INFUSE AMI:Abciximabボーラス単回投与は前壁STEMIに対しPCIを施行された患者の心筋障害サイズ軽減に役立つ可能性がある [2012-03-27]
INFUSE AMI: A bolus dose of abciximab may help reduce size of heart damage in patients undergoing PCI for anterior STEMI
STEMIに対し経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行される患者に抗凝固薬abciximabをボーラス単回投与することにより30日後の梗塞サイズが減少したとのスタディ結果が2012年American College of Cardiology学会で発表され、同時にJAMAオンライン版に掲載された。INFUSE AMIスタディは左冠動脈近位部または中部の閉塞によるSTEMI発症後4時間以内に来院しプライマリPCIを抗凝固薬bivalirudinを用いて施行された患者452人を対象とした。患者らはボーラスでの梗塞領域冠動脈内abciximab局所投与またはabciximab非投与および手動での血栓吸引施行群または血栓吸引非施行群に無作為に割り付けられた。梗塞サイズは心臓磁気共鳴画像を用いて30日後に評価した。冠動脈内abciximab投与群に割り付けられた患者においてはabciximab非投与患者と比較し、総心筋量に対するパーセンテージとして計測された梗塞サイズ(中央値15.1%対17.9%)および絶対梗塞量(中央値18.7g対24.0g)が有意に小さかったが、異常壁運動スコアはそうではなかった。血栓吸引術施行群に割り付けられた患者は血栓吸引を施行されなかった患者と比較し、梗塞サイズ(中央値17.0%対17.3%)、絶対梗塞量(中央値20.3g対21.0g)、および異常壁運動スコアに有意差はなかった。
FOCUS Trial:骨髄を用いた虚血性心不全の治療はある心機能計測値を改善しなかった [2012-03-27]
FOCUS Trial: Treatment for chronic ischemic heart failure with bone marrow cells does not show improvement for certain heart function measures
患者の骨髄を用いた慢性虚血性心不全の治療は心機能計測値のほとんどを改善しなかったとのスタディ結果が2012年American College of Cardiology学会で発表され、同時にJAMAオンライン版に掲載された。FOCUSトライアルにおいて研究者らは、5つの米国内心、肺、および血液施設-スポンサーのついた心臓血管細胞療法研究 ネットワーク施設において、慢性虚血性心疾患および左室機能低下を伴う心不全かつ/または狭心症を有し最大限の薬物療法を受けている患者に対し、経心内膜自家骨髄単核球細胞(BMCs)投与の効果を評価するスタディを施行した。患者はBMCsまたはプラセボの経心内膜注入を受ける群に無作為に割り付けられた。データ解析の結果、左室収縮末期容積指数、最大酸素摂取量、および可逆的欠損(reversible defect)の変化から成るエンドポイントは両群間で統計学的な有意差がないことが示された。パーセント心筋欠損、総欠損サイズ、固定性欠損サイズ、局所壁運動、および臨床上の改善などの二次エンドポイントのいずれにおいても差がなかった。左室駆出率を評価した検査分析では、62歳以下の患者においては統計学的に有意な治療効果が認められた。
加糖飲料を摂取する男性においては心血管疾患リスクおよびそれに関連したバイオマーカーが上昇している [2012-03-20]
Risk of cardiovascular disease and related biomarkers increases in men who drink sugar-sweetened beverages
加糖飲料を1日に12オンス摂取する男性は加糖飲料を摂取しない男性と比較し心血管疾患(CVD)リスクが20%高かったとCirculationにおいて報告された。研究者らはHealth Professionals Follow-Up Studyの対象男性42,883人(主に白人男性、40〜74歳)を調査した。1986年1月に開始され、2008年12月まで2年ごとに、参加者は食事および他の健康上の習慣に関してのアンケートに回答した。経過観察期間の途中で、血液サンプルが提供された。経過観察期間は22年であった。CVDリスクは、喫煙、運動不足、飲酒および心疾患家族歴などのリスクファクターで補正してもなお上昇していた。摂取頻度が低い―週2回および月2回―場合はリスクを上昇させなかった。研究者らはC反応性蛋白(CRP)、中性脂肪および高密度リポ蛋白(HDL)も計測した。加糖飲料を摂取しない者と比較し、加糖飲料を毎日摂取する者は中性脂肪やCRPが高くHDLが低かった。人工甘味料を使用した飲料はリスクやこのスタディで観察したCVDバイオマーカーは上昇させなかった。
赤肉摂取により総死亡率、心血管死亡率およびがん死亡率が上昇するとのエビデンスがさらに追加された [2012-03-20]
More evidence that consuming red meat increases risk of total, cardiovascular, and cancer mortality
Archives of Internal Medicine 2012年3月12日号に掲載された新たなスタディの結果、赤肉摂取は総死亡率、心血管死亡率、およびがん死亡率を上昇させることが示された。研究者らは、ベースライン時点で心血管疾患およびがんを有さないHealth Professionals Follow-up Studyの対象男性37,698人およびNurses' Health Studyの対象女性83,644人をそれぞれ最長22年間と28年間前向きに観察した。1日1人前の非加工赤肉(トランプカード1組の大きさ)摂取により死亡リスクが13%上昇し、1日1人前の加工赤肉(ホットドッグ1個またはベーコン2枚)摂取によりリスクが20%上昇した。1人前の赤肉を1人前の健康的な蛋白源に変更することにより、死亡リスクは低下した(魚で7%、家禽肉で14%、ナッツで19%、豆類で10%、低脂肪乳製品で10%、全粒粉で10%)。参加者全員が1日の赤肉摂取量を0.5 人前未満にすることで、追跡期間終了までに男性の9.3%および女性の7.6%の死亡が予防できたと筆者らは推定している。
家禽のモモ肉や一部の魚介類に含まれる栄養素は一部の女性において冠動脈疾患を予防する [2012-03-13]
Nutrient found in dark meat of poultry and some seafood protects some women from coronary heart disease
家禽のモモ肉に含まれる栄養素は高コレステロールの女性の冠動脈疾患(CHD)を予防する可能性があるとのスタディ結果がEuropean Journal of Nutritionオンライン版に掲載された。研究者らは、一部の魚介類や七面鳥および鶏肉のモモ肉に自然に含まれる栄養素であるタウリンのCHDに対する効果を評価した。彼らは、CHDを発症したかCHDで死亡した女性223人から1985年−疾患発症前−に採取した血清中のタウリンを計測し、同時に心血管疾患の既往のない参加者ら223人の血清中のタウリンレベルも計測した。比較の結果、全体では血清タウリンレベルはCHDの予防効果はないことが示された。しかし、今回のスタディにおいて、高コレステロールの女性では血清タウリンレベルが高いと血清タウリンレベルが低い女性と比較し、CHD発症またはCHDによる死亡の確率が60%低かった。コレステロールレベルが低い女性では同様の関係は認められなかった。今後のスタディで同様の結果が認められれば、将来的にCHDリスクの高い高コレステロール血症の女性に対しタウリン補充や食事の勧告が考慮される可能性がある。

心房細動と認知症リスク上昇との関連が、たとえ脳卒中の既往がなくとも強力に認められる [2012-03-13]

Strong association found between atrial fibrillation and an increased risk of dementia even in patients who have not suffered a stroke
心房細動(AF)と認知症リスク上昇との強力な相関関係が認められるとのスタディ結果がCanadian Medical Association Journal(CMAJ)最新版に掲載された。脳卒中既往者においてAFが認知症のリスクを上昇させることは知られているが、今回の新たなスタディの結果、この関係が脳卒中の既往のないAF患者においても明らかであることが示された。研究者らは、40か国733施設の患者31,546人を対象とした2つのランダム化コントロールトライアルであるONTARGET およびTRANSCENDトライアルの結果を調査した。参加者は心血管疾患または糖尿病、およびこれらの疾患による何らかの臓器損傷を有する55歳以上の患者であった。彼らは初診時、2年後および最終受診時の認知機能を評価した。注意力、計算・記憶・物の名前を言うこと・ 復唱・読解の能力を評価するために、MMSE検査(mini-mental state examination)を用いて認知機能低下、認知症または機能低下の発症を計測した。MMSEスコアの3点以上の低下、認知症、長期療養型施設への入所および日常生活動作実行の独立性の欠如の合計アウトカムは、心房細動を有さない者の26%に認められたのに対し心房細動患者では34%に認められた。

明らかに健康な人が重篤な不整脈疾患により心臓突然死を来たすリスクが同定された [2012-03-06]

Researchers identify risk of sudden cardiac death due to severe heart rhythm disturbances in apparently healthy individuals
1811年まで遡り家系図を再構築したことにより、オランダの研究者らが家族性不整脈疾患の人々の心臓突然死のリスクを推定したとのスタディ結果がCirculation: Cardiovascular Geneticsに掲載された。オランダの公文書を用いて研究者らは異なる疾患を有する患者の家系図を再構築し、不整脈に関連した変異を有する266人、変異を有する確率を50%有する家族904人、および一般の人々の死亡統計を比較した。QT延長症候群では、死亡リスクが小児期(1〜19歳)の間を通して高かったが、ある変異(LQTS1)では特に生後10年の死亡リスクが高かった。他の2つの変異(LQTS2 および LQTS3)に関しては、10歳代または成人までは死亡リスクが有意に上昇しなかった。SCN5a-オーバーラップ症候群に関しては、死亡が5歳から増加し10〜59歳の間は有意なリスクとなり、ピークは20〜39歳であった。カテコールアミン誘発性多形性心室頻拍に関しては、死亡リスクが20〜39歳で最多であった。Brugada症候群においては、過剰な死亡が40〜59歳の主に男性において認められた。医師はこれらの症候群を有する患者およびその血縁者に対してスクリーニングおよび治療する時期を決定するのにこの情報を使用できる。

糖尿病を10年以上患っている患者は脳卒中リスクが3倍高い [2012-03-06]

Three-fold increased risk of stroke in people with diabetes for 10 or more years
糖尿病罹病歴が長いほど脳卒中リスクが上昇するとのスタディ結果がAmerican Heart Association学会誌Strokeに掲載された。過去の研究では女性における糖尿病と脳卒中との関連を調査したが、今回のスタディは、男性と女性で糖尿病を有する期間が虚血性脳卒中リスクに影響を与えるかどうかを調査した初めてのものである。北マンハッタンスタディNorthern Manhattan Study(NOMAS)の一部として、研究者らは脳卒中の既往のない3,298人(平均年齢69歳)を追跡した。参加者の22%近くがスタディ開始時点で2型糖尿病を有していた。平均9年間の追跡調査の結果、さらに10%の人々が糖尿病を発症した。年齢、喫煙歴、身体活動量、心疾患既往歴、血圧およびコレステロールなどの他の因子を考慮した結果、脳卒中のリスクは、糖尿病を有さない人と比較し、糖尿病歴が5年未満の者で70%、5〜10年の者で80%、10年以上の者で3倍上昇することが示された。筆者らは、健康的な生活を遵守し糖尿病の発症を予防したりまたは遅延させたりすることは脳卒中リスク軽減に役立つであろうと述べている。