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心室内刺激電動の遅い男性において心臓突然死率が高い [2012-05-29] |
Sudden cardiac death rates higher in men with slower electrical impulses through ventricles |
ECG上QRS時間の長い男性は心臓突然死(SCD)リスクが高いとの研究結果がCirculationに掲載された。この前向きスタディにおいて、研究者らは42〜60歳のフィンランド人男性2,049人を組み入れ19年間追跡した。彼らはECG記録、心臓リスクファクター、スタディ期間中に発症した心疾患、死亡の有無、および死因について評価した。その後彼らは男性をQRS時間に基づき5群に分類した。SCDは156例であり、冠動脈疾患による突然死でない死亡は185例であった。QRS時間が10ミリ秒(ms)増加するごとに、SCDリスクは27%上昇した。年齢、過去の心臓発作、血圧、2型糖尿病および運動レベルなどの因子で補正した結果、QRS時間が110msより長い男性はQRS時間が96ms未満の男性よりもSCDリスクが150%(2.5倍)高かった。QRS時間は喫煙、運動不足、収縮期高血圧、ボディーマスインデックスおよびC反応性蛋白よりもSCD高リスクを示した。心筋梗塞既往および2型糖尿病のみがQRS延長よりもSCDリスクを上昇させた。 |
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狩猟採集および園芸作物による特異的な生活習慣因子は高血圧や動脈硬化リスクが低いことと関連する [2012-05-29] |
Lifestyle factors specific to hunters-gatherers and horticulturalists linked to lower hypertension and atherosclerosis risks |
狩猟採取および園芸作物により自給自足の生活を送る者は、加齢による高血圧率が低く動脈硬化リスクが低いとの2つのスタディ結果がHypertension誌に掲載された。研究者らは、ボリビアアマゾン川流域の熱帯性低地にある82のTsimane村の成人先住民2,296人を追跡調査した。Tsimane(人口11,000人以下)では、バナナ、米、トウモロコシ、キャッサバ、魚および狩猟した猟獣を糧に生活している。Tsimaneの女性の収縮期血圧および拡張期血圧は10年ごとにそれぞれ2.86mmHgおよび0.95mmHg上昇した。Tsimaneの男性においては10年ごとに収縮期血圧および拡張期血圧が0.91mmHgおよび0.02mmHg上昇した。Tsimaneの成人約3%が高血圧を有しているが、米国の成人におけるその割合は33.5%であった。もう1つの小規模スタディでは、研究者らは、伝統的な生活を送るピグミー族−赤道直下の森林地帯カメルーンに住む−と2つの隣接地域群(半都市化したピグミー族およびBantouとして知られる農耕民)の動脈硬化リスクを比較した。動脈硬化リスクは伝統的なピグミー族において他の2つの隣接地域群よりも約20%低かった。 |
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RAAFT 2 trial:高周波アブレーションは心房細動のファーストライン治療として優れている [2012-05-22] |
RAAFT 2 trial: Radiofrequency ablation shows superior results as first-line therapy for atrial fibrillation |
世界中の症候性心房細動(AF)患者127人を対象としたlate-breaking clinical trialの結果、高周波アブレーションを用いた肺静脈隔離術(PVI)は安全であり抗不整脈薬(AAD)による現在のファーストライン治療よりも有意に優れていることが示された、と第33回Heart Rhythm Society学会で報告された。主要有効性アウトカムは心電図(ECG)で記録されたAFの初回再発までの時間であったため、AF再発患者の割合が高いほど予後は不良であることになる。AAD群患者では72%が主要有効性アウトカムに達し、一方PVIアブレーション群では55%であった―アブレーションを受けた患者では初回AFエピソードまでの時間において約20%の絶対的減少を示した。全体で、高周波PVIアブレーションは、発作性AF患者の症候性及び無症候性AF、心房粗動および心房頻拍の初回再発までの時間延長においてリスクを50%近く軽減した。二次アウトカムもまたPVIアブレーション群においてAAD群よりも良好であった。AAD群患者の20%が重篤な合併症を発現したのに対しPVI群では8%であった。いずれの群でも死亡は報告されなかった。 |
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PAREPETスタディ:突然の心停止に対する新たな画像診断により植込み型除細動器が有益な患者をより適切に検出できる可能性がある [2012-05-22] |
PAREPET study: Novel imaging for sudden cardiac arrest could better identify patients who would benefit from implantable cardiac defibrillators |
心臓内の神経機能低下を画像化することにより突然の心停止リスクが最も高い患者および植込み型除細動器(ICD)が最も有益であろう患者を検出できる可能性があるとのlate breaking clinical trialの結果が第33回Heart Rhythm Society学会で発表された。PAREPETスタディ(Prediction of Arrhythmic Events with Positron Emission Tomography[ポジトロン断層撮影を用いた不整脈イベント予測]スタディ)は、Western New Yorkの進行心疾患患者204人を対象とした。研究者らはPET画像を用いて除神経心筋量を定量化した。これは、心臓神経から放出される神経伝達物質であるノルエピネフリンの放射性トレーサーを心臓が取り込む能力を、サイクロトロン発生放射性医薬品11C-ヒドロキシエフェドリンを用いて画像化することにより成し遂げられた。少なくとも心臓の38%が除神経されると、突然の心停止リスクは有意に上昇した。心停止を来した患者の多くは心機能の重度の低下は来していないため、PET画像は将来ICD埋め込みを考慮される可能性のある高リスク患者を見極めることができる可能性があると筆者らは述べている。PAREPETスタディは突然の心停止に関して行われたPET画像スタディとして最大のものである。 |
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幹線道路への長期間曝露は心筋梗塞後死亡リスク増加と関連がある [2012-05-15] |
Long-term exposure to roadways is associated with increased risk for death following a myocardial infarction |
米国では幹線道路から100メートル以内に居住する心筋梗塞(MI)既往者は総死亡リスクの増加に直面している、との新たな研究結果がCirculationに掲載された。Determinants of MI Onset(MI発症の決定因子)スタディの10年間において、1,071人が死亡した:死亡原因は心血管系が672人(63%)、がんは131人(12%)、呼吸器疾患は45人(4%)であった。MI既往者3,547人(平均年齢62歳)のうち、幹線道路から100メートル(328フィート)以内に居住する人々は1,000メートル(3,280フィート)以上 離れたところに居住する人々よりも10年間の死亡率が27%高かった。道路から100〜199メートル(328〜653フィート)に住む人々は死亡リスクが19%高かった。道路から200〜999メートル(653〜3,277フィート)に住む人々は死亡リスクが13%高かった。これらの幹線道路近辺の大気汚染および騒音や道路近くに住むことによるストレスなどの他の因子が組み合わさって今回の結果をもたらしているのであろう、と筆者らは述べている。 |
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抑制的な性格を有する人々は植込み型除細動器挿入後の健康状態が不良である [2012-05-15] |
People with a distressed personality have poorer health after insertion of an implantable cardioverter defibrillator |
抑制的な(タイプD)性格を有する人々は他の人々と比較し、植込み型除細動器(ICD)挿入後の健康状態が不良であるとの新たな研究結果がCirculation: Cardiovascular Quality and Outcomesに掲載された。383人(男性79%)の患者が参加したオランダのスタディにおいて、参加者は健康状態を評価する質問に回答しタイプD性格を有しているかの判定がなされた。"タイプD"性格特性を有する患者はネガティブな感情をより多く有しがちだが、拒絶されることを恐れるためにそれを他人と共有しない傾向にある。参加した患者の約24%がタイプD性格を有し、14%が1年以内に電気ショックを経験した。1年以内にデバイスが電気ショックを行い心調律が正常に復したICD患者全てが健康状態の不調を訴えた。1年以内に電気ショックを経験した患者は、電気ショックを経験しなかった患者よりも身体および精神の健康スコアを3〜13ポイント低く評価した。また、タイプD 特性の患者は他の人々よりも2〜8点低く評価した。タイプD性格を有し電気ショックを受けた患者は、他の患者と比較し最大30点低く評価した。 |
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冠動脈石灰化リスクは大気汚染の少ない都市部や地方よりも都心住民において高い [2012-05-08] |
Risk of coronary artery calcification higher for city center residents than those in less polluted urban and rural areas |
都心住民は大気汚染の少ない都市部や地方の住民よりも冠動脈石灰化(CAC)リスクがほぼ2倍高いとの研究結果がJournal of Internal Medicine 5月号に掲載された。研究者らは50〜60歳の1,225人(男性47%、女性53%)を調査した。5人に1人は都心住民であった。大気汚染レベルは都心で都市部よりも約3倍高く、地方よりも約7倍高かった。CACは都市部や地方住民よりも都心住民においてより多く認められた(男性69%対56%、女性42%対30%、50歳48%対32%、60歳61%対53%)。都心住民はCACを発症する確率が80%高く、男性は女性よりも3倍高かった。60歳では50歳に比べCAC発症率が約2倍であり、非喫煙者に比べ喫煙者で、糖尿病を有さない者に比べ有するもので、それぞれCAC発症率が2倍であった。高コレステロール血症、高血圧および心血管疾患の家族歴もリスクファクターであった。 |
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先天性心疾患修復手術中の新たなモニター法により脳傷害が検出できる可能性がある [2012-05-08] |
New monitoring methods may detect brain damage during surgical repair of congenital heart defects |
2つの新たなモニター方法により先天性心疾患修復手術施行中の幼児および小児の脳傷害を検出できる可能性がある、との研究結果がAmerican Heart Association's Emerging Science Seriesオンラインセミナーで発表された。1つ目は、オートレギュレーションモニターと呼ばれる方法で、脳への血流が少ない可能性のある期間を非侵襲的に判定できる。2つ目の方法は、脳傷害の指標であるグリア線維酸性蛋白質(GFAP)の血液レベルと血圧を比較した。心臓修復手術を施行された61人の小児(生後1週間から17年)のうち、85%において血圧オートレギュレーション低値限界(LLA)を確認し得ることおよび患者により差が大きいことが示された。術中に小児の心肺機能が心肺バイパスに取って代わられるとヘモグロビン容積インデックスおよびGFAPが異常値となり、再加温中には最低値となり最もリスクが高い期間であることが示された。LLA以下の時間が長いとGFAPが増加し、血流オートレギュレーション低下期間と脳血流低下および脳傷害との関連が示唆された。これら2つの技術は将来の脳傷害予防戦略を導く可能性がある。 |
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脈圧上昇は高齢アルツハイマー病患者の脳血管疾患リスクと関連がある [2012-05-01] |
Elevated pulse pressure linked to risk of cerebrovascular disease in older patients with Alzheimer's disease |
脈圧(PP)上昇は高齢アルツハイマー病(AD)患者において脳血管疾患(CVD)のリスクを上昇させる可能性があるとのスタディ結果がJournal of Alzheimer's Diseaseプリント版6月5日号に先立ちオンライン版に掲載された。研究者らは、後に検死でADのクライテリアに合致した患者65人を調査した。これらの患者は死亡前に血圧と神経病理学的マーカーとの関連について調べられていた。彼らの半数以上がCVDを有することが検死で明らかにされた。PPとCVDとの関連は認知症の重症度および他の血管リスクファクターの有無とは関連がなかった。興味深いことに、標準的な血圧測定値はCVDの有無とは有意に相関しなかった。今回のスタディの結果いくつかの結論が示唆された:高齢AD患者における血圧上昇はCVDと関連があるが、ADの病因とは関連がない;CVDは収縮期および拡張期血圧よりもPPと密接に関連する;しかも、AD患者においてはPP上昇がCVDの影響を介して認知機能に影響している可能性がある。筆者らは、血圧の拍動成分を標的とした降圧療法により、AD患者またはADリスクを有する者の認知機能障害への血管の影響を軽減することができる可能性がある、と述べている。 |
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植込み型心臓デバイスによる感染性心内膜炎は弁感染、心不全、菌血症および死亡と関連がある [2012-05-01] |
Infective endocarditis involving implantable cardiac devices associated with valve infections, heart failure, bacteremia and death |
植込み型心臓デバイス(ICD)による感染性心内膜炎の患者は弁感染、心不全、および難治性の菌血症などの合併症率が高く、特に弁に感染が及ぶと院内および1年死亡率が高いとのスタディ結果がJAMA 4月25日号に掲載された。感染性心内膜炎患者計2,760人(男性74.0%、年齢中央値71歳)のコホートにおいて心臓デバイス感染性心内膜炎(CDIE)は177人に認められ、うち152人(85.9%)は恒久的ペースメーカー、21人(11.9%)はICD、4人(2.3%)は特定されないデバイスを植え込まれていた。血液培養は149人(84.2%)において陽性であり、検出菌はブドウ球菌が多かった。CDIE患者のうちデバイスを除去された141人中18人(12.8%)およびデバイスを除去されなかった34人中8人(23.5%)の計26人(14.7%)が入院中に死亡した。1年後に15人が死亡しており、10人は追跡できなくなっていた。組み入れられたCDIE患者177人中126人(71.2%)が1年後に生存しており41人(23.2%)は死亡した。弁感染の合併は66人(37.3%)に認められた。他の合併症は心不全(15.3%)および難治性の菌血症(15.8%)であった。 |
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