレベルが最高であった男性259人中脳卒中を発症したのは11人であった。血栓による脳卒中のみを観察するとこの結果はより強固であった。リコピンレベルが最高であった者においては、最低であった者と比べ脳卒中の発症率は59%低かった。このスタディではまた、血液中の抗酸化物質α-カロチン、β-カロチン、α-トコフェロールおよびレチノールレベルについても観察しているが、脳卒中リスクとの関連は認められなかった。

急性心筋梗塞による死亡のリスクは一般の人々よりも統合失調症患者において高い [2012-10-16]
Risk of death from acute myocardial infarction higher in people with schizophrenia than the general public

心筋梗塞(MI)の結果死亡するリスクは一般の人々よりも統合失調症患者において高いとのスタディ結果がSchizophrenia Researchオンライン版に掲載された。研究者らは4年間のオンタリオ全体の患者データを解析し、統合失調症患者の全てのMI発症例を追跡し統合失調症を有さない人々と比較した。その結果、統合失調症患者はこれを有さない人々と比較し、MI退院後の死亡率が56%高かった。さらに、統合失調症患者はMI後の死亡リスクが高いにもかかわらず、退院後30日以内に心臓の施術を受けたり循環器医を受診する率が50%低かった。平均して、統合失調症患者の寿命は一般の人々よりも20年短い。筆者らは、体重増加を解消する手段の提供などのより優れた予防やより一貫したMI後心臓管理を提案している。

中等量の飲酒は心疾患患者の心房細動リスクを上昇させる可能性がある [2012-10-16]
Moderate alcohol consumption may increase risk of atrial fibrillation in people with heart disease

心疾患や進行した糖尿病を有する高齢者において中等量の飲酒は心房細動リスクを上昇させるとのスタディ結果がCanadian Medical Association Journalに掲載された。この結果は、心血管疾患歴または臓器障害を伴う進行した糖尿病を有する40か国の55歳以上の患者30,000人余りを対象とした大規模スタディから得られた。データは参加者を4年半追跡した臨床試験のものであった。中等量の飲酒は女性では週1〜14杯、男性では週1〜21杯とした。大量飲酒は1日5杯以上とした。心房細動発現率は少量摂取量群で6.3%、中等量飲酒群で7.8%、大量飲酒群で8.3%上昇した。アルコール多飲に関連した心房細動症例の増加はいずれの年齢群でも認められた。中等量の飲酒をする者は人口の3分の1以上と一般的であるが、今回の結果から、心血管疾患既往患者における心房細動に対しては、たとえ中等量であっても飲酒の影響が示唆された。

早期閉経は心筋梗塞および脳卒中リスクを2倍にする [2012-10-09]
Early menopause doubles the risk of myocardial infarction and stroke

早期に閉経した女性はそれよりも遅く閉経した女性よりも心筋梗塞や脳卒中を発症しやすいとの新たなスタディ結果がMenopause: The Journal of The North American Menopause Societyに掲載された。この観察研究では、Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis(MESA)に登録された女性2,509人(うち693人は外科的にまたは自然に 46歳未満で閉経した)を観察した。早期閉経女性は喫煙率が高く、糖尿病を有する率が高く、平均BMIが大であった。スタディにおいて、ヨーロッパ人、アフリカ系米国人、ヒスパニックおよびアジア人では、早期閉経するとそれよりも遅くに閉経した群と比較し、心血管疾患リスクが2倍であった。これらの結果から、閉経年齢を将来の心臓および血管疾患リスクのマーカーとして使用することが支持される。筆者らは、女性患者の病歴を聴取する際に閉経に関して質問することを推奨している。

メラトニンのサプリメントはβ遮断薬を内服している高血圧患者の睡眠を改善する [2012-10-09]
Melatonin supplementation significantly improves sleep in hypertensive patients taking beta-blockers

睡眠障害を有しβ遮断薬を内服している高血圧患者に対してはメラトニンのサプリメントが有益である可能性がある、とのスタディ結果がSLEEP 10月号オンライン版に掲載された。研究者らは高血圧治療目的でβ遮断薬を常用している高血圧患者16人を解析した。スタディ参加者は、メラトニンのサプリメントまたはプラセボを毎日就寝前に内服した。バイアスを避けるために参加者にも検者にもどちらの錠剤を内服しているかを知らせなかった。3週間のスタディ期間中、参加者は4日間の睡眠研究室への滞在を2回行い、睡眠パターンの評価を受けた。その結果、メラトニン群ではプラセボ群よりも睡眠時間が37分増加した。また、睡眠効率が8%改善し、徐波睡眠やREM睡眠は減少することなくステージII睡眠の時間が41分増加した。参加者がメラトニン内服を中止してもなお、睡眠に対し明らかな持ち越し効果を有した。このデータは有望ではあるが、高血圧以外の理由によりβ遮断薬を内服している患者もまたメラトニンのサプリメントが有益であるか否かを判断するにはさらなる研究が必要である、と研究者らは忠告している。

腎疾患を有する小児は頸動脈壁肥厚を有しており将来の心血管疾患予防のために積極的な観察が必要であることが強調された [2012-10-02]
Children with kidney disease have abnormally thick carotid arteries highlighting need for aggressive monitoring to prevent later cardiovascular disease

Clinical Journal of the American Society of Nephrology印刷版に先立ちオンラインで掲載されたあるスタディの結果、軽症から中等度の腎疾患を有する小児において、通常は高コレステロールや未治療の高血圧を有する高齢者に認められる頸動脈内膜中膜肥厚(cIMT)が見られることが明らかにされた。この結果は、この疾患の過程において、これまで考えられていたよりもはるかに早期に重篤な血管損傷が生じることを示している。腎疾患を有する小児(2〜18歳)101人と健康な小児97人を比較したこの多施設スタディにおいて、腎疾患患者の87%が高血圧を、55%が高コレステロールを有していた。彼等の4分の1は過剰体重または肥満であった。超音波検査の結果、腎疾患を有する小児は腎疾患を有さない小児よりも頸動脈壁厚が約0.02mm厚かったが、何人かの小児は健康な対照よりも0.06mm厚かった。高血圧を有する小児は平均0.04mm厚く、高い中性脂肪値を有する小児は0.05mm厚かった。研究者らは、例え早期段階の腎疾患患者でも積極的に観察を行い、高血圧や高コレステロールを迅速に治療し重篤な合併症リスクを軽減すべきである、と述べている。

抗酸化物質の総量の多い食事は女性において心筋梗塞リスクを低下させる [2012-10-02]
Diet high in total antioxidants associated with lower risk of myocardial infarction in women

全ての食事由来抗酸化物質と心筋梗塞(MI)との関連を観察した初めてのスタディの結果、女性において特に果物や野菜由来の抗酸化物質の豊富な食事はMIリスクを軽減し得ることが示された。研究者らは、49〜83歳のスウェーデン人女性32,561人を1997年9月から2007年12月まで追跡した。女性らは、タイプ別の食品または飲料の前年における平均摂取頻度を尋ねた食品頻度アンケートに回答した。研究者らは、米国におけるほとんどの一般的な食品の活性酸素吸収能力(ORAC)を計測するデータベース(スウェーデンに存在する食品のデータベースと同等ではない)から推定総抗酸化能を計算した。女性らは食品の総抗酸化能から5グループに層別化された。スタディ期間中に、1,114人がMIを発症した。総抗酸化能が最大であった群の女性は最小であった女性よりもリスクが20%低く、果物や野菜の1日摂取量は7皿であり、2.4皿であった最小の女性の3倍近かった。このスタディ結果はAmerican Journal of Medicine 10月号に掲載される。