動脈硬化に関して卵黄摂取は喫煙とほぼ同程度に悪い [2012-08-28]
Egg yolk consumption almost as bad as smoking when it comes to atherosclerosis
Atherosclerosisオンライン版に掲載されたスタディの結果、卵黄を摂取することにより喫煙と同様に動脈硬化を進行させることが示された。1,200人を超える患者を調査した結果、卵黄の定期的な摂取は、脳卒中や心筋梗塞のリスクファクターである頸動脈プラークの蓄積増加に関して喫煙の約3分の2程度悪いことが示された。研究者らは1,231人の男女(平均年齢61.5歳)のデータを観察した。超音波検査を使用して総プラーク領域の計測を確定し、生活習慣や薬物、喫煙箱数-年(1日の喫煙箱数×年数)、および週に摂取する卵黄数×摂取年数(卵黄-年)に関するアンケートを行った。その結果、頸動脈プラーク領域は40歳以降直線的に増加したが、喫煙箱-年および摂取卵黄数-年に伴い指数関数的に増加した。つまり、年齢と比較し、喫煙および卵黄摂取は動脈硬化を加速した。このスタディの結果、週3個以上の卵黄を摂取する人は2個以下の人よりもプラーク領域が有意に多いことも示された。
乾癬に対し腫瘍壊死因子阻害薬治療を受けている患者は他の治療を受けている患者よりも心筋梗塞のリスクが低い [2012-08-28]
Patients treated with tumor necrosis factor for psoriasis have lower risk of myocardial infarction than those on other treatments
乾癬に対する腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬は他の型の治療と比較し心筋梗塞(MI)リスクを有意に低下させるとの報告がArchives of Dermatologyオンライン版に掲載された。研究者らは乾癬または乾癬性関節炎と診断され、MIの既往のない2004年1月から2010年11月までの患者に対する後ろ向きスタディを施行した。スタディに組み込まれた8,845人中5,075人(57.4%)はどんな全身的な治療や光線療法も施行されておらず(局所治療群)、1,673人(18.9%)はTNF阻害薬を連続2か月以上受けており(TNF治療群)2,097人(23.7%)は経口全身治療薬または光線療法を受けていた(経口/光線療法治療群)。他のMIリスクファクターで補正した結果、TNF阻害薬治療群患者および経口/光線治療群患者は局所治療群と比較しMIリスクが有意に低かった(それぞれ50%および46%)。TNF阻害薬群と経口/光線療法群との差は統計学的有意には届かなかった。
心血管疾患リスクは血液型がA、B、またはAB型の人において高い [2012-08-21]
Risk of cardiovascular disease is higher in people with A, B, or AB blood type
血液型がA、B、またはAB型の人はO型の人と比較し冠動脈疾患リスクが高いとの新たな研究結果がArteriosclerosis, Thrombosis and Vascular Biologyに掲載された。このスタディの中のAB型の人は心血管疾患リスクが最も高く23%であった。B型ではリスクが11%高く、A型では5%高かった。この結果は成人を20年以上追跡した2つの大規模スタディに基づくものである。スタディでは血液型の背後にある生物学的過程および冠動脈疾患リスクは評価していない。しかし、A型は低密度リポ蛋白コレステロール高レベルと関連があり、AB型は炎症と関連があることを示唆するエビデンスがある。血液型を理解することにより、医療従事者がよりよいテイラーメイド治療を提供するのに役立つ可能性がある、と筆者らは述べている。このスタディ群は主に白人であり、今回の結果が他の人種においても当てはめられるか否かは明らかではない。
余暇時間に定期的な運動を行う中年成人は炎症マーカーが低いことによる恩恵を被る可能性がある [2012-08-21]
Middle-aged adults who regularly engage in leisure-time physical activity may benefit from lower markers of inflammation
余暇時間の定期的な運動を10年以上行っている中年成人は心血管系の健康が増強する可能性があるとの研究結果がCirculationに掲載された。ある新たなスタディにおいて4,200人を超える人々(平均年齢49歳)が、余暇時間の早歩き、精力的なガーデニング、サイクリング、スポーツ、ハウスワークおよび家の補修などの身体活動の持続時間や頻度を報告した。1991〜1993年のベースライン時の評価ではC反応性蛋白(CRP)とインターロイキン-6(IL-6)の2つの重要な炎症マーカーが解析された。約11年後の1997〜1999年に身体活動および炎症マーカーが再び評価された。その結果、ベースライン時に身体的に活動的な参加者はCRPおよびIL-6レベルが低かった。10年間の経過観察中に身体活動ガイドラインをほとんど遵守しなかった参加者と比較し、この差は時間がたっても維持された。全体で心血管系の健康のための標準的な身体活動勧告(中等度から強度の身体活動を週2.5時間)に合致した参加者は49.1%であった。その後のスタディではこの割合は83%に達した。非活動的から活動的に変化した者は経過観察時点で炎症マーカーが低下していた。
ICDを植え込まれている患者において心室細動により引き起こされる心停止が大きく減少した [2012-08-14]
Large decrease in cardiac arrests caused by ventricular fibrillation in patients with ICDs

植込み型除細動器(ICDs)は心室細動(VF)により引き起こされる心停止を3分の1減少させると推定されるとのスタディ結果がCirculationに掲載された。研究者らは、1995〜1997年により広範なアムステルダム地域で救急医療サービス(EMS)により施行された心臓蘇生および2005〜2008年のこの地域でのEMS心臓停止介入に関するアムステルダム蘇生スタディ(Amsterdam Resuscitation Studies)レジストリのデータを用いた。EMS到着時にVFであることがわかっていた人々に焦点を当てたところ、166人において生命を脅かす異常心調律194例を339回の電気ショックにより停止させることに成功したと推定された。VF心停止患者の割合は1995〜1997年の63%から2005〜2008年の47%に低下した。年間VF心停止発現率は年間100,000人当たり21.1人から100,000人当たり17.4人に有意に低下した。研究者らは、スタディ期間中にICDが81件の心停止を防止したと推定している。他の異常心調律に関連した心停止発現率は年間100,000人当たり12.2件から100,000人当たり19.4件に増加している。VF心停止が3分の2に低下した理由および他の異常心調律による心停止が増加した理由は不明である。

診断の困難な感染性心内膜炎症例はSPECT/CT造影剤を使用することにより解決する [2012-08-14]
Difficult to diagnose cases of infectious endocarditis solved with SPECT/CT imaging agent

機能的画像法を標準的な診断法と組み合わせることにより感染性心内膜炎の誤診症例が減少する。The Journal of Nuclear Medicine 8月号に掲載された新たな研究結果によると、99mTc-ヘキサメチルプロピレンアミンオキシムでラベルされた白血球(99mTc-HMPAO-WBC )を用いた単一光子放射型コンピュータ断層法(SPECT)/コンピュータ断層法(CT)により診断の困難な感染性心内膜炎症例の診断が改善し得る。研究者らは感染性心内膜炎を疑われた連続131人の患者に99mTc-HMPAO-WBC SPECT/CTスキャンを施行した。スキャンの結果は標準的な感染性心内膜炎の診断法―経胸壁または経食道心エコー検査、血液培養および分類として推奨されているモディファイドDuke Endocarditis Serviceクライテリアと比較された。131人中97人が感染を示唆する取り込みを有していた。99mTc-HMPAO-WBC SPECT/CTスキャンの真陽性は51人中46人であり、偽陽性は51人中5人であった(感度90%、陰性的中率94%および特異度と陽性的中率100%)。さらに、41%の患者において敗血症性塞栓が検出された。99mTc-HMPAO-WBC SPECT/CTスキャンの結果と心エコー検査陽性または血液培養陽性を伴った場合に、感染性心内膜炎診断未確定となることはなかった。

地域システムが心停止後ケアを改善したことにより突然心停止後に神経学的障害を残さない患者が増加した [2012-08-07]
More people survived sudden cardiac arrest without neurological impairment after a regional system improved post-arrest care

日本の会津地方において新たな地域システム導入後に突然心停止後生存者の神経学的障害が減少したとの研究結果がCirculationに掲載された。2009年に会津地方では、蘇生後の患者を高度医療に特化した病院に直接搬送したり、有効な心拍が再開した後に遠隔病院から専門病院へと搬送する救急医療サービス(EMS)を含む先進心停止後ケアシステムを確立した。先進医療とは低体温療法、適切な補液、心血管系薬物、呼吸管理および経皮的冠動脈インターベンションなどである。参加者には心停止患者1,482人(男性58%、平均年齢76歳)が含まれた。この地域システムが導入された前後の心停止患者のデータを比較したところ、生存して退院したのは2.3%から4.2%へと有意に改善した。1か月後に神経学的状況が良好であった患者は導入後で51%であったのに対し、導入前では19%であった。導入後には心拍が再開した患者のうち76%が低体温療法を施行されたのに対し、導入前では11%であった。集中治療室の患者全員が先進の血行動態監視システムを用いて血行動態を適切に管理されたのに対し、導入前ではこれを受けた患者はゼロであった。

CT灌流画像は血管内治療に適した患者を選択するのに有用な方法である [2012-08-07]
CT perfusion imaging is useful tool to select patients for endovascular stroke treatment
虚血性脳卒中で来院した患者に対して、ほとんどの血管内治療専門家が考えている8時間を超えても血管内または非侵襲治療に成功する可能性があるとの研究結果が第9回Society of Neurointerventional Surgery学会で発表された。この多施設スタディでは、血管内治療に際し発症時刻に関係なくコンピュータ断層撮影(CT)を使用して血管内治療患者を選択した結果について評価した。発症から治療開始までの平均時間は8時間であり、8時間未満で治療された患者の平均は4.8時間であり、8時間を超えて治療された患者の平均は16.4時間であった。灌流画像を使用された患者247人中42.5%は90日後のmodified Rankin Scaleスコアが0〜2%で、8時間以内の血管内治療を評価した他の全ての主要なトライアルの結果と同等であった。特に今回の最新のスタディでは8時間以内に治療された患者(42.8%)と8時間を超えた後に治療された患者(41.9%)とで有意差がないことが示された。さらに、76%の患者において治療直後に血流再開が達成されており、成功率は8時間以内に治療された患者(71.7%)において8時間を超えた後に治療された患者(81.1%)より高かった。