ウエストが細く標準体重であると通常は健康上の予後が良好であるが、心不全患者においては必ずしもそうではないとのスタディ結果がAmerican Journal of Cardiologyオンライン版7月1日号に掲載された。研究者らは進行心不全患者2,718人のボディーマスインデックス(BMI)を心不全治療開始時に計測し、469人に関しては治療開始時にウエスト周囲径を計測し評価を行った。2年後の経過観察で、男性ではウエスト周囲径が大きいこととBMIが大きいことは死亡や心移植、または心室補助装置挿入などの予後不良因子イベントのない生存期間と関連があった。BMIの大きい女性においても標準体重の対照よりも予後が良好であり、ウエスト周囲径の大きい女性では予後が良好な傾向にあった。BMIが標準であるとBMIが大きいことよりも、男女とも予後が有意に不良であった(リスク上昇が男性では34%、女性では38%であった)。ウエスト周囲径が標準であると男女とも予後不良リスクが上昇し、男性では2倍、女性では3倍であった。
Restorative Neurology and Neuroscience 7月号に掲載されたスタディにおいて研究者らは、弱電流を脳の病的領域に流す経頭蓋直流刺激(tDCS)により脳卒中後嚥下障害の嚥下療法の効果を増強できることを示した。急性脳卒中後嚥下障害の患者16人に30分の嚥下治療を10回施行し、治療群またはコントロール群に無作為に割り付けた。治療群においては治療の最初20分間はtDCSを施行されその後10分間は嚥下のみのトレーニングを続けて行われた。コントロール群では直流電流を漸減し30秒後に電源を切られた。治療直後の評価では、嚥下障害は全ての患者において改善しており2群間に大きな差はなかった。しかし3か月の経過観察後、治療群においてはコントロール群よりも有意に改善が大であった。tDCSは病側大脳半球のみに施行されたが、PET画像の結果、異常のない大脳半球において糖代謝が増加しており、tDCSは電気刺激を与えられた領域のみではなく嚥下障害の回復に関与する大脳皮質ネットワークの広い領域を活性化させる可能性があることが示唆された。