プライマリケア医によるうつ病の予後の計測値改善を目的とする新たな方法 [2011-05-31]
New tool aims to improve measurement of primary care depression outcomes
患者のうつ病の改善度を家庭医がよりよく評価するのに役立つ新たな方法が開発されたとのスタディ結果が、次号のGeneral Hospital Psychiatryに掲載される。Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders (DSM-IV)に明記されている寛解のクライテリアは患者自身の回復感と必ずしも対応しないと研究者らは述べている。この問題を解決するために彼らは、“過去2週間の間、あなたは自分の感情をコントロールできると感じましたか?”などの一連の5つの質問を作成した。研究者らは、現在うつ病患者モニターの“ゴールドスタンダード”であるPatient Health Questionnaire(PHQ)に加えRemission Evaluation and Mood Inventory Tool(REMIT)を使用した。REMIT質問を加えると、PHQスコアであれば寛解を示唆したであろう軽度うつ病患者の3分の1が寛解ではなかった。さらに、中等度うつ病患者の3分の1はPHQスコア単独で示されるよりも状態が良好であった。患者自身の回復感と比較した場合の患者の寛解の正確な反映度はPHQのみを用いた場合には60%であった。この割合はREMIT質問を加えることにより約70%に上昇した。
 
スタディの結果、強迫行為が強迫観念を引き起こし、逆はないことが示された [2011-05-31]
Study shows that compulsions lead to obsessions, and not the other way around
強迫性障害(OCD)に特徴的な手洗いの繰り返しのような習慣は強迫的な恐怖を遮断するための反応として行われるという一般的な概念に対し新たな科学的エビデンスが疑問を投げかけるとのスタディ結果がAmerican Journal of Psychiatryに掲載された。研究者らはOCDの場合、行動自体(強迫行為)がこの障害の前兆であり、強迫観念は単にこの行動を正当化する脳の方法である可能性があることを見出した。研究者らはこの障害を有する患者20人およびコントロール(OCDを有さない者)20人に対し、習慣様行動を発症する傾向を観察する課題に関する検査を行った。対象者らは、課題に対しポイントを得るために刺激、行動と結果との単純な関連を学習することを要求された。OCDを有する患者は彼らの行動が望んだ結果を生み出そうとそうでなかろうと反応し続ける傾向にあった。つまり、この行動は習慣化していた。強迫行為が何も関連する強迫観念のない研究室で認められたとのこの発見により、強迫行為がOCDの重要な特徴である可能性が示唆された。
 

中年のアルツハイマー病患者において記憶障害はしばしば出現しない [2011-05-24]

Memory problems often not present in middle-aged people with Alzheimer's disease

新たなスタディの結果、60歳未満でアルツハイマー病を発症する人々の半分以上が、記憶障害を有さない場合、最初は他の種類の神経学的疾患と誤診されることが示唆されたとNeurology 5月17日号に掲載された。研究者らは剖検で脳にアルツハイマーが認められた40症例を調査した。彼らは症状が出現した年齢および家族歴に関する情報も解析した。約38%において初期症状が行動、視覚または言語上の問題および実行機能または課題遂行能力の低下などの記憶障害以外の問題であった。症状が非典型的で記憶障害を有さない人々においては53%が初診時に正しく診断されなかったのに対し、記憶障害を有する者におけるその割合は4%であった。彼らは主に他の型の認知症と診断された。初期症状が非典型的であった者のうち、47%は死亡時にも依然として正しく診断されていなかった。

 

太極拳は高齢者の転倒を予防し精神衛生状態を改善するのに役立つが、がんや関節炎の症状は改善しない [2011-05-24]

T'ai chi helps prevent falls and improve mental health in the elderly but does not improve symptoms of cancer or arthritis
高齢者において太極拳は、転倒予防および精神的幸福感改善に役立つことを含め一部の健康上の有益性を有するとのレビューがBritish Journal of Sports Medicine印刷版に先立ちオンラインで掲載される。しかし、健康上の有益のために広く行われるこの中国の武術は、がんまたは間接リウマチの症状改善には役立たず、このエビデンスは多くの他の疾患や症状に対しては否定的である。太極拳を評価した35の関連するレビューが英語、中国語、および韓国語のデータベースから抽出された。筆者らは、がん、パーキンソン病、筋骨格系疼痛、変形性関節症、関節リウマチ、心血管疾患、高血圧、骨粗鬆症および2型糖尿病などの様々な領域の疾患におけるこの武術の有効性を調査した。一部のレビューはまた精神衛生上、バランスおよび転倒予防、筋力増強および運動耐容能改善に対する太極拳の有益性についても評価した。いくつかの疾患についてはレビューの結果は否定的であった。しかし、太極拳は高齢者において、転倒予防および精神的な健康改善に対し有効であり健康全体に対し有益であった。一方、太極拳はがんや関節リウマチの治療に対しては無効なようであった。
 
修正可能な因子とアルツハイマー病リスクとの関連性に関する十分なエビデンスはない [2011-05-17]
Evidence insufficient on relationship of modifiable factors with risk of Alzheimer's disease
修正可能な因子とアルツハイマー病(AD)リスクとの関連について強固な結論を引き出すにはこれまでに得られたエビデンスでは不十分であると報告され、Archives of Neurology 9月号に掲載予定である。National Institutes of HealthはADのリスクファクターの可能性および予防法となりうるものに関するスタディを調査した。彼らは、公式のエビデンスレポートに加え、1984年から2009年10月27日までのMEDLINEおよびCochrane Database of Systematic Reviewsで検索した英語の報告を評価した。考慮したトピックスは栄養補助食品および食事因子、身体活動性、他の慢性疾患(糖尿病、高コレステロール、高血圧)、嗜好品(喫煙、アルコール)、および認知的従事であった。パネリストは各々の危険因子(低、中等、高)を重要視し、それによりスタディを点数化した(観察研究は低く無作為化比較試験は高い)。ADリスク上昇または軽減を示すようなスタディも一部認められたが、それらは、認知機能低下またはアルツハイマー病のリスクを軽減する修正可能な因子との関連を支持する強固な結論を引き出すには不十分であった。筆者らは、これらの疑問に答える大規模長期地域住民を対象としたスタディおよび臨床試験の必要性を訴えている。
 
85歳以上の女性において軽度認知障害、認知症、およびこれらのサブタイプはごく一般的に認められる [2011-05-17]
Mild cognitive impairment, dementia, and their subtypes are very common in women 85 years of age and older
“超高齢者”、つまり85歳以上の女性において軽度認知障害、認知症、およびそれらのサブタイプは一般的であるとArchives of Neurology 5月号に掲載された。研究者らは、超高齢の女性における認知障害スタディWomen Cognitive Impairment Study of Exceptional Agingに組み入れられた女性1299人(平均年齢88.2歳、27%が90歳以上)のデータを評価した。スタディ対象女性のうち231人(17.8%)が認知症、301人(23.2%)が軽度認知機能障害と診断され、合計で41.0%が臨床的に認知機能障害を有していた。90歳以上の女性の軽度認知機能障害有病率は、85〜89歳の女性におけるそれよりも高かった(24.5%対22.7%)。軽度認知機能障害のサブタイプのうち健忘型複数領域が最も多く、次いで非健忘型単一領域であり、それぞれ33.9%と28.9%であった。健忘型単一領域は21.9%の女性において認められた。90歳以上の女性における認知症の有病率は85〜89歳の女性の約倍であった(28.2%対13.9%)が、認知症サブタイプ(アルツハイマー病、血管性認知症、混合型またはその他)の分布はどの年齢層においても同様であった。
 

新たなアルツハイマー病診断ガイドラインでは疾患のステージ分類およびバイオマーカー使用の可能性を提案している [2011-05-10]

New Alzheimer's diagnostic guidelines propose staging of disease and potential use of biomarkers

この27年間で初めてアルツハイマー型認知症の臨床診断基準が改定され、疾患の早期段階のための研究ガイドラインは、より深くこの疾患への理解を反映していることが特徴である。当初の診断基準は認知症が明らかになった後期段階についてのみ述べられていた。アルツハイマー病はその病態から、発症前期、軽度認知障害、および認知症へと経時的に徐々に変化していくため、改訂ガイドラインはこの疾患の全てのスペクトラムを包含している。重要なことに、今回のガイドラインでは、血液や脳脊髄液における変化がアルツハイマー病によるものか否かを判断するのに役立つ可能性のある画像検査や血液および髄液内のバイオマーカーの使用を取り上げている。バイオマーカーは研究分野ではアルツハイマー病の発症を検出し進行を追跡するのにますます用いられているが、臨床診断上はさらに検査や評価を行わずルーチンに用いることはできない。ガイドライン作成専門委員会は技術向上やバイオマーカーや疾患の過程そのものに関する理解の進歩から生じうる変化を見込み、ガイドラインの位置付けを意図的に柔軟な状態にしている。この新たなガイドラインはAlzheimer's & Dementia: The Journal of the Alzheimer's Associationオンライン版に掲載される。

 

幼児期の音楽学習は生涯にわたり認知機能に有益な可能性がある [2011-05-10]

Childhood music lessons may provide lifelong cognitive benefits
幼児期の音楽学習は、後に楽器を演奏しないにしても、年とともに知性を研ぎ澄まし続けることにより、数十年後に利益となる可能性があるとの予備的なスタディの結果がNeuropsychologyオンライン版で掲載された。このスタディには60〜83歳の健常成人70人を組み入れ、それぞれの音楽の経験レベルに基づき、音楽トレーニングの経験なし;音楽学習経験1〜9年;または音楽トレーニング10年以上の3つの群に分類した。これらの人々は全て楽器演奏を10歳頃に開始したアマチュアであった。認知機能検査の成績が最も良好だったのは音楽学習期間が最長の高レベルの演奏家で、次が低レベルの演奏家、そして音楽経験のない者の順であり、この結果から音楽実践年数に関連がある傾向を示した。視空間記憶、物の名前を言うことおよび認知機能の柔軟性、または新しい情報への適応能力に関する認知機能検査において、高レベルの音楽家は音楽経験のない者よりも統計学的に有意に高得点であった。高レベル演奏家の半数はスタディを施行した時点でも依然として楽器を演奏していたが、既に演奏をやめてしまった高レベル演奏家と比較し認知機能は特に優れているわけではなかった。
 


 

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