認知療法はOCDの小児に有用である
  高コレステロール血症とアルツハイマー病に関連が認められた
  グループ療法はうつ病を有する心疾患患者に役立つ(ESC 2011)
  精神的ストレスは血管機能に悪影響を及ぼす(ESC 2011)

 9月6日、13日のDOL NewsはESC特集のため、Psychiatryニュースは
  お休みさせていただきました。



小児強迫性障害に対する薬物療法に認知行動療法を追加することにより症状が改善する [2011-09-27]

Addition of cognitive behavioral therapy to drug treatment of pediatric obsessive-compulsive disorder improves symptoms
薬物療法で多少の有益性を得ている強迫性障害(OCD)の小児およびティーンエイジャーに認知行動療法(CBT)を追加することによりOCD症状が有意に軽減したとのスタディ結果がJAMA9月21日号に掲載された。研究者らはCBTまたは短縮型のCBT(CBTの指導が薬物管理の一部として行われる)の併用によるセロトニン再取込み阻害薬の増強効果を調査した。スタディには一次診断がOCDの外来患者(7〜17歳)124人が組み入れられた。参加者らは7セッションを12週にわたって行う治療を含む3種類の治療法のいずれか1つに無作為に組み入れられた:42人は薬物療法のみ、42人は薬物療法とCBTの指導、さらにの42人は薬物療法とCBTを受けた;最後の群には14の同時のCBTセッションが含まれた。12週後にChildren's Yale-Brown Obsessive Compulsive Scale(小児用エール・ブラウン大学強迫性障害評価尺度)がベースライン時と比較し30%以上低下した者の割合はCBT併用群で68.6% 、CBT指導併用群で34.0%、薬物療法単独群で30.0%であった。CBT指導群は薬物療法単独群と比較し統計学的に有意に良好ではなかった。

高コレステロール血症と既知のアルツハイマー病症状は関連がある [2011-09-27]

Elevated cholesterol levels linked to known signs of Alzheimer's disease
高コレステロール血症の人々はアルツハイマー病を発症するリスクが高い可能性があるとのスタディ結果がNeurologyR2011年9月13日号に掲載された。日本の研究者らはアルツハイマー病の徴候のない40〜79歳の2,587人のコレステロール値を検査した。その後、長期観察期間(10〜15年)後に死亡し死亡解剖を行われた147人を調査した。そのうち50人(345)が生前に認知症と診断されていた。死亡解剖では、アルツハイマー病の特徴的な徴候である脳内のプラークと神経原線維変化を検索した。高コレステロール値(5.8mmol/L超)の人はコレステロール値が正常または低い人と比較し、脳内プラークが有意に多かった。高コレステロールの人の計86%が脳内プラークを有していたのに対し、低コレステロール値の人におけるその割合は62%であった。スタディの結果、高コレステロールとアルツハイマー病患者の脳内に発現する神経原線維変化には関連がないことが示された。
認知行動療法プログラムはうつ病を有する心疾患患者が健康的な行動およびよりポジティブな気分を抱くのに役立つ [2011-09-20]
Cognitive behavioral therapy program helps depressed cardiac patients embrace healthy behaviors and a more positive mood
患者が健康的な行動およびよりポジティブな気分を抱くのに役立つ8週間の‘Beating Heart Problems’グループプログラムの有益性を示したスタディの結果が2011年European Society of Cardiology学会で発表された。心筋梗塞または冠動脈バイパス術後に4人に1人の患者がうつ症状を経験した。Beating Heart Problemsプログラムでは、患者が’助けにならない思想’を見極めそれらをより助けになるものに転換する認知行動療法の原則を用いる。このプログラムは、うつ、不安および怒りの対処、身体活動、健康的な食生活、および禁煙からなる8つの項目を網羅した。うつ病患者およびうつ病でない患者を一緒に1つのグループにしたこのプログラムを用いることにより、うつ病患者は劇的に改善した。うつ病患者はまた、身体活動レベルを有意に上昇させ、高密度リポ蛋白レベルも実質的に改善した。以前から身体活動の増加が心疾患患者および一般の人々においてうつ症状を改善することが知られている。このプログラムに参加しなかった患者にはこれらの有益性は認められなかった。
笑いは血管機能に好影響を及ぼし精神ストレスは血管収縮を引き起こす [2011-09-20]
Laughter has a positive impact on vascular function while mental stress causes vasoconstriction

面白い映画やホームコメディーを見ることは血管機能に好影響を及ぼし、精神的ストレスを引き起こす映画を見た後には逆の影響が認められたと2011 年European Society of Cardiology学会で発表された。笑いなどのポジティブな感情を研究しようという案は、いくつかのスタディにより精神的ストレスにより血管収縮が引き起こされることが示されたことにより生じた。今回のスタディではボランティアがある日は面白い映画の一部分を観、別の日にストレスフルな映画の始まり部分を観た。ストレスフルな映画を観ると彼らの血管は、血流を減少させる不健康な反応の可能性のある血管収縮を起こした。この結果により、精神ストレスと血管狭窄に関連があることを示唆した過去のスタディの結果が再確認された。しかし、面白い映画を観た後に血管は拡張した。全体として、300の計測がなされ、笑い期 (血管拡張)と精神的ストレス期(血管収縮)とで血管内径は30〜50%異なっていた。笑った後の血管内皮の変化は一貫しており、運動やスタチン使用で認められる有益性に類似していると筆者らは述べている。 



 

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