第31回Anxiety Disorders Association of America学会で発表された2つの関連のあるスタディにより、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に関連した特異的な遺伝子リスクが同定され、この結果はこの障害に繋がる可能性のある重要な心理社会的予測因子の発見に役立つ可能性がある。1つ目のスタディは、FKBP5、COMTおよびCHRNA5多型とPTSDのリスクとの関連を明らかにした。これらの“リスク”遺伝子を有する者は、特に心的外傷を伴う出来事に高度に曝露されたり小児期の不幸な出来事に多く曝露されたりすると、これらの遺伝子を有さない者と比較しPTSDのリスクが7倍高かった。これに関連したスタディにおいて研究者らは、心的外傷を伴う出来事に曝露された後に臨床において使用できるPTSD予測法を開発した。彼らは、PTSD症状、うつ症状、主治医の状態、不眠、および心的外傷歴などの簡便な10項目の予測法を作成した。その結果、この方法は、慢性疼痛外来患者群やレベルI外傷患者群などの臨床上の異なる患者集団における心的外傷への曝露後のPTSDを非常に正確に予測した。筆者らは、遺伝子スクリーニングにより、心的外傷後治療や軍隊または警察や消防などの公務員における職業選択に関連した遺伝子カウンセリングが向上する可能性があると述べている。
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