乳頭温存乳房切除術の安全性に関する問題は少なかった
  アルコールは乳がんリスクを上昇させる
  スクリーニング後の乳がん死確率予想
  新たな発見により転移の可能性を予測

 11月15日、22日、29日のDOL NewsはAHA特集のため、Oncologyニュースは
  お休みさせていただきました。



従来の方法とは別の乳房再建術の代替療法は乳がん再発リスクを上昇させない [2011-11-08]

Alternative approach to breast reconstruction does not increase risk of breast cancer recurrence
乳房切除術変法は乳房再建術において乳首およびその周囲組織を温存して使用し治療法としても有効である、とAmerican Society of Plastic Surgeons (ASPS)の公式ジャーナルPlastic and Reconstructive Surgery 11月号に掲載された。101人の患者に対し計162件の乳首温存乳房切除術が施行された。手術の30%(48人の患者における49件)は乳がんと診断されたものの治療として行われた。残りの70%の乳頭温存乳房切除術(80人の患者における113件)は乳がんの高リスク患者に対し予防的な乳房切除術として施行された。乳首下の組織を1ヵ所生検した結果、乳がん女性の生検組織の10%および予防的乳房切除術を施行された女性のうち1人の生検組織から、がん細胞が検出された。これらの症例において乳首は乳房再建術には使用されなかった。生検の結果がん細胞が認められなかった女性においては疎の乳首を再建術に使用した。平均3年以上の経過観察を行った結果、治療目的で乳房切除術を行われた女性において乳首−乳輪にがん再発は見られず、予防的に乳房切除術を施行された女性においてがんの発現は認められなかった。2%の患者においては乳首および乳輪の虚血が再建後の有意な合併症であった。

低レベルのアルコール摂取は乳がんリスクを軽度上昇させる [2011-11-08]

Low levels of alcohol consumption associated with small increased risk of breast cancer
週3〜6杯の飲酒は乳がんリスクを軽度上昇させ、成人早期および成人後期のアルコール摂取はいずれもリスクを上昇させるとJAMA 11月2日号に掲載された。このスタディはNurses' Health Studyに組み入れられた女性105,986人を対象とした。経過観察中に、7,690件の浸潤性乳がんが診断された。低レベルの飲酒(1日5.0〜9.9g、週3〜6杯のワイン)は乳がんリスクを15%と中等度のしかし統計学的に有意ではない上昇と関連があった。1日平均30g以上のアルコール(1日2杯以上)を摂取する女性は乳がんリスクが51%高かった。年代別に調査すると、18〜40歳での飲酒および40歳以降の飲酒はいずれも乳がんリスクと強力な相関が認められた。飲酒の頻度は少ないが1回に大量に飲酒することも乳がんリスクと関連があった。飲酒と乳がんの関係の原因のひとつは循環エストロゲンレベルに対するアルコールの影響であろう、と筆者らは考えている。

確率モデルによりスクリーニングによる乳がん発見後の生存確率を調査 [2011-11-01]

Probability model examines proportion of women who survive following detection of breast cancer through screening
乳がん生存率を推定するのに用いられるあるモデルにより、スクリーニングで乳がんを発見された女性がマンモグラフィーでスクリーニングを受けたために乳がん死を避けられる確率はこれまで考えられていたよりも低い可能性があることが明らかにされた、とJAMA/Archives誌のひとつであるArchives of Internal Medicineオンライン版に掲載された。National Cancer Instituteのデータ解析用ソフトウエアを用いて筆者らは、50歳の女性が10年以内に乳がんを発症する確率は100,000分の2,990であると推定した。この年齢群の乳がんの64%がマンモグラフィーで発見され、同期間に乳がんがスクリーニングで発見される確率は100,000分の1,910であると考えられた。これらの女性の推定 20年乳がん死亡確率は100,000分の990である。マンモグラフィーによるスクリーニングにより乳がん死が20%減少すると仮定すると、スクリーニングがなかった場合の死亡リスクは100,000分の1,240となり、スクリーニングによる有益性は100,000分の250と推定される。したがって、筆者らは、スクリーニングで乳がんを発見された女性がマンモグラフィーにより死亡を避けられる確率は13%(250/1,910)であると推定した。様々な年代の女性を対象に行われた同様の解析の結果、確率は25%未満であった。

乳がんに関するスタディの改善モデルにより転移の確率を予測するより良い方法が得られる可能性がある [2011-11-01]

Improved model for breast cancer study may lead to better method for predicting probability of metastasis
進展しやすい乳癌を予知する新たな手段や乳がん進展を阻止する可能性のある薬剤を調べる新たな方法につながりうる、新たなヒト乳がんモデルが開発された。この乳がんスタディ用の改善モデルを作成するために、研究者らは同意した乳がん患者の腫瘍組織を研究用マウスの乳腺に直接移植した。その結果、この移植片は細胞培養に頼る方法とは異なり、構造、遺伝子構造および動向において元のヒト乳がんと実質的に同等であり続けることが発見された。この腫瘍移植片はヒトにおいて転移するのと全く同じく転移した。さらに移植に成功した腫瘍組織は、ほぼ全てが最も悪性の乳がんを発症し最終的に乳がんにより死亡した患者から得られたものであった。筆者らは、これらの結果から、このモデリング法は乳がんと診断された直後に腫瘍が進展しやすいか否かを見極めることができ、医師らが個々の患者の疾患に最適な治療法を選択するのに役立つ手段となる可能性があることを示唆している。
 


 

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