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スタディの結果、脳卒中後のせん妄は入院患者の予後不良と関連のあることが明らかにされた [2012-01-31] |
Study finds delirium after stroke linked to poorer outcomes for hospitalized patients |
せん妄は脳卒中発症後早期の患者の30%に発症し予後不良と関連しているとの新たなメタ解析の結果がStrokeに掲載された。せん妄を有する急性脳卒中患者における4つの一般的な予後―入院中および12か月間の死亡率、入院期間および退院後管理の手配―に関するこの初めての系統的解析において、研究者らは10のスタディを解析した。この研究には血管閉塞または出血による脳卒中を発症して入院した患者2,000人以上を対象とした。研究者らは、ほとんどのスタディで急性脳卒中により入院した患者の10〜28%がせん妄を経験したことを見いだした。しかし、1つのスタディではせん妄の発生率は48%であった。院内死亡または入院1年以内の死亡リスクは、せん妄を有する者において4.7倍高かった。せん妄を発症した脳卒中患者は退院後に長期療養型施設への移動および入院期間が9日間長い確率が3倍であった。一般的に、せん妄を発症する脳卒中患者は高齢でありより多くの疾患を有しより大きな脳卒中であった―これらの因子により予後不良であることが説明できる可能性がある。せん妄を発見し管理することにより医療従事者らは、患者が独立して生活することをより長く維持しQOLを改善させることができる可能性がある、と筆者らは述べている。 |
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三尖弁の解剖の非侵襲的な計測により弁逆流の重症度が推定できる可能性がある [2012-01-31] |
Non-invasive measurements of tricuspid valve anatomy can predict severity of valve leakage |
Circulation: Cardiovascular Imaging 1月号に掲載された新たなスタディの結果、心臓の三尖弁の解剖が三尖弁逆流の重症度推定に使用できる可能性があることが示された。研究者らは様々な三尖弁逆流重症度の人々64人の3D心臓超音波画像を収集した。対象者は、“微量”20人、“軽度”13人、“中等度”17人および“重度”14人であった。“軽度”から“重度”の逆流では右室単独、左室単独、および両心室の拡大が混在していた。彼らは弁輪内部の面積、弁輪と右室の3つの乳頭筋との距離、および弁輪中央に対する乳頭筋の位置を計測した。また標準的な方法で肺動脈圧を計測し、カラードプラ画像を用いて“微量”から“重度”までの三尖弁逆流重症度を評価した。その結果、心室拡大を有する者とコントロールとの間で、肺動脈圧、弁輪面積および乳頭筋変位などのパラメーターに統計学的な有意差があることが示された。またこの3つの因子は全て三尖弁逆流の重症度と関連があった。 |
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正常高値血圧の健康な中年男性は後の心房細動のリスクが高い [2012-01-24] |
Healthy middle-aged men with upper-normal blood pressure at risk for atrial fibrillation later in life |
正常高値血圧の健康な中年男性は後の心房細動(AF)のリスクが高いとの新たな研究結果がHypertensionに掲載された。35年の間、研究者らは2014のデータベースの40〜59歳の健康なノルウェー人男性を追跡した。彼等は男性らのスタディ開始時の血圧を記録しAFなどの身体イベントを追跡した。スタディの7年間の追跡期間の間に270人、つまり13%がAFを発症した。スタディ開始時の収縮期血圧が140mmHg以上であった者は収縮期血圧が正常であった者と比較しAF発症リスクが60%高かった。収縮期血圧が128〜138mmHg(正常高値血圧)であった者は収縮期血圧が128mmHg未満であった者と比較し、AF発症リスクが50%高かった。スタディ開始時拡張期血圧が80mmHg以上であった者は拡張期血圧が80mmHg未満であった者よりもその後にAFを発症するリスクが79%高かった。心房細動は平均ベースラインの20年後に発症した。 |
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緩徐に消化される炭水化物を豊富に含む食物は過剰体重および肥満成人において炎症マーカーを減少させる [2012-01-24] |
A diet rich in slowly digested carbohydrates reduces markers of inflammation in overweight and obese adults |
過剰体重および肥満の男性において、全粒穀物、マメ科植物および他の高繊維食などのような緩徐に消化される炭水化物は、C反応性蛋白(CRP)を 有意に低下させたとのスタディ結果がJournal of Nutritionオンライン版でプリント版2月号に先立ち公表された。スタディ参加者(健康な男女80人、半数は標準体重であり半数は過剰体重または肥満)は、無作為の順序で2つの28日間の食餌期間―1つは典型的には精白糖、缶詰のシロップ漬けフルーツおよび精白粉などの低繊維の高血糖負荷炭水化物を特徴とし、もう1つは典型的には全粒穀物やシリアルなどの高繊維食である低糖負荷食を特徴とした―を終了した。これらの2種類の食事の炭水化物含有量、カロリーおよび微量元素は同等であった。このコントロールランダム化スタディの結果、過剰体重および肥満の参加者においては低糖負荷食によりCRPが約22%低下し、血中の蛋白ホルモンアディポネクチンレベルが約5%上昇した。このホルモンは2型糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患および動脈硬化などの代謝性疾患において重要な役割を果たしている。この2種類の食事は糖負荷のみが異なっていたため筆者らは、この観察されたバイオマーカーの変化は食事のみによるものであろうと推定している。 |
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心血管系の健康に関しては、ビタミンDをより多く摂取すればよいというものではない [2012-01-17]
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When it comes to cardiovascular health, more Vitamin D may not necessarily be better |
新たな研究の結果、以前より骨の健康に重要であることが知られ近年心保護にも重要であるとされたビタミンDは、血中濃度が正常と考えられるレベルの下限より上昇すると心血管系の有益性の寄与は停止し実に有害ともなりうる可能性がある、とAmerican Journal of Cardiology 1月15日号に掲載された。このスタディでは血中ビタミンDレベルが上昇すると、心血管系の炎症マーカーC反応性蛋白(CRP)が低下することを示した。研究者らは15,000人あまりのデータを調査し、心血管系の症状を有さずビタミンDレベルの比較的低い成人において、ビタミンDとCRPに負の相関関係を認めることを見いだした。ビタミンDレベルの正常なあるいは正常に近い人々においてCRPレベルが低くより健康であった。しかし、25-ヒドロキシビタミンDの血中レベルが21ng/mL(ビタミンDの正常下限と考えられる)を超えると、ビタミンDレベル上昇によりCRPは上昇した。ビタミンDレベル上昇による心血管系の有益性の喪失の生物学的分子学的原因は不明である。 |
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愛する者を失った悲しみにより心筋梗塞のリスクが上昇する [2012-01-17] |
Grief over losing loved one linked to higher risk of myocardial infarction |
心筋梗塞(MI)のリスクは近しい愛する者の死後数日間および数週間の間上昇する可能性があるとの研究結果がCirculationに掲載された。多施設MI発症決定要因スタディ(the multicenter Determinants of MI Onset Study)の一部として、研究者らは、MIと確定診断され入院した患者1,985人のカルテを閲覧し問診した。患者らはMIを取り囲む環境に関して、彼らの人生において重要なだれかを近年亡くしたかどうか、その死はいつだったか、および亡くなった人との関係の重要度に関するアンケートに回答した。その後彼らは、発作の前の週に近しい物を亡くした患者の数と発作前1〜6ヵ月の人生における重要な者の死とを比較し、MI相対リスクを推定した。MIリスクは重要な人の死後初日には通常より21倍、最初の週には6倍高く、最初の月は時間とともに徐々に低下した。リスク上昇の範囲はMI高リスク患者の320人に1人から低リスク患者の1,394人に1人であることも示された。 |
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救急治療室における高感度トロポニンIアッセイ使用は心筋梗塞確定診断に役立つ可能性がある [2012-01-10] |
Use of highly sensitive troponin I assay in the emergency department may help determine diagnosis of myocardial infarction |
胸痛で救急治療室に入室した患者に対し、新たなトロポニンI値計測検査は心筋梗塞(MI)の除外に役立ち、このバイオマーカー計測値の入室後3時間の変化はMI確定診断に有用な可能性があるとのスタディ結果がJAMA 12月28日号に掲載された。研究者らは新たに開発された高感度トロポニンI(hsTnI)アッセイと従来のトロポニンI(cTnI)アッセイの診断能に加え、入室時と3および6時間後のMIの診断における一連の変化を評価した。スタディには急性冠疾患が疑われる患者1,818人が組み入れられた。急性MIの鑑別においてhsTnIおよびcTnIは、評価した他のバイオマーカーよりも優れていた。99パーセンタイルカットオフを用いると入室時hsTnIの感度は82.3%であり、陰性的中率(NPV)は94.7%であった;3時間後に計測したhsTnIの感度は98.2%でありNPVは99.4%であった。hsTnIと比較し、cTnIアッセイの感度およびNPVは同程度であった;入室時の感度は79.4%、NPVは94.0%であり、3時間後の感度は98.2%、NPVは99.4%であった。 |
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脳卒中後空間無視の早期診断により標的化した管理および治療の必要な患者が見極められる [2012-01-10] |
Early diagnosis of spatial neglect post-stroke identifies patients who need targeted management and therapy |
Archives of Physical Medicine & Rehabilitation 2012年1月号に掲載されたある脳卒中共同研究の結果、ベッドサイドの臨床評価により30〜50%の脳卒中既往者の回復を阻害する、一般的な認知機能不全障害である空間無視を検出することができることが示された。研究者らは、脳卒中既往者が脳傷害の反対側空間で発生した外的イベントを正確に報告したり反応したりできなくなる、急性空間無視の早期診断の所見を報告した。しばしば見逃される空間無視は回復を妨害する事故、転倒、安全性問題および機能不全と関連する。研究者らは、脳卒中発症後平均22.3日以内の右側脳卒中および左側無視を有する患者連続51人を調査した。各々の患者らは知覚注意 および運動意図欠損の検査値および2つのベッドサイド計測—行動性無視検査-従来法(BIT)- conventionalおよびCatherine Bergego scale(CBS)-による評価を受けた。研究者らはこれらの心理測定法評価が空間無視において特異的な運動試験(ME)不全の同定に使用できるかを確認した。つまり、CBS-MEスコアをルーチンに計測することにより空間活動不全の検出が改善し、医師が適切な処置や安全性介入を履行できる可能性がある。特別な認知機能リハビリテーションを行わないと空間活動不全は持続し慢性的な不能を引き起こし得る。 |
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