SSRIおよび他の抗うつ薬は頸動脈内中膜肥厚と関連がある [2011-04-26]
SSRIs and other antidepressants linked to higher carotid intima media thickness
抗うつ薬使用と動脈壁肥厚に関連があり、心疾患および脳卒中リスクとなる可能性があることが双子の退役軍人のスタディの結果示されたと第60回 American College of Cardiology学会で発表された。このスタディでは、2人ともがベトナム戦争の間に米国軍隊に従事した中年男性の双子513人を対象とした。研究者らは頸動脈内中膜厚(IMT)を超音波で計測した。その結果、選択的セロトニン再取込み阻害薬を内服している者(これらのうち60%が抗うつ薬を内服)および他の抗うつ剤を内服している者両者において頸動脈IMTが大であることが確認された。片方のみが抗うつ剤を内服していた双子59組において、標準的な心疾患リスクを考慮に入れても、薬剤を内服している者の方がIMTは大である傾向にあった。この影響は心筋梗塞または脳卒中の既往の有無に関係なくいずれの双子においても認められた。抗うつ剤を内服している者のみで観察すると、うつ症状レベルが高いほどIMTもまた大であった。
 
ハリケーンカトリーナの4年後でも心筋梗塞リスクは3倍の状態が持続している [2011-04-26]
Four years after Hurricane Katrina, three-fold risk of myocardial infarction persists
ハリケーンカトリーナによる災害から4年経っても、嵐による破壊を受けたニューオーリンズの住民においては心筋梗塞発症率の高い状態が持続している。新たなデータ−同じ研究者らのハリケーンカトリーナ2年後の解析の最新版−の結果、AMIリスクが3倍であることおよび他の好ましくない影響が持続していることが示されたとの研究結果が第60回American College of Cardiology学会で発表された。この単施設レトロスペクティブ観察研究において研究者らは、カトリーナ前後の2群の差を観察した。カトリーナ後の群においては、調査が行われた計29,228人中AMIによる入院と確認されたのが629件(2.2%)であったのに対し、カトリーナ前においては計 21,229人中AMIによる入院は150件(0.7%)であった(p<0.0001)。カトリーナ後の群の方が、初回入院(32%対17%、 p<0.001)、精神医学的併存疾患(10%対6%、p<0.05)、脂質異常症(45%対52%、p=0.01)、冠動脈疾患既往歴(46%対31%、p=0.001)、カテーテル冠動脈インターベンション施行(66%対52%、p<0.0001)の数が多かった。AMIリスク上昇の継続は、一般的なリスクファクターには何の変化もないにもかかわらず認められた。研究者らは、慢性的なストレス、全面的な移動および統合的な公共医療サービスの欠如が影響していると考えている。
 

遺伝子リスクから心的外傷後ストレス障害の重要な心理社会的予測因子が発見された [2011-04-05]

Genetic risks provide key psychosocial predictors of posttraumatic stress disorder

第31回Anxiety Disorders Association of America学会で発表された2つの関連のあるスタディにより、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関連した特異的な遺伝子リスクが同定され、この結果はこの障害に繋がる可能性のある重要な心理社会的予測因子の発見に役立つ可能性がある。1つ目のスタディは、FKBP5、COMTおよびCHRNA5多型とPTSDのリスクとの関連を明らかにした。これらの“リスク”遺伝子を有する者は、特に心的外傷を伴う出来事に高度に曝露されたり小児期の不幸な出来事に多く曝露されたりすると、これらの遺伝子を有さない者と比較しPTSDのリスクが7倍高かった。これに関連したスタディにおいて研究者らは、心的外傷を伴う出来事に曝露された後に臨床において使用できるPTSD予測法を開発した。彼らは、PTSD症状、うつ症状、主治医の状態、不眠、および心的外傷歴などの簡便な10項目の予測法を作成した。その結果、この方法は、慢性疼痛外来患者群やレベルI外傷患者群などの臨床上の異なる患者集団における心的外傷への曝露後のPTSDを非常に正確に予測した。筆者らは、遺伝子スクリーニングにより、心的外傷後治療や軍隊または警察や消防などの公務員における職業選択に関連した遺伝子カウンセリングが向上する可能性があると述べている。

 

地域住民を対象とした長期スタディにおいて軽度の心理的苦痛が長期の身体障害リスクと関連することが示された [2011-04-05]

Mild psychological distress linked to risk of long term disability in population based longitudinal study
比較的軽度のストレスであっても長期の身体障害および就業不能状態を引き起こしうることが大規模な地域住民を対象とした長期スタディにより示されたとJournal of Epidemiology and Community Healthオンライン版に掲載された。研究者らは、ストックホルム地域の住民から無作為に選択された勤労成人(<64歳)17,000人余りの健康状態を追跡した。参加者全員が、スタディ開始時に確立されているアンケート(GHQ-12)に回答し、精神衛生状態およびストレスレベルとさらに他の健康面や幸福感に関する計測を受けた。モニタリング中に649人(203人は精神衛生上の問題に関して、他の者は身体的健康上の問題に関して)が障害保障給付を受け始めた。スタディ開始時のストレス度が高いとその後、長期間の障害保障給付を受け取る確率が有意に高かった。しかし、生活習慣や飲酒などの結果に影響する確率の高い他の因子を考慮に入れると、ストレスが軽度の者であっても障害保障給付を受け取る確率は最大70%高かった。これらの人々のうち4人中1人は、高血圧、狭心症、および脳卒中などの身体的疾患に対する給付を受けており、約3分の2の者はストレスによると思われる精神疾患に対する給付を受けていた。
 


 

DOLについて - 利用規約 -  会員規約 - 著作権 - サイトポリシー - 免責条項 - お問い合わせ
Copyright 2000-2025 by HESCO International, Ltd.