次世代白血病治療は有望なようである
(the American Society of Hematology, Abstract #. 6)
  がん既往者は皮膚メラノーマのリスクが高い
  HER2陽性転移性乳がんにおける重要な進歩
(サンアントニオ乳がんシンポジウム Abstract # S5-5)
  エキセメスタンとエベロリムス併用の有効性が確認された
(サンアントニオ乳がんシンポジウム Abstract # S3-7)
  BRCA変異と対側乳がんのリスク
(サンアントニオ乳がんシンポジウム Abstract # S4-2)
  早期のビスフォスフォネート投与は遅延した投与に勝る
(サンアントニオ乳がんシンポジウム Abstract # S1-3)
  ゾレドロン酸の乳がんに対する有効性が確認された
(サンアントニオ乳がんシンポジウム Abstract # S1-2) 
  DCIS患者の再発リスクを予測する新たな検査
(サンアントニオ乳がんシンポジウム Abstract # S4-6)  
  前立腺がんに対するアンドロゲン除去療法は心血管死のリスクを増加させなかった
  高血糖値は大腸がんと関連がある
  新たなスタディから40歳時のマンモグラフィーによるスクリーニングが支持された
RSNA Abstract #. SST01-01)



モノクローナル抗体が未治療の急性骨髄性白血病における延命効果を示した [2011-12-27]
Monoclonal antibody shows survival benefit in previously untreated acute myeloid leukemia
あるphase III臨床試験の結果、モノクローナル抗体gemtuzumab ozogamicin (GO)は、急性骨髄性白血病の高齢患者に対する治療として標準的な化学療法と併用して比較的低用量の頻回投与を行った場合、有望な治療選択肢となりうると第53回 American Society of Hematology学会で発表された。一次スタディエンドポイントは無イベント生存期間(EFS)に焦点を当てた;二次エンドポイントは奏効率、無病生存期間(DFS)、全生存期間(OS)、および3年間の追跡期間の安全性であった。スタディ参加者ら(未治療de novo AMLの50〜70歳成人)は2つの治療群―DAと呼ばれる標準的な化学療法(ダウノルビシン、ara-C、134人)または化学療法とGOの併用(DAGO、137人)のいずれかに無作為に割り付けられた。標準治療にGOを併用することにより、高齢AML患者のEFSおよびOSは有意に改善した。2年後のEFSはDA群で15.6%と推定されたのに対し、DAGO群では41.4%であった。DFSはDA群では18.1%と推定されたのに対し、DAGO群では48.5%であった。EFSにおいての有益性は全ての年齢群で認められOS延長につながった(DA群対DAGO群とで平均19ヵ月対34ヵ月)。
過去にがんと診断されたことがあると皮膚メラノーマを発症するリスクが有意に上昇する [2011-12-27]
Previous cancer diagnosis significantly increases risk of developing cutaneous melanoma
過去にがんと診断された患者は皮膚メラノーマ(CM)を発症するリスクが高く、中でも過去にメラノーマと診断された患者で最もリスクが高いとArchives of Dermatology12月号に掲載された。研究者らは、調査、疫学、および最終結果(Surveillance, Epidemiology, and End Results)データベースを解析し、がん後の皮膚メラノーマリスクについて解釈した。スタディ対象は原発がんがCMの患者70,819人(メラノーマの診断時年齢中央値54歳)および過去のがんのあとにCMを発症した患者6,353人(診断時年齢中央値70歳)であった。最初のがん診断時に45歳未満であった患者のうち777人がCMを発症し、CM、他の皮膚がん、カポジ肉腫、女性乳がん、およびリンパ腫後の患者において有意にリスクが高かった。45歳以上では、CM、他の皮膚がん、眼メラノーマ、女性乳がん、前立腺がん、リンパ腫および白血病後の患者においてリスクが高かった。両コホートにおいて生存率の良好なものの特徴としては、女性、診断時年齢45歳未満、既婚、Breslow深度が小さいこと、腫瘍の潰瘍化のないこと、リンパ節転移のないこと、および他の転移のないことが挙げられた。

CLEOPATRA: 二重HER2遮断は転移性乳がん患者の無増悪生存期間を有意に延長する [2011-12-20]

CLEOPATRA: Dual HER2 blockade significantly extends progression-free survival in metastatic breast cancer
トラスツズマブとドセタキセルの併用化学療法にpertuzumabを追加することによりHER2陽性転移性乳がん患者の無増悪生存期間中央値が6.1ヵ月延長したとの研究結果が、2011年CTRC-AACRサンアントニオ乳がんシンポジウムで発表されNew England Journal of Medicineに掲載された。研究者らはCLEOPATRA(CLinical Evaluation Of Pertuzumab And TRAstuzumab[Pertuzumabとトラスツズマブの臨床的評価])として知られる国際phase 3、二重盲検、無作為化トライアルを行った。このトライアルでは808人の患者をトラスツズマブとドセタキセルの併用化学療法にpertuzumabまたはプラセボを追加する群に無作為に割り付けた。無増悪生存期間は、pertuzumab群で18.5ヵ月であったのに対しプラセボ群では12.4ヵ月であった―増悪リスクは38%低下した。客観的奏効率(少なくとも30%の腫瘍縮小)は、併用化学療法にpertuzumabを追加することにより80.2%であったのに対し、併用化学療法単独では69.3%であった。生存期間に関する成績は不完全ではあるが、3剤併用群では402人中69人が死亡し、2剤併用群では406人中96人が死亡した。3剤併用療法の忍容性は高かった。Pertuzumabは“二量体化阻害剤”と呼ばれる新たなクラスの初めての薬剤である。
BOLERO-2:エキセメスタンとエベロリムスの併用により転移性乳がん女性の無増悪生存期間が上昇した [2011-12-20]
BOLERO-2: Exemestane plus everolimus increased progression-free survival for women with metastatic breast cancer

ホルモン受容体(HR)陽性の転移性乳がんを有する閉経後女性に対し、エベロリムスとエキセメスタンの併用は疾患コントロール期間を著明に改善したとの、phase3臨床試験、経口エベロリムス乳がんトライアル(Breast Cancer Trials of Oral Everolimus [BOLERO-2])の結果が2011年CTRC-AACRサンアントニオ乳がんシンポジウムで発表された。研究者らはHR陽性転移性乳がんを有しアナストロゾールまたはレトロゾール投与中に疾患が進行した閉経後女性724人を組み入れた。患者はエキセメスタンとエベロリムスの併用療法またはエキセメスタンとプラセボを投与する群に無作為に割り付けられた。その結果、エキセメスタンとプラセボを投与された患者239人の無増悪生存期間中央値は3.2ヵ月であった。エキセマスタンとエベロリムスの併用療法を受けた患者485人においては、無増悪生存期間中央値は7.4ヵ月と有意であった。完全寛解、部分寛解、または6ヵ月を超える疾患の安定などの臨床有効率は、エキセメスタンとプラセボを投与した患者の25.5%に認められたのに対し、エキセメスタンとエベロリムスの併用療法群では50.5%であった。BOLERO-2の生存期間に関する解析はまだできていない。しかし、治療の忍容性は良好であり、最も多い副作用は口腔粘膜炎、倦怠感、肺炎および高血糖であった。

BRCA変異を有する乳がん既往者において対側の新たな乳がんを発症するリスクが高い [2011-12-20]
Risk for developing contralateral new cancer increased for survivors with BRCA mutation

BRCA1またはBRCA2遺伝子変異を有する乳がん既往者は対側の乳がん(CBC)を発症するリスクが高く、この群の女性の一部は診断時年齢および最初の腫瘍の状態によってさらにリスクが高いとのデータが2011年CTRC-AACRサンアントニオ乳がんシンポジウムで発表された。研究者らは、オランダの10の病院で片側の浸潤性がんと診断された女性5,061人を調査した。211人(4.2%)がBRCA1またはBRCA2のキャリアであった。フォローアップ期間中央値8.4ヵ月の時点で、全体の8.6%がCBCを発症した。10年間のCBC総発症率はノンキャリアで6.0%であり、一方キャリアのリスクは17.9%であった。最初の乳がんを40歳未満で診断されたキャリアの10年間のCBCリスクは26.0%に跳ね上がった。40〜50歳に最初の乳がんを診断されたキャリアのリスクは11.6%であった。さらに、最初の腫瘍がトリプルネガティブであった変異キャリアの10年間累積CBCリスクは18.9%であり、それと比較し最初の腫瘍がトリプルネガティブでなかったキャリアにおいては11.2%であった。

ZO-FAST:内分泌療法直後のゾレドロン酸投与により閉経後早期乳がん患者の再発が減少し生存率が上昇した [2011-12-20]
ZO-FAST: Immediate zoledronic acid use with endocrine therapy reduced recurrence, increased survival in postmenopausal early breast cancer

アジュバント内分泌療法にゾレドロン酸を追加することにより、ホルモン受容体陽性早期乳がんを有する閉経後女性の骨塩密度が上昇し乳がん再発リスクが低下した、と2011年CTRC-AACRサンアントニオ乳がんシンポジウムで発表された。研究者らは、アロマターゼ阻害薬レトロゾール開始直前の患者1,065人を、直後にゾレドロン酸を6ヵ月ごとに投与する群と、患者が骨折や明らかな骨密度低下を認めた場合のみゾレドロン酸を後に開始する群とに無作為に割り付けた。60ヵ月後にトライアルの一次エンドポイント達成に成功した―直後のゾレドロン酸投与により腰椎および骨盤骨密度喪失が有意に減少した。ゾレドロン酸を直後に投与された患者においては再発が34%少なく、二次エンドポイントである無病生存期間もまた改善した。診断時に真に閉経後であった女性においては、直後のゾレドロン酸により乳がん再発リスクが29%低下し、全生存期間が35%改善した。

ABCSG-12:閉経前ER陽性乳がん女性の生存におけるゾレドロン酸の長期有益性が示された [2011-12-20]
ABCSG-12: Zoledronic acid shows long-term benefit in survivorship for premenopausal ER-positive breast cancer

エストロゲン受容体陽性の閉経前乳がん患者を、卵巣機能抑制を含むアジュバント内分泌治療に加えアジュバントゾレドロン酸により治療することの持続的な有効性が証明された。オーストラリア乳がん&大腸がんスタディグループ(Austrian Breast & Colorectal Cancer Study Group[ABCSG-12])のデータが2011年CTRC-AACRサンアントニオ乳がんシンポジウムで報告され、過去に報告されたデータが確認および追加された。現在フォローアップ84ヵ月の時点で、毒性副作用はなく患者らの乳がん再発は劇的に減少し生存率は改善した。研究者らはこの4群トライアルにおいて、早期のエストロゲン受容体(ER)陽性乳がんの閉経後女性1,803人を、タモキシフェンまたはアナストロゾールまたは各々とゾレドロン酸を3年間投与される群に無作為に割り付けた。治療の84ヵ月後に、ゾレドロン酸投与群において再発率は28%低下し死亡リスクは36%低下した。また、想定完全卵巣遮断療法を受けた40歳以上の患者では再発リスクが34%低下し死亡リスクは44%低下した。40歳未満の女性においては生存に関する有意な利益は認められなかった。下顎骨壊死や腎不全の発現はみられなかった。

複数遺伝子アッセイは非浸潤性乳管がん局所再発リスクを予測する [2011-12-20]
Multigene assay predicts risk for local recurrence for patients with ductal carcinoma in situ

非浸潤性乳管がん(DCIS)患者治療の有意な進歩として、乳がん再発リスクを発見する複数遺伝子検査が開発され前向きに検証された、と2011年CTRC-AACRサンアントニオ乳がんシンポジウムで報告された。この方法は、腫瘍の遺伝子発現計測と遺伝子発現アルゴリズムを組み合わせて、患者のがんの遺伝子基盤を解読し、個々の患者が手術(通常乳腺腫瘍摘出術)で治療されるべきか手術と放射線治療とで治療されるべきかを決定する。研究者らは、オンコジーンDX乳がんアッセイとDCISスコアアルゴリズムを用いて327人の患者の腫瘍を検査およびスコア化し、再発リスクを決定する研究を行った。分子基盤のアッセイを用いた結果、研究者らは再発リスクの高い患者およびリスクの低い患者の同定に成功した。彼らはまたE5194試験の10年間の結果を報告した。この試験において46人が同側乳房イベント(IBE、フォローアップ期間中央値8.8年)を発現した。タモキシフェン使用で補正すると、持続的DCISスコアとIBEには有意な相関が認められ、腫瘍サイズ、腫瘍グレードおよびマージンの状態などの従来の計測値を超える価値を有していた。多くのスタディの結果、ルーチンの顕微鏡的病理学的グレーディングは信頼できる再発リスクのインディケーターではないことが示されている。

前立腺がんに対するアンドロゲン除去療法は心血管死のリスクを増加させなかった [2011-12-13]

Androgen deprivation therapy for treatment of prostate cancer not associated with increased risk of cardiovascular death 
過去の一部の研究では前立腺がん治療目的のアンドロゲン除去療法(ADT)が心血管疾患による死亡リスクを上昇させる可能性があると指摘したが、過去の無作為化トライアルのあるメタ解析の結果、好ましくないリスクを有する非転移性前立腺がん患者におけるこの関連性は認めず、ADTにより前立腺がん特異的死亡(PCSM)および総死亡のリスクが低下することが示されたとのスタディ結果がJAMA 12月7日号に掲載された。この医学論文のレビューでは、心血管死メタ解析の組み入れ条件に合致した8つの無作為化トライアル(患者4,141人)を同定した。ADTで治療された患者のうち心血管死が発現したのは、ADT群で11.0%でありコントロール群で11.2%であった。短期間(6ヵ月以下)のADTトライアルにおける致死的心血管イベント発現率はADTとコントロールとでそれぞれ10.5%と10.3%であった。長期間(3年以上)のADTトライアルにおける致死的心血管イベント発現率はADTで11.5%であったのに対しコントロールで11.5%であった。ADTを受けている男性はコントロールと比較し、PCSM相対リスクが31%低く総死亡リスクが14%低かった。

閉経後女性においてベースライン時の血糖値が高いことと大腸がんは関連がある [2011-12-13]

Elevated baseline glucose levels in postmenopausal women linked to colorectal cancer
ベースライン時の血糖値が高いと大腸がんリスクが上昇するとのスタディ結果がBritish Journal of Cancer 11月29日号に掲載された。このスタディには、米国のNational Institutes of Health's landmark Women's Health Initiativeスタディに登録された閉経後女性5000人近くが組み入れられた。これらの女性において、空腹時血糖およびインスリンレベルをベースラインおよびその後12年間のうちにさらに数回計測した。12年の期間終了までに81人が大腸がんを発症した。ベースライン時の血糖値が高いと大腸がんリスクが高かった―さらにベースライン時の血糖値が上位3分の1に含まれた女性は下位3分の1に含まれた女性と比較し大腸がんリスクが2倍であった。時間を追って血糖値の結果を観察しても同等の結果が得られた。インスリンレベルと大腸がんリスクとに関連はなかった。今回のスタディから、肥満の大腸がんへの影響は高血糖または血糖を上昇させるのに関連した何らかの因子が原因であることが示唆される。

40代でのマンモグラフィースタディから浸潤性乳がん発生率は家族歴に関係なく同等であることが示された [2011-12-06]

Mammography study of women in their 40s reveals similar incidence of invasive breast cancer regardless of family history
乳がん家族歴のない40代女性の浸潤性乳がん発生率は家族歴のある女性と全く同等であるとのスタディ結果が2011年Radiological Society of North America学会で発表された。研究者らはレトロスペクティブなレビューを行い、スクリーニングでマンモグラフィー検査を受け40〜49歳の間に乳がんと診断された女性―家族歴を有するまたは有さない―の人数およびがんの型を同定した。乳がんを有していた40〜49歳の患者1,071人のうち373人はスクリーニングの結果診断された。そのうち39%は乳がん家族歴を有し、61%は家族歴を有さなかった。家族歴を有する群では63.2%が浸潤がんであり、36.8%は非浸潤がんであった。家族歴を有さない群では64%が浸潤がんであり、36%が非浸潤がんであった。それぞれのリンパ節転移率は31%および29%であった。これらの結果から、40〜49歳の女性においては乳がん家族歴の有無に関わらず早期発見およびスクリーニングマンモグラフィーの重要性が強調される、と筆者らは述べている。
 


 

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