糖尿病を有する肺がん患者は転移頻度が低く生存期間が長い [2011-10-25]

Lung cancer patients with diabetes have lower frequency of metastatic disease and prolonged survival
糖尿病を有する肺がん患者は糖尿病を有さない肺がん患者よりも生存期間が長いとのノルウェーのスタディ結果がJournal of Thoracic Oncology 11月号に掲載された。研究者らはNord-Trondelag Healthスタディ(HUNT)、ペメトレキセドゲムシタビン(PEG)スタディおよびNorwegian Lung Cancer Biobankスタディの肺がん1677症例を解析した。これは、うまく定義された地理的地域の、安定した大人数の居住者を対象とした、肺がん、糖尿病と生存率を調査した初めてのコホートスタディである。その結果、糖尿病を有するまたは有さない肺がん患者の1、2、および3年生存率はそれぞれ43%対 28%、19%対11%、および 3%対1%であった。肺がん患者の多くは原発腫瘍自体ではなく転移により死亡するため、糖尿病を有する患者において転移頻度が低いことが糖尿病患者の生存における利点の一つであろう、と筆者らは述べている。筆者らはこの効果の原因に関して推測していないが、生存率に関する有益性についてはより多くのスタディが必要であり、糖尿病を標準的ながん治療を控える理由と考えるべきではないと述べている。

大腸腫瘍細胞内に異常に多数のフソバクテリウム細胞が発見された [2011-10-25]

Abnormally large number of Fusobacterium cells found in colorectal tumor cells
大腸がんにおいて著明に高レベルのあるバクテリアが発見され、これが大腸がんに寄与し、診断、予防、および治療の鍵となる可能性のあることが示された。Genome Research誌オンライン版に掲載されたあるスタディにおいて、研究者らは9つの大腸腫瘍検体内に異常に多数のフソバクテリウムを発見したと報告した。これは、正常な大腸組織9検体および大腸がん組織9検体内のDNAをシークエンシングし発見され、正常大腸組織および大腸がん組織の95のペアDNA 検体をシークエンシングして確認された。データ解析により、腫瘍組織内に異常に多数のフソバクテリウムのシグネチャーDNAが発見された。このスパイクが必ずしもこのバクテリアが大腸がん発生の原因となっていることを意味するわけではないが、今回の結果からさらなる研究の糸口が得られたと筆者らは述べている。フソバクテリウムと大腸がん発生との関連が明らかにされれば、微生物がこのタイプのがんにおいて役割を果たすことが初めて示されることになる。

BRCA2遺伝子変異は卵巣がん女性の生存率および化学療法の有効性を改善するがBRCA1ではそうではない [2011-10-18]

BRCA2 genetic mutation, but not BRCA1, associated with improved survival and chemotherapy response for women with ovarian cancer
ある型の卵巣がん女性のうちBRCA2遺伝子変異を有する者は、BRCA wild-typeの女性と比較し全生存期間および化学療法の奏効率が良好であるがBRCA1ではそうではないとのスタディ結果がJAMA 10月12日号に掲載された。研究者らは卵巣がん患者におけるBRCA1/2欠失と患者の全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)および化学療法奏効率との関連を評価した。この観察研究には多次元ゲノミクスおよび316例の高悪性度漿液性卵巣がん症例の臨床データが含まれた。両タイプの変異を有する患者は、腫瘍ステージや組織型の点では有意な違いはなかったが、診断時年齢はBRCA1変異を有する患者(35例、平均年齢56歳)の方が、wild-type BRCA患者(219例、平均年齢62歳)およびBRCA2変異(27例、平均年齢61歳)より若かった。BRCA2変異を有する者の5年生存率(61%)はwild-type BRCA症例(25%)よりも有意に高かった。BRCA2変異を有する者はwild-type BRCAを有する者よりもPFS期間が有意に長かった;BRCA1変異を有する者において有意差はなかった。BRCA2変異を有する者の44%が外科的切除術3年後に進行が認められなかったのに対し、BRCA1変異を有する者におけるその割合はわずか22%であった。

ビタミンD欠乏は進行がん患者において最も重度である [2011-10-18]

Vitamin D insufficiency most severe in people with advanced cancer
がん患者の4分の3超においてビタミンD(25-hydroxy-vitamin D)レベルが不足しており、最も低いレベルは進行がんと関連があるとのスタディ結果が第53回American Society for Radiation Oncology学会で発表された。スタディには160人の患者(年齢中央値64歳、男女比1対1)を組み入れた。最も多い5つの主要診断は、乳がん、前立腺がん、肺がん、甲状腺がんおよび大腸がんであった。合計77%の患者においてビタミンD濃度が欠乏(20ng/mL未満)しているかまたは不十分(20-30ng/mL)であった。血清ビタミンD中央値は23.5ng/mLであった。患者の年齢または性別にかかわらず、進行がんの患者群ではビタミンDレベルは予測中央値よりも下回っていた。ビタミンD欠乏を有する患者には補充療法が施行され、血清ビタミンDレベルは平均14.9ng/mL上昇した。ビタミンD供給により長期的な治療または生存率において影響が認められるか否かを研究者らは解析する予定である。
ACCORD:直腸がんに対する術前化学療法と放射線療法の併用は腫瘍反応を増加させる [2011-10-11]
ACCORD: Chemotherapy plus radiation before surgery increases tumor response for rectal cancer
直腸がん患者に対し新たなカペシタビン化学療法と5週間の放射線療法(50Gy)の併用療法を術前に行うことにより、治療後3年生存率が88%であったとの無作為化トライアルの結果が第53回American Society for Radiation Oncology学会で発表された。このACCORD 12トライアルには2005〜2008年にフランスの50の病院で診断および治療された局所進行直腸がん患者598人が組み入れられた。患者は、Cap45(化学療法、カペシタビンおよび45Gyの放射線療法) または Capox50(50Gyの放射線療法に加え、化学療法、カペシタビン および オキサリプラチン)のいずれかを受ける群に無作為に割り付けられた。治療3年後のがん再発率および生存率はCapox50においてCap45治療よりも有意に高くはなかった。Capox50治療の一部として投与されたオキサリプラチンは即座に副作用を増加させることが明らかとなり、一部の症例では重度の下痢を引き起こし、局所腫瘍死滅率は増加させなかった。しかし、5週間の放射線量を45Gyから50Gyに上昇させたのは有効であり忍容性も良好で治療期間を延長させなかった。

前立腺がんに対する短期間の放射線照射は長期フォローアップにおいて有効であった [2011-10-11]

Shorter radiation course for prostate cancer is effective in long-term follow-up
1日あたりの放射線量を高用量とし少ない日数で行う短期間の放射線療法(少分割照射)は、中等度から高リスクの前立腺がん患者の再発において、従来の放射線療法と同様に有効であるとの無作為化トライアルの結果が第53回American Society for Radiation Oncology学会で発表された。このスタディには中等度から高リスクの前立腺がん患者が組み入れられ、少分割放射線照射による短期強度変調放射線療法(IMRT)または従来通りの分割IMRTを受ける群に無作為に割り付けられた。高リスクの患者はある型のホルモン療法を2年間にわたり受けた。患者らは5年間追跡され、前立腺特異抗原(PSA)をモニターすることでがん再発の有無を調査された。今回用いられた少分割放射線療法は1日当りの放射線量を多くし短期間で行われ、従来の分割療法を用いた場合にさらに4回行うのと同等であると考えられた。少分割放射線療法が優れていると仮定されたが、腫瘍コントロール率は同等であった。少分割放射線療法の利点は治療期間が2.5週間短くとも同等の結果が得られることであった。

肝臓内に注入する化学療法によりメラノーマ患者の無病生存期間が数ヵ月延長する [2011-10-04]

Infusing chemotherapy into the liver gives extra months of disease-free life in melanoma patients
眼球またはぶどう膜メラノーマはしばしば肝臓に転移し、ひとたびこれが起こると有効な治療法はなく患者は平均2〜4ヵ月以内に死亡する。2011年European Multidisciplinary Cancer学会で発表されたphase IIIスタディの結果、新たな治療法によりこれらの患者の無病生存期間が有意に延長することが示された。経皮的肝灌流(PHP)とよばれるこの新たな治療法は、高用量のメルファランを動脈内カテーテルから肝臓に30分かけて直接注入する。今回のトライアルではPHP患者の全体の無増悪生存期間は6.1ヵ月であったのに対し、最良の代替治療(BAC)群においては1.6ヵ月であった。1年後の全生存率はPHP群で29%であったのに対しBAC群では26%であった。実際51%の患者がBAC群からPHP群にクロスオーバーしたため、全生存期間は2群間で有意差はなく、PHPで11.4ヵ月でありBACで9.9ヵ月であった。しかし、クロスオーバーした患者は最も具合が悪かったにも関わらず、肝臓における無増悪期間が9.2ヵ月、疾患全体の増悪のない期間は6.5ヵ月であり、予後は良好なようであった。

前立腺がんリスクおよび死亡を予知する新たなリスク指標 [2011-10-04]

Two new risk indicators for predicting prostate cancer risk and mortality
2011年European Multidisciplinary Cancer学会で発表された2つの関連のあるスタディの結果、前立腺がんの2つのリスク指標が示された:良性の前立腺肥大と診断された男性は前立腺がん発症および死亡リスクが高く、一般の人々の前立腺特異抗体(PSA)をモニターすることにより健康な男性の前立腺がん発症および死亡の長期リスクを予測することができる。1つ目のスタディにおいて研究者らは、5つの国内登録のデンマーク男性計3,009,258人(前立腺がんと診断された者53,315件および前立腺がん死25,459件を含む)のデータを調査した。27年間のスタディにおいて、臨床的に前立腺肥大症を有すると前立腺がん発症リスクは2〜3倍高く、前立腺がん死亡リスクは2〜8倍高かった。もう1つのスタディにおいては4,383人の男性(20〜94歳)から採取した血液を検査した。28年の追跡期間中にPSAの段階的な上昇により前立腺がんリスクの3〜44倍の上昇および前立腺がん死リスクの2〜12倍の上昇が予知された。また、PSAレベルが4.10〜10.00ng/mLの者における10年間の前立腺がん絶対リスクは11〜22%であり、10.00ng/mLを超える者におけるその割合は37〜79%であった。
 


 

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